Fate/EXTRA-Lilith-   作:キクイチ

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初投稿です。夢でサーヴァント召喚したので小説にしてみた。
これが本当のy(この先は血でry


prologue

 ―――夢を見たことはあるか?

 あぁ、別に将来の夢だとか目標とかの意味をもつ夢のことを聞いているわけじゃない

 寝ている時にみる誰にとっても当たり前のものを

 それをみたことがあるか?と聞いているんだ

 あ?なんでそんなことを聞くかって?

 俺は、他の人間の言うような夢をみたことがないからだ

 

 

***

 

 

 春、寒いのか暑いのかわかりづらく、時より吹く風は地味に湿っていて、より寒暖差を

判別つきづらくする季節。俺は、四季のうち春が一番嫌いだ。特に登校の時間だ。あの太陽の陽がジリジリあぶってくる時間が嫌いだ。

 だから、いつも、まだ涼しい寒いと言うべき時間に学校に行き、さっさと自分の席で丸まって寝るのが俺の日課なのだ。

 

 校門に入る前に「こんな早くから登校とはな」と呼び止める声が聞こえた。

 自身の時計を見やれば、5時をちょっと過ぎたくらいをさしている。

 

「おまえもな、柳洞」

 声の主の名は、柳洞 一成 生徒会長である。こんな朝早くからいるとは思わなかったが。

 

「先週 朝礼で、発表していただろう。今日から風紀強化月間だと。コーヘイ、いくら友人とはいえ、服装持ち物確認につきあってもらうぞ」

 

 そう言うや否や、柳洞はチェックを始めた。

 そう言えば、そんなことを聞いたような気もする。

 

 思わぬところで時間をくったが、我がクラスである2-Aにたどりついた。自分の席に着き今日の時間割を何気なしに確認してみると一時間目から英語だった。げぇ。

 

「一時間目からタイガーかよ」

 

 とぼやいてしまった。というのも良くいえば、賑やか、悪く言えば、騒がしい、そんなタイガーこと藤村先生を俺は苦手としているのだ。思えばこの高校に入って<二年目な/入学した記憶がない>のだ。

 そう俺は「月海原学園」に通っている高校生なのだ。

 

 

「………ヘイ、おい!コーヘイったら!」

 

 俺は、ゆすられ声をかけられ目を覚ました。どうやら眠っていたらしい。

 

「もうそろそろ、ホームルーム始まるぞ!」

 

と目の前の男、クラスメートがいった。担任が来る前に起こしてくれたようだ。あまりにも何の変哲もないありふれた日常が、始まろうとしていた。

 

「なあ、3時間目の葛木先生の宿題やった?」

「やべぇ、やってねぇ」

 

………日常が始まろうとしていた。

 

 

 

 

 時は過ぎて昼休み。飯を買いに購買へと赴こうと教室を出たとき、

 

「すみません、ちょっといいですか?」

 

 そんな言葉を背後からかけられて、俺は振り返った。振り返った先にいたのは、少女。黒髪に藍色の瞳、背は160程度、どこか小動物を想起させる。

 

「具合悪くて…、保健室どこか分かりますか?」

 

 はあ、ひょっとしてこの子は、新入生ではなかろうか。保健室をしらないということはきっとそういうことだろう。

 

「あぁ、確か…」

 

そこから続けようとして、思考が止まった。あれ、保健室何処だっけ。

 

 俺もわからなかった。少女は、こちらの様子をうかがうように見ている。なにか、答えねばまずいとおもい、周囲を探れば校内図を発見した。すると一階にあることがわかった。

 説明しようとしたが、少女は頭をおさえて辛そうにしている。

 

 頭痛だろうか。以外と深刻なのかもしれない。急いで送り届けた方がいいかもしれない。

「ふぇ?」

 手首をつかみ、一階へと駆ける。少女の様子を窺えば、顔を赤くしているように思う。熱もあるのだろう。少しして、保健室についた。ガラリと扉を開け、中に入る。

 

