ぐだ男「だから見ていてくれ。俺の、変身!」   作:おはようグッドモーニング朝田

10 / 11
かなり短いですがどうしても他と混ぜたくなかったので投稿します。

よろしくお願いします。


9 約束

 

9 約束

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の世界は灰色だった。

 

初めて目にしたのは病室のような部屋。透明な壁で遮られた小さな世界。瞼を開けておはよう。瞼を閉じておやすみなさい。

 

 

 

 

 

私の世界は灰色だった。

 

ベッドから出た。自分の脚で歩いた。でも部屋からは出られない。私にとってはこの部屋が世界だった。それが大きいか小さいかなんてわからなかった。だってここが、私のセカイ。

 

 

 

 

 

私の世界は灰色だった。

 

 カルデアの広さに驚いた。職員の皆さんは優しい。友達もできた。小さくて、モフモフした、可愛い友達。私は部屋を出て歩き回り、「窓の外」を知った。

 

 

 

 

 

 私の世界は灰色だった。

 

 「窓の外」はいつも同じだった。職員の方の話によると、外には空があり、様々な色に変わるらしい。太陽と月があるらしい。でも一度も見たことがない。「今日も吹雪いてるね」と誰かが言った。

 

 

 

 

 

 私の世界は灰色だった。

 

 色々な本を読んでたくさんの知識を得た。いつか青空が見てみたい。そう思った。廊下を一人歩く。友達を見つける。追いかける。倒れている人がいた。大丈夫ですか?と話しかける。寝ていたその人が体を起こした。

 

 

 

 

吸い込まれるような、蒼い瞳と眼が合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先輩は覚えていますか?これは約束。これは契約。貴方と交わした、最初の契り。先輩にとっては、なんとなくこぼした軽口だったのかもしれません。でも、私にとっては、何よりも大事な約束。生きる活力をくれる、尊い道標。風に揺らめく弱弱しい灯火のような命に酸素を吹き込み、また明々と燃え上がらせてくれました。。

 

「吹雪ばっかりで参っちゃうよね」

 

 そんな何気ない会話から始まった、私の小さな革命。私の口からポロッと零れ落ちた、私の願いの雫。誰もが見落としてしまうような、本当に小さい私の夢。

 

「いつか本物の青空が見てみたいです」

 

 でも先輩はそれを掬い上げてくれました。些細なことだと笑わず、正面から受け止めてくれました。

 

「それじゃあ、約束だ。俺がいつか君に本当の青空を見せてあげるよ」

 

 その言葉があったから、私は生きている。果てしなく、長く険しい旅でも頑張れる。貴方が隣にいてくれるから。貴方が約束してくれたから。貴方が、

 

 

 

 

 

「だから、それまで俺が君の青空になるよ。それでいいかな」

 

 

 

 

 

私の道標に、なってくれるから。

 

 

 なんちゃって、なんて言っておどけていたけれど、私の世界はその言葉で急変しました。あの燃え盛る世界でも、必死で生を掴み取ることができました。

 

 それに私は知っています。それは私にとっては冗談なんかじゃありませんでした。光輪の浮かぶ偽物の空だったのかもしれません。でも、初めて見た青空、オルレアンの空は、先輩の瞳と同じ

 

 

蒼色だったんですから。

 

 

 

 私が初めて見た「色」は、貴方の瞳(空の色)だったんです。

 

 

 

 

カルデアの廊下で倒れて眠っていた貴方。

 

所長の目の前で居眠りしていた貴方。

 

私の手を握っていてくれた貴方。

 

私を外の世界に連れ出してくれた貴方。

 

私の世界を色づけた貴方。

 

 

 

 

 

私に、色彩をくれた人……。

 

 

 

 

 

 

あなたがいる世界に、私も生きている。

 

 

 

 





今回はここまでです。また少し時間を頂きます。

次回もよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。