Fate/EXTRA-Lilith-   作:キクイチ

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流星に願いを込めて。


an Epilog:流れ星

 

 ふと、気づけば自分は見た事のある世界―――というかいい加減に分かる。

 

 地面を覆い尽くす赤い花。

 

 空には地球がまん丸と輝いている。

 

 その青さ(美しさ)たるや、よその侵略者(宇宙人)の標的にされそうのもうなずけよう。

 

 命溢れるその星を、改めて眺めるのも悪くはない。

 

 振り返れば、そこにソイツはいる。

 

「やあ、そのソイツだ。さっきぶり」

 

 一体何のようなのか。

 

「そう邪険にするなよ。オマエの願いには、俺の必要不可欠だろう?」

 

 ……覗いていたのか?

 

「覗けないよ。お前がした戦いはお前のモノだ。反転された以上、お前の抱える心象と俺の心象は全くの別物。単に推測しただけ。

 お前が反転して、何を求めたかさえ分かれば、後は手段を考えるだけ。簡単な話だ」

 

 同じ心象世界を持つモノには問答無用でのぞき込める。

 

 この心象の副作用のようなものだ。

 

「何千年前の何かが抱いていた心象を受け取ったせいだろうな。俺の魂と癒着した神秘の塊がどういう影響をどこまで与えるのか―――俺にもわかっちゃいない。

 お前の成り立ちも俺の(よすが)、あるいは残滓が新たな概念を獲得したのか。

 ロット王の魂を受け入れた時点で何かが変質したのは確か―――っと」

 

 “いけない、そういうことを話したいんじゃなかった”と彼は頭をかく。

 

「お前は、あそこ―――彼女のいる妖精郷に行きたいのだろう?」

 

 ……方法があるのか?

 

「なかったら諦めるのか?」

 

 それこそ、まさか。

 彼女諦めるなんてできない。

 

「――――おう、良い答えだ。……手段はある。だが、問題が一つあってだね」

 

 何だろうか。

 

「ま、それはおいといて―――聞きたい事がある。大切な事だ」

 

 

 だから、何だ?

 

 

「―――貴様は、俺か?」

 

 

 否。

 

 

「では、何者か?」

 

 

 キャスター―――モルガン・ル・フェの主にして、騎士である。

 

 

「では、何を目指す? いや、何を成す? アヴァロンへ行き、何を成す?」

 

 

 ―――目指すべきはただ一つ。

 

 俺が、彼女を幸せにする。これ以上の幸福はないって言わせてやる。当たり前の幸せを享受させる。

 ―――生まれてよかったと、最後は笑顔で死んで貰う。それが、俺の目的だ。

 

 

「ふん。いいだろう。―――今は名も無き騎士よ。俺では、無いというならばその腐った心象はここにおいていくが良い」

 

 

 ずるりと、何かが抜け落ちた感覚。

 

 重かった何かが落ちて体は軽くなる。

 

 

「―――キリストの真似事をするはめになるとは……これも因果か。救世主(ハングドマン)を名乗ったならこれくらいは、な。

 俺では、彼女を救えまい。その救えない誰かを救った馬鹿がいる。なら―――『献身』である俺が応えぬ由縁などない!」

 

 ふははは、と彼は笑う。

 

 キリストの真似事……原罪を背負った?

 

「なに、気にするな。いずれ死ぬ身だ。たいした事ではないさ。

 それよりも、だ。君は、アヴァロンへ行く方法だが……アヴァロンは概念的にも次元的にも厄介なところにあってだね」

 

 十一次元がどうとか世界の裏側がなんとか。

 俺の大本のくせに何故こんなに話が長いのか。

 

「つまり、腹立つけどマーリンが干渉してきたおかげでいまや逆探知に成功した。恐らくというか、そこだろう場所を確認した。

 あちらの点とこちらの点を繋いだ直線距離を、ぶっ飛べばつく」

 

 はあ。

 

「む、理解してない顔だな」

 

 いや、どうでもいい。とかく彼女の元にたどり着けるということでいいのだろうか?

 

「はいはい、そうでござんすよー―――で、これ」

 

 

 そう言って彼は、背後に振り返り―――何やら黒い物体に指を差す。黒光りした大きくて無骨なもの。黒い砲台と丸い二つのタマが着いている。

 

 手元にある紙―――説明書らしきものをぺらぺらとめくって曰く。

 

「ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲に装填されろ。完成度たっけーだろ、おい」

 

 

 

 ……………………………。

 

 

 

「なーにだまってんの? ちょっとは驚けよ。あるいはツッコめよ。寂しいだろう?」

 

 

 寂しいだろう? じゃねーよ!?

 

 トンデモねぇ下ネタを持ってきやがった!?

 

「これで、想い人のところに殴り込めます。修羅場期待です。おもに、浮気関係で。By偉大な魔術師、って書いてる。この作者、絶対ロクデナシだな。俺には判る。女体化しようが顔面パンチキメたくなる顔をしているとみた」

 

 そんなの一人しか該当しないんだけど!?