「すまない、急患がいるんだが…」

そう言って目をむけると、思わず息を呑んだ。美しさを感じた故に。

保健室の窓から差し込む光が窓辺の椅子に座る彼女を、美しく引き立たせていた。薄暗い保健室の中、彼女はこちらに視線をよこした。

 

銀糸の髪、金色の眼差しがこちらを射貫く。やけに静かに感じられる部屋の中で、彼女は声を放った。

 

「何か用かしら?」

 

ほうけた俺の様をみて、

 

「用があったのではなくて?豚さん?」

 

と続ける。

 後半罵倒されたせいか、自分の傍らには病人がいることを思いだし、そいつを優先することにした。が、振り返ってみたが、見当たらない。

 

「あれ?」

 

確かにさっきまでそこにいたはずだが…。

 というより、なぜ俺は保健室に来ていたのだったか。どうも思い出せなくなっていた。

 そんな俺を笑うように、始業のチャイムが鳴り始めるのであった。

 

 

 

      現実感にひびが入る。

 

 

 

 授業は6時間目をもって終わりをむかえ、時計を見れば4時半をさしていた。

 特に部活をしているわけではないので、そのまま帰ろうと思っていたがふと、気になることがあった。授業の際、黒板を見た時に小さな違和感を覚えたのだ。

 

 それが、何なのか考えていけば、黒板の端、日付を書くスペースに何も書かれていないことに気づいた。まあ、そのときは、日直が書き忘れたからだろうと考えていた。俺は、日付を憶えていないことに気づき、なにげなしに、クラスメートに聞いてみた。

 しかし、そいつも憶えていないときた。ちょうど、もう一人近くを通りかかったので聞いてみたが、憶えていないと答えられた。まさか、だれも憶えていないというのか。それこそまさか。手当たり次第に聞いてみた。

 

 

 が、結果としてだれも日付を憶えていなかったのだ。

 

「ありえるのか。そんなことが」

 

思わずつぶやいてしまった声は、震えていたに違いない。

 職員室に俺は出向く、先生なら憶えているはずだ。むしろ憶えていてほしい。そんな思いを抱きながら。が、思いもむなしく憶えていなかった。それどころか、学級日誌やら今後の行事予定をみて探したが、結局、月までは、わかったが、日はわからなかった。

 時計を見れば5時を迎えようとしている

 廊下を歩いていると、突然頭痛がはしった。

 

 目の前には、校舎には似つかわしくない格好をした男がいた。軍服である。

 ミリタリーには、詳しくはないが、ゲームなどで見たことがあるカーゴ色のそれはドイツ軍服に似ている気がする。その男は、「やっと我々の悲願がかなう。」そうつぶやき、 俺が瞬きした後には、影も形もなくなっていた。

 

 この世界は夢ではないだろうか。そんな考えがよぎった。夢か現実か調べるのは、あの方法にかぎる。

 頬を抓るという行為である。

「痛い」

 夢ではないようだ。ならこの状況は、何なのか。

 

 この世界は、おかしい。

 目の前の現実感が失われていく。

 窓から外を見れば、空が暗くなりつつある。

 

 日付以外になにか違和感をもつところはなかったか。あるとしたら、それこそが、今味わっている奇妙な現実をなんとかできると考えたからだ。

 

「そういえば、新聞貰ったな」

 

 生徒に聞き回っている最中に新聞部の部員からもらったのだ。

 目を落とせば、『月海原学園七不思議』という題に、そって書かれていることがわかる。というかこの学校七不思議あったのか。

 用具室がどうとか、弓道場の裏手がどうとかが書かれていた。目を引いたのは、『人の消える廊下』というもの。さっき人が消えたのを目撃していた俺は、無関係だとは思えなかった。

 

 『人の消える廊下』の取材もとは、一階の突き当たりのようだ。

 

 

