fate/Alter blossom がっこうぐらし!編 作:九十九夜
ごめんなさい。
ーーー
ーー
それから、三人でよく遊ぶようになって。
二人が先に祢津城学院に入学して、私も後を追った。
そのころには同じような立場の仲間も増えて・・・
それから、それから・・・どうしたんだったか。
記憶が駆け巡る。
朧げな、過去の出来事。
通り過ぎたそれは尽く色褪せていく。
懐かしいような、よく分からない。
ーーー拙い夢を、観ていたようだ。
いつの間にか、倒れていたらしい。
視界にはまじかに床が映っている。
手足の感覚は既に無く、あたりは恐らく一面火の海だ。
一度、自分の置かれた状況を思い出してみようと思う。
確か、こうなる前の私は部活の備品の買い出しをするために大型ショッピングモール、リバーシティ・トロンに来ていたはずだ。
電球とペンライトが足りないとかで・・・家電コーナーに行って。
自分でも迂闊だったと思う。まさか、あんなことに巻き込まれて、ましてや噛まれるなんて。
魔術を使って効果を遅滞させているとはいえ、いつまでもつかわからない。
万事休すかと思っていた矢先に、瓦礫と化した建物の一部が私の上に降ってきた。
・・・そして、意識を失って、今に至る、と。
・・・視界が固定されていることや腰から下の感覚が無いことから見るにどうやら私の身体は降ってきた瓦礫の下敷きになって、下半身はほぼ完全に潰れてしまっているらしかった。両手の感覚も無い・・・というか両腕の感覚そのものも無いこと、視界の暗さから言って、恐らく両腕も下半身と同じ。
本当に上半身の胴体と頭部のみが奇跡的に出来た隙間に納まっているといった具合なのだろう。
考えているとげほっと少し咽た・・・血と唾液の混じった液体が後から後からせり上がってくる。どうやら内蔵の幾つかもダメになっているようだ。
何度か咽た後、最初に感じていた独特の鉄の味も匂いも、既に感じなくなってきた。
視界が霞んで、同時に狭まっていく。
・・・どうやら本当にこれが限界だったらしい。
「・・・セン、パイ。璃々、さん。」
両方嫌がらせとして高校に入ってからセンパイと二人を呼び始めたのだが、なんだかんだで許容してもらっていた呼び名を何故か呼びたくなった。
「・・・・。」
どうしてかはわからない。けれど―――
「センパイ。寒いです。とても・・・寒い。」
「痛・・・く・・・な、です。げほっ・・・ヒュー・・・た、だ。さ・・・むい。」
「ね・・・さ・・。・・・璃・・・華・・さ、の。お茶・・・の、みた。」
例え呼吸が苦しみを訴えかけようと
誰にも届くことなく消えていくだけだったとしても
無性に言いたくなった言葉の羅列をひたすらに紡ぎ続ける。
最後は、最期は、何故か泣きながら笑っていた。
アレになってしまうなんて醜態を晒さずに済んだ/こんなところで一人なんて
皆に被害が及ばないだけラッキーだろう/生きたい
どうか皆が無事でありますように/置いていかないで
「お・・・いて・・・・か・・で。」
視界が完全にブラックアウトする。
・・・何か温かいものが顔を伝ったような気がした。
◆ ◆ ◆
次に見えたのは壁やら天井やらと言ったものですらない、ただの白色だった。
ペタペタと素足特有の足音が迫ってくる、と私の顔を覗き込んだのは(恐らく)十にも満たないであろう外見年齢の男の子?(服装が、しかし断定したらいいのか迷う)だった。
「あ、気が付きました?お加減はどうですか?」
男の子の問いに起き上がろうとするとズキリと全身に激痛が走った。
思わず声にならない悲鳴を上げる。
と、これまた男の子を成長させたような青年がいつの間にか傍に立っていた。
「ほらほら、動かない方がいいですよ。まだ馴染んでいませんし、辛うじて程度しかくっついていませんから。」
にこにこと笑っている顔が無性に腹が立った。
初対面のはずなのになぜか既視感がある。
「ああ、目が覚めたんですね。良かった。」
今度はこれまた先程の青年とかなり似た顔立ちの女性が近寄ってくる。
あからさまに安心したという態度からかなり心配されていたらしい。
そこに、さっきまで横にいた男の子がどこから持ってきたのか人数分の茶菓子と美しい細工の杯に入ったお茶?を持ってきた。配膳していく様を見るにどうやらお茶会の様な事が始まるようだ。
一先ず落ち着くように促されてお茶を一口口に含み、嚥下する。
お茶だと思っていたそれは存外独特の甘酸っぱさと微かな苦みがありお茶ではなく清涼飲料水のそれだった。
その様をじっと見ていた女性が初めに口を開く。
「・・・本当にどこもかしこも同じなんですね。最初、君から
それに対して声を掛けられたらしき青年は笑顔を崩さずに話し出す。
「?ええ、まあ、大事の前の小事と言いますか。ちょっとした愉しみくらいにはなるかと。あと、割と彼女にはこれでも時間を掛けたんですよ?彼女を探し出すにあたっても厳選に厳選に厳選を重ねましたから。繋げるときもわざわざ僕自らお迎えに上がりましたし。」
なんだか不穏な感じがところどころに出ている会話に引き気味になっていると男の子がすっとお菓子を差し出した。私の分は既に食べてしまっていて、これはこの男の子のモノである。断っても尚差し出すのをやめない。
