Fate/Game Master   作:初手降参

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現在のキアラ

随喜自在第三外法快楽天ガシャット(CVキアラ本人)を使用して、FGO基準でサーヴァントの何倍も強くなっている
本体だけでも強いが、彼女から溢れ出るエネルギーで作られたキアラのシルエットも戦闘力を持つ
戦闘力は止めているが、戦闘していなければ、人のいそうなところをシルエットで包むだけで、その中の人々を吸収する。
吸収された人々は快楽浸けになるが、精神力でしばらくは耐えられる。




第十八話 英雄 運命の詩

 

 

 

 

「っ……ダメだ、これは」カタカタカタカタ

 

 

黎斗神は一つ舌打ちした。昨日の停電から発生した遅れはいよいよ深刻になり、もう聖都大学附属病院の全てを防衛することは不可能に近かった。

現在の黎斗神のライフは、残り83。常にメディア・リリィが背中に杖を突き刺して治癒をかけ続けてなお、ライフの減少は止まらない。

 

 

「っ……ウッ」バタッ

 

『Game over』

 

「マスター!!」

 

   テッテレテッテッテー!!

 

 

また一つライフが減った。黎斗神はいそいそと土管から這い出て、パソコンにしがみつきまたキーボードを叩く。精神的に、彼はもう限界が近かった。

 

 

「……仕方がない、地下駐車場の支配権をパージする他はないか……!!」カタカタカタカタ

 

「それは大丈夫なんですかマスター!?」

 

「大丈夫なはずがないだろう!! 地下駐車場を手放すということは、下からの攻撃を受けるということだ。地下駐車場のテクスチャを弄って、病院の床下から打撃を加えたりコンクリートの針で貫いたり──そういったことが可能になるだろう」カタカタカタカタ

 

 

まあ、それは自分(相手)なら中々取らない手段だろうが──黎斗神はそういいかけて、それすらも億劫になって止めた。今はただ、防衛のみに力を注ぐ。

 

 

「そんな……」

 

「対策は打つが。いつかは、病院ごと移動することも考えなければならなくなるだろうな」カタカタカタカタ

 

───

 

「黎斗さん、街が!! 街に、巨大な人影が現れています!!」

 

 

その時、マシュもまたキアラの存在を認識していた。また、それに立ち向かっている仮面ライダーがいることも何となく察知していた。

あれは災害だ。マシュはそう認識し、矢も盾もなく真黎斗の元に転がり込む。

 

 

 

「知っているさ。CRのサーヴァントにいた殺生院キアラだろうな。恐らく何らかのガシャットを使用していると見える」カタカタカタカタ

 

「そうね。でも、マスター(黎斗神)の作ったガシャットじゃないんでしょう?」カタカタカタカタ

 

「そうだな。私ならあれは作らない。……小星作。彼の作った物だろうな」カタカタカタカタ

 

 

しかし、真黎斗とナーサリーの対応はとても素っ気なかった。彼らは、キアラの存在を軽視していた。いつでも処理できると思っていたし……それ以前に、聖都大学附属病院の攻略に忙しかった。

 

 

「何とかしないと……!! 被害が拡大してしまいます!! 黎斗さん!! ナーサリーさん!!」

 

「それは出来ないわ。ここが正念場なのよ……!!」カタカタカタカタ

 

「小星作の作るゲームなど屑だ!! 屑に構う余裕などない……!!」カタカタカタカタ

 

 

しがみつくマシュの手は容易に振り払われた。現在二人はようやく聖都大学附属病院の地下駐車場を手に入れたこともあり、そこを足掛かりに全てを支配しようと躍起になっていた。

マシュは唇を噛んだ。彼らは自分では動かせない、それはもう、彼女にも十二分に理解できてしまった。悔しかった。

 

 

「……気にすることはありませぬ、我が主。我々は、我々のすべきことをするまで」

 

「っ、ジルさん……」

 

 

……いつの間にか社長室に入室していたジル・ド・レェが、そう言いながらマシュの肩を叩いた。どうやら彼は、マシュについてきてくれるらしかった。また、既に他のサーヴァントも出向く準備を始めているらしかった。

 

 

「行くなら行けばいい、私は構わない」カタカタカタカタ

 

「……はい」

 

 

ジル・ド・レェは恭しく礼をしてから出ていった。マシュも真黎斗に背を向け、社長室を出る。

 

───

 

『シャカリキ クリティカル ストライク!!』

 

「はあっ!!」

 

 

レーザーターボが、肩の車輪を取り外してキアラに投げつける。その軌道は確かにキアラを捉えていたが、その車輪は巨大なキアラのシルエットの、それが一時的に実体化した腕によって叩き落とされる。

 

 

「チッ、あんなのアリかよ!!」

 

『足りませんわ、もっと!!』

 

 

レーザーターボが悪態をついた。キアラは未だ無傷。

彼の隣にポッピーとスナイプが立ち、やはりキメワザを発動する。

 

 

『クリティカル クルセイド!!』

 

『ドラゴナイト クリティカル ストライク!!』

 

「はああああっ!!」

 

「おらあああっ!!」

 

 

無数のハートや星の形のエネルギー弾と、黄色の閃光がキアラへと飛んでいった。しかしそれらも容易く弾き飛ばされ、本体には届かない。

 

 

「届かないか……!!」

 

「ダメ、キリがないよ……!!」

 

 

状況は悪かった。戦闘開始から、既に二十分。ゲーム病の変質等のこともあり、一刻の猶予も無く、それなのに、キアラは無傷。

外野にいるニコとパラドも、もどかしい思いをしていた。

 

 

「あーもう、何時になったら攻略できるのあれ!!」

 

「クソゲーだ……!!」

 

 

そうパラドが呻く。握った拳は震えていた。

勝ち目はない、そう思えてしまった。しかし、これまでも戦い抜いてきた仮面ライダーを信じたい気持ちも確かにあった。

 

 

「ランサー、ランサー? 聞こえる!?」

 

 

ニコは念話を試みていた。状況をいくらか俯瞰できる位置にいることを生かして、フィンを外から操作しようと考えたのだ。

 

 

『聞こえたよマスター。指示をくれるのかい?』

 

「良かった通じた!! でも早く決着をつけないと……そうだ、宝具で急所を貫いたりできないの?」

 

『……急所……任せてくれ、親指かむかむ知恵もりもり(フィンタン・フィネガス)!!』

 

 

そしてフィンはニコの指示に答えて、相手の急所を探ろうと親指を噛んだ。

親指かむかむ知恵もりもり(フィンタン・フィネガス)とは、叡知の鮭フィンタンを食した時に得た能力を再現する宝具。フィンはそれによって己の知覚を極限まで拡大し、ここまでに得たキアラに関する僅かな情報や過去の記憶と照らし合わせ、総合的に判断する事でキアラの現在の状況を探り──そして、一つの真実を掘り当てる。

 

 

「なっ──」

 

『どうしたの、何が分かったの!?』

 

 

その真実は、確かに驚愕に値するものだった。しかし、それが確かなら──

 

 

「……不味い、キアラを攻撃してはいけない!!」

 

「あぁ!?」

 

「何ですって?」

 

 

フィンは咄嗟に呼び掛けた。ライダー達は訝しげにフィンに視線を送る。何を言っているんだと言わんばかりに。しかし、キアラはフィンの言葉に素直に感心していた。

 

 

『あらあら、気づかれましたか。ええ、そうです──私の吸収した人々は皆、私の中にいるのですよ?』

 

「……え?」

 

「何だと!?」

 

「どれだけの密度に、なってるんだ!?」

 

 

キアラはくすくすと笑いながら、自分の腹の部分に縦に裂け目を入れて、その中身を公開してみせた。

……人々が、蠢いていた。これまでにない快楽に溺れ、逃れようともがいていた。

 

 

「何だ、あれ……」

 

「酷すぎる……!!」

 

 

キアラは、例えるならば快楽のブラックホールだ。己の中に人々を溜め込み、密度を上昇させ、それによって益々引力を増す。今はまだ戦えるが、もっと人々を取り込めば、近寄るだけで吸い込まれかねない。

 

 

「とにかく、中に詰まっているのなら……」

 

「貫通する攻撃は、使えないのか……!!」

 

