大海原の祖なる龍   作:残骸の獣

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久しぶりの投稿、失踪すると思った?
残念、獣だよ!

いやホント遅れてスンマセン、上司が入れ替わる時期に連絡が滞るっていう悪夢が現実のものとなってました。
ホウレンソウのおひたしは大事、ハッキリ分かんだね。

そんな訳で遅ればせながら祖龍28話です、書いたら長過ぎたので前後編に訳て投稿します。
後編も完成してるので週末には投稿します、嘘じゃ無いゾ?本当だゾ?


いつも通り文章能力皆無のガバガバおじさんですので宜しく






28 祖龍(モドキ)、同類と戦う 前

『端的に言おう、助けて欲しい。』

 

 

オッスオラ祖龍!

今日も元気に海軍中将やってんだけど原作通り蛇姫を七武海に加入させたと思ったら五老星から電話が掛かってきて、「助けて欲しい」と言われちまった!オラァワクワクすっ……しねえよ。

 

五老星から電話が掛かって来ること自体ろくな事じゃないってのに救援要請とか、絶対不吉の前触れじゃん。災難フルスロットルじゃん。

 

「この死に急ぎ野郎がァ!」って罵倒されちまうよ

 

 

 

「…嫌な予感しかしないが一応話だけ聞いてやろう。」

 

 

『新世界に派遣していた諜報員からの報告だ、クモミ島と呼ばれる島に突然小型の翼竜が群れを成して現れた。

翼竜は肉食で海岸付近の街を荒らし周り島民が半分程居なくなってしまう事態が起きている、君に心当たりは?』

 

 

「検討もつかんな。新世界なんだ、野生の翼竜くらいいるもんだろ?」

 

 

『新世界もそこまで未知ではないよ、それに翼竜は先日突然現れたそうだ。

最後の報告では小型の翼竜達の中に一際大きな龍の姿も確認された、恐らくそれが元凶だろう。

政府はこれを秘密裏に処理しなくてはならない、そこで君の力を借りたい。』

 

 

『最後の報告』って…てことはクモミ島にいた諜報員くんはモグモグされたってことか?

次は龍討伐ですか、忙しいなあ。

海軍の主要な戦力は出払っているらしい、センゴクさんも表面上はたった1人の大将なので席を空けることは出来ず。そこで影の大将白蛇の出番と言うわけだ。

 

 

「龍関係なら私が出ない訳にはいかないか……で?そっちで用意できる戦力はどれ位だ。

私が親玉を倒しても翼竜を掃討するのには頭数が足りんぞ。」

 

 

『センゴク以外の戦力なら誰を連れ出しても構わない、空いた穴は我々でどうにかしよう。』

 

 

「ほお…そうか、なら()()()()()()()()()()()()()

連れ出す中将なんだが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………そうか、では。」

 

 

ガチャリと電伝虫の受話器を下ろす老人、その表情には安堵の色が見える。

 

 

「どうかね、結果の程は。」

 

 

「かなり渋るかと思ったが…思ったよりも快く引き受けてくれた。中将を数人引き連れて向かってくれるそうだ。」

 

 

その言葉に部屋に居た他の四人も安堵混じりの溜息を吐く。

此処はマリージョア、五老星の間。文字通り世界を動かす最前線に彼等は居る。

 

 

「突然の凶報に一時は肝を冷やしたが…彼女が動いてくれるのなら問題あるまい。我々はいつも通り隠蔽工作の準備を整えよう、差し当たり避難民の処理だが…」

 

 

「『処理』では駄目だろう。彼女なら世界の秘密、その一端を目撃してしまった者を我々がどうするかなどお見通しだ。

彼等を生かした上で『隠す』のが肝要となるのではないか?」

 

五老星達は竜の出現にあたり、不幸にもその場に居合わせた一般人の処遇をどうするかを話し合う。

当初ならば秘密を知ってしまった者達は皆、例え生きてクモミ島を脱出出来たとしても後に〝不幸な事故〟で処分されるのだが今回は勝手が違う。

大将白蛇、すなわち祖龍自らが彼等を救うと言っているのだ。それを裏切っては祖龍からの反感を買う可能性がある、あまつさえ今まで築き上げてきた祖龍との友好関係をぶち壊しかねない。

