「こら君達、何事だね」
バトルの騒ぎを聞き付けて無駄な程に大きく綺麗な公民館から現れる村長
「あ、すみませんさっき挨拶したアズマです。此方は先程申請した鬼が山調査の協力及び監視としてパルデアから来てくださったジムリーダーのナンジャモさん
山に登り調査を行う前にある程度の実力があるかの確認をという話になり、自然を傷付けないよう街中で戦う運びとなりました
御迷惑お掛けしました!」
咄嗟に思い付いたカバーストーリーを捲し立て、アズマは深く頭を下げる。横で少女も頭のコイル型装置ごと頭をぶんと振った
「これ以上騒ぐようだと、パルデアの許可があっても出ていって貰うよ」
「はい、気を付けます」
と、軽くやり取りをして一応の事後承諾を貰い、アズマは息を吐く
「っと、まずはポケモンセンター……なんて無いし、こいつの出番ですかね」
バッグを下ろし、アズマは沢山の木の実を取り出した。缶詰になっていたりポフィンだったり、様々にお菓子になっているが効果はある
「ナンジャモさんもどうぞ。どうせ沢山持ってきてますし」
頑丈なボトルの封を開けてディアンシーが飲みやすいよう小さなカップに中身のミックスオレを注ぎ、半分以上残る中身を差し出す
「おー、優しいねーアズマ氏
んでんで、挨拶も知ってたしアズマ氏ってやっぱりボクのファン?」
その言葉に、アズマはうーんと少し唸った
「まあ、ファンではありますかね」
「おやおやー、少し気掛かりな発言」
「元々他のチャンネルを応援しようと、アドバイスの為に有名配信者を見に行ってたので」
ほら、とアズマはフリーズチャンネルを開こうとして……
「電波、来てない……」
驚愕の事実に気が付いて愕然とした
「にしし、ボクの機材は優秀でねー、こんな田舎でも配信出来る基地局なのだー!
使うかいアズマ氏?」
「あ、良いんですかナンジャモさん。では遠慮なく」
「パスワードはー、ボクが昔やったクイズ動画で二番目に挙げられたポケモンの名前!わっかるかなー?」
「確かどんな人のポケモンクイズでもグレッグルと答える人が挙げてたものでしたね」
ならばとパスワードにグレッグルと入力すればアズマのホロキャスターがネット接続された
「珍しいですね」
「意表を突く答えならボクもパスワード忘れないしね」
成程と、アズマは頷いた
「そういえばナンジャモさん、どうしておれを配信の時に特別と言ったんですか?」
一息入れ、バドレックスやフリーズ村との縁も話して、アズマはすっかり面白人間!と暫く着いてくる気になったらしいナンジャモと共に当初の予定通り林檎農園へと向かっていた
「アズマ氏アズマ氏、その上着の値段は?」
「6万程です」
「バッグは」
「姫の為に特注した新品なので30万くらいでしたね」
「そのスニーカー」
「荒地に合わせた耐久仕様で5万です」
「バッグの中身」
「備えあれば憂い無しですよ」
「つまり、見るっからに本人が高級品!更に纏うのは優しげな少年とは思えない……
そう!悪の組織の若頭って威圧感!」
「あはは……ビオラさんにも言われて、二番目に戦ったジムのフクジさんより強いポケモンで相手されましたよ」
「え?それ勝ったの!?こっわぁ
ボクとかがやったらトップに怖い顔されて素早さも給料も大幅ダウンだよとほほ……」
あはは、とアズマは笑う
「完全に当初カロスリーグから眼を付けられかけてましたからね、おれ。結局おとがめは無しというレベルにまで、一部のジムリーダーの方が奔走してくれて今こうしてますけど」
カタカタとボールが揺れる。早く出たいとばかりに、イベルタルが主張しているのだ
「ごめんね、ベル。此処は人が管理してる自然、林檎農園だから出てきちゃ駄目だよ。後で羽を伸ばして良いから」
「で、アズマ氏アズマ氏。視聴者の皆もが気にしてたけど、その元気なポケモンってアズマ氏の切り札?」
ひょいと前屈みから見上げてくるナンジャモに、アズマは言って良いか少し悩んでから頷いた
「ベル……イベルタルです」
「イベルタル?へーそんな名前のポケモンなんだ
皆の者知ってるー?」
「っ!配信中なんですか!?」
思わず身構えるアズマだが、飛びすさった姿を見て少女はびくっと身を震わせてから萌え袖をぱたぱた振った
「いやー、こんなオフのボクは配信してないって、癖で言っただけだよアズマ氏」
「良かった。ベルは表舞台にはまず立たせてやれないポケモンですから」
「切り札なのに?」
「まあ、カロスリーグは把握してるんでパルデアリーグのナンジャモさんにも言うと……
"あの"ゼルネアスと対をなすカロス伝説、破壊ポケモンです。躾にも使われるようなお伽噺の怖い鬼、カロス地方だと出すだけでもう相手が震えて殺さないでって言ってくるレベルですよ。ベル自身は……ちょっと過保護でやり過ぎな所はあるものの、無差別破壊とか殺戮とかしない優しいポケモンなんですけどね」
アズマはボールを撫でながらもう片手で頬を掻く
「あー、アズマ氏って物語の主人公?」
「だったら良いですけどね。主人公なら、色々と解決してやれる運命って事ですから
残念ながらおれは生きてる人間ですから、上手く行くかは分からずに全力で生きていくしかないんですけれど」
「立派立派、ボクも見習わなきゃなーって」
『(ふふん。わたくしのナイトですもの)』
と、相槌を打つのはずっとバッグで聞いていたディアンシー
「おー、可愛い子、テレパシー使えるんだ、すっごー!
ねえねぇ、ボクとコラボ配信とかしない?きっとバズって人気者だよー!」
『(な、何ですの何ですの!?)』
「ナンジャモさん、ちょっと怖がってるんで詰め寄るのは止めてやってください」
なんてやり取りをしながらも農園の人に渋られながら少し色を付けることで林檎を買い込む
「アズマ氏、りんご飴そんなに買うの?」
「祭りの時に買い込むとすぐに店仕舞いで、他の逆に迷惑でしょうからね。今のうちに発注ですよ」
串に刺した蜜がけの為に処理された林檎にカミッチュというらしいポケモンが蜜をまぶす行程を遠目で見ながら、アズマは返す
「いやー、ボクは大騒ぎの有名人だからパルデアじゃ賓客扱いでしかお祭りに行けないんだよねー」
「ならナンジャモさんもりんご飴要ります?手持ちのポケモン達と合わせてとりあえず7本」
ちなみに、そうやって渡してもまだ3桁あるだけ買い込んだ
「貰う!
のは別として、そんなに買い込まなくても、お祭りで楽しむものを今買うの?って話題で」
「逃げてっちゃいましたけど、怪我していて仮面やりんご飴って祭りのものに興味を持ってたポケモンが居たんですよ
その子の為に買い込んでます。これからおれはともっこと鬼伝説とかの調査しますから、その最中に今度会った時、ちゃんと話して傷を治してやれるように」
と告げて、アズマはかつて鬼と戦い村を護ったとされるポケモン達を埋葬し祀ったというともっこプラザへと向けて歩き出した
「あ、あの!」
スグリ君の性癖とか色々なものが性癖搭載過多のナンジャモに破壊されるのは……
-
ぽにお~ん♪(Go)
-
……が、がお(No)
-
スグリ君を守護らねばならぬ……
-
スグリ君は鬼さまへの純愛だから……