Fate/Game Master   作:初手降参

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今やってるひよこが悪魔になるチキンラーメンのCMで崇めているのがソロモン72柱の一体カイムだと知ってから、チキンラーメン×FGOのストーリー構築が止まらない

1.5部風にして、突如日本の一角が『高級料理万歳派』『冷凍食品至高派』『菓子食べろーズ』の三勢力に支配されたことにし、ぐだが衛宮家の面子を引き連れて特異点に突入して三勢力とその裏にいる『チキンラーメン教』と魔神柱カイムに迫る……

的な感じで書こうと思ったけど企業を全面に押し出す作品はここでは書けないと思い出し、どうしようかと運営にメールを送ったけど無視された



第六十一話 Giant Step

 

 

 

 

 

『ギリギリ クリティカル フィニッシュ!!』

 

   ザンッ

 

「……こりゃキツいな」

 

 

何人斬っただろうか。

レーザーターボは肩で息をしながら考える。周囲にはまだまだサーヴァントが沢山残っていて。

すぐ後ろに立ったマルタは、光弾による援護と盾による物理的防御で彼を援護していたが、それももう限界に近いだろうとレーザーターボは察していた。

 

自分達は悪目立ちしすぎた。周囲の全てのマスターが、自分達を最重要ターゲットに設定している。それをレーザーターボは確かに感じていた。出来れば勝手に仲間割れしてほしかったが、そんなことをするマスターはとっくの昔に脱落していた。

 

 

「姐さん、もうその光のヤツ撃つの疲れたろ」

 

「……まあ、段々当たらなくなってきたことは否定しないわ」

 

「そうかい」

 

『ズッドーン!!』

 

 

そう言いながら、ガシャコンスパローを弓にして遠くのサーヴァントの胸元を撃ち抜く。……それでも致命傷ではなかったらしく、相手はまだ倒れない。

 

 

「はぁ……あーあ、どっかに肉弾戦が物凄く強くて、ドラゴンを殴り倒せる味方がいないかなー」

 

 

そしてそれを見ながら、レーザーターボはそう呟いた。マルタは顔をしかめる。

 

 

「……」

 

「前に夢で聞いたことがあるんだけどなー、そんな凄い凄女の存在をなー。あーあー、助けてくれないかなー!! そうじゃないとこれ自分しんじゃいそうだなー」

 

「……あんのタラスクめ……」

 

「早く乗ってくれないと本格的に不味いかなー」

 

「……はぁ」

 

 

……結局、その声に根負けしたマルタは溜め息をしながら、持っていた杖をゆっくりと肩に固定する。そうして──彼女の両手は自由になった。

 

 

「……別に、こっちの私は無理してるって訳じゃないってことは、もう言ったと思うんだけど」

 

「そうだとしても、少なくともこの状態だったら、そっちの姐さんで生き延びるのは辛いだろ?」

 

「……そうね」

 

「じゃ、仕方ない」

 

 

レーザーターボの手の辺りに、令呪の光が浮かび上がる。

 

 

「令呪をもって命ずる。……本気を出せ、姐さん」

 

「いいわ……分かったわよ」

 

 

そして、その光はマルタの両手に纏わりつき……簡素なナックルを形成した。

マルタはまた一つゆっくりと呼吸をして、両手を強く握る。

 

 

「……行くわよ舎弟」

 

「おう」

 

「ヤコブ様、モーセ様、お許し下さい……マルタ、拳を解禁します!!」

 

 

──次の瞬間。

レーザーターボを踏み台にして敵の中に飛び込んだマルタは、まず一体のサーヴァントをその拳で消滅させた。

 

───

 

「うわぁ、凄い……」

 

「元々そういう設定だったからな、彼女(マルタ)は。かつて聖女マルタは竜を何も用いずに倒した……つまり彼女は、己の素手で竜を倒したわけだ。そう考えれば、彼女の強さは当然のことだろう?」

 

「それは違うと思うけど……」

 

 

ポッピーと黎斗神は、シャドウ・ボーダー内からレーザーターボとマルタの戦闘をモニターしていた。ポッピーはついに拳を握った聖女の戦闘力に目を見開き、黎斗神の方は静かに頷いていた。

