Fate/Game Master   作:初手降参

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UA数が9610(黎斗)を越えたので、サーヴァント追加です


なんでよりにもよってそのメンツ引くんですか先輩!?

 

 

 

 

 

   ガチャ

 

「黎斗さん? いますか?」

 

「ああ、マシュ・キリエライトか。今私は忙しいから後にしてくれないか?」ガチャガチャ

 

 

マシュが黎斗の部屋を訪れたとき、彼はガシャットの修理を続けていた。辺りには工具や電子部品が散乱して、足の踏み場もない。

 

 

「今からサーヴァント召喚しますよ!!」

 

「なんでそんなこと……私がいれば十分だろう?」

 

「どの口が言ってるんですか!! この前みたいにまた対策練られたらどうするんですか? また踞ってたらそれこそおしまいですよ!?」

 

「うぐっ」

 

「いいからサーヴァント呼びますよ!! ドクター曰く、今なら三体まで呼び出せるそうです!!」ガシッ

 

「ちょっ、襟、襟を掴むな襟を!?」

 

───

 

「……着きましたね」

 

 

二人は、サーヴァント召喚用の部屋に入ってきた。今まで使われていなかったせいだろう、辺りの機器は悉く埃にまみれている。

黎斗はため息をつきながらマシュについて歩いた。

 

 

「……これでよし。黎斗さん、準備が出来ました。召喚を」

 

「分かっているさ」

 

 

マシュに言われ、渋々と黎斗がサーヴァントを呼び出す。

辺りに青い光が満ちた。何かの回転する音が響く。そして、その後に現れたのは──

 

 

 

「我が顔を見るものは恐怖を知ることになるだろう……お前も」

 

 

顔の半分を覆った、黒髪の長身のサーヴァント。何処と無く歌っている調子にも聞こえる。

 

 

「そんなに怖いですかね」

 

「そうでもないな……で、これは誰だい?」

 

 

アサシン、ファントム・オブ・ジ・オペラ。

十九世紀を舞台とした小説「オペラ座の怪人」に登場した怪人──恐らくは、そのモデルの人物。

オペラ座地下の広大な迷宮水路に棲まい、若き女優に惹かれて彼女を歌姫へと導くも、成就せぬ愛のために連続殺人を行ったとされる。

 

 

「だ、そうです」

 

「ほう……面白い」

 

 

黎斗はファントムの元へ歩みより観察を始めた。マシュは二体目の召喚の準備を開始する。

 

 

「ふーむ……強さはどの位だろうか」

 

「その声……もしや、貴方は、クリスティーヌ!! おおクリスティーヌ!!」

 

「檀黎斗だ」

 

「クリスティ

 

「檀黎斗だ」

 

「ク

 

「檀黎斗だぁっ!!」

 

「……ならばダン・クロスティーヌで」

 

 

……黎斗は肩をすくめ、取り合えず次の召喚をしようとマシュを見やる。

どうやら、二体目の準備は整っているらしい。

 

 

「二人目呼びましょうか。出来ればネロ陛下ならいいなぁ……黎斗さん、お願いします」

 

「まあ期待はするな」

 

 

再び部屋に光が満ちた。月光の如き青い閃光は二人を照らし、サーヴァントをその瞳に映し出す。

 

 

 

「余の、振る舞いは……運命……で、ある……」

 

 

黄金の鎧の、マッチョな男が現れた。黎斗はマシュに向き直る。

 

 

「良かったなマシュ・キリエライト。ローマが来たぞ」

 

「確かにローマっぽいですけど……あれ、このサーヴァントどこかで見ましたよね」

 

「ネロと合流した最初の戦いで顔を見たな。それだけだが」

 

 

バーサーカー、カリギュラ。

暴虐の伝説を有する古代ローマ帝国三代皇帝。

一世紀の人物。皇帝ネロの伯父。

当初は名君として人々に愛されたが、突如として月に愛された──狂気へと落ち果てたのである。

暗殺までの数年間、彼は帝国を恐怖で支配した。

 

 

「だ、そうです」

 

「なるほどな」

 

 

再び召喚の準備にかかるマシュ。黎斗はカリギュラの元へ寄り、その肉体を鑑賞する。カリギュラの方も、じっくりと黎斗を見定めた。

 

 

「……なかなか出来た肉体だな。力はかなり期待できる」

 

「おおネロよ、そなたは美しい……」

 

「……バーサーカーに、頭を期待するのは酷だったか。マシュ・キリエライト!!」

 

「準備万端です!!」

 

 

