連載版 僕のヒーローアカデミア~希望の娘と絶望の転生者~ 作:アゲイン
父、演説をする
そんな十四話でございます
「ご存じの通り私は敵としてかつて活動していた経歴があるが、この度復職した次第だ。理由は言えないが君たちも興味はあるまい。重要なのは君たちがここに、この『才改学園』にいるのかということだろう」
ここに集められたのはある共通点を持った人々だ。この特徴を持つ人間特有の暗く落ち込んだ瞳をしているじゃないか。うむ、よい目だ。まさに絶望だね。
「まどろっこしい言い回しは止しにして、改めてようこそ、『無個性』の諸君」
私のその物言いに目に見えて顔をしかめ、さらに深く闇を纏う彼らだが、まだまだ傷を抉る言葉は用意している。まずは聞いてもらおうじゃいか。
「君たちはこの超人社会においてマイノリティーに位置し、その地位は低い。なぜならば、君たちが『無個性』であるからだ。『個性』持ちと比較して能力がパッとしない諸君は世間の評価を正当に受けていると言えるのか? そんな自身との価値観のギャップに悩んだすえに怪しい広告に引っ掛かったのが君たちだ!」
彼らが使っている通信機器にスパムメールの如く送りつけたそれを信じこんなとこまで来ちゃってまあ、よっぽど切羽詰まっていたんだね。大丈夫、悪党の勧誘だよ。
「なんでこんな世界になったのか。そう、『個性』を持つ者達が裏に表に蔓延っているからだ! それを持っている奴等がテレビに新聞にSNSに、どこにだって我が物顔で、当たり前みたいに居座っている。そんな世界で、社会で、どうして君たちが羽ばたけようか」
君たちが悪いということはないし、別にそこはどうでもいいのだ。言いたいことはそこではない。
「---納得できるかね」
ピクリ、と。
事実を再確認し、顔を床に向けて前を見ることすら放棄していた彼らが、その言葉に反応する。
「人生とは、諦めの連続だ。妥協して生きればそれなりの最後を迎えられる。だが、それでいいと。そう納得できるのかね。自らの価値を示すことなくそこいらの屑石と同じ扱いでいいと、そう思って死ねるかね?」
『『---良いわけねぇだろ!!』』
瞬間爆発するように弾ける館内。あまりの声量によりビリビリとした振動が私を襲う。そうだ、こうでなくては。
「その通りだ諸君! 『納得は全てに優先される』のだ! そうでない君たちが、どうしてその生を全うできると思ってるんだこの世界の連中は!」
故に示そう。君たちに、行くべき道を。
「君たちがこれからすることは、これまでの人生でもっとも難しいことだ。それは今までの『自分を乗り越える』ことだ! 覚悟を持って、『暗闇の荒野で行くべき道を自ら切り開く』ことだ! 今こそ『未熟な過去に打ち勝つ』時が来たのだ!!」
『『『ゥオオォォオオーーーーーー!!!!!』』』
どうだオールマイト、そして我が娘よ。
この熱狂する彼らを見たらどう思う。
お前達の『正義』で救えない彼らを救い、その絶望と才能によって相対しよう。
そして尚、救って見せるがいい。お前達の『希望』とやらