ちゃんと理由はありますけどね。
―――――深いウロへ落ちていく感覚。
眠りに落ちていくような酩酊感。
頭を少し振って、酩酊を振り払う。
かんかんかん、と階段を降りて行くと――。
少し不思議な空間に立っていた。
まず視界に入ってきたのは地平線に沈む夕日と、そびえ立つ多くの尖塔。
地上は見えないが、透明感のある無機質な道が伸びている。
吹く風には鉄の匂いが混じってきていた。
「チ、こりゃ――血の臭いか?」
「ええ、そうでしょう。これは、血の臭いです」
キャスターの肯定で確信する。
入ってそんな会話をしていると―――。
「信号を確認しました。聞こえますかコーヘイさん?こちら生徒会です」
「ああ、聞こえている」
通信が生徒会から送られているようだ。あまり原理は分からないが、魔術でも似たことができるし、大して気にしないことにした。
ふむ。悪性情報を上手く弾けているようだ。礼装が働いている証拠。――少し不安だったが。コレなら大丈夫そうだ。
「礼装は上手く機能している。活動現界もないだろう」
「それは良かった。――コーヘイさん!先に進んでください!今の白野さん達では、彼女には勝てない!」
「―――敵か。了解した、行くぞ。キャスター」
かなり切迫したレオの声。さっきの通信あと、雑音だけになってしまった。なにか異常でも起こったのか。岸波では勝てない敵が現れたらしいが――さて。
タンタン、と迷宮をそうはしていく。無機質な音を二重に奏でながら―――先を目指す。
道中は岸波が難なく倒したようで、敵性プログラム―――エネミーは見当たらなかった。
まっすぐ走っていくと、向こう側に戦闘音が聞こえてきた。どうやら、戦闘しているようだ。
向こうに、一人――いや、四人の影が見える。
戦闘している―――サーヴァント。
白い、ウエディングドレスを着て白銀の剣で攻防している―――岸波のサーヴァントか。剣を使っている、ってコトはセイバーか?
対して、槍っぽいものをぶん回す赤い髪の少女――主従そろって赤い!三倍にでもなるのか!
だが、濃厚な血の臭いはあの赤いサーヴァント――ランサーから臭ってくる。
まずい、一方的だ。ここは―――。
「キャスター!セイバーの撤退の援護!」
「―――――*%&」
聞き取れない呪文をキャスターが呟くと白い玉が赤いランサーにぶつかり、煙を拡散した。
白い煙の中。
「岸波、撤退しろ!これは、俺が相手をしておく!」
「……ごめん!」
「すまぬ!恩に着る!」
彼ら主従は何とか撤退に成功したようだ。
ぼう、と魔力が吹き荒れて煙が晴れ始める。
「もう、何なのよ何なのよ!こんなものをぶつけたのは誰!?」
赤いランサーは頭をかきむしり、苛立ちを見せる。
そして、俺達を見つけ指さした。
「貴方達ね……!豚のくせに、私の邪魔をして!ブタを、私達が話し始めたのを良いこと逃げだそうとしてたから、殺そうってだけなのに!何で邪魔をするのよ!」
彼女達が話している隙に、岸波は逃げようとしたが、見つかってしまったらしい。
つか、こえーよ、発想が。去ろうとしたら、この世から去らせるのかよ。
「―――へぇ、ヒビノくんじゃない。貴方も月の裏側にいたのね――てことは、そのサーヴァントは―――ってあれ?」
「うちのキャスターが、どうかしたか?」
「キャスターね。うん、キャスターだったのね。貴方のサーヴァント。そう言えば、あんまり貴方と接触した覚えはないのよね。――だから、私の記憶違いか」
変にぼそぼそ言うヤツだ。後半、殆ど聞こえなかったぞ。
「ま、アンタであったとしても、一応歓迎はするわ。ようこそ、私の城に」
――――――――。(絶句)
「私の城?ってことはお前がこの迷宮の主なのか」
「ええ、そう。私、遠坂凜はこの城の
「―――もう、駄目じゃね?コイツ。自分のことを女王とか言ってんだけど!呼ばせようとしてるんだけど!?」
しかし、自分から女王はないだろう。ひょっとして笑い所なのか?
その答えを求めて、キャスターを見る。
「たぶん、笑い所だと思います」
「く――、ハハハハハッ!面白いぞ、遠坂!ははははっ!―――――で言いかね?ちょっとこう言う機敏は苦手でな」
「は、腹立つ――!馬鹿にしたって言うのは分かったわよ!ランサー!コイツ殺すわ!」
遠坂は赤いランサーに殺す様命じた。
「指示が遅いわよ、マネージャー!私はアイツらをさっさと嬲って殺したくて仕方が無いわ!」
がちゃり、と無骨で無機質、殺意の塊のような禍々しい槍をランサーは構える。
「すみませんが、それは出来ません。マスター、指示をお願いします」
「――キャスター、お前の力見せてくれ」
かちゃ、とキャスターは杖をだし、構えた。木で出来た杖。魔術師らしい―――しかし、あれは。あの意匠はふむ、ドルイドに近いような。
(キャスター、ある程度戦ったら撤退の準備をしとけ。倒した所で、意味はなさそうだ。無理して倒す必要はない)
遠坂凜の後ろに視線を向ければ―――――青い壁。一目見て分かる異質な壁、いや扉か?