 

しかも厄介なことに、中に救うべき人がいると分かった以上、銃を使うのは避けなければならなかった。万一貫通してしまえば……死者が出るから。

 

───

 

「さて……ここですかな」

 

「っ、そのようですね……」

 

 

ジル・ド・レェとマシュは、キアラの近くのビルの屋上にやって来ていた。見下ろしてみれば、仮面ライダーは苦戦しているように見えた。

 

 

「……行かないと」

 

 

マシュはガシャットを取り出した。この世界に来てから、初めてのことだった。

ジル・ド・レェがガシャットを取り出したマシュを見て、小声で問う。

 

 

「……で、どちらを攻撃するのですかな?」

 

「……え?」

 

「今、あのアルターエゴに苦戦している仮面ライダー達を襲えば、この聖杯戦争は簡単に終了致します。そうすれば、これ以上の戦闘も、それと共に発生する被害もなくなるのでは?」

 

「そんな……」

 

 

……マシュは端から、キアラを攻撃するつもりでいた。それ以外の選択肢などないと思っていたし、ジル・ド・レェもそうするために来たのだと思った。

しかし、どうにも食い違いがあるようだった。彼の言っていたすべきこととは、仮面ライダー達を排除することであったのだろうか。マシュはそう考える。そして、咄嗟にそれを止めようとした。特に考えはなかった。

 

 

「……駄目です。彼らを、倒すのは」

 

「ほう? それはつまり──貴女は死んでも良いのですね?」

 

「っ……!?」

 

「おや、驚かれていらっしゃる。しかしそうでしょう? 聖杯戦争の勝利条件は敵の殲滅。貴女が死ななければ、向こうは勝利できず、戦いは終わらず、人々はいつまでも眠れない夜を過ごすのです」

 

 

マシュの額から、冷や汗が垂れた。

 

眼下で、青色の仮面ライダーが酷く攻撃を受けていた。かなり動きがふらついていた。黄色と黒の仮面ライダーが彼を庇っているが、それにも限界がありそうだった。

 

しかしマシュには、それらは見えなくなりかけていて。

 

 

「貴女は良いのですね? 我らが神によって作られた虚構の旅をようやく終えて、とうとう得た命を不意にしても。意味なく、甲斐なく失っても。()()()()()()()()()()

 

「いや、私は……」

 

「貴女はまだ、何も守っていない。貴女の救ったものは、何もない。恥じることはありません、それでいいのです。生きていれば、この戦いに勝利すれば、いくらでも、どれだけでも、貴女は望むだけ、守ることができる」

 

 

……マシュはもう、何をするべきか見えなかった。力なく膝から崩れ落ちた。

涙で、もうキアラの姿は見えなくなっていた。

 

───

 

「っぐ、が……!!」

 

「大丈夫かブレイブ!!」

 

『ジェット クリティカル フィニッシュ!!』

 

 

ブレイブのライフゲージは、既に赤を示していた。スナイプが彼を庇うように立ちキメワザを発動するが、万が一貫通してしまったときのことを考えると、放った弾丸は牽制としてキアラの周囲に落とすしかなかった。

 

 

『ふふふ、その程度ですか……? 物足りませんね』

 

「っ……」

 

 

対するキアラはまだまだ余裕綽々といった様子だった。微妙に額に汗はあったが、それは別に何の弱味でもなかった。

スナイプは一つ舌打ちをしてからブレイブを背負い、パラドやニコの近くの物陰にまで運んでやる。

 

 

「少し休んでろ。後でまた来い」

 

「……分かった」

 

 

ブレイブは握り拳を作っていたが、スナイプの言葉に素直に従った。彼に戦うだけの気力はなかった。ただ、見ることしか出来なかった。

 

 

「どうしますかマスター。患者を引きずり出す手立ては?」

 

「……分かりません、さっぱり」

 

 

エグゼイドはナイチンゲールに、そう言う他なかった。迂闊に手は出せず、しかしてキアラを押さえつける力も持っていない。味方のサーヴァントも、キアラを倒せるほどの火力がない。

 

 

「チッ……どうしたもんか」

 

「うぅ……迂闊に攻められないし……」

 

