お金は大事だよ~。ガチャ、正月...うっ、頭が...!
岸波は課金を果たし、何とか敵性プログラムのレートを下げて勝つことに成功した。
「うむ、上々だな。このままリンを追いかけ……むっ?」
かつかつと靴音を鳴らし岸波に向って歩いて近づく。
一定の距離まで近づくとキャスターは霊体化を解いた。
岸波は、こちらに振り返った。
「お勤めご苦労だな、岸波。無事に門番を倒せたようで何よりだ」
「えっと……どうしてここへ?」
後ろで、岸波の援護のため待機している俺がわざわざ前線まで足を運んだことに驚いたわしい。それか……すっとぼけているのか。
「まあ、簡潔に言うと取り立てに来た。100,000Sm。耳を揃えて返して貰おうか」
「なっ……それは横暴というものであろう! 余はまだ何の贅沢もしておらんのだぞ!?」
「…ああ、急なことってのは承知なんだがな。いやぁ、お前に100000Sm貸すのは構わなかったんだが……一つ失念していてな。この校舎、時が流れないんだ。明日という概念がない。これでは……利息による利益収入が全くないことに。それどころか貸し借りの利益がでない以上文字通りの信用破綻の目を見ることになる」
「つまり、マスターは貴方達から直接
「め、めちゃくちゃだーーーー!! 今、面白そうって聞こえたし!むしろそっちが本命なのでは!?」
『ははははっ、これは面白くなってきましたよ』
割り込むようにレオの通信が入るが、俺の邪魔をする気は無いようだ。いち早く迷宮探索しなくてならないなど、うんぬんかんぬん言う気は無いらしい。
「やれ、俺が悪いように思っているようだが……お前にも思いあたる節はあるはずだ」
「な、なんのこと―――」
「購買、旧式の制服を着た桜、購入されていない礼装他。なにか、思い当たる節は?」
「ひゅ、ひゅ~~~」
『おや、岸波さんには珍しい露骨な逃避ですね。いや~、危ない所でした。ボクも岸波さんに貸そうと思っていたのですが。危うくボラれるところでした』
ふむ。レオの発言には強力なおまいうと言いたくなる衝動が起こるが封じ込める。優先すべきは岸波に対する処罰である。
「俺とて、鬼ではない。遠坂MPSに入金する金くらいはまだしも。礼装や、アイテムを買いそろえるくらいはまだしも。お前は―――人から借りた金で何を買ったのだ?
ま、買った物をいちいち聞く気は無い。俺にとって大切なのは、貸した金が返ってくるかどうかだ。さっさと返せ」
「……このまま、くれても良いと思う。ほら、特別報酬的に?ご褒美だぞ?」
「――ほう。ほほう。いけしゃあしゃあとよく述べた。君は相当胆力ありきの外道精神に感服するよりほかない」
ふふふ。もし、この場でお返しします程度なら許してヤッタモノを。
――――――――――――俺は、激おこだよ!(殺意)
「だが、踏み倒すなど許されまい!相応の対応が約束された―――キャスター」
「はい。力ずくでの回収ですね」
「さすがに殺す訳にはいかない。宝具も使用しないが、全力でヤりにいく。――誅伐だ。一切のためらいなく。呵責なく。
殺気を直接ぶつける。同時に魔力回路を起動する。
「ええい、マジか……! 来るぞ、奏者! 構えよ! 彼奴の殺気は本物だ…!」
「くっ……自分で言ったこととは言え、ちょっと後悔した!ていうか、雰囲気変わりすぎじゃありませんか?」
「ふ、フフハハハッ――!足腰立たなくなるまで責め立ててやる!」
「責めっ!?ま、マスター。ナニで、誰を責め立てるのです!?」
「お前は何処に食い付いてんだァァァ!いい加減にしろよ、お前!」
なにげに、キャスターの能力フルで使用して戦うのは初めて。というか、キャスターの瀬能を調べられる良い機会である。端末で確認したキャスターのスキル全部使おう。
「取り立てます!」
先手と走り出したのはキャスターである。俊敏がC程度しかないキャスターだが、今のセイバー相手なら問題無く先手をとれた。
杖を棒術のように使い、セイバーをブン殴る。おい魔術使えよ。
「対魔力持ちなら、殴った方が早いですし――、ね!」
ばん、といい音でセイバーの腹を殴りつける。
「ついでにコレ、つけておきますね」
そう言って、キャスターはスキルを発動させる。
それは――『妖精は笑うのみ』というスキル。受ける筋力ダメージを三分の一程度に抑えるスキル。強くね?
