ポケットモンスター &Z   作:雨在新人

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vs フェアリーオーラ

『(という訳ですの)』

 と、ディアンシーがこれまでのアズマとの経緯を含む自分の目的を語り終える

 

 「ディアンシーちゃん、頑張ってきたんです……」

 と、ちょっとチナが涙ぐんでハンカチで涙を拭っていて、ディアンシー自身も怖かったことは多かったですわ……とこれまでを振り返り、ミルクを一口

 

 アズマも聞いていて思い出した。ジャケットの男達との戦いや、黒水晶のポケモンを

 他の大変だったと言われた事については、アズマからすればそこまでの思い出ではなくて、例えばハクダンジムのジャンプなんかだが楽しかった思い出なのだが

 

 「そっか。この子は自分達の国を護るために、ゼルネアスを求めて旅してきたんだね」

 「はい。本当はもっと早くにカルムさんを通してセレナさんと会わせて貰ったら速かったんですけれど。結構セレナさんも忙しいらしいですし……」

 あとは、とアズマは甘いミルクに顔を綻ばせる小さな宝石の姫を見る

 

 「単純におれも楽しかったんですよ。可愛いポケモンと旅をすることが」

 「分かるです」

 『(まあ、悪い気分ではありませんでしたわ)』

 と言いつつ、ディアンシーはぴょんと机の上へ

 

 『(わたくしのナイト御苦労様でしたわ

 これでわたくしは聖なるダイヤを治すフェアリーオーラを得て……)』

 と、セレナの持つボールが一つカタカタと動く

 

 『(……え?)』

 「姫?」

 みるみるうちにしゅんと肩を落とすポケモンに、心配になってアズマは声を掛けた

 

 「ディアンシーちゃん?だいじょぶなんですか?」

 『(無理って言われましたわ……)』

 「無理?」

 『(ですの

 フェアリーオーラは自分も出せるけれど、ダイヤを作れるようオーラを分け与えていたのは別個体のゼルネアス。自分では残念ながら多少しか力にはなれない……って)』

 「多少」

 『(少しの間、壊れてしまいそうなダイヤを維持させる力は貸せると思うがそれが限界だそうですわ)』

 「そっか。一歩前進だけど、それだけだったのか……」

 「本格的な解決ではないんですね……」

 と、二人して顔を見合わせる

 

 『(しょんぼりですわ……)』

 と、小さな姫は美味しそうに飲んでいたミルクすら少し残して塞ぎ込むようにバッグの中に戻ってしまう

 そんなディアンシーを見守るアズマの机の上の手が叩かれた

 

 「本当なのかな?」

 「分かりませんけれど……」

 聞いてくるセレナに、アズマは首を傾げた

 

 と、その瞬間、一つの威厳ある声がアズマの脳裏に響いた

 静かに目を閉じて、アズマはその声に耳を傾ける

 

 曰く

 『(足りぬのは、本人の器の方だ。されど、幼い身に告げるのは酷な事)』

 と

 

 そのゼルネアスだろうテレパシーに理解する

 ゼルネアスが言ったことは嘘なのだ、と。本当はこのゼルネアスだって聖なるダイヤを造り出す力を与えられる。けれど……今のディアンシーの側がその力に耐えきれない。だから、傷付けないために別個体の力が要ると嘘をついた

 それに出会うまでに、この小さなポケモンが大きく成長することを願って

 「優しいんだな、ゼルネアス」

 「君のイベルタルもそうだよね?彼等だって、伝説って呼ばれててもどんな力があっても、大切な友達(ポケモン)だもん」

 そんな言葉に、アズマとチナは同意するように強く頷いた

 

 「それで?他にも用事があるんだよね?

 ひょっとして、戦いたい?」

 「ソレは勿論ですけど、今回はそうじゃなくて」

 「勿論なんだ」

 「それはもう。セレナさんと戦いたい人なんてごまんと居ますよ。でも、今は……別のポケモンについての話です」

 一息置いて、サンデーを一口食べてからアズマはしっかりと相手の目を見て言葉を切り出した

 

 「姫の話にも出てきたあの黒水晶のポケモンについての話なんですが、彼」

 突然アズマの腕が痛む

 

 「っ!あたっ」

 何かの抗議のように締め付けられる腕の黒水晶

 「だ、だいじょぶですか?」

 「大丈夫だよチナ

 こうしておれとあのポケモン、ちょっと繋がってるんですよね。だから何となく苦しみが分かるんです」

 「今も?」

 「いえ、これは……彼」

 走る痛み

 「彼女が間違えられたのをちょっと怒ったんだと思いますが……」

 

 内心でえ?あのポケモンって彼女って呼ばれたい存在なのか……なんて思いながら、アズマは続ける

 「命の光が足りなくて、あのポケモンはずっと苦しんでいる。だから……生命ポケモンであるゼルネアスの力を借りれないかって思ったんです。死んだポケモンすら蘇らせるという伝説の力なら、助けてやれないかって」

 「……成程ね」

 少しして、金髪の少女は頷いた

 

 「バドレックスの力ならとも考えたんですけど、やっぱり豊穣の王よりも、生命を司るポケモンの方が上手くいく可能性は高いなって思って

 時間があればで良いんです。手を貸しては貰えませんか?」

 「良いけど?」

 あっさりと少女は告げる

 

 「良いんですか!?」

 「本当の姿の大半を喪って、光が無くなって苦しんでるかがやきさまってポケモン。それを聞いたら見過ごせないしね

 って言っても、何時出てくるかとか分からない以上同行する訳にもいかないんだけど」

 「ですよね……」

 「でも、ゼルネアスの生命の力を込めたオーブみたいなものなら作ってあげられるよ多分

 それがどこまで意味があるかは分からないけど」

 「有り難うございます!

 本当に助かります、ゼルネアスにセレナさん!」

 と、アズマは自分勝手な願いの結果に頭を下げた

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