大海原の祖なる龍   作:残骸の獣

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これからも好き勝手書いていくので宜しければご覧下さい





4 祖龍(モドキ)、部下と親睦を深める

 

 

「本日よりこの部隊に配属されました、ミラと申します。

不肖の身ではありますが、どうぞご指導ご鞭撻の程宜しくお願い致します」

 

そうお辞儀をして他の隊員の前に立つ俺氏

 

犬の船首が特長的な軍艦の甲板上、俺は訓練校飛び級で少佐という馬鹿みたいな偉業を成し遂げ晴れてガープ中将の部隊へと配属された。

 

配属される間、ガープ爺さんからおつるっていうおばあちゃんを紹介された。

女性の悩みとか色々相談に乗ってくれる頼れるお人だ、恩は返さねばと色々お礼もしている。

 

 

基本的に少佐クラスの士官がやるのは書類仕事らしい、戦闘はガープ中将が居るしお呼ばれしたらって感じだ。代わりに山のような書類を毎日片付けないといけない。

これも少佐の大事なお仕事…だと思ってました、最初の方は。

 

なんだこれ、殆どガープ中将の放り出した書類じゃねえか!尻拭いさせられてるよ!

 

 

「全く…ガープ中将は…」

 

龍を自分の尻拭いに使うとは、流石英雄である(白眼)

 

根は真面目(自称)な俺氏、渋々ながらも書類の山を片付けていく。

海軍の戦闘による建物の損害請求書…

この船の積荷、物資の積載量とどんな積荷が入っているかの報告書…

積まれている銃、大砲、火薬等の火器管理…

 

そんで終わった頃にふと疑問に思った

 

俺つい先日まで訓練校居たんだよね?内職だけでいいのん?

 

残念ながら俺の転生前は日本人、縦社会で生きていた身だ。入ったばっかりの新入りは階級問わず清掃等をしなければいけないのでは?

 

という訳で己の社畜精神の赴くまま、自主的に甲板の清掃なんかをやっている。

この数十年、もう『人』だった頃の記憶はほとんど残ってないが前述したとおり俺の中の社畜の本能が告げている。「下積み無くして大成なし」と

 

何となく人間としてのモラルとかは覚えてるつもりだ。「大体こうすれば角は立たないよね」くらいではあるけど。あと俺は綺麗好きだし?掃除とか大好きだし?

 

ごしごしーっと

 

 

「ミラ少佐!?一体何を…」

 

 

「ん?ああこの時間の見張り番か。

夜分にご苦労様だ」

 

 

掃除に夢中になって気づかなかったけど後ろに海兵がいたみたいだ、構わずモップを擦る手を動かしながら会話を続ける

 

 

「お辞めくださいミラ少佐!

そんな雑務は我々がやりますので!」

 

 

「まあいいではないか、書類仕事もあらかた終わって暇になったんでな。

船が綺麗になると心も綺麗になるからなあ」

 

 

「ですから我々がやりますってば!

ミラ少佐は座って任せておいて下さい、我々の面目が立ちません!」

 

 

「えぇ〜…仕事を奪われてしまった」

 

 

「そんな残念そうなお顔をなさらないで…」

 

 

残念、モップを取られてしまった…

横暴だぞー?

 

 

「そうか…なら私が出来ることを………そうだ!

キミ、見張り番が終わったら私の部屋に来なさい。大至急!」

 

 

「はあ…了解しました」

 

 

バッチリ約束を取り付けた、そうだアレがあるじゃん!念入りにやってやろう。

 

ルンルン気分で私室に戻った、色々準備しなきゃな

 

 

 

 

モブside

 

 

一緒に見張り番をやっていた同僚がどっかに行っちまった、この後食堂で一緒に飯でも食おうかと思っていたのに

 

見張り中も妙にソワソワしてたし、一体どこに行ったんだ?