 

 花の魔術師的なヤツが脳裏でキャッホーイしているんだけど!?

 

 つーか、完全にアイツだよね?

 

「いやぁ、以外と話してみれば気の合うことも多くてね―――で、第一魔法を使って何できないかなって。ほら、材料費タダじゃん?」

 

 じゃねーよ!?

 それで、下ネタ兵器作ってることに怒ってんの、俺は!

 

 

「ぎゃーぎゃー、うるせえ。いいから乗れ!」

 

 

 首根っこを掴まれて、砲台の中に放り込まれる。

 

 中にはヤマほどの薬莢代わりの彼岸花。

 

 わぷっ、ちょ、すごいべたつくんだけど―――あれ、体うごかな………

 

 

「―――お別れだ、名も無き騎士よ。ド○クエとかに化けて出るなよ!」

 

 

 え、ちょっとマジでこれで行く感じ!?

 

 前半シリアスだったじゃん!

 

「他人は、人の不幸を見て喜ぶのさ。哀しいけど、これ真実なのよね」

 

 しゅぼ、といつの間にか導火線に火が付いている。

 

 彼は耳を両手で押さえ、あらぬ方向を向いた。

 

 

 

「達者でな、無名の騎士よ! これよりは、世界の逆行にして、未来の早回し。愛したモノを今度は見失わないようにな」

 

 

 ずどん、と衝撃と轟音。

 

 飛び散る赤い花びらが軌跡を描く。

 

 

 ―――――――なぜだか、恐怖は感じない。

 

 

 静かなる逆行と、世界の裏側への潜行。

 

 

 ――――きっと、この先に彼女がいるからだろう。

 

 

 

****

 

 

 穏やかな世界。

 

 暖かな日差し。陽光は眩しく。

 

 光を跳ね返す、碧い草たち。

 

 女は、そこで誰かを待っている。

 

 一体誰だったかは忘れてしまったが、とても大切な誰かを待っているのは覚えてる。

 

 

 地上では数を減らした妖精達も賑やかにに踊るこの地。

 

 その地を覆う青空に一条の赤が奔る。

 

 

 赤い虹。

 

 

 それは、一つの再現。

 

 

 女は、かつて少女の頃に流星に願いをかけたことを思い出す。暗闇のそこで、空気を通すためだけの窓から見えた―――碧の虹。神秘的で、その前日の高揚感も相まってかガラにでもないことを望んだ気がするのだ。

 

 確か、それは――――――。

 

 

 

 

 

 赤い虹は、女の前に落ちてきた。

 

 

 土煙が晴れれば、そこに何かがいるのがわかる。

 

 

 白銀の鎧を身につけた―――生前には縁の無い顔。黒髪は陽光に反射する。二枚目というわけでもない平凡な顔立ち。

 

 

 だが、女は直感した。

 

 この男こそ、自分の待ち人だと。

 

 

「―――――待たせたな」

 

 

 その声色すら愛おしい。

 自分の恋がここに来てくれた。

 

 

 私の騎士。私だけの騎士。

 

 

 貴方の全てを、私は覚えている。

 

 

「――――――お帰りなさい」

 

 

 女の言葉に、男は答える。

 

 

「――――――ああ、ただいま」

 

 

 女が流星に告げた願いは『恋した人に、叉会えますように』。

 

 少女の小さな願いはここに叶えられた。

 

 

 黄金色の太陽が天高く上り詰めている。

 

 

 彼らの側には、一本の木が立っている。

 

 それにはパナケアが宿っていいた。

 

 赤い実は彼らを祝福しているようで。

 

 

「覚悟しろよ、モルガン。お前を幸せにしてやる。―――世界中の誰よりも、お前のことを愛している」

「ええ、私もです。―――二言は、ないのでしょう? 幸せにしてください」

「ああ」

 

 

 彼は彼女を優しく抱き寄せ、顔を近づけ――――。

 

 

***

 

 

 彼らの物語は、ここで終り。

 

 これ以上は、彼らに悪いというものだろう。

 

 シュガー&シュガーよりなお甘い日常を見せられるこっちの気分にもなって欲しい。

 

 

 ―――これは一幕に過ぎないが、どうか彼らに幸せあれ。

 

 

 ……あとで、彼の心象に出向いて思いっきり語ってやろう。

 

 さぞ、嫌な顔をするに違いない。

 

 ―――ああ、楽しみだ。

 

 

 




火「オマケの情報だが―――彼が浮気した女は全員、モルガンだ」
ラ「―――何を言ってるの?」
火「正確には、変身したモルガンだな。彼女は変身魔術に長けている。作中じゃ日の目を見なかったがね。はっ、そうともしらず怒りをぶつけられるロット王ざまぁ」
ラ「ふーん、そういう手が...」
火「ん?」
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