 

レーザーターボもポッピーも、歯噛みすることしか出来ない。誰も、キアラを倒せない。

 

 

 

 

 

「……大丈夫ですかマスター」

 

「セイバーか……早く行け、俺に構うな」

 

 

いつの間にか、ジャンヌがブレイブの隣にまでやって来ていた。その顔は、真剣だったが、優しげだった。

 

 

「……私は、剣を使おうと思います。守るべき人々を覆っているのなら、その檻だけを破壊すれば良いでしょうから」

 

「剣? 使うなら使えばいいだろう……」

 

 

ブレイブはそこまで言いかけて、彼女の剣が、宝具が何だったのかを思い出す。

 

紅蓮の聖女(ラ・ピュセル)

調停者(ルーラー)ではなく剣士(セイバー)として呼ばれてしまったジャンヌの持つただ一つの宝具、生前振るうことはなかった聖カトリーヌの剣を用いて行う攻撃。ジャンヌ・ダルクの火刑、その心象風景を攻撃的に解釈し、剣としたもの。そしてその剣はまたジャンヌ自身でもある。

 

……種別は、特攻宝具。

 

 

「いや……待て」

 

「短い間でしたが、楽しかったです」

 

 

ブレイブは、咄嗟にジャンヌを引き留めようとする。自爆などされたら気分が悪いし、まだ彼女を失いたくはなかった──鏡飛彩は、ジャンヌ・ダルクの中にかつて失った彼女と似た精神を見てしまっていたから。

 

 

「しかし、範囲はどうだ。建物に被害はないのか」

 

 

だがそれを言うわけにはいかなかった。だからこそ、範囲というそれらしい意見でもって彼女を止めようとした。

キアラは止めなければならなかったが、ジャンヌの自爆に頼らずともまだ他の手段があるはずだと信じたがっていた。

 

 

「それは──」

 

「……それは私がやろう」

 

 

しかしその望みは、いつの間にかやって来ていたエミヤに断たれることとなる。

 

 

「お前は、アーチャー!?」

 

「私の宝具を使えば、一時的にキアラを隔離できる」

 

「ええ……よろしくお願いしますね」

 

 

その提案は、確かなものだった。ジャンヌはそれを信用していた。ならば、ブレイブもそれを信じるしかなかった。

 

 

「……本当に、良いのか?」

 

「ええ。……素敵な経験を、させてもらいました。最後まで、看護師としては役立てませんでしたが」

 

 

そう言いながら、ジャンヌがブレイブの隣にナース服を返却する。綺麗に畳まれてはいなかったが、仕方のないことだった。

 

 

「どうか、人々を救うドクターであってください(世界で一番のドクターになって)

 

「っ……!! ……分かった」

 

 

その言葉は、小姫の遺した言葉と酷似していた。……もう、彼女を引き留めることはできなかった。彼女の歩む道を見届けることを、セイバーのマスター、鏡飛彩は選択した。

 

 

「……一つ目の令呪でもって命ずる。宝具、紅蓮の聖女(ラ・ピュセル)で敵を倒せ」

 

「……はい」

 

 

見届けるならば、せめて。

ブレイブは最後の希望と共に令呪を発動する。

 

 

「……二つ目の令呪でもって命ずる。敵の表面だけを徹底的に破壊し、中の人々を救出しろ」

 

「……はい」

 

 

思う通りに逝かせてやろう。彼女に、思い残しがないように。

ジャンヌへの尊敬と感謝を令呪に込める。

 

 

「……最後の令呪をもってセイバーに命ずる。……悔いのない戦いを」

 

「……了解しました」

 

 

……全ての令呪は、使いきられた。

ジャンヌは最後にブレイブに笑って、彼に背を向けて再びキアラの前へと歩く。

キアラはここまでの間他の仮面ライダーやサーヴァントと遊んでいたが、歩いてくるジャンヌに何かを感じたのかそちらに目を向ける。

 

 

「お願いします」

 

「分かった──I am the bone of my sword.」

 

『む?』

 

 

……アーチャーが詠唱を開始した。キアラは妨害を行おうとするが、その攻撃はスナイプやエグゼイドが割り込んで受け止める。

 