「チ。キャスターにしてはやるではないか。マスター、こちらも仕掛けるぞ」
セイバーから魔力の波動を感じ、キャスターに防御の構えを取らせる。
「聖者の傷よ、飛沫となれ!」
セイバーが起動したのは彼女のスキル『
「やっ――!」
「ぐっ」
一息にキャスターに接近し、セイバーは一撃を入れた。
セイバーの名にふさわしい剣技。――ちょっとミセコンに近いものを感じるが。筋力も相まって侮れない。
ふむ、しかし聖者の泉ね。思い当たる英霊はいないな。聖書関連か?
「たぁっ、ふっ――!」
「あぐぅっ――――ちょっと、マスター!適当しないでほしいのですが!」
「見事だ、奏者よ!―――受けるが良い!」
思考の海から戻ってみれば、セイバーの剣戟を連続で受けていた。つーか、キャスターなのに物理するからだろ?
隙を作ってキャスターを下がらせれば良い
「キャスター、
「―――っ」
俺の真意を理解するより早くキャスターが頭を体ごとかがめ―――さっきまでキャスターの頭があったところを三つの短剣―――黒鍵もどきが貫いていく。
「させぬ!」
「防ぐのはけっこう、しかし距離を開けてしまってよかったのかね」
セイバーの攻勢が止まった隙に、キャスターが引き。高速神言で強力な魔術を編んでいく。
「――噴き出なさい。『呪血を放つ』」
高濃度の汚染された魔力が圧縮され、キャスターの頭上で一つの塊となる。それは周囲を腐敗させる、黒々とした魔力―――強力な形在る呪いとしてそこにあった。
「アレを放たれたらヤバい!セイバー!」
「天幕よ落ちよ、
急接近して剣戟を放つスキルを打とうと―――。
させるか!
服の袖から幾多の紙が放散状に放たれ―――。
「絡みつき、灰と化せ」
「ぬぅッ!―――コレは」
セイバーの体へ絡みつき、鎖となってその場に繋がれる。
―――勝ちは確定した。
「はぁ―――!」
キャスターが咆吼し、杖でセイバーをさす。
すると、黒い魔力の塊は螺旋を描きながら高速でセイバーに向って接近し―――直撃した。
セイバーには守る力はない。当然、岸波にも守るコードキャストはない。
では、この結果は当然だった。
―――キャスターの、俺達の勝利である。
「な、何という失態か……」
「はぁ……はぁ……、強い…!」
「――ふむ?これは――しけてるな」
「これは……しけてますね」
たいした気苦労もなく倒すことに成功した。まあ、少しキャスターからジト目を貰っているが。俺は信じていたとも、君がよけれることを(鼻ほじ)
「これでは……収支が合わん」
「―――てことは」
「その体で返して貰う、でしょう。具体的にはナニをしてもらうのです?」
「おい、その悪意溢れるイントネーションはやめろ。岸波も怯えんな」
子犬のようにふるふる震える岸波を半場無視する形で、あるモノを取り出す。
して、そのモノとは。
「カメラ。自分の技能確認―――月の裏に落ちてきて、能力が落ちてないか確認がてらに制作してみたんだ。反射板に、ファインダーの設定。レンズの精度もろもろがかみ合うカメラはモノずくりにおける至高の製品。お前達には―――被写体になれ」
「は?」
「そら、さっさと立て。……よーし、じゃあ行くぞ。はい、チーズ」
パシャリ、と写真をとる。自動現像される写真の具合を確かめる―――ふむ、いい出来だ。
「せこせこと早起きして何をつくっているのか気になっていましたが。そんなものを作っていたのですね」
「そんなものとはなんだ。よく出来てるだろ」
岸波は、未だぽかーんとしている。
「体―――肖像権で払って貰うとも。後三枚くらい個別で取らせろ」
その後、めちゃくちゃ写真を撮った。
*
「この先には進ませないわ。ま、この壁がある限り、どうあっても進めないでしょうけど」
また道中マネーシステムに鴨られかけたが、なんとか実力でエネミーを退治した。岸波は、最奥のシールドまでたどり着いた。
その結果、遠坂が慌てて出てきて岸波に文句を言ってきたのだ。金をやたら必要とするのも――ランサーのせいだそうだが、さて。
「……そうであったな。しかし、その前に聞きたい。リンよ。今のマネーシステムはランサーを喰わせるためなのか?サーヴァントのために金が必要だと?」
「え?なんでランサー? 別にあの娘は関係ないけど? 私、単にお金が好きなだけよ」
