ポケットモンスター &Z   作:雨在新人

1 / 122
第一章 "Z"ygarde(ジガルデ)と白き英雄アブソル
vs???・前編


『このように、ポケモンをゲットする場合、バトルで力を見せることはとても重要な役割を持つのです』

 ツンツンと頬をつつく感覚に、少年は読みふけっていた本……『はじめてのポケモンゲット!』から顔を上げた

 

 此処はセントラルカロス、アサメタウンに近い場所に立てられた大きな屋敷……その地下室

 そして、少年の名はアズマ。今年で14になる、この屋敷の持ち主の息子である

 

 「どうしたんだ、ギル?」

 頬をつついていたのは、鞘に入った剣……のような姿をした一体のポケモン、とうけんポケモンのヒトツキ。物言わぬポケモンながら、長い時間をこの屋敷で共に過ごしてきて心が繋がっている、アズマのトモダチだ。ギルというのは渾名。ニダンギル、そしてギルガルドと進化するらしいからギル。割と安直な名前かもしれないけれど、案外気に入っている

 

 いつもは、本を読んでいる時のアズマを邪魔することはなく、近くを飛び回っているのだが……

 なおも、ヒトツキはアズマの頬をつついている

 アズマが本を閉じると、露出した掌を、鞘に入った刀身部分……体でぺちぺちと叩く

 それが意味する所は……

 緊急事態

 「ギル、何かあったんだな?」

 鞘が手を叩く……肯定

 アズマは、地下室を飛び出した

 

 「何だ……これ」

 階段を一段飛ばしに駆け上がり、一階へ

 一階、エントランス。屋敷の玄関が……

 吹き飛んでいた。扉と、その付近の壁が崩れ、大穴が空いている

 

 「じい!」

 この屋敷に雇われている老執事が、その瓦礫の中に倒れていた。辺りには、執事のポケモン達……マリルリとゲンガー。どちらも力尽き、倒れている

 「坊っちゃん……」

 「何があった!」

 「ポケモンが」

 「ポケモン?」

 老執事の言葉に、開けられた穴の先を見る

 

 其処には、見たことの無い一体のポケモンが居た。全体としては……ヘルガーに似ているだろうか。だが、角は無いし、目はハニカムみたいな格好をしているし、全身が黒くて、一部だけが緑色。そんなヘルガーは居ない。アズマ自身ポケモンの本はそれなりに読んでいるし、カロスに居ないポケモンだとしても見分けられる……気がしていたのだが、それでも、あのポケモンが何なのか分からない

 「ギル」

 アズマの横で、ヒトツキが揺れる

 「『つるぎのまい』!」

 先手必勝!あの謎のポケモンが、何らかの理由で屋敷を襲ってきた野生であろうとも、何らかの理由でトレーナーに襲撃を命じられたポケモンであろうとも、屋敷を守るならばバトルは必須

 ならば、先に仕掛ける。勝つために、ヒトツキの攻撃を鋭くする

 

 謎のポケモンは、ゆっくりと堂々と、玄関を踏み越えて入ってくる

 

 「坊っちゃん!お使い下され!」

 老執事のモンスターボールから、一体のポケモンが飛び出す

 ウインディ。名前はウィン。執事がこの屋敷に仕え始める前、トレーナーとして旅をしていた頃からの相棒だというポケモン

 「ウィン、力を借りるぞ」

 『ディ!』

 応えるように、相手を威嚇するようにウインディは吠えた

 

 不意に、謎のポケモンの姿がかき消える。次の瞬間、奴はウインディに激突していた

 正に神速の突撃、『しんそく』だろう。ウィンも使える技だ。それを使ってくるということはあのポケモンはノーマルタイプ……いや、ウインディだって炎タイプ、断定は出来ない

 謎のポケモンの突進にウインディの巨体が浮き上がる。だが、老執事と共に戦ってきた歴戦のポケモン、それで終わりはしない

 「ウィン、『ワイルドボルト』!ギルは『かげうち』!」

 一回転しての綺麗な着地。ウインディはそのまま雷を纏い、逆に謎のポケモンへと突進する!

 だが、謎のポケモンに当たると、雷は霧散する

 

 ということは、謎のポケモンは地面タイプなのだろうか

 ヒトツキのかげうちは、頭に当たるもあまりダメージにはなっていない。とはいえ、通ると言うことはノーマルタイプではない

 「ギル、もう一度『つるぎのまい』!ウィンは……『鬼火』!」

 ならばと指示は様子見の一手。幻の炎で火傷すれば、『しんそく』の踏み込みも痛みで弱くなるだろう。次を考える手もある

 

 だが、その火は、吹き上がる力に散らされる。謎のポケモンが、緑色に輝き出す

 「なんだ?」

 「坊っちゃん、『りゅうのまい』だと」

 りゅうのまい……ドラゴンのエネルギーを纏い、力を一時的に上げる技

 つまり、次は……

 「止めろ、『かげうち』!『しんそく』!」

 大技が来ると見て良いだろう。ならば、その前に体勢を崩させて止める!

 

 ウインディが、さっきの謎のポケモンと同様に神速の一撃を放つ

 ヒトツキから伸びた影が、背後から謎のポケモンを叩く

 だが、そのどちらも、謎のポケモンは受け止め、微動だにせず……

 緑の光は、大きくなって行く

 「守れ!ギル!」

 伏せながらアズマは叫ぶ

 

 緑の光が、全てを塗り潰した

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。