 

 

「まあ何にせよ、この場を切り抜けるのは彼等なら容易いだろう」

 

「そうだね。何とかなりそうだよ」

 

 

そう言葉を交わす。

 

そんな二人の乗ったシャドウ・ボーダーの外に、一人の男が立っていた。

 

 

   コンコン

 

「ん?」

 

 

その男が車窓を叩いた。

ポッピーがその音の方を見れば……永夢がぽつんと立っていた。

 

 

「あっ、永夢……」

 

「戻ってきたか、宝生永夢」

 

   ガチャッ

 

 

ポッピーが扉を開く。永夢は彼女には何も言わず、俯いたままで、ブランクガシャットだったものを黎斗神の視界の中に突き入れた。それだけで、ポッピーが永夢に何かあったことを察するには十分だった。

 

 

「もしかして、そのガシャットは……」

 

「……」

 

「完成したようだな」

 

 

黎斗神がそれを受け取り、パソコンに装填して確認を開始する。ポッピーは永夢が何時でも座れるようにシャドウ・ボーダーの後部座席を開け放っていたが、永夢は外で微動だにもしなかった。

 

 

「ガシャット……『Holy grail』……聖杯か。ああ、丁度いいタイミングだ。流石は天才ゲーマー、とでも言ってやろう」

 

「……」

 

「黎斗……」

 

 

何時もの調子の黎斗神をポッピーはたしなめようとする。今は駄目だと。話を聞こうと、そんな意味を言外に含めて。

しかし黎斗神はそんなものを読むつもりは無いようで、笑いを漏らしながら作業に没頭していた。

 

 

 

 

 

ポッピーは永夢を連れ出した。

彼女は散歩と称してシャドウ・ボーダーを出て、適当に歩き、近くのベンチに永夢を座らせて自動販売機を探す。そして、売り切れていない数種類の缶ジュースの内の二本を買って永夢に渡した。

 

 

「おまたせ。ごめんね、コーンスープとお汁粉と、あとこれしかなかったの」

 

「……ああ、いいんですよ。……いただきます」

 

   パチッ

 

 

永夢は缶ジュースを一気に煽り、半分ほどを飲み下してから、呆然と空を見上げる。会話に詰まったポッピーは、恐る恐る問いを投げて。

 

 

「……やっぱり、ナイチンゲールさんは」

 

「……ええ」

 

 

そして、その返事でやはり落胆した。そうだろうと思っていたが、本当にそうなるとやはり胸に来るものがあった。

 

 

「……大丈夫なの?」

 

「まさか」

 

 

また永夢が缶ジュースを煽る。彼はまた残りの半分も飲み干して、近くのゴミ箱に缶を投げ入れた。

そしてようやくポッピーの方を向き、力なく微笑む。

 

 

「でも安心して下さい、僕は戦います」

 

「永夢……」

 

「僕は、ナイチンゲールさんに……彼女に託されたんです。命を救えと。守れと。だからきっと……彼女の守ってきた人の命を、今度は僕達が守る番なんですよ」

 

「……そうだね」

 

 

今度はポッピーが空を見上げる番だった。

そこは、とても澄んでいた。

 

───

 

「……そろそろ包囲網が薄くなってきたわね。一気に逃げるわよ」

 

「そうだ、なっ!!」

 

『スッパーン!!』

 

 

マルタとレーザーターボは、自分達を包む包囲網の一端だけを集中的に攻撃し、そうして包囲網を突き破ることに成功していた。

 

そうなれば後は話は早い。マルタはレーザーターボを俗に言うお姫さま抱っこの体勢に抱き上げ、レーザーターボに周囲を狙撃させながら走り始める。

そしてマルタ自体も自身の宝具であるタラスクを召喚し、その上に飛び乗った。

 

 

「頼むわよ、愛知らぬ哀しき竜よ(タラスク)!!」

 

 

回転しながら飛び上がる竜。レーザーターボは眼下に敵達を望みながら、目が回るのを根性で堪えて、自分達を追って空に駆け上がる少数のサーヴァントを撃ち落とす。

 

 

『ギリギリ クリティカル フィニッシュ!!』

 

「……よっとぉ!!」

 

   ダァンッ ダァンッ

 

 

そして、撃ち落としたのを確認して……彼はへなへなと座り込み、変身を解いて、タラスクの上に寝転がった。

 

 

『ガッシューン』

 

「もうムリ……休ませて……」

 

「ちょっ、マスター!?」

 

───

 

 

 

 

 

「ノッブ!!」

 

「ノッブ!!」

 

「ノッブ!!」

 

 

いつの間にか、日は落ちかけていた。夕陽の中を照らされながら歩いてくるちびノブ達の手には、朝の時ほどは食料はない。こうなれば、今の食料と合わせても四日は持たないと考えられた。

 

 

「そろそろ、耐えるのには限界が近いようですね」

 

「そうだな……悔しいが」

 

「そんなことはありません。後は勝てば良いんですから」

 

 

灰馬と信勝はそう言いながら、まだちびノブが連なっている外の様子を見る。

 

 

「……」

 

「僕は、貴方と戦えて良かったです」

 

 

……唐突に、信勝の方がそう言った。灰馬は慌てて彼の方を見て、すぐに口を開く。

 

 

「何を言っているのだね、それは私のセリフだろう? 君がいなければ、危険に晒した人々が沢山いただろう。犠牲ももっと多かったかもしれない」

 

「……」

 

「日向審議官が守った命を、君も守ってくれている。それが私にとって何よりの助けだ」

 

 

一瞬、二人の間に沈黙が流れる。……ゲームスタートから数えてまだ九日。しかし二人はそれなりに助け合って、互いの目標を達成していた。

 

 

「……ずっと私に着いてきてくれたが、良かったのか? 知り合いに会ったりはしなかったのか?」

 

「まあ……会いましたけど。でも、好き勝手にしろと言われましたから。僕は好き勝手やりたいことをやっただけです。……きっと、姉上もそうしているんでしょう」

 

 

信勝はどこか遠くを見るようにしながらそう呟く。灰馬はそれ以上の詮索はせず、ゆっくりと溜め息をした。

 

そんな二人の後ろから声をかける者がいた。

 

 

「……ねぇ、ちょっと」

 

「ああ、西馬君か。どうした?」

 

 

フィンとの戦いを生き延び、さっきまで傷を癒していたニコだった。彼女はどうやらもう、これから灰馬と信勝が黎斗神の元に向かうことを知っているようだった。

 

 

「……ねぇ。黎斗の奴、何を企んでるの?」

 

「一発逆転の大作戦だ……と、書いてあったが」

 

 

灰馬は何でもないようにそう答える。ニコはその返答に訝しげに首を傾げる。

 

 

「本当に?」

 

「そんなことを言われても、やるしかないだろう? 私達はもう堪えるのには限界が来たのだから。ここから一歩、踏み出す時だ」

 

───

 

「ふーむ、ま、こんなものかの」

 

「……そうだな」

 

 

その時信長は、アヴェンジャーとイリヤと共に、墨田区内の様子を眺めていた。プレイヤーは順調に減っているようで、強いものと弱いものがはっきりと二分されていた。

 

 

「あのサーヴァントは、随分とレベル上げをしたようじゃな」

 

「あれは……キャスターのアヴィケブロンか。ゴーレムの召喚速度と各々の強度が勝因か」

 

「そのようじゃな。で、それと今向き合っているのが……」

 

「恐らくランサーの宝蔵院胤舜だろう。マスターが態々聖杯を注ぎ込んで強くしたらしいな」

 

 

そんな風に分析する。イリヤは画面を覗き込みながら、黙って眺めているだけで。

まだ上の階にいるのであろう真黎斗が動くのには、まだ時間がかかりそうだった。

 





次回、仮面ライダーゲンム!!



───進むストーリー

「まだ終わらないか……」

「何があったんですか?」

「君の協力を仰ぎたい」


───練られていく計画

「戦いはまだ始めない」

「大丈夫なの?」

「機会を待ち続けろ」


───神の降臨

「……とうとうか」

「久しぶりの戦いね!!」

「さあ、裁きの時だ」


第六十二話 Burning My Soul


「変身……!!」

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