―――しってた。
「お金はあればあるだけいいじゃない? ランサーは生まれが生まれなんで贅沢しないと生きていけないけど、私は違うわ。贅沢なんてする気はないの」
「……単純に、お金が好きなんだ……!」
「そう、その通り!自分でもどうかと思うけど、山のようなお金を見るとちょっときゅんとくるの! 今までだれにも……いえ、恥ずかしくて絶対に言えなかったけどね」
レジスタンス活動ですら半分はお金のためだとほざいた。
札束で顔面ぶってやれば……良い声で泣きそうだな。ブタの貯金箱性質か。貨幣を得ることそのものに気分が高揚する――ブタなのだ。
岸波の手が輝き光る。お前のSGを掴めと轟き叫び―――して、そのSGとは。
「金の亡者……ずばり『拝金主義』とみた……!」
「え――――それはだめ……! あ、ふぁ、あ――!」
岸波の手がSGをつかみ砕いた。
『それです! 素晴らしい質問でした白野さん!』
「ええ、嘘ぉ!? またプロテクトが破られた!?」
レオからは讃辞が飛び、遠坂は驚愕で体を揺らす。
ほう、岸波には本質を見抜く力があるようだ。
「く、こうなったら遊びはなしよ。ここで蹴散らして、貴方も拷問室へ送ってあげる」
来なさい、ランサー!と、サーヴァントを呼び出した。
しかし。
「バカじゃないの? 今すぐとかお断り。入浴中はオフって言ったでしょ。お肌のお手入れはアイドルの必須科目だもの」
ふ。
まさかの入浴中オフという理由で断られていた。ちょっと痛まれない。
「…………………………………………………………まあ、今回は見逃してあげるわ」
『ありがとうございます、ミス遠坂。その心遣い、助かりました』
「っ、お礼を言われるような事じゃないわよ! 覚えていなさい、岸波、セイバー、あと後ろでふんぞり返ってるレオナルド!
あんた達を捕まえたら拷問室でもうすっっごい事してやるんだから!泣いて謝っても許さないからね!」
ふむ。今、拷問室といったな。
「待て、リン! 拷問室といったが、アレは本当に貴様の仕事か!?」
セイバーがそう問うが、リンは働かせると言う意味合いで拷問と言っていた。
一階の拷問の塔に関しては、遠坂は承知していなかったらしい。
――ランサーのもので間違いないようだ。
『白野さんとヒビノさん。お疲れ様です。今日は戻って下さい』
*
「遠坂もとんでもない嗜好があったものだ。拝金主義とはねぇ」
改めて思い返しても酷いシステムだった。しかも、単純に金がほしいと来た。
「貨幣経済をなんだと……まあ、魔術は金喰い虫だし俺も一定の金銭がないと不安にはなるが……金は命より重いとかいう嗜好ちょっと理解出来ないな」
「貨幣はモノ、サービスなどと交換するものです。あれは……予想以上残念な人です。恐らく、王女じゃなくて女王、と名乗っているのも国庫を自由に使えるとかいう理由ですね」
いや、まっさかぁ。そこまで酷くはないだろう。
「……王と名乗ったわりには拍子抜け。王より財相としてなら輝きそうですが」
キャスターはそういうが。
「ま、あれは本来表に強く出ることの無いエゴらしいし。本人はもう少しましだろうよ。しかし、これで決定的になった」
「決定的…?」
「ランサー。あれは、遠坂に見たて状従っているように見えるが、実際は誰にも従っていない。遠坂が召喚した正式なサーヴァントではない。召喚されたサーヴァントは基本的にマスターの命を優先する。自身を止める楔でもあるからね。
そして――あのサーヴァントはいやに利己的だ。自分しか愛せない典型的な人間の言動だ。あれは救えぬ類いだ。
その上従うのではなく思うままにやっている。なぜかは今では分からんが―――楽しいから程度の理由だろう」
もし、予想通りに遠坂がランサーを召喚したわけではないのなら……ランサーは一体?
―――SGは最大三つ。
ならば明日には―――黒幕に会えるかもしれない。なに、遠坂凜が月の裏に落とした犯人で無いなら―――黒幕は、シールドを突破されると焦り自分で見に来るものだ。それ以上先、表に返したくないならば。必ず姿を現す。
え?岸波の行くルート?お察しの通りだよ!
*
火「お金は大事だな」
ラ「それには同意。でも、二万溶かしてから言うセリフじゃないと思うのだけど」
火「ふはは.....クソォ!爆死した!」