 突き当たりの前に来て再び異様な違和感が俺を襲った。頭痛の酷さが増しているように思う。

 息が荒くなる。目の前に、突き当たりの先の壁の前に、どこにでもいるような女性しかし校内では、見かけない服装だ。

「引き返すなんてごめんだ。わたしは、変えてみせる。たとえ、茨の道であろうと、こんな腐った現実を。そう、もうひきかせないのよ...」

 まるで、自身にいいかせるように。一際強い頭痛に襲われて、思わず目を閉じる、頭痛が治まり目を開いた頃には、女性の姿はいなくなっていた。

 

 

 なにもないはずの壁。この壁には、何かがある。振り返れば、見慣れた廊下がある。引き返せば、いつもとかわらぬ平凡な日常がある。だが、引き返す理由などない。こんな気持ちが悪い世界にとどまるなどごめんだ。真実に目を凝らせ。この先には、必ず道が続いているはずだ。

 

 

 

 

 ――――何かが変わった。壁も床もさっきまでと変わらないがその中身はもう全く違う。現実感が全くないのだ。恐ろしいほどに。つまらないコンクリートの壁には扉らしきものがついていた。

 入り口、あるいは、この世界からの出口、外の世界への非常階段。俺は、日常だったものに背を向けて己のあるべき場所へと踏み出す――

 

 

 

 扉の先は、ほのかに暗い廃棄場だった。目の前には、妙な紋様が浮かびあがっている人形≪ドール≫だ。どうするべきか思案していると――――――。

 

「ようこそ、あらたなマスター候補よ」

 

 どこからともなく声が響いてきた。

 人形≪ドール≫が、グチュ、と音を出して動き出す。

 

「それは、この先で、君の剣となり、盾となる人形≪ドール≫だ。命ずれば、その通り動くだろう」

「さあ、進みたまえ。君の求める真実は、この先だ」

 

 この声の主が誰なのか気になったが、聞いても返してくれるとは、おもえず、引き返す選択肢はとうにない。よって先に進むことにした。

 

 

 エネミーと呼ぶらしい敵を倒ししばらく歩くと、開けたところについた。直感的にゴールだと思った。

 きっとそう思ったのは、この場所のせいだ。穢れや害有るものを寄せ付けぬ息苦しさを感じさせる荘厳さ。教会をおもわせるのだ。

が、部屋の端に目をやり、ギョっとした。見慣れた制服が倒れていた。顔の土気色をしている。しんでいるのだ。その時だった、かたわらに膝を折っていた人形≪ドール≫がこちらをおそってきた。

 すかさず自身の所有する人形≪ドール≫が俺の間に割って入り攻撃を受け止めた。

 

 

 俺も遅れたが、指示を人形≪ドール≫にしたが、相手の人形≪ドール≫の方が、攻撃の速度、出力ともに上だ。たった数回の攻防でこちらの人形≪ドール≫には、ひびが入っている。このままでは、敗北するのは、みえていた。どうする。どうする。考えろ、思い出せ、どうすれば、この状況を打開できる!

 

 

 意識を沈める。己の世界へ埋没する。あぁ、どうしてこんな簡単なことを忘れていたんだ。いつも日課のようにやっていたじゃないか。己の回路すなわち魔術回路を開いた。

が、状況は、全く好転しない。魔術用の道具をひとつも持ち合わせていないからだ。人形≪ドール≫は、半壊している。足りない。勝因がそろわない。負ける。死ぬ。であれば、何のために。自身の生きた年月を否定されるのか。奪われるのか。それだけは嫌だ。まだ生きている。まだ俺はなにもなしていない。こんなよくわからないところで死にたくない。死ぬわけにはいかない。

 

 記憶を探れ、魔術師あったことを思い出せたように、何かないか。もう一度。己の世界に埋没する。

 人形≪ドール≫が、破壊されるまで、あと少し。

 

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が大師―――――。降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

気づけば、そんな言葉が口から出ていた。

記憶はないが、識っている。

「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ満たされる刻を破却する」

人形≪ドール≫には、身を守るよう指示を出す。これで、少し時間が稼げるだろう。

 

 