 

先に行ったのかと思い食堂まで赴いてみたが結局居なかったし…

他の奴に聞いたら見張り中に新任のミラ少佐と一悶着あったらしい、あいつ何やらかしたんだよ。それで呼び出されて居なかったのか

 

 

新任のミラ少佐、美人だったなあ…

顔も綺麗だしスタイルも抜群だし、男臭い海軍に吹く爽やかな涼風って感じだ。性格もちょっと世間知らずな所があるけど下っ端海兵の俺達にも優しいし。

俺もあんな彼女が欲しいよ

 

 

自室に戻ろうと食堂を後にしたその時、ガープ中将に呼び止められる。

なんか酷く疲れてる様子だった

 

「おう、そこの。カール二等水兵、丁度いい所におった。

コイツをミラのとこまで持っていってくれい、ワシはまだやらんといかん書類仕事が溜まっておるからの。

……全くセンゴクの奴、無断外出の仕置きにしてもこの量は反則じゃろて…」ブツブツ

 

 

「ハッ、承知致しました!」

 

 

何気に名前を覚えられてて嬉しい、ここに入れてよかったなあ…

 

 

言われるがまま書類の束を抱えてミラ少佐の部屋まで急ぐ、扉の前まで来た時部屋の中から妙な物音が聞こえた

 

ギシギシと何かが軋む音…

そっと耳をすませば男女の声が聞こえてくる…

 

『ふふふ…だいぶ溜まっていた様だな、無理もない。』

 

 

『やはり駄目です…お辞め下さい…

少佐殿にこのような事を…ああッ//』

 

 

『ほれほれ~、ココがいいのか?』

 

 

『おおぅ…//少佐殿…自分はもう…』

 

 

『我慢は身体に毒だぞ〜?素直になれ』

 

 

扉越しにそんな会話が聞こえてくる、俺は大いに取り乱した

 

 

なななななな…ナニをやってるんだこの部屋の中で!いやナニなのか?ナニなのか!?

あいつミラ少佐に呼び出されたのはこのためだったのか!お…おのれ…羨まけしからん…ッッ!

 

部屋に入るのが一気に気まずくなっちまった、どうしよう

 

『少佐殿は…誰にでもこのような事をされるのですか?あッ//』

 

 

『そうだなあ…ガープ中将とかセンゴク大将には頼まれて良くやっているな…んッ』

 

 

ガープ中将とセンゴク大将!?よくヤっている!?!?ミラ少佐は年上好きなのか!?おじコンだったのか!?

 

 

『慰労も私の務めだからな、おつるさんなんかも定期的に頼まれていた』

 

 

おつるさん!?おつるさんも!?同性もイけるのかミラ少佐!!

……想像すると吐きそうになった

 

 

『サカズキ中将にも1度だけ…彼も普段から溜まってたんだろうな、それはそれは固くなっていたよ。

……少し強くするぞ』

 

 

あの鬼より厳しいと言われるサカズキ中将にも!?どんだけ節操無いんだミラ少佐!

 

 

『はい…お願いします。ぉぉう…き…気持ちいい〜…』

 

 

『ビリビリするだろ、私の得意技なんだ』

 

 

び…ビリビリ?そんなに具合が良いのか相棒!俺だって…俺だって…ミラ少佐に致して欲しいゾオオオオオッッ!!

 

 

ついに我慢出来なくなって扉をノックした、続けてガープ中将の書類を届けに来た旨を報告する。

 

 

「そうか、ご苦労。入ってこい」

 

 

「ハッ…ハイぃ…!」⤴︎

 

 

思わず声が上ずっちまった

ていうかいいの!?ヤッてる最中なんだろ!?

 

 

「し、失礼します」

 

ガチャり

 

意を決して扉を開けるとそこには…

 

 

「ミ…ミラ少佐ぁ…//自分はもう…あぁッ」

 

 

「普段から立ち仕事ばかりしてるからだ、太股がパンパンだぞ。

次の日まで残さないようにしっかりほぐしてやるから覚悟しておけ」

 

 

「はいぃ…//」

 

 

 

「………は?」

 

 

少佐のベッドにうつ伏せになった相棒と手袋をしてその腰と太股当たりを揉みほぐしているミラ少佐の姿があった

 

 

「ああ、ご苦労さん。

そこに置いといてくれ……どうした変な顔して固まって」

 

 

「………………(呆然)」

 

 

「もしかしてマッサージが羨ましいのか?