 

「これも我々に対する彼女の期待、という事だな…。

よろしい、避難民達を生かした上で自由も与えられる方法を考えよう。

彼女の目論見に乗ろうじゃないか。」

 

 

5人は頷き、再び熱い議論を交わす。

 

 

此処は世界の行く末を左右する場、大将白蛇…祖龍ミラルーツの期待に応えるため、今日も五老星は知恵を絞る。

 

 

 

 

………まあ当の本人にはそんな期待を掛ける気も深い目論見も全く無いわけだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁっとワシ等の出番と言うわけじゃあっっ!!!」

 

 

「んん〜?どこに向かって叫んでるんですかいガープ中将。」

 

 

ガープ中将が明後日の方向に向かって叫んでるが気にしない気にしない。

 

さて、此処は俺氏の船長を務めるパドルシップの中。

会議室には少数の部下と俺、レム、イルミーナ、テリジア、ガスパーデ、そして本部から救援要請して来てもらったガープ中将、そしてボルサリーノ中将もいる。

クモミ島に現れたらしい小型翼竜の群れは島の中心部、大昔に使われていた砦を中心に旋回を続けていると五老星から報告があった。

島に着いたら残ってる島民を救助用の軍艦に逃がしつつ海兵達に小物の相手をさせてる間に俺が親玉を倒す。

ガープ中将には軍艦の護衛を頼む事にした。こんな初老の爺さんだが『海軍の英雄』と呼ばれた男だ、二対一とはいえ俺(祖龍)と対等に渡り合ったのなら翼竜くらい屁でもないだろう。

それに島民の目がガープ中将の方へ向いてくれれば影で俺も動きやすいからネ。

 

 

今回の事件は全て『英雄』が解決した事になる、それでいいのだ。

 

 

「では作戦概要は今伝えた通りです、ガープ中将とボルサリーノ中将は避難船の護衛を。

イルミーナとテリジアはガスパーデ達と一緒に逃げ遅れた避難民の捜索、私とレムで件の元凶を叩く。

避難船の指揮と手配はゾルダンに任せてあります。

何か質問は?」

 

 

「オ〜、ちょっといいかい?」

 

 

ゆるゆると手を挙げたのはボルサリーノ中将だ。

ホントはタイヨウの海賊団追いかけるので忙しい筈だけど招集に応じてくれたのは有難いっす、天竜人関係の仕事が俺に回ってこないようボルサリーノ中将が一手に引き受けてくれてるもんね。

全部終わったらステラと感謝のバケツプリンを作って届けに行こう。

 

 

「島民を救うのはいいとしてェ、あっしらがこれから敵にするのは一体『何者』なんだい?

海賊じゃァないんだよねェ?」

 

 

「なんじゃボルサリーノ、そんな事も知らんかったのか!

ワシらがこれから戦うのはのォ……アレじゃ!……空飛ぶトカゲじゃ!!」

 

 

ガープ中将ニアミス

 

 

「翼竜ですボルサリーノ中将。

空を飛び、数百メートル程なら沖にまで出てくるでしょう。連中は肉食らしく既に政府の諜報員含め島民の半分以上が犠牲になりました。」

 

 

ゴクリと部下達の喉が鳴る。

残酷な事だが既に犠牲が出た後なのだ、もはや一刻の猶予も無い。

 

 

「オォ〜そりゃァ…突飛な話だァ…。」

 

 

「故に広範囲を狙い撃ちできる貴方を呼んだ次第です、空を飛ばれていては他に銃弾位しか届きそうに無いですからね。」

 

 

「期待されちゃってるねェ〜。

ま、失望されん程度には頑張りますよォ。」

 

 

ボルサリーノ中将が居れば対空射撃は問題ないだろう、俺も安心して親玉をボコせるというものよ。ふはは。

さて、島には何人生き残りがいるんですかね。人数によっちゃ避難船が足りなくなるかもしれないが……全滅とかしてないよね?

五老星共は「島ごと消した方が効率的」とか言うだろうがクモミ島の島民達はオハラの時のように犯罪者な訳でもないし、なら一般人は助けなきゃ『人間』らしくないよな。俺たち正義の海軍だモン。

 

 

じゃあカッコよく倒してカッコよく島を救いましょ

 

 

 

………………………………

 

 

 

軍艦と避難船はクモミ島近海に到着、そこで出迎えてくれたのは数百を超える大人1人分位の大きさのある翼竜の群れだった。

いや、蛇竜って言った方が正しいかな?

こいつら見覚えあるぞ…確かガブラスの色違い、衛蛇竜エギュラスだ!

どいつも身体に薄く赤みがかったオーラを纏って敵意剥き出し、今にも襲いかかって……うわこっち見るなり吠えながら一斉に突っ込んできた!岸まで来させない気か!?

 

 

「おお空飛ぶトカゲじゃ!珍しいモン見たのう。

やるぞボルサリーノ、ぴかっとせい!」

 

 

「了解ですよォ〜、『八尺勾玉』ァ」

 

 

「拳骨メテオォッ!!」

 

 

甲板へ出たボルサリーノ中将の指先から迸る高密度の光の束が次々とエギュラス達を射抜いてく。続くようにガープ中将も砲弾をオーバースローでぶん投げ、直撃させていた。

毎度思うが能力者のボルサリーノ中将はともかく生身で砲弾投げるガープ爺さんは人間辞めてるよね。

 

島へ近付くほど激しく四方八方から迫る蛇竜の群れを蹴散らしながらどうにか避難船を島の港へ接舷させた。

思いのほか生き残りは多い様で助けが来たと気づいた島民達は我先にと港へ集結してくる。

 

 

「避難民に乗せる順番は高齢の者、怪我人、子供が優先だ!

医療班は薬と包帯をありったけ持って来い!

ではミラ中将、後は自分にお任せを。」

 

 

「ああ、指揮は頼むぞゾルダン。

ガープ中将、ボルサリーノ中将、後は任せます。」

 

 

「おう、任せい!」 「程々にねェ〜。」

 

 

避難民が押し寄せたら此処は大混乱になる、そうなる前に俺は狼化したイルミーナの背中に乗り、レム、テリジアと共に一足先にクモミ島へと足を踏み入れた。

 

 

 

……………

 

 

 

島の中心部、石造りの大きな砦がそびえ立つ付近で俺とレムはイルミーナから降りた。

 

イルミーナとテリジアにはこれからガスパーデと合流して逃げ遅れた避難民の捜索に当たってもらう、鼻のきくイルミーナなら探すのも簡単だろう。

 

 

「じゃあ2人は戻って島民の捜索を宜しく、なるべく砦内で戦闘するつもりだが…最悪被害が島全体に拡散するかもしれん。

状況を見て島から避難するように。」

 

 

「かしこまりました」 「うん」

 

 

「よし行け。

全員は無理でいい、一人でも多く救ってこい。

頼んだぞ。」

 

 

イルミーナの頭を軽く撫で、レムと一緒に正面から砦の内部へと堂々侵入。

 

 

かなり古い砦みたいだが建物はしっかりしていて頑丈そうだ、少しくらい無茶してもびくともしないだろう。

エギュラスは相変わらず砦付近を旋回し、こちらを襲ってくる様子はない。が、なんかじっとこっち見てる気がする。

 

衞蛇竜エギュラス…MHFなら主人から命令されるまで襲ってこない臆病な性格の竜種なんだけど…ということはアレか。

 

エギュラスが居るということはアイツがてっぺんにいるのかね

 

 

「なあレム、お前はあの蛇竜見た事あるか?」

 

 

「……不明。ワタシはあの監獄に入る前も一つの部屋に閉じ込もっていたから、要は世間知らず。

記憶は曖昧だけどこの世界は元いた世界とは空気が違う。

言葉に表すと…い、磯臭い…?だと思う。」

 

 

「そりゃ周りが海だからだろ。」

 

 

「肯定。以前まで海は殆ど見たことが無かった。」

 

 

天廊の番人だもんね、あの部屋から出ることなんて殆どないだろう。

…でも確かあいつの登場シーン上から降ってきたよね?