「―――Anfang」≪セット≫

「――――――告げる」

「――――告げる。

汝の身は、我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば答えよ」

 

 人形≪ドール≫は、既に壊された。敵がこちらに視線をとめた。時間がない。

「誓いを此処に。我は常世総ての善となるもの、我は常世総ての悪を敷く者。」

こちらに静かに迫ってくる。間に合うか―――。

 

「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

 ナニカが来る――そう直感した。

 ガラスの砕ける音がし、部屋に光がともる。

 部屋の中央に何かが、浮かび上がりつつあった。

 

「魔力量≪ざいりょく≫よし、器量よし、顔は……考えないとして」

 

 絹のように滑らかな声。

 姿は女性だろうか。背は低め、童女と見たがうほど。

 服は褐色に金糸を編み込んである日本でいう着物か、あるいは中国の民族衣装に似ている。

 

「ええ、私を扱うには、それなりってところかしら」

 

 外見はほとんど普通の人間と変わらない。

 だが、違う。明らかに。

 触れただけで蒸発しそうな、圧倒的なまでの力の滾り。人間を超越した力。

それが体の中に渦巻くのを、感じとれる。

 

「呼びつけたのは、貴方ね」

 

 どこか冷酷さを感じさせる目でこちらをみる。

 

「答えなさい。貴方が私のマスターね?」

 

 目が伝えてくる重圧。背に冷や汗がたれるのを感じる。

 

「そうだ、俺がおまえのマスターだ」

「即答ね。…悪くないわ」

 

 背後より迫っていた人形≪ドール≫を振り向きざまに吹き飛ばす。手には、長く透き通った白槍が。

 俺の左手、その甲がわずかに、発熱した。鈍く痛みがはしる。そこには三つの模様が組み合わさった紋章にみえる、奇妙な印があった。まるで刺青のように。おそらくさっきの問いとなにか関係あるとみた。

 彼女?の視線をおうと、身構えた人形≪ドール≫に行き着いた。まだ壊れていない。

 

「安心なさい、私の主人≪マスター≫である以上、誰が相手でも負けはないわ」

 

 そう言って構える。

 

「指示なさい、マスター。私の力、敵がものたりナイケド、見せてあげるわ。刮目なさい!」

 

 戦闘は、描写するまでもなく勝利に終わった。一方的だった。

 人形≪ドール≫はもう動けない。粉々だ。

 

「想像以上に、敵がもろかったわね…」

 

 そんな彼女をよそに、俺は手を押さえていた。

 印の発熱が戦いの最中から始まり止まらない。激痛と化している。意識は沈みかけている。

 

「手に刻まれたそれは令呪。サーヴァントの主人となった証だ」

「使い方によってサーヴァントの力を強め、あるいは束縛する、3つの絶対命令権」

「それは同時に聖杯戦争本戦の参加賞でもある。令呪を全て失えば、マスターは死ぬ。注意することだ」

 

再度あの声が聞こえてきた。

 

「…まずは、おめでとう。これで君は、正当な参加者となった。」

 

聞こえてきた声はどことなく癪に障る。

 

「私は案内役にすぎない。かつてこの戦いに関与した、とある人物の人となりを元にした、定型文というヤツだ」

 

かつてあった記録にすぎないとつづけた。では―――洗礼を始めようともつづけた。

 

「歓びたまえ、若き兵士よ。君の聖杯戦争はここから始まるのだ」

 聖杯戦争というのには、聞き覚えがないが。それでも、事実を伝えられたことは分かった。

 ―――戦い勝ち残れ、願い叶える権利はその者にこそ、与えられる

 ―――ならば、殺し合え。最も強い願いのみを迎えよう。

 ―――汝の剣≪サーヴァント≫をもって最強を証明せよ。

 

 隣にたたずむ褐色の服を纏う女性を見る。彼女は、ただ上方を見上げていた

 意識が白く染まっていく。あの声はつげる。

 ―――それではこれより聖杯戦争を始めよう。

 

 こうして俺の運命は始まりを告げた。

 

 

 

 


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