「で、どうだったのアズマ氏?」
キタカミセンター付近まで戻り、イベルタルで乗り込んでもいけないからまだ山道という辺りで着陸。そうすれば、長すぎな萌え袖を頭の上でぶんぶん振ってナンジャモが山の方から出迎えてくれた。髪も荒ぶっている
「すみません。一応結晶は一旦は貰ったんですが……
コード氏、あああの包帯で杖をついたプラズマ団の人は来ませんでしたか?」
「あー、変なポケモンで滑空してそのままスイリョクタウンへ飛んで行ったよ?どうしたの?」
「いえ、そのポケモンに結晶全部持っていかれてしまって……悪気ばかりあった訳ではないとは思うんですが、返して貰わないと」
「……そ、そうだべな……」
が、後ろに乗ってきたスグリの態度はさっきから少しだけ可笑しい
「スグリ君?大丈夫?」
「な、何でもね!おれ、ちょっと疲れただけ」
「そっか。後で休もう
それで、ナンジャモさんは?オーガポンには会えた?」
「それがぜんっぜんダメ!」
アズマの問いに、少女は勢いよく袖を左右に振って困ったポーズを取る
「というかボク、鬼の住処?っていう恐れ穴の場所良く知らなかった!これはサルノリも木から落ちるって感じで
洞窟は幾つかあったけど全く!気配もなくて」
「そうですか。じゃあ、休んでコードさんからも結晶返して貰ったら、改めて案内して貰いましょう。スグリ君、行ける?」
「行けっけど……」
『ぽに?』
変に言い澱むスグリの背後で、揺れる木の後ろから仮面を被った女の子?が顔を出した
「山は危ないよ。お祭り楽しみなら、センターの方に」
背の低い彼女に合わせて少し屈んで、アズマはその子と眼を合わせて……
「あ、居ましたナンジャモさん」
『ぽにお!』
仮面を被った緑の鬼がどてらのような外套の下の手を上げる
アズマはひょいとその手にりんご飴を載せた
『ぽにおーん♪』
かちゃっと仮面を外……人間向けのお面だから、恐らく本物より大きさが小さいせいで伸ばした手が空を切った
笑ってアズマが仮面を取ってやれば、ポケモンは喜んでりんご飴を食べ始めた
「……な、何だべ!?」
「あ、この子ってイリュージョンで見た」
「はい、鬼さま……オーガポンです。祭の日だから、もう山から大分降りてきちゃってたんですね。ナンジャモさんが会えないわけです」
「あぁー、すれ違いかー」
「え、あ、お、鬼?鬼さま!?」
「いや、おれはオーガポンには会った事は説明しなかった、スグリ君?」
「けんど、何度も何度も山で探したおれが会えなかったのに……嘘じゃって」
目線を伏せるスグリ。その横で眼をキラキラさせ嬉しそうにりんご飴を齧る素顔のオーガポン。ちょっと可哀想な雰囲気の中、アズマは曖昧に笑った
「でも、今はこうして会えたろ?これから仲良くを目指そう、スグリ君
その為にお面だって作るんだし」
「そうそう、スグリ氏もこれから仲良くなれば、今までのは忘れても良くないかな?」
『ぽに?』
そんな人間達の話は良く分からないのか、オーガポンは美味しそうにりんご飴を食べ続けていた
「あ、アズマさん。おれ」
「はい、スグリ君。君から渡してみたいんだろ?」
その飴が無くなった頃、アズマはひょいと少年に飴を渡した
『ぽにお?』
そして、更にスグリから飴を渡され、ポケモンは少しだけ首を傾げると……
『が、がお』
小さく口を開いて八重歯と言いたくなる牙で威嚇を始めた
「な、何でだべ!?」
「じゃ、ボクはどうかなー?」
『ぽにおーん!』
萌え袖で器用にりんご飴を差し出すナンジャモ。同じ萌え袖の親近感か、手を出して受け取るオーガポン
「……っ!」
それを見て、俯いた少年はぎりりと強く拳を握り締めた
「村の人だから、追われた過去を思い出して嫌なのかもしれないね
だから、変えていこう、スグリ君」
そんな風にアズマが慰めるが、それでも顔は晴れない
でっぷりとした
基本的に人懐っこいのは分かりやすいのに、自分は避けられた。しかも、あれだけ自分は鬼さまを特別視していたのに、って
が、それにしても可愛らしいポケモンが可愛い子の膝に乗るのは絵になる。とアズマが思った時には、既に頭のコイル型装置が飛び回りナンジャモ自身を撮影していた
「そ、それに……めんこい鬼さまは、アズマさんの言うように本当は強くなんて無いのかもしれね」
「いや、間違いなく超強いよ、オーガポン」
「わやじゃ!?」
「おれ、ポケモンからは良く避けられる質だからね。おれ……というかイベルタルの纏う黄昏色の死のオーラは、おれがどうこうという以前に、悪タイプ以外のポケモンに畏怖を与える
だから皆逃げるし、捕まってくれない。慣れて無いのにそれを気にしないのはね、伝説のポケモンや、彼らにも多少立ち向かえる程に強いポケモン達くらい」
一歩近付くだけでハラバリーがびくっ!と震えて眼がせわしなく動くのを見て御免なと離れながら、アズマは告げる
「ガブリアス、メタグロス、そういった凄く強いと有名なポケモン達なら、オーラがあっても向かってきてくれたりする。伝説のポケモンともなれば大体自分も特別なオーラを持ってるからね、気にしない」
ハラバリーが焦る中、ぽにっとしたポケモンは撫でられつつりんご飴を嬉しげに齧り続けていた
「つまり、見ての通りだよ。種族として見れば、多分あのエンテイ達と同格はある
まあ、仮面か何かが無いと本領は出せないのかな?とは思うけどね」
「アズマさん、それ、寧ろ聞きたくなかっただ
鬼さまが強いこと、聞いたら……。おれ、割り切れね……」
俯くスグリの顔は晴れない。間違ったかな、とアズマは額の汗を拭って頬を掻いた
「弱いなら、鬼さま諦められるって思ったのに……」
「言ったろ、スグリ君。ポケモンとの関わりはバトルで強い弱いだけじゃないって」
「けど」
「まーまースグリ氏、まずは己の脳ミソにエレキネットー!ってやって良いんじゃない?
ほら、可愛いって」
『がおー!』
精一杯手を上げて横幅を拡げ、鬼らしく吠えるオーガポン。が、仮面も無い素顔ではまるっこい目に八重歯のキュートな口が合わさって可愛いだけである
「うう……めんこいけんど、そうじゃねんだ……」
そんなスグリを見てどうすればと思う中、ふとアズマの背中に重みが増えた。バッグのディアンシーが首を引いたのだ
「姫?」
『(わたくしのナイト達は、あのポケモンの仮面の為に特別な石が欲しかったんですわよね?)』
「うんまあ、姫を一回拐った黒水晶のポケモンの為もあるけど、それは後。いますぐはそうだね」
『(それで、盗られたと
では、わたくしがピンクダイヤを創れば解決かもしれませんわ)』
「そうだね、姫。とりあえずコードさんに返してって言うけど、姫のダイヤもあしらうと良いかもしれないね」