ポケットモンスター &Z   作:雨在新人

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vs ナンジャモ

「お、トレーナーな雰囲気の人発見伝」

 どこか閉鎖的な空気の中、空気を読まずに話しかけてきたのはパステルカラーの少女。踊る足取りでアズマの方へ駆けてきた彼女は全身をだぼっとした外套で多い、大きな荷物を持っていた

 

 「お名前は?」

 「あ、アズマです。お早う御座います」

 何処かで見たような、と思いながらアズマは薄紫と水色のツートンカラーの少しだけ自分より背が低い少女の事に挨拶した

 「おはこ……おはよーアズマ氏。アズマ氏はバトルとか嗜む?」

 「あ、ジム挑戦とかやってます。今はオモテ祭りもあって中断してますけれど」

 「よーし!バトルが好きなら、バトルの時間だ皆の者ー!

 アズマ氏もオッケー?後バッジは何個かなー?」

 おー!と拳を突き上げる少女。明らかにキタカミ住民ではないだろう。唯一の村であるスイリョクタウンに暮らす人々とは服装もテンションも違いすぎる

 

 「……はい、大丈夫です。バッジは三つ」

 と、アズマは上着の裏地に付けている三つのバッジをちらりと見せる

 「おー、カロス地方で取ってるんだ、オッケーオッケー!」

 怪しすぎるが……と困りながら、アズマは周囲が開けている事を確認して頷いた。人はとてもまばらで、遠巻きに見ている。歓迎されてはないが、咎められもしないだろう

 

 「何処かで……うーん、何か印象に残る筈なのに」

 少女の正体に悩みつつ、ポケモン達を確認するアズマ。迷いを感知したのかガタガタとイベルタルのボールが揺れているが反則級、ニダンギルは夜の見張りで少し眠そうだ。他のポケモン達で行くべきだろう

 

 「おー!受けてくれてテンションシビルドン登り!

 そしてー!」

 少女がボールを構える。外套がだぼだぼ過ぎて持つより乗せてる感じだ

 「さぁ!君の出番だよコイル!」

 「頼むよ、アーク!」

 ぼふっと二つのボールから二匹のポケモンが飛び出した

 

 一匹は少女のコイル、そしてもう一匹は……ピカチュウだった。ゾロアのイリュージョンなのは分かるが、アズマもその悪戯に少しだけ面食らう

 『ピッカァ!』

 丁寧に、鳴き声も真似していた

 

 「おーピカチュウ!かっわいいよねー!

 けれど、手は抜かないボクなのであった。コイル、まずは」

 「アーク!『かえんほうしゃ』」

 『ピッカァ!』

 化けたまま、ゾロアが炎を放つ

 

 炎に包まれ、ぽてっとまるっこい鋼の体が地に落ちた。ぐるぐると目を回している

 「あ、あれ?え?」

 「あ、こいつ実はゾロアなんですよ。ピカチュウはイリュージョンで」

 『「みゅみゅっ!騙されたなの!」』

 ぽん!と右前足を口許に当ててクスクス笑いしながら姿を戻すゾロア

 

 「これはびびっと!驚きモモンの木ウソッキー!

 ならば此処でサプラーイズ!」

 コイルをボールに戻しながら、少女がばっ!と外套を脱ぎ捨てた

 下にあったのは、同じくだぼだぼの黄色い萌え袖で胸元が空いたジャケットに、ショートパンツの姿。更に大きな荷物だと思っていたのは二体のコイル型装置で、それが頭の両横に合体した

 

 「っ!あの人!」

 服装とコイル型配信機器のインパクトが強すぎて本人だけじゃ結び付かなかった!あんな有名人なのに!とアズマは唇を噛む

 「お!気が付いた!やっぱりボクって有名人!じゃあアズマ氏も手助け使って!

