ポケットモンスター &Z   作:雨在新人

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劇場版ポケットモンスター&Z ヨと豊穣の帝王 LANDORUS part10

サイコパワーか、アズマ達の周囲を4体に分身して取り囲み、スライドするように翼を一切動かさずに横に移動していくフリーザー(?)

 それを突破して駆け抜けようとしても、行くべき道の先には好戦的に地面をその足で掻いて此方を睨み付けるサンダー(?)が待ち構え、何時でも強襲出来るように、全体の頭上をファイヤー(?)が飛び回る

 そして、ランドロスの低い唸りが響き渡った

 

 完全に抑え込まれた形。無傷での突破はとても出来ないだろう。ランドロスの……新たなる豊穣の王に従いかつての王バドレックスを追い出そうとするかのように、ガラルに暮らす伝説の鳥ポケモンに酷似したその三鳥は、かつての住居を目指すポケモン達を包囲する

 

 『「戦わねば、ならぬのであるか」』

 『こふおぉっ!』

 レイスポスに一度目配せをして、伝説のポケモンであるコバルオンが前に出る

 コバルオンのタイプは『かくとう/はがね』。ルカリオ等と似た体毛の質であり、彼等と同一タイプであろうと言われている

 それ故に、多分恐らくきっと何か違うけれども推測フリーザー、つまり『こおり/ひこう』だろう冷酷に人の……いや木々に止まるヨルノズクのようなポーズで此方を見るポケモンへと睨みをきかせる

 

 が、それで止められたとしてたった1体。謎の分身が実体をもって戦える場合は3体、そうでなくとも2体の伝説(?)の鳥ポケモンが残る

 彼等を何とかしなければ、とても先には進めない。ランドロスの所に辿り着く事すら不可能

 

 バドレックスが小さくその手で手綱を引く。その意図に合わせてレイスポスが嘶き、闘いの覚悟を決めようとしたところで……

 

 『シァード』

 小さく、アズマ等二人を乗せてくれていたポケモンが鳴いた

 「シアも……」 

 器用に背を振り返る狼にアズマは降りようとして……ふと、その視線はアズマの腰のモンスターボールに向けられている事に気が付いた

 

 「ボール?つまり……父さん!」

 「いや、違うだろうがな」

 苦笑して、周囲を伺っていた父は息子の為に、それでもポシェットの中から取り出した性能重視のボールであるハイパーボールを、くるくると取り囲むフリーザー(?)の一体に向けて投げつける

 

 が、それはボールが当たるやボン!と白い煙になって消え、冷笑するようなフリーザーの笑いだけが残る。そして、一瞬全ての分身が消えたかと思うと、今度は5体に増えて取り囲み直した

 

 『シァード』 

 そうじゃないと鳴き、そのポケモンは鼻先をアズマの腰のボールに当てる

 

 「……ギル?」

 意図は分からないが、とりあえず今まで頑張ってくれたポケモンを信じよう。そう考え、アズマは相棒ではあるが流石に伝説のポケモン同士の闘いにはロクな手助けも出来ないだろうからとボールに戻していたヒトツキを呼び出した

 

 宙に、ふわりと剣の姿が浮かぶや、シアンの巨狼は突然その柄を咥える

 「シア?」

 「シアさん?どうしたですか」

 

 『ウルォードッ!』

 そのヒトツキが、青いオーラを纏う。オーラが纏わりつき、一回り巨大化した剣となる

 すると、そのポケモンは一つ、大きな遠吠えをし……

 

 それを開戦の号砲としたのだろう、周囲をくるくると取り囲んでいたフリーザー(?)の一体が飛び上がり、シアンの狼へ向けてその仮面の瞳から凍て付くようなビームを放つ

 

 が、しかし……突然周囲に降り注いだ岩石が、その視線と激突した

 そして、積み上がった岩石の山の上に、一つのしなやかな緑色の影が降り立つ

 鮮やかなビリジアンの優雅な姿をしたポケモン、そして……フリーザー(?)の影を蹴散らして此方へと向かってくる二つの角を持つ力強いがっしりしたケンタロスのようなシルエット

 『こふぉぉぉぉっ!』

 その姿に、コバルオンが嘶く

 

 そう、その姿こそ

 「ビリジオンと、テラキオン!」

 コバルオンと並び、ポケモンを護る正義のポケモンとして……イッシュ地方始めいくつかの場所に伝わる伝説の三闘獣!

 

 興奮気味に、アズマはその名を呼ぶ

 そんなアズマの目の前で、父に呼ばれて駆け付けていたコバルオン、そしてシアンの狼の遠吠えに呼応するかのように姿を見せた二体は、一斉にその額から青く輝く剣のようなオーラの角を生やし、一部では三剣士とも呼ばれるその由来を見せつけながら、シアンのポケモンが横向きに咥えて掲げる剣と交差するように剣角を合わせた

 

 「シア?」

 ひょっとしてだが、このポケモンは伝説の三闘獣のマスターか何かなのだろうか

 

 伝説のポケモンの中には、マスターとされるポケモンが居る

 例えばだが、全てのレジの長であり祖とされる伝説の巨人レジギガス。一部猫ポケモン愛好家の中では三猫とされる伝説のエンテイ、ライコウ、そしてスイクンを産み出したとジョウトの伝説に残されるホウオウ、アーシア諸島に住まう神とされる三鳥を纏める海の神ルギア等の、伝説とされるポケモンを束ねる長のような伝説の事だ

 

 確か、父の集めた三闘獣の資料には、その何れにも当てはまらない青と赤い毛のポケモンが出てくる節があった筈

 それがひょっとして、三剣士の長であり、目の前のポケモンなのでは無かろうか

 

 少なくとも、ブリザポスやレイスポスといった間違いなく伝説のポケモン級である相手に一歩も引かず互角以上の闘いを繰り広げたポケモンだ。彼女に纏わる伝説をアズマは知らないが、学会の提唱する伝説のポケモン区分に類する種族であることはほぼ間違いない

 

 剣を合わせた三体の獣は、解散してそれぞれが決めたろう相手の前に立ち塞がる

 コバルオンは最初と同じく負けん気が強そうなサンダー(?)の前に。テラキオンは忌々しそうに岩を凍らせたフリーザー(?)の前に。そして……しなやかで軽やかな動きをもって、突っ込んでくるファイヤー(?)をビリジオンが誘い込む

 

 「この地の人とポケモンのために」

 「ヨさんのために」

 「「お願いします!」」

 バドレックスを神殿に向かわせるために姿を現してくれたのだろう正義の伝説に向けて、二人は頭を下げた

 三体の伝説は、此方を振り返ることもなく一声吠える

 

 そして、アズマ等はふかふかに仕上げた尻尾を軽く立てて自身の背を叩き誘導するポケモンの背に乗せて貰った

 

 『「行くのである

 戻ってきてくれたコバルオン達のためにも、ヨは負けられないのである」』

 「……アズマ、分かっているな?」

 けれど、ナンテン博士だけは、その場に止まってボールを構える

 「父さん?」

 「三剣士。確かに伝説であり、頼れる救援ではあるだろう

 だが、そうは言っても彼等は全て格闘タイプだ」

 「あ、」

 「伝説の鳥ポケモンさん相手だと不利です!」

 「ゆえ、オレは此処に残って手助けをする。元々そんなつもりだった

 行け、アズマ。そして預かりものな子に怪我とかさせるなよ?」

 「分かってるよ、父さん!」

 『ォードッ!』

 任せなさいとばかりに、二人を背に乗せても足取り軽々とした狼は吠えた

 

 そうして、雪深くなる山道を、二頭のポケモンは全速力で駆け抜ける。軽く浮いたレイスポスの蹄は深い雪にすら痕を残さず、何事もなかったように駆け抜けるが……雪を撥ね飛ばしながらジャンプを繰り返すような動きでそれを追うシアンの狼も速度は負けていない

 そんな背で、振り落とされないよう前に乗せた少女を包むように、シアンのポケモンにしがみついた

 

 そして……

 「さ、寒かったです……」

 撥ね飛ばす雪が白く太股までしっかり覆うニーソックスに染み込んだのか小さく震えながら、銀の髪の少女が呟く

 『……ルゥ』

 どこかしょんぼりしたように、少女を運んだポケモンは一声唸り、アズマが置いたオボンの実にかじりついた

 その横で、素知らぬ顔でレイスポスもオボンの実にかぶりつく。この辺りには自生していないが、道中バドレックスの姿を見かけたポケモン達が投げてくれたのだ

 愛馬と共に帰還しようという豊穣の王。表立って共に戦ったりはしないし出来ないが、きっとポケモン達もそれなりに歓迎してくれているのだろう

 

 「でも、ありがとうシア

 おかげで着いてこれた」

 実はアズマも結構寒かったというか、耳が凍えているのだがそれはそれ。おくびにも出さずにそう告げて、全力疾走で緩んでしまったポケモンの胸元のリボンを整える

 『「人の子等が見ててくれれば、ヨも張り切れるのである」』

 「そうです、ちょっと寒かったですけど、来れないよりずっと良いです」

 自分のポケモン達で戦うわけではない

 それでも、トレーナーとポケモンのように、見守ることが、応援することがきっと力になる

 

 『「うむ」』

 頷いて、冠のような頭のポケモンは眼前の扉の閉じた神殿を見上げる

 『「では、行くのである!」』

 『ウルォードッ!』

 呼応するように鳴いた巨狼のポケモンが、体当たりでドアをこじ開けた




イヌヌワン→パルスワン→ザシワンって進化しそうなくらいにザシアンが伝説のでかいトリミアン()やってますが、ガラルの禁止伝説は基本的に人間に対して相当友好的なので仕様です
元々人間と共に戦った逸話あるくらいですから


アズマ「三剣士伝説に時折出てくる赤と青の謎のポケモンは、三剣士のマスターなシアンの狼のポケモンの事なのかもしれない……メモメモ」
???「あなたを詐欺罪と名誉毀損罪で訴えます!理由はもちろんお分かりですね?あなたが皆をこんなガセネタで騙し、ケルディオの地位と名誉を破壊しようとしたからです!覚悟の姿の準備をしておいて下さい。ちかいうちに訴えます。裁判も起こします。裁きの礫も問答無用で食らってもらいます。慰謝料のバンジの実の準備もしておいて下さい!貴方は犯罪者です!グレッシャーパレスにぶち込まれる楽しみにしておいて下さい!いいですね!」
ということで、赤と青のポケモンはケルディオです。ザシアンではありません。また、フリーザー(ガラル)はエスパー/ひこうです。こおり/ひこうではありませんのでレート戦等で初めて見かけた際は御注意下さい

バドレックスには幾つかの姿がありますが、好きなものは?

  • 黒馬上の姿(エスパー/ゴースト)
  • 白馬上の姿(エスパー/こおり)
  • ヨ(エスパー/草)
  • 歴戦の王(フェアリー/エスパー)

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