「なんだかもう一人の僕がいろいろと貴女にご迷惑をおかけした様で・・・すみません。」
「え?」
もう一人の僕?というか私初対面のはずなのだが・・・。
「ん?ああ、そういえば自己紹介がまだでしたね。僕は■■■■■■。おや?・・・では改めてセカンドと名乗ることにしましょう。こちらは特に深い意味はありませんが同一存在ですのでニアセカンド。あちらにいるのはファーストです。よろしく、南雲桜さん?ああ、今はブロッサム・ブリューヴェンさんでしたか。これは失礼。」
「なんで、名前。」
目の前の男の警戒レベルを一気に引き上げる。
一片の隙すら見えない雰囲気が更に警戒を強固なものへと移行していく。
あれはあくまで私とセラフとの間で行われたことだ・・・と思う。
それを初対面のはずのこの男はいったいどこで知ったのだろうか。
「おや、やっぱりこの姿ではわかりませんか・・・なら、これならどうでしょう。」
一瞬で青年が元彼に姿を変える。
思わず手に持っていた杯を取り落としそうになり、焦ってしまった。
と、また一瞬で姿を戻して見せる。
・・・この野郎。遊んでやがる。
「とまあ、こんな具合で、セラフではなく僕が君をあの世界に引っ張ってきたというのが実際の所ですね。」
「あ、そうなんですか。」
「そんな方法をとるなんて相変わらず悪趣味ですね。」
隣にいたニアセカンドがさらりと毒を吐くが気にした素振りも見せずにセカンドが続ける。
「で、なぜ君は今ここにいるのかというと・・・なんというか、此処で今君を失うのは惜しいと思いまして、ファーストに掛け合った結果。今に至る。・・・ですかね。」
「すみません。わざわざ
申し訳なさげにファーストが謝罪をしてくるがこちらは逆に驚きが一つ。
ファースト、貴女葵さん枠か何かなの?はたまたムーンセルみたいなでかい演算機でも持ってんの?というか子供いたのか。
・・・なんてことを考えているとファーストに頭を抱えられるかのように抱きしめられた。ふかふかふわふわの素晴らしい胸をお持ちだった。悔しさやらは何故かわくことなく逆にありがとうと何故か言いたくなる。絶対に言わないけど。
「ほんと、よく似ている。」
そのままゆったりとした手つきで頭を撫でられる。
「・・・は、ファースト。そろそろ本題に入りたいので放していただいても?」
セカンドの一言に名残惜し気にファーストが離れていく。
・・・私も滅茶苦茶名残惜しいが仕方がない。ごめんよ、ファースト。
「ええと、ブロッサム・・・もう面倒だからBB。君、自分がどんな状態だったか覚えていますか?」
おい、今面倒とか言ったぞこの人。と思いつつ素直に答える。
「死にました。」
「いやまあそうなんですけど。」
「正確には瓦礫の下敷きになって胴体以外サンドイッチになって死にました。」
「あ、はい。そうなんですが。さっき僕言いましたよね?ここで死ぬなんて勿体無いと。」
・・・言った。そういえば言ってたな。
「こうしてファーストも乗り気になったことですし君をリボーンさせたいと思います。」
とは言っても、もう済んでるんですけどね。とさらりとニアセカンドが答えた。
一瞬何かセカンドとニアセカンドの間に火花が散ったような気がしたが私は何も見ていない。
「君が今入っている身体は某死神漫画の義骸の様な物です。ただ、実体と
というわけで頑張ってくださいねーと超いい笑顔で言うセカンド。
いいんだろうか、ニア。サーヴァントモドキ。
いや、能力の向上とかはありがたいんだけれどね?
「・・・魔術刻印とかは。」
「ああ、その点も心配ご無用です。そっくりそのまま移しましたから。」
「あ、はい。」
何でもありだなこの人。
此処で、ファーストがおもむろに先程の杯を差し出す。
と、そこにあったのは・・・。
「ふふ、新しい娘への母からの選別です。受け取ってください。」
本当に何でもありだなこの人たちっ。
「そうだ、確か属性は虚数だったんですよね?よろしければ
こう見えて
有難く教えてもらうことにした。後ろでセカンドとニアセカンドが口実ですね。ええ、絶対口実です。とか言っていたが気のせいだろう。
こうして、優しい母親兼師匠と頼もしい共犯者(?)と新しい身体を得て、ブロッサム・ブリュ―ヴェン改めBBは現世?に帰還することになった。
バガンと瓦礫が弾け飛ぶ音がする。
その下から出てきたのは怪我など一つもない少女。
血痕など一滴も付着していない。
手にしている教鞭を反対の手でぺシぺシと叩きつつ歩みを進めていく。
「ええと、まずは生存者の確認からでしょうか・・・。」
それから外部との連絡と状況の把握と・・・と指折り確認しながら少女はその場を後にした。
主人公の詳しいステータスなどはまた別の機会に書きたいと思っています。
本当は虚数云々についてはオリキャラではなくメデューサ(っぽい人)に習いお姉さまとまで呼び慕うようになるという案があったのですが姉は璃々華さんと被るし、収拾がつかなくなると思い此処で詰め込みました。
主人公に渡されたのは黄金の杯ですが、正確にはそれに似て非なるものです。
・・・まあ、それもおいおい。
それでは、閲覧ありがとうございました。