とかく、あれは普通じゃない。
それに、さっきから通信が繋がらないことも気になる。
レオなら、今の俺達には岸波の撤退の手助けだけを求めるはずだ。
「串刺しにしてあげる――!」
「――結構です」
「何でよ!黙って殺されなさいよ!私の言うことが聞けないの!」
「―――当たり前でしょう?マスターですらない亜竜風情が私に命ずるとは。立場の分かっていないのはそちらでしょう?」
赤のランサーの乱暴で荒々しくとも重い槍の一撃を躱し、在るときは受けきって、凌いでいく。
まるで、スペインの闘牛と赤い旗を晒す闘牛士を見ている気分。
ランサーの槍をひらりひらりと躱す。
「―――落ち着いて、ランサー。相手は最弱のキャスターよ。貴方の敵じゃないってば」
「……そうよね、リン。ありがとう―――アイドルである
冷静になったのかランサーの攻撃はぶれの少ない洗煉されたものとなった。
「女王と名乗るだけはあるのか。見事な乗りこなし。まあ、ランサーの猪突猛進さが消えたわけじゃないが―――マスターがいる分厄介だな」
「ええ、それに私との相性も悪いですね。あのランサー……尋常じゃないほどの対魔力を誇っています。おそらくですが―――竜と関わりのあるサーヴァントではないかと」
キャスターの分析によると、ランサーの対魔力は竜クラスだという。―――え、マジ?
「―――マジです」
「そうよ、ランサーの対魔力は最高峰。並の魔術じゃ通じないわ」
遠坂凜の肯定。キャスターの見立ては間違っていなかったようだ。ていうか、トカゲっぽいしっぽが生えてるしね。竜の血ばればれだけどね。
「厄介だな」
「いいえ、言うほどではありません。結局Aランク以下の魔術が無効化されるだけですから」
いや、言うほどだろ。俺の魔術効かないこと確定しちゃったじゃん。俺の無能がバイバイン。
「無効化されるのは魔術の類い。魔力そのものではありません――――こんなふうに魔力を物理でぶつければいいのです」
そういうキャスターは目の前に杖を突き出し、呪文を呟いて魔術式を起動させた。
円状のそれの中心に魔力が集まって―――圧縮されていく。
「―――吹っ飛びなさい」
ぎゅい、と空間がねじり上げられたと錯覚するくらいに歪曲されて見え、圧縮された魔力が軽く螺旋を描きながら―――ランサーへと放たれた。
「―――まずいっ!ランサー、耐えて!」
その威力に感づいたのか、遠坂はランサーに防御を指示する。
ぎゅお、と勢いよく放たれた魔力は高速で迫り――ランサーに直撃した。
「くぅ――――!」
ランサーの身体は光の中へ―――飲み込まれた。
が、目映い光が収まると、ランサーが健在だということが分かる。
「いっったいじゃない!竜のブレス並だったわよ、今の!」
「あれだけの魔力を一瞬で集めて圧縮した…!?キャスターはキャスターでも、トップサーヴァントってわけ……!」
俺の目から見ても、さっきの一撃は宝具級だった。しかも、対魔力Aを持つサーヴァントに魔力ダメージを通す魔術を大したこともしてないかのようにぶっぱした。
何者なんだ、コイツ。
「――コーヘイさん。聞こえますか。今ちょうどギミックを解析し終わりました。岸波さんの撤退を確認しましたので、貴方も撤退してください」
「ほいよ、りょーかい。んじゃ、キャスター――――頼むわ」
「――はい」
キャスターは杖を地面に突き立て、かき回すように動かす―――すると、黒いイカスミのような煙が上がってきた。
「ちょ、なによこれ!くさっ!なんか生臭い!」
「私から逃げようって、そうはいか―――きゃっ!なにこれ、ぬるぬるなものが地面に――」
おっと、後ろが阿鼻叫喚なことになっているが―――キャスター、ぐっじょぶ。
振り向かず、さっさと撤退してしまおう。
「お、憶えていなさいよ―――――!」
いや、たぶん忘れるね。
遠坂の叫びを聞き流しながら、帰り道を急いだ。
***
『探索、ご苦労様です。あの壁はこちらで対策を考えておきますので、休憩を十分取ってください』
レオにそう言われ、マイルームへ帰ってきていた。
「キャスター、今回はお疲れ様。よくやってくれた。記憶を失ってからの初めての戦闘で、あそこまで戦えたのは喜ばしい。今は存分に休め」
「………いえ、それほど疲れてませんが。お言葉に甘えます」
そう言って、キャスターは横になって瞼を閉じた。
それなりに疲れていたのかもしれない。
さて、と。