三度目の召喚。鬼が出るか蛇が出るか、いやどっちも来てほしくないけれど、せめてまともな女性が欲しい!! マシュはそう切に願う。

 

 

「さあ、ラストです。出来ればまともに会話できる女性サーヴァントをお願いします……」

 

 

マシュの心労を労うように、召喚の光が辺りを照らす。それはまるで辺りを撫でるようで……

 

 

「お招きに預かり推参仕りました。不肖ジル・ド・レェ、これよりお傍に侍らせていただきます」

 

 

訂正。労っているのではなくて、嘲笑っていたらしい。マシュは崩れ落ちた。

もう女自分だけなのはいい加減辛かったのだが。ダ・ヴィンチはあれは男だから。

やっと楽になれると思ったのに。

 

 

「良かったなマシュ・キリエライト。会話出来そうだぞ」

 

「目が、その、死んでますよこの人!!」

 

 

キャスター、ジル・ド・レェ。

15世紀フランスの貴族。

自らの領地にて近隣の少年を次々と拉致しては凌辱・惨殺するという所行を繰り返し、後の世の童話『青髭』のモデルとして知られるようになる。

 

 

「超危険サーヴァントじゃないですか!?」

 

「ハーハハハハハ!! これはまた傑作だな!!」

 

 

マシュに絶望のダブルパンチ。せめてまともなサーヴァントであって欲しかった。辛い。

 

───

 

「……どうしましょう、ドクター……」

 

「あ、あはは……どうしようって、どうもねぇ……」

 

「リリースとか出来ないんですか!? 返品を要求します!!」

 

「ちょっとそれは無理かなぁ……あはは……」

 

 

涙目のマシュを前にして、ロマンは何も言えなかった。

本来ならどんなサーヴァントに対しても寛容であったのだろう彼女は、しかしこれまでの黎斗との関わりのなかで、面倒臭い者を避けたがるようになってしまっていたらしい。

流石に彼女を不憫にも思うが、だからと言って再召喚するには、カルデアに魔力が足りない。本来はカルデアならサーヴァント呼び出しにとある石を使うのだが、それらは先程使いきってしまっていた。

 

 

「あうぅ……」

 

「……強く生きてくれ、マシュ。また機会があったら報告するから」

 

───

 

「……」ガチャガチャ

 

 

黎斗はその頃、マイルームに戻って、再びガシャットの修理に取りかかっていた。

取りかかっていたのだが、先程呼び出した三体が妙に煩い。

 

 

「……」ガチャガチャ

 

「おおクロスティーヌ」

 

「私は檀黎斗だぁっ!!」

 

 

ファントムに突っ込みを入れながら、プロトドレミファビートを再び組み立て直した。

 

 

「……」ガチャガチャ

 

「そなたは美しい……」

 

「えぇ……(困惑)」

 

 

カリギュラに少し引きながら、プロトゲキトツロボッツを組み立て直した。

 

 

「……」ガチャガチャ

 

「紛れもない才能の輝き!! 感服致しましたぞ、我が主よ」

 

「当然さぁ!! 神の才能が、私にはあるのだからなあっ!!」

 

 

ジルに絶賛されながら、プロトドラゴナイトハンターZを組み立て直した。

 

既にプロトギリギリチャンバラは直してある。漸く仕事が一段落した黎斗は大きく伸びをして天井を見上げ──一つ閃いた。

 

 

「……成程」

 

「どうかしましたか我が主よ」

 

「おおクロスティーヌ、何か?」

 

「ネロォォオオオオオォ!!」

 

 

構想を広げれば広げるほど、含み笑いがニヤリと曲がり、段々と高笑いに変貌していく。

ああそうか、それも出来るのか。やってみよう。きっと面白いことになる。

 

 

「……ハハ、ハーハハハハハ!! ハーハハハハハ!!」

 

 

組み上がったプロトドラゴナイトハンターを天井の明かりに翳して、黎斗は笑い続ける。

 

 

「ハーハハハハハ!! ハーハハハハハ!!」

 

「クロスティーヌ!! クロスティーヌ!!」

 

「ウオオオッッッ!! ネロォォオオオオオォ!!」

 

「ジャンヌ!! ジャンヌ!! ジャンヌゥゥウッ!!」

 

 

煩い。




「ジャンヌ!! あなたは、あなたは!!」

「クロスティーヌ!! 君はまるで」

「ネロォォオオオォ!! そなたはっ!!」

「宝生永夢ぅっ!! 君は正しく!!」

「「「「水晶っ!!」」」」


ポエマー戦隊君の心は水晶なんジャー
イカれた奴等は引かれ合う

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