「サザ!『竜星群っ!』」
『モ、ノォォォッ!』
『ヌ、ヌンダフルッ!?』
天空から7つに分かれて降り注ぐドラゴンエネルギーの放出を受けて、緑色の謎のポケモンの姿は何処かへと消滅した
「お疲れ、サザ」
『モッ!ズー!』
「良し良し、本当に頑張ったな」
言いつつ、アズマは背中のケースからポロックを出してモノズへと与える
そして、今は時を刻んでいない巨大な桃色の水晶日時計を見上げた
此処はヒャッコクシティ、ジムもあり、有名な日時計もある観光地……ではあるのだが。今は深夜、ちょっと散歩に出たアズマ以外に人通りはほぼ居ないのだ
「にしても何だったんだろうな、あいつ」
ついさっきりゅうせいぐんで打ち払ったポケモンの事を、アズマは思い出しつつ呟いた
ボールは体を突き抜けた、多分実体ではないのだろう。投擲した時の揺れで捕獲機能が働くとボールは電磁波を纏う。だから体が個体ではないポケモンにもボールは当たるのだ。当たらないのは本体ではない影とか、そういった奴だけ
「サザ、分かるかあの緑と黒の奴」
『ズー?』
首を傾げるモノズ。いや当然だろう、ポケモンについてはトレーナーこアズマの方が数段詳しい。色合いが似てるだけのモノズに分かるはずもない
「ニャオニクス師匠が言っていたのはジガルデではなく、あのポケモンの事だったのか
確かに、巨大なアーボックって感じの歴史資料に書かれる姿より弱いジガルデって感じはマフラーもしてたし少しあったけど……」
思いつつ、その姿を改めて思い返すアズマ
緑と黒の体躯。大体マフラーをした緑黒のガオガエン、とでも言えば良いのだろうか。特徴としては、そのマフラーがまるで毒々しい色の鎖のような形状であった事くらいだ
「ジムも来月まで休養で休みだから挑戦も出来ないし、ジガルデ絡みは空振り……」
『モーノ』
少し頭を落としてモノズが鳴く。そして、慰めるようにアズマの足首に己の頭を擦り付けた
「いや、全部上手く行くなら父さんだって直ぐに伝説の調査を終えてたよ。研究は失敗とほんの少しの手掛かりを積み重ねる連続、平気平気」
言いつつ、それでもとアズマは日時計を見上げた
「……むぅ、ビオラさんから貰った欠片だけで反応したから、日時計本体も凄い力とかあるのかと思ったけど……」
アズマは夕暮れ時に街郊外でイベルタルから降りて辿り着いたときの事を思い出す。ワクワクしていたディアンシーだが、石に興味はすぐに失せてしまっていた
「あんまり、凄いオーラは感じない」
カタカタと揺れるモンスターボール。内部のイベルタルもきっと肯定しているのだろう
「姫の為にゼルネアスを探す、家を襲った真相などを知るために、ジガルデを探す。そのついでにカロスを巡るから、リーグを目指してバッジを集める
ラ・ヴィ団が立ちはだかるなら止める、そして……ネクロズマに光を戻してやるために、力ある結晶を探す」
今の目的を、一つ一つアズマは口にする
そうして、あてが外れたなーと頬を掻いた
その瞬間、ピロリとホロキャスターが鳴った
見れば幼馴染のチナ……ではなく、知り合いのトレーナーだ
「カルムさん?アズマです、夜中ですが何かありましたか?」
そう告げれば、アズマの前にはホログラフのテレビ画面が映された
「カルムさん?」
「色々とコルニから聞いたけど、君色々と探してるんだよね?」
「はい、それは勿論ですが」
「そんな君に、一つ頼みたいことがあるんだ」
「それは構いませんけど、そのテレビは?」
目を凝らして全体が青いホログラフを見れば、田舎紹介のコーナーのようだ。今ではフリーズ村が上位ランクインしている形のランキング放送で、今は3位のキタカミの里という場所を紹介しているらしい
ちなみに、割と田舎だと思うアサメは紹介されていなかった、残念だ
「あー、君にはホログラフだから見えないか」
「えーと、何がです?」
「いや、個人の趣味で見てたんだけどもね?キタカミの里の紹介としてスタッフが撮った記録映像の中に、プラズマ団らしき制服が混じっていたんだ」
その言葉に、アズマは首を傾げた
「えと、プラズマ団は今はNさんの元って訳でもないですけれど、ポケモン保護団体として活動してますよね?キタカミの里ってどの辺りかは知りませんが、居ても可笑しくはないのでは?」
「と、言いたいんだけど、服装が知ってるものより黒かった気がしてね」
「黒かった……ですか?」
こてん、とアズマは首を傾げた
プラズマ団についてはアズマも良く知っている。かつての所業も、今でもあの服を着ている人々は本当の意味でポケモンと人間のために、嘗てのポケモン強奪事件等の解決と贖罪の為に敢えて着ているという事も
だから、キタカミ出身のプラズマ団員が故郷に帰っている……なら、別に可笑しな事ではない筈なのだ
『ノッ?』
横で見上げるモノズ。背中のリュックサックからひょこりと顔を覗かせ、けれども何も分からないからか無言のディアンシー
「少し、気になりますね」
「本当は行きたいんだけど、漸くジムが完成してこれからって時に抜けられないし。君に頼みたいんだ
ほら、キタカミには伝承とかあるし、君も好きなんじゃって」
言われ、ああそういえばとアズマは思い出す。確か父もキタカミの里へ1ヶ月ちょっと出掛けて地域伝承を調べていた事があった筈だ
結局、伝承のポケモンは行方不明と埋葬とでまともに確認できず、仮面だけお土産にくれたのだったか。怖い仮面だとチナが怯えるので引き出しの奥に仕舞ってそれ以来取り出してなかった
が、それ以上に、だ
「そうだ、てらす池」
「ん、てらす池?」
ホログラフのカルムさんが目をぱちくりさせる
「父さんが少し調べていたんです。キタカミの里の鬼が山山頂にあるという特殊な輝きを持つ石が取れる池の事。てらすという名前もあるし、パルデアの大穴との関連なんかも……」
「うんうん、興味持ったの?」
「カルムさん、普通の人間はリーグ本部等から近付かないようにと管理されるような場所ですけど、立ち入りの許可とか取ること、出来ますか?」
「うーん、カロスリーグは殆ど縁がないから、管理はパルデアリーグかシンオウリーグ。今シンオウはシロナさんがまたまた考古学で一時抜けてるし」
その言葉に少しだけアズマは落ち込む。幼馴染も着いていってるだろうし、キタカミで会うとかは出来なさそうだ。居たら楽しいし心強いのだけれども
「それに、テラスタル絡みは特にパルデアだからね。分かった、カロスリーグ側からオモダカさんとフトゥー博士に掛け合ってみるよ」
「はい、ありがとう御座います!」
ぺこり、アズマは頭を下げる。横で向こうのホロキャスターからは見えてないけどモノズも頭を下げた
「でも、行きたいのは何故かな。理由は聞かせてくれる?」
「コルニさん達から報告来てると思いますけれど、光を求めて苦しむネクロズマ。この手にはその爪の結晶が残っています。それを縁として、時折現れてくる
そんなあのポケモンに光を与えるために、てらす池……テラスタルの力が役に立つのでは、と思ったんです。だから調査したいって事ですね」
その言葉に青年はうんうんと頷いた
「君なら流石にと思うけど、やってることは危険だからね。一歩踏み外せばアクア団事件のアオギリ氏みたいな扱いになるってことは覚えておいて」
「はい!」
久しぶりの更新で、暫しキタカミ編となります。場所が場所だけに分かると思いますが、ポケモンSV、碧の仮面の要素を含みますのでネタバレには御注意下さい。
え?何で今やるかって?vsネクロズマ決戦前に、光を与えられるものが欲しかったんですが特にパルデア伝説ってテラスタル無関係ですし突っ込む訳にもとか思って止まってたら丁度良い『ぽにお!』が来てしまったもので。此処に入れないと行く意味がないんですよね。
ということで、暫し『ぽにお!』にお付き合い下さい。ちなみにディアンシーと枠が被るのでオーガポンはゲットしません。ゲスト参戦枠です。