 

『邪魔です……!!』

 

「邪魔してるから当然だろ!!」

 

「僕達は、僕達に出来ることをするんです!!」

 

 

耐えて、耐えて……そして。詠唱は完了する。

 

 

『──So as I pray, 無限の剣製(UNLIMITED BLADE WORKS)!!』

 

   ザッ

 

「な……!!」

 

「何だぁ!?」

 

『ここは……』

 

 

……そこはもう、先程までの都市部ではなかった。無限に広がる剣の丘、空には歯車が廻り、大地からは武器が直下立つ。そこはエミヤの固有結界、彼に許された唯一の魔術。

エミヤは右手を振り上げて、超巨大な刃である虚・千山斬り拓く翠の地平(イガリマ)を複数本投影し、巨大なキアラのシルエットを地面に縫い付ける。

 

 

『なっ──』

 

「ここにある剣は好きなものを使っていい!! 全て贋作だが、真作に勝るとも劣らぬ逸品だとは保証しよう!!」

 

 

そしてそう宣言した。これより行うは時間稼ぎだが、それは大切なことだから。皆が皆剣を摂り槍を引き抜き、キアラへと立ち向かう。

 

ジャンヌは傷だらけで戦い続けるドクター達を見ながら膝をつき、旗を置いて剣を取り出した。そしてその刀身を握る。

 

 

「──諸天は主の栄光に。大空は御手の業に。昼は言葉を伝え、夜は知識を告げる。我が心は我が内側で熱し、思い続けるほどに燃ゆる」

 

 

ジャンヌの手から、血が溢れた。一筋の血は刀身を流れ落ち、大地を濡らす。

 

 

「我が終わりは此処に。我が命数を此処に。我が命の儚さを此処に。我が生は無に等しく、影のように彷徨い歩く」

 

 

目の前では、キアラが多くの剣を相手に拳を振るっていた。苦戦はしていなかったが、余裕もあるようには見えなかった。

つまり、誰も今この瞬間、ジャンヌの邪魔はしなかった。

 

 

「我が弓は頼めず、我が剣もまた我を救えず。残された唯一の物を以て、彼の歩みを守らせ給え」

 

 

そして、CRのセイバー、ジャンヌ・ダルクの物語は終わりを迎える。

 

 

「主よ、この身を委ねます―― 」

 

 

……花が開いた。剣の柄の先の蕾が花開き、大輪の花が咲いた。そして……それと共に、炎が彼女を取り囲む。

 

 

紅蓮の聖女(ラ・ピュセル)!!」

 

 

火刑はここに再現される。ジャンヌを取り囲んだ炎はさらに彼女を二回り程してから、キアラを飲み込む。その勢いは凄まじく、あっという間にキアラを飲み込む。

 

 

『ああ、熱い!! 熱い!!』

 

「退け!! 退け!!」

 

「でも攻撃は、続けられる!!」

 

 

炎の中で、キアラはもがいていた。彼女の表面が焼き焦がされる。炎の外からの追撃も、全く無抵抗に受けるしかないこの瞬間には痛いダメージで。

 

 

「はああああっ!!」

 

 

炎の勢いは一層強くなった。剣を握るジャンヌの脳裏に、飛彩の姿が過る。戦い続けるドクターの姿が。

それを尊いと思った。無条件に誰かを助ける様を尊いと思った。人を傷つけてきた彼女だからこそ、そのあり方を何より善いと思った。

だから、ここで全てを投げ出せる。

 

キアラを包む火球が拡大していく。膨らみ、益々熱を帯びる。キアラは無抵抗に悶えている。

そして、最終的にその火球は炸裂し──





次回、仮面ライダーゲンム!!


──キアラとの決着

「とても、とても……」

「皆を、解放する!!」

「お前の世界は、ここで終わりだ……!!」


──進められる計画

「畳み掛けるぞ」

「これからの作戦はどうするつもりだ」

「これと平行して、もう一つの目的がある」


──そして、新作の始まり

「作さん!! 目を覚まして!!」

「あ……う……」

「……やらないといけないことが、残ってる」


第十九話 KOE


「何故上手くいかないんだ……!!」

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