留守狙われたらそりゃ怒るわ、おのれハンター。

祖龍にしてもそうだがあの世界じゃ人の住めない極地に生息してる龍多いから世間知らずにもなるよね、きっとこの砦の上のアイツもこっちの世界の事情なんて分からないまま居るんだろう。

 

 

「それと前に話したが、龍の姿には戻れる様になったか?」

 

 

「…まだ、そもそも戻り方が分からない。むしろ自在に姿を変えられるミラの方が不思議。」

 

 

「まあ私は祖龍だからな」

 

俺氏一応伝説の中のさらに伝説やし?

ハンターは当たり前のように集団でボコしてくるけど全ての龍の祖とか言われてる存在やし?

今更だけどなんでもありかよ俺。

 

 

「それに…もし元の身体に戻れたとしても…ワタシはこっちの方がいい。少し窮屈だけど動きやすいし人間達に馴染みやすい。

ワタシはこの姿が結構気に入っている、飛べないのは不便だけど…」

 

 

「お前が納得してるならいいが…」

 

 

なんて思っているうちに砦の内部を抜け、広い空間に出た。ここが砦の頂上みたいだ。

まるで雲を見下ろすように高い砦、話じゃこの島の古代人達が島を守る為に建築したらしい。その砦に住み着いた龍が島民を襲うとかなんて皮肉だ。

その奥、頂上を飛び交うエギュラス達の先にアイツはいた。

 

 

全身は漆黒の竜鱗に覆われ、その頭部には王冠のように見える角が生えている。翼も巨大で翼膜には燃え盛る炎の様な紅白の模様、その姿は例え寝ていてもあの蛇竜達を従える『王』としての威厳が感じられた。

そう、『帝征龍グァンゾルム』。それがコイツの名前。

その姿は王道な西洋の龍をモチーフにして生まれたとか、さらに討伐に向かったハンター達も「無事に帰ってきた者はいない」と言われるほど危険な古龍だ。

 

 

「…グァンゾルム、か。

エギュラスがいた時点でなんとなく察しはついていたが…」

 

 

「ワタシとミラ以外の『龍』を見るのは初めて…興味深い。」

 

 

レムは自分以外の龍に興味津々だがそう安心してはいられない、俺達はもう奴のテリトリーを侵している。見た目からしてプライドの高そうな龍だ、自分の傍に異物がいると分かったら……ホラ起きた。

 

グァンゾルムは俺達に気付いたのかムクリとその巨体を起こし、その瞳で鋭くこちらを睨み付けた。

普通なら竦み上がる所だが、祖龍にゃ通じませんねえ。

 

 

「ああ帝征龍、ナワバリに土足で踏み入ったことは謝ろう。

けど()()()じゃ()()()と勝手が違うんだ、大人しく話合いをして欲しいんだが……駄目みたいだな。」

 

 

ワンチャン話が通じるかな?とか思った俺が馬鹿でした、グァンゾルムはグルルと牙を剥き明らかに戦闘態勢。

口から炎が漏れてる、こりゃ無理だ。

 

 

「やはり戦闘は避けられんな。レムは後ろで私とグァンゾルムの攻撃が街の方へ届かないようにどうにかカバーしてくれ。

世間知らずのグァンゾルムに礼儀を教えてや…る…?なんだアレは……?」

 

 

いいながら思わず上を見上げてしまった。

何かが空から堕ちてきてる、大きさはそうでもないが…一体何g「ウォロロロロロロロロロロロッッ!!」

 

……聞かなかった事にしたい

 

 

 

ズドオオオオオオンッ!!!

 

 

 

鳥だ!猫だ!タコ焼きだ!いや…海賊だ……

 

 

上空から落下してきたソレはグァンゾルムと俺達の間の地面に着地…もとい激突し勢い良く土煙が上がる。

 

もうもうと立ち込める土煙の中から現れたのは…

 

 

「ウォロロロロロロロッ!!

久し振りだな白蛇ィィッ!!」

 

 

何故かテンションMAXの四皇カイドウだった。

ファッキン……災難は今回もフルスロットルみたいだ。

 

 

「oh......」

 

 

「……誰?」

 

 

絶望に浸る俺の横でキョトンとしているレム。そうか、俺がカイドウを追っ払った時はレムはまだインペルダウンの中だったね。ということはレムはカイドウ初見だ。別にこんな奴と関わる必要無いと思うケド…

こんな奴、とは酷い言いようだが目の前の男は酒の勢いで海軍本部に特攻仕掛けてくる旧日本軍も真っ青なバンザイ精神を持つ奴だ。

海軍本部にはその昔、海賊王の死後猿じゃない方の『金獅子』が攻め込んできたとセンゴクさんがため息交じりに言っていたが……聞けばカイドウはどうしようもない破滅願望を持った狂人らしい、そんな奴と関わってるとロクな事にならないのが目に見えてるよネ。

 

 

カイドウは起き上がるなり俺を見て嗤う、俺は何が何だかさっぱりぱーですよ。急に天から降ってきたんだもん。

 

 

「やぁっと見っけたぜ…お前を見つける度に新世界中に情報網を張ってたのによォ。寝ても覚めてもその姿どころか目撃情報すら影も形も無ェじゃねえか、俺ァ寂しくてよォ。

未来の嫁が一体何処ほっつき歩いてたんだァ?」

 

 

「……オイ、私はお前の嫁になった記憶はこれっぽっちも無いぞ。

いや待てそれ以前に新世界中を探し回ってたのか?ストーカーか貴様。」

 

 

い、色々あり過ぎて整理が追いつかないぞ。

よ…嫁?俺は男だ…いや姿は女だった…

そもそも龍なんだから嫁もクソも無いよね?

 

 

「俺ァお前に負けたあの日からずっと、お前を俺の(もん)にしてぇと考えてたんだ……念願叶ってやっと見つけたぜェ、さあ白蛇ィ!俺と結婚しろォ!!!」

 

 

「断固断るッッ!!」

 

即☆答

 

 

あ、カイドウ信じられないみたいな顔してる。いや当然ですがな。

 

 

「何故だァ!?…指南役のジンラミーには『ストレートに想いを伝えればいい』って教えられたのに…」

 

 

まだ見ぬ指南役ジンラミーさん、要らんこと教えんといて下さい。お陰で俺氏大迷惑被ってます。

 

 

「いきなりやって来て結婚しろとか貴様…時と場所を弁えろ!今はそれどころじゃ『グオオオオオオオッ』ッ!?」

 

 

おバカなやり取りを静観していたグァンゾルムが突然大きく吠え、上空へ飛び上がる。すると砦周辺のエギュラス達が取り囲む様に飛び回り始めた…不味いこれは!

 

 

「『出荷』されるぞ!避けろレムッ!」

 

 

「?了承」

 

 

エギュラス達は砦の四方から一斉にこちらへ向かってダイブ、何かとこちらの背後を取るように飛び掛かる。

このモーションはかの有名な『出荷』だ!グァンゾルムがエギュラス達に命じ、ハンターを掴んで砦の外まで放り出す即死技。

原作ならば防御不能、触れれば即乙確定という非常に悪質な技である!

 

てか明らかにエギュラスの数多い!

原作より凶悪になっとる!

 

 

「掴まれて砦の外まで放り出されるぞ!

おいカイドウ!お前も巻き込まれたなら仕方ない、絶対に飛んでくる蛇竜には当たるな……「うぉッ!?何しやがる!!?離せコラ…あああああぁぁぁぁぁ…」ちょっとーッッ!?!?」

 

言ってるそばからカイドウが数匹のエギュラスに掴まれて放り出されたアアアアアッ!!

