ポケットモンスター &Z   作:雨在新人

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前話と同じものを一時期投稿していました
現在は修正版です


休みと決意

「まあ、その辺りはおいおいね」

 「あ、そうだ

 チナちゃんって、シロナさんと調査に行ってるんだよね?なら連絡取れるし」

 

 なんて、ガブリアスに関しての話は切り上げて

 「それで、なんだけど

 コルニ、君はあのポケモン達を見てどう思った」

 カルム青年が、本来アズマ達を呼んだ用であろうものを切り出す

 「メガシンカはしてる。でも、あれは正しい形じゃないよ、絶対に」

 テーブルの上できゅっと手を握り、トリプルテールが揺れる。その明るい眼には、強い意志の色が浮かんでいた

 「あんなの、許しておいちゃいけないよ

 止めなきゃいけない。命を磨り減らすメガシンカを使うような集団を!」

 アズマにも分かる。直接対峙して、より強く感じた

 二つのメガシンカの差を。赤く染まりきった眼だけじゃない。コルニとルカリオは、二人で一つだった。互いのオーラが支え合い、そして一つのメガルカリオという形を取っていた。でも、あれは違う。単独で、限界を越えて自分の生命力を暴発させているだけ

 長くあの姿でいれば、取り返しのつかないほどのダメージを負ってしまうだろう。立てなくなるかもしれない、眼が見えなくなっても可笑しくない

 本来のメガシンカの継承者として、それは当然の宣言であった

 「同感だね」

 緑髪の青年も、また呼応して頷く

 「彼等はずっと叫んでいたよ

 痛い苦しい辛い誰か助けてと」

 半分くらいそれはアズマでも……いや、誰でも見て分かるような事。けれども、ポケモンの声が聞こえるという事で有名であり、その事がカリスマとなってプラズマ団事件の中心となった者の言葉で実際に告げられたという事実が、アズマの心に重くのし掛かる

 

 「助けて、って」

 『(……アブソルは違いましたわ

 でも、他は……)』

 「辛くても苦しくてもトモダチの為に頑張る頑張りたい

 それがトレーナーとポケモンの間のひとつの絆のカタチ

 だのに!」

 「助けてって事は、それでもトレーナーの為に暴走してでもメガシンカしようとしている訳では、無いんですね」

 静かに、帽子の青年は頷いた

 アズマの脳裏に浮かぶのは、ポケモン達を見捨てて逃げようとした、あのジャケットの二人組。傷だらけになって、それでも自分の為に共にキレて戦ってくれたろう、ニダンギル達の姿。苦しそうに吠えながら荒れ狂うメガシンカポケモン達

 そして、何も出来なくて、冷たくなっていく、一年前のトリミアンの姿

 

 「……許せない」

 アズマの言葉に呼応するように、二匹のポケモンの方向が脳裏に響き渡った

 『イガレッカ!』

 『ウルォーード!』

 その声……一匹は何者なのか良く分かったソレにそうだな、と笑って、アズマは取り出したボールを撫でる

 ついでに、何らかの形で繋がりがあるのだろうポケモンのうち、水晶という物理的なものがあるあのポケモンは応えてくれないんだな、とも思って

 

 「うん。許せないよ

 ポケモンをあんな風にするなんてフレア団と同じだよ」

 「フレア団の時は、あんまり動けなかったけど。今回は違う」

 カルムにコルニが同調し、頷く

 少しだけ、トゲがひっかかりながらもアズマも同調した

 「ええ。許せない

 ポケモンをあんな風にする彼等も、そんな彼等と同じくらいボロボロになるまで戦わせなきゃいけなかったおれも」

 『(こ、怖かったですわ……)』

 「だから、強くならなきゃ

 そして、彼等を止めなければ」

 ことり、とボールが揺れる。伝説のポケモン、イベルタルのボールが

 確かに、圧倒的な力を持つイベルタルであれば、止められるだろう。メガシンカ二体を寄せ付けず圧倒したその神話になるだけの力は絶大だ。命を拭い去る赤い光と合わせれば、あのメガウェーブなる暴走メガシンカを止められる。一度石に変えるという荒療治だが