腰を上げ、軽く魔力を回し木の作業台を作る。この月の裏に落ちてきた影響か、俺は礼装を何一つ持っていない。それでは、キャスターの援護を真っ当にこなすのは難しい。まあ、俺程度の魔術の援護は入らない―――ない方が良いかもしれないが。
―――しかし、第一魔法か。
俺は、無の否定と呼んでいるが―――それはきっと正式な呼称ではないのだろう。俺では
そう呼ぶのが精一杯だが。
無を否定する。“無いもの”を“否定する”ことは不可能である。それは、“無いもの”を“肯定する”ようなものだからだ。“ないもの”は無いから成立するのであり、肯定、あるいは否定しようにも、“無い”と言う概念そのものを壊しかねない――――まあ、それが出来るからM法なのだろうが。
過程の無いそうあるものとして俺の魂が知っている。
故に、俺には使いこなせていない。
精々が物質を吐き出させる位である。エネルギーどっから持ってきたのだとか、なんで物質の種類を選べるのかとか。疑問は尽きない。
イメージすれば出来るから、としか言いようのない力だ。
「―――魔法、ですか」
キャスターの声。
「起きてたのか?うるさくしたつもりはなかったのだが」
「………貴方が襲ってくると思っていたのですが、襲ってこなさそうですし」
それ(性的)ってついてないか?俺をなんだと思っているの?獣ですかそうですか。
「―――根源に到達していたのですか?」
「らしいな。覚えは無いが」
「それも第一ですか」
「第一としか呼ぶことが出来ない、と言うのが正しいかもな。結果的に魔法として成立してるってだけだ」
本来、魔法を得られるのは根源に最初に到達したものだけに限られる。それ以降は同じ方法、手段では二番手以降の者は魔法を得ることはない。
―――つまり俺は、最初の到達者と全く違う手段で到達したはずなのだが肝心の記録が無い。それが使いこなせない要因の一つだろう。
――それこそ、ムーンセルでも得ない限りは。まあ、それはあり得ない。何せ、月の裏側に参加者が集められたということは――まだ、聖杯戦争続行中という証拠にもなる。聖杯戦争の敗者は死ぬだけだったはずだし。
「あなたは―――
まあ、疑問に思うよな。俺は何故聖杯を求めるのか。俺を
「―――人類の
「……では、何故聖杯戦争に参加したのです。懸ける願いも無いのに」
「あー、分からん。何故か表の聖杯戦争に参加していた。記憶は分断されて分からんし。俺に聞きたいぐらいだ!」
「…………へんな人」
「変はないだろ、変は」
「………変態」
解せぬ。変態はむしろお前だと思うんですが(名推理)。
「興奮しましたか……?」
「うん。やっぱお前変態だよね?(直球)」
「Mではない―――と」
などと言ってキャスターは紙にメモを取っている。
「なんでメモってんの?え、何使う気だお前!?」
「………………大丈夫です。当社は情報漏洩はいたしません」
「フラグじゃねぇか!」
スゴイ間があったし!絶対楽しんでいるよね、お前!?
そう、キャスターの行動に突っ込んでいたが唐突に機械音がなり――生徒会から呼び出された。
「ドSだろうと私は構いませんよ……?」
「すいませ~ん、うちのサーヴァントが逆セクハラしてくるんですけど、どうしたらいいですか?」
ラ「襲いなさい。それで逆セクハラは止まるでしょう」
火「まじめな顔で言うセリフじゃな―――あ、コイツも重度の変態だった」
*後日、丸焦げにされた何かが見つかった。
肉欲、愛欲、性欲。下心こそ恋の始りというが、さて。
*
キャスターSG
Name:キャスター
Home:■■■■■■
Birthday:―――
Height:169cm
Weight:51kg
3size:B87/W58/H84
Weak:心がきれいな人……?
Fetishism:■■感
◆パートナーに求めることは?
特に何も。……強いて言うなら、男らしさ、でしょうか
◆好きな下着の色は?
黒。殿方が基本好まれるので。
◆余暇の過ごし方
マスターとならどこででも………
3SG
:■■■■
:■■■■■■
:■■願望
マスターSG
Name:火々乃晃平
Home:日本
Birthday:―――
Height:176cm
Weak:……干しぶどう
Fetishism:低身長、それなりの胸、童顔だ!
◆パートナーに求めることは?
俺の睡眠の邪魔をしないこと(切実)
◆好きな下着の色は?
それ答えるの?誰得?
◆余暇の過ごし方
暇つぶし……ゲームとか、魔術研究とか
3SG
:■■■■■
:■■■■
;■■マニア