仕方ないなーお前も後でやってやる、夕食には遅れるだろうが構わんか?」

 

 

「アッハイ、オネガイシマース…」

 

 

マッサージ…ですか

 

デスヨネ

 

 

この後めちゃくちゃ揉みほぐして貰った。ドチャクソ気持ちよかった……//

 

 

その後、噂が広がって夜の見張り番を立候補するものが殺到したがそれはまた別の話だ…

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………以上が報告になります。

現在はガープの隊にて少佐の地位を得て、色々と活躍しているようです。」

 

 

ミラが少佐になって数ヶ月が経過した。

此処は聖地マリージョア、一般の者が入ることの許されぬ五老星の間。この真っ白でだだっ広い部屋にて、クリップで止めた束の報告書を読み上げるのは時の海軍大将「仏のセンゴク」、そしてその隣には海軍の最高指導者、元帥コングの姿があった。

これ程の地位の2人が冷や汗を書きながら対面するのには理由がある。文字通り世界最高の諜報組織「CP(サイファーポール)」の更に上、世界政府の頂点に君臨する5人の老人達、彼らの前に立つのはそんな途方も無く巨大な存在だ。

 

通称「五老星」

 

彼ら5人の決定は時に国を救い、如何なる巨大な組織をも滅ぼし、巨大な手足(海軍、CP)を使って世界の均衡を保ってきた

 

 

「龍……か」

 

 

重々しい空気に包まれながら五老星の1人が呟いた

それだけで部屋の空気がズシリと重くなる

 

 

「ミラと言ったか?その龍は。

彼女に反逆の意思等は見えたか?」

 

 

「いえ、見る限りではまったく。むしろ海軍の仕事を楽しんでいるようにも見えました」

 

 

「自ら組織に縛られるか、一体何を考えているのやら…」

 

 

「スパイのように組織に入り込み、内側から崩壊させる算段なのでは?」

 

 

「相手は龍だ、そんな回りくどい真似をせずとも我々など木っ端の様に殺せる。センゴク、かの龍に反逆の意思はないと言ったな。何故そう思う」

 

 

「ハッ、彼女は人間社会に溶け込もうと努力していると言っていました。龍の力を使えば人間を懐柔するなど容易な筈。敢えてそれをせず、素の自分で正面から我々に向かって来ている。そう感じた次第です」

 

 

センゴクはミラを庇うつもりは無い。だが目上の人に対する敬語に苦労したり、力加減を覚えたりと人間社会に適応する為に日頃彼女が苦労しているのを見たセンゴクは、少なくともこちらに敵意は無いと判断した

 

 

「ふむ、よろしい。センゴクの考えは伝わった。

コング、君はどうかね?」

 

 

「彼女は思慮深い、ただ破壊を目的に俺達に近づいてきたのなら直ぐに分かりますがミラは違う。

手探りで俺達の反応を探っているような感じですな」

 

 

「かの龍は見定めている訳か、我々の判断を…」

 

 

五老星は少し思案し、2人に決断を下す

 

 

「コング、そしてセンゴクよ。

龍の行動を逐一監視し、どんな小さな事でも我々に報告せよ。彼女がいつまでも味方でいてくれる保障はないが敵でなく、海兵として振舞ってくれるのならそれに越したことは無い。」

 

 

「「ハッ!!」」

 

 

コングとセンゴクは報告を終え、部屋から出ていった。

神妙な面持ちで五老星は再び言葉を紡ぐ

 

 

「近い内に直接話す必要があるな」

 

「ああ、果たしてどうなる事やら…」

 

「『彼等』の事を問い詰められると不味いな、アレに関しては我々に非しか無い」

 

「その時は…覚悟を決めよう」

 

「龍との謁見など人生で初めてだが…さて?」

 

 

5人は不安を隠せないでいた。相手は龍、何が起こっても不思議では無い。出会い頭に食い殺されてしまう可能性すらありえる中、それでも五老星は直接話し合う道を選んだ。

 

全ては均衡を保つため、その為ならば自身の命すら投げ出す覚悟である

 

人の歴史を終わらせぬため、今日も五老星は水面下で最善を尽くす

 

 






遂に五老星に目を付けられるミラ、なお本人は遊び感覚で海軍に入った模様。
過大評価と盛大な勘違いの災難が降りかかる祖龍の明日はどっちだ!?

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