 あなたの心にー!」

 

 「エレキネット!」

 アズマが叫べば、使えないなの!とばかりにその脚をゾロアが尻尾で叩く

 が、技の指示ではない

 

 「何者(なにもん)なんじゃ?ナンジャモです!おはこんハロチャオー!」

 「おはこんハロチャオー!」

 『(おはこんハロチャオ?ですわ)』

 バッグからひょこっと気になったのかディアンシーが顔を見せ、挨拶を返す

 

 「ちょちょ待って!皆の者、なんかこの通行人何か可笑しいんだけど!?」

 そんなアズマの向かいで、少女は虚空に語りかけていた

 

 『(あれは何ですの?変な怖い人ですの?)』

 「いやあれはナンジャモさん。パルデアのジムリーダーの一人で、多分今は動画をあの頭の機材で配信してるんだよ。だから、あれは遠くで見てる人向けの台詞」

 まあ、それを知らないと虚空に話してリアクション取る危ない人だけどとアズマは苦笑した

 

 「どうどうアズマ氏、びっくりした?」

 が、それはそれとばかりにナンジャモが身を乗り出して聞いてくる

 「じゃーん!ジムリーダーと隠してパルデア外の通行人と戦ってみるドッキリー!」

 「おおー!なら、ジムリーダーらしい強さ、見せてくださいナンジャモさん!」

 ぎゅっとゾロアのボールを握り、アズマはワクワクしながら叫ぶ

 

 「もうドッキリ企画は終わったけど、皆の者もノッてるし!ボクの相棒を見せちゃおっかなー!」

 ぼむっとボールから出てくるのはでっぷりしたニョロゾのような緑のポケモン

 

 「あ、ハラバリー」

 「そう、配信でもお馴染みハラバリー!このフォルム!触った時のぷにっと感!そしてキュートなお腹の発電機!

 さあ、この壁越えられるかなー?」

 挑戦的にニシシと笑うナンジャモ。それを見ながら、アズマは振り返るゾロアと軽く目配せすると、手首の黒水晶に指を当てた

 

 「本気で行こうか。お墨付きだ」

 キラリと煌めく黒水晶。オーラを纏い、アズマは叫ぶ

 

 「全力全開!解き放てアーク!『ブラックホールイクリプス』!」

 『ロァァァッ!』

 天空へ向けてゾロアがオーラの弾を打ち出すと、それは小型のブラックホール状のエネルギーとなり、ハラバリーを吸い込んだ

 そして、吐き出され地面に超高速で叩きつけられたハラバリーはそのまま目を回す

 

 「ぜ、Z技!?しかも一撃必殺の威力!?

 あ、アズマ氏……バッジは?というかカロス?」

 「三個です」

 「皆の者!これがバッジ数詐欺師!覚えておこう!

 普通のバッジ三個はこんな化物じゃない!」

 勝手に化物扱いされ、アズマは頬を掻いた

 それを尻目に、ゾロアは全力の技で疲れたのか勝手にボールに戻っていく

 

 「そんな詐欺師には、ボクピンチ?

 ええい、ナンジャモが滅多に見れない秘蔵ポケモン出してみた件!いっちゃえー!」

 向こうも何だか自棄になったのだろうか、今までのスーパーボールではなくハイパーボールを投げる

 『グルザァッ!』

 そして、天に舞うのは三つ首の黒い竜。モノズ系列の最終進化、サザンドラである

 

 「っ!サザンドラ!?」

 「滅多に見れない超お宝映像!さあさあ、幾らアズマ氏でも勝てるかなー?」

 言われ、アズマは自分のボールを見下ろす

 臆病モノズは外を見てかボールに内側から閉じ籠っていて繰り出すのは可哀想。ゾロアとニダンギルはお疲れ。となると…… 

 

 勝手に小さくしてあるモンスターボールが落ちる。中のイベルタルが呼ばれるのを待っている。蹂躙して勝つと言いたげに、ガタガタとボールが揺れる

 「やる気満々の子が居るじゃん!ボクに全力を」

 「いや流石に真っ当な人相手にベルは出せないっていうか」

 

 『(危険は、無いんですわよね?)』

 が、その時テレパシーが届いた

 「姫?」

 『(ならば、わたくしがやりますわ。ナイトとしての導く役目、お願いしますわよ)』

 「良いの?」

 『(何時までも護られてばかりでは困りますもの。危険の無い試合から、慣れですわ!)』

 「……よし!」

 頷き、アズマは今回は姫にも出番を、なとモンスターボールを撫でて、バッグへ向けてディアンシーのボールを翳す。そして、他のポケモンと同じようにボールから繰り出した

 

 「行こう、ティア。君だってきっと、強くあれるから」 

 『メレー!』

 とん、と初めてバトルする気で場に降り立つディアンシー。目の前の少し小柄なサザンドラと体格の差は凄く、ひどくちっぽけに見えるが……それでも、アズマは微笑む

 

 「うっわー!さっきの可愛い子!でも容赦なく!

 ナンジャモンジャ!びっくり仰天!テラスタル!」

 キラリ、と今度はナンジャモの手のオーブが煌めき、サザンドラが結晶に包まれる

 そして砕ければ、光輝き三つの頭の上に電球のようなクリスタルを生やした姿の黒竜が吠えた

 

 『(……ナイトなら、行けますわね!)』

 そんなサザンドラを前に、ディアンシーは手を合わせ、ピンクダイヤを産み出すと背後のアズマへと投げ渡した

 「合わせられる、ティア?」

 『(合わせるのは任せましたわ)』

 「オッケー!」

 ディアンシーを信じ、アズマは貰ったダイヤを手首の黒水晶に当てる

 生命のオーラを受けて、二度水晶は煌めく!

 

 手でハートを作り、AZが見せたように男性にはちょっと似つかわしくなくとも!

 『(御免なさいですわ)』

 「気にせず行くよ!」

 「え?二発目!?何このドッキリ!?ええいサザンドラ!やけくその『りゅうのはどう』!」

 『ドラララァッ!』

 黒竜の三つ首から青白い波動が迸る!

 

 『ディア!?』

 「大丈夫、フェアリータイプには効かないから、気を落ち着けて……

 『ラブリースター!インパクト!』」

 が、やはりオーラの束はディアンシーに当たると消滅する。ドラゴン技のエネルギーは無効にされるのだ

 

 「おっとフェアリータイプ……って不味い!?」

 ディアンシーが腕の間に作り出した大きな星形弾が、輝くサザンドラを空へと吹き飛ばした

 

 「と、思いきや……?

 じゃーん!テラスタルで今のサザンドラにはフェアリー技はぜんっぜん効かないのだー!どーだいアズマ氏、このボクとサザンドラの」

 「けれど!」

 アズマは尚も水晶に手を置く。ダイヤの光はまだ残っている。だからこそ

 

 「ティア!君のもう一個の本気!今此処で!」

 岩の堅さをイメージしたようなポーズを取り、アズマはオーラを纏う

 「『ワールズエンドフォール』!」

 「喋りの途中で禁断どころじゃない三度打ちって驚愕の展開は」

 『(岩タイプの姫の力、見せますわーっ!)』

 オーラの力で打ち上げられたサザンドラより更に高くまで飛び上がったディアンシー。その周囲に岩タイプエネルギーの塊たる無数の岩がくっついて巨大な隕石となると、サザンドラごと大地へと墜落。

 煙が腫れた時、其処には結晶化が解けて目を廻したサザンドラが居た

 

 「っ!よし!行けたな、姫」

 『(疲れましたわ)』

 ひょこひょこと戻ってくるディアンシーを出迎え、伸ばしたポケモンの小さな手に膝を折ったアズマは拳を合わせる

 

 「対戦有り難う御座いましたナンジャモさん」

 何だか呆然とした少女に、何時ものバッグにディアンシーを入れてやりながら一礼する

 「……えー、検証結果!纏う雰囲気というかオーラが正に特別!って一般人は実際に反則的に強い!

 以上!ドンナモンジャTVでした!皆の者、チャンネル登録宜しくねー!今回の切り抜きはNGだぞー!」

 あ、無理矢理締めた、とアズマはZ技の撃ちすぎで肩で息をしながら苦笑を返した

 

 「スッゲー」

 そんなアズマ達を、遠くから見ている小さな人影には、気が付くことなく




ということで、ナンジャモさんに御越し戴きました。
また、ナンジャモは、今回だけだとかませっぽく見えますが、手加減して戦ってたらアズマ君がバッジ数に比べて詐欺レベルだっただけです。サザンドラもテラバーストしてればイベルタル以外には勝ててます。エンタメし過ぎて負けただけでそんな弱くはないです。
え?あなたの目玉をエレキネットじゃないか?その辺りは挨拶色々と考えて今回は変えてみた的な奴です。今後も色々なものがエレキネットされます、多分。

スグリ君の性癖とか色々なものが性癖搭載過多のナンジャモに破壊されるのは……

  • ぽにお~ん♪(Go)
  • ……が、がお(No)
  • スグリ君を守護らねばならぬ……
  • スグリ君は鬼さまへの純愛だから……
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