高い高い砦のてっぺんから放り出されればまず命は助からない、が…よく考えたらカイドウならピンピンしてそうだし大丈夫…かな?

 

 

「あ の 男 は!ホントにもうまったく!

レム、埒が明かん。エギュラスを凍り付かせて始末しろ!」

 

 

「容易、許容も無く慈悲も無く。」

 

 

「よしやれ!」

 

 

「簡易絶凍瞬間冷却(フリーズドライ)、15%…」

 

 

ふわりと優しい風が吹き抜けた次の瞬間、さっきまで空中を飛び回っていたエギュラス達は次々に氷像に変わっていき、浮力を失ったそれは雨のように砦に降り注ぎ落下の衝撃でバラバラに砕け散った。

 

 

「…上手く加減できた?」

 

 

「ああ、やっと静かになったな。」

 

 

空から降ってくるエギュラス達の凍った亡骸を払いながらほっと一安心、これで即死技は回避した…

嫌な思い出しか無いんだよなアレ…

 

再び龍の咆哮が砦に響く、部下を殺されいよいよ本気を出したのか赤黒い炎を纏いながらグァンゾルムが急降下して降ってきた。

カイドウもいなくなったし、これで存分に戦えるかな?

 

 

「邪魔者は消えた事だし、そろそろ私の説得(物理)を始めようか。私は少しばかり手荒いぞ?」

 

 

正直言おう、グァンゾルムは間違いなく強い。

原作通りなら俺氏やレムもそうだが恐らくこの世界(ワンピース)ではかなり過剰な力を持ってるハズだ。

きっとこのまま放っておいたらひとつなぎの大秘宝どころの騒ぎじゃ無くなってしまうだろう、それは原作崩壊に繋がってしまうので転生者的にマズイ。

だからコイツを止めなきゃ、殺害(討伐)か…降伏か…(簡単に従ってくれるとは思えないが)どちらにしても激戦必死、まあ俺氏は祖龍だしどうにでもなるが…下で戦ってるガープ爺さんやイルミーナ達にまで被害を出さないように注意しないとな。

 

 

「これが最後の警告だ、龍を統べる王。こっちは向こう程好き勝手にはやらせてくれんぞ。

私が導いてやる、今大人しく降伏するなら悪いようにはしない。」

 

 

俺の最終警告にもグァンゾルムは敵意剥き出しの咆哮で応えた、ならば致し方なし。

 

 

 

 

ざわりと俺の身体が大きくなっていくのを感じる。肌は純白の鱗に覆われ、背中からは二本の巨大な翼がそそり立ち広げる度に大きく風が吹き荒れた。

丸太のように太い尻尾も生えてきてグァンゾルムを見下ろすくらい高い位置に視点が伸びる。

 

ここにはもう海軍中将ミラの姿は無い。居るのは伝説の中の伝説、真なる祖龍ミラルーツだ。

この姿に戻る度にやっぱ自分は人間じゃないんだな〜としみじみ思う。

どれだけ人の姿を象って交じっても俺の根本はこちらなのだ、元人間として少しは思う事くらいあるさ。

けどこの姿のお陰でこうしてグァンゾルムを止められるんだから、感謝してるゾ?本当だゾ?

 

ミラルーツを見た途端、少しだけグァンゾルムがたじろいだように見えた気がしたが直ぐに立て直し白亜の巨龍を睨み返した。

 

 

『我が真の姿を見ても尚牙を剥くか帝征龍、その意気や良し。

だが…所詮伝説止まりの貴様では我は超えられん、己の全力を賭して挑むがいい。』

 

 

祖龍特有の甲高い咆哮の後風が勢いよく吹き荒れる、空には暗雲が立ち込め空気がピリリと引き攣るようだ。

祖龍モードで口調(フィルター)も絶好調でございます、じゃあそろそろ…

 

井の中の(カエル)に外の世界の厳しさを教えてあげましょう

 







基本的に五老星はミラの言ったことを深読みする担当です

冒頭にも言いましたが後編は週末辺りに更新します!嘘じゃ無いです!……多分

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