 「イベルタルは、どう?」

 「ベルは……きっと、手を貸してくれます

 そうですよね、Nさん。あいつが、貴方の言っていたおれの運命。昔から、ダークオーラでおれを護ろうとしてくれていた、怖くて優しいポケモン」

 「キミの運命は複雑怪奇な音をしていて彼女だけとは言えないけれどもね」

 「そんな気はしてます」

 脳裏に時折響く鳴き声。恐らく、アズマが昔飲んだ桃色の水晶が繭になって水晶の中で眠りについていたイベルタルの羽根であったように、腕に付着した黒水晶があの黒いポケモンと繋がり続けているように。何らかの縁があるポケモンが、その意識を軽く寄り添わせているから聞こえるのだろう

 イベルタルという伝説のポケモンは、基本的に恐ろしい話ばかりで。けれども、その昔病弱であったアズマに寄り添ってくれたその意識は、怖いものではなかった。それに……命を奪うイベルタルは千年程の周期で目覚めるというが、アズマの前で繭から蘇ったイベルタルは3000年前から水晶の中で眠っていたという記録がある。正確には水晶の存在の記録が3000年前からあるってだけだが、それは逆に言えば、アズマが傷だらけで手を伸ばしただけで目覚められるような状況でありながら、イベルタルはずっと眠っていたという事だ

 何らかの理由で、命を奪わず眠り続けていた。そんなイベルタルはただ恐怖の象徴のような存在ではない、アズマはそれを信じたかった

 

 「だから、大丈夫です

 カロス地方でイベルタルと言ったら子供を叱る時に出てくるような化け物ですけど、ベルはきっと違います

 でも、それだけじゃ駄目なんです。あいつに頼りきるようじゃ」

 例えばだ。彼等はゼルネアスを探している。もしも、彼等が見付けたら?そして、万が一、ゼルネアスが彼等のボスを認めたとしたら?

 止めようとした時にゼルネアスが彼等の目的を是として立ちふさがったとしたら、アズマの中でそれに対抗できるのは(黒水晶のポケモンが何故か助けに来てくれたりでもしない限り)イベルタルだけだ。何とか止めて貰うしかない

 けれどもだ。それは、彼等の扱うメガシンカポケモン相手にイベルタルに何とかして貰うという方法が取れないことを意味する。Nやカルムや、他のトレーナーが居てくれるならまだしも、別々に分かれなければいけないタイミングだってある

 だから、アズマ自身、ニダンギル達と強くならなきゃと思ったのだ

 その想いに応えるように、ニダンギルが扉を器用に片方の刀身で開けつつ飛び込んできてアズマの周囲を一回転する

 「大丈夫なのかギル?」

 物言わぬポケモンはただ、その存在で覚悟を返した

 「こんな感じです」

 扉の先、傷もあるしこそっと此方を見るだけのモノズを見つつ、アズマはそう告げた

 

 「……だから、カルムさん。Nさん。コルニ

 おれに、修業をつけてください」

 「……うん。分かった

 彼等を放ってなんておけないしね」

 帽子の青年は頷く

 「あまり好きではないけれど」

 緑髪を揺らし、ポケモンの王も頷いてくれた

 「あはは、メガシンカじゃない事はあんまり教えられないけどね」

 

 「さて、暗い話はここまでにしようか

 止めなきゃいけない。それは分かっても、調査が進まないと何にも話が先に行かないし」

 「はい、カルムさん」

 「ディアンシーが此方に居る以上、またきっと彼等は来る。その時に、しっかり勝てるようにするとして

 ジム巡りは、続ける?今日が今期の最終日だけど」

 「……そんな時期でしたっけ」

 そういえば、とアズマは思う

 リーグは一年一回、その年に8つのバッジを集めてカロスリーグ本部に届けた者を集めて、カロスリーグという大規模大会を行う

 というか、チャンピオン・ダンデはその開会式のエキシビションの為に呼ばれたはずなので当然ではあるのだが、その締め切りはもうすぐだ

 

 「……暫くは修業して。また、来期やりますよ

 おれと戦ってくれたリーダーの中に、不正で今期限りとかそんなジムは無いでしょう?」

 因みに、一年で集めきれなくてもバッジは持ち越せる。但し、リーグ公認ジムは幾つもあるが、そのうちたまに不正でバッジを配っていたとかで次期から取り潰しにより使用不能となるバッジがたまにある。その場合、その分も集め直しとなる

 

 「そうだね

 それで、なんだけどアズマくん

 気分転換にこれ、要る?」

 そういって、カルムが差し出したのは数枚のチケットであった

 「そ、それは……」

 息を呑む

 「エキシビションマッチのチケット!?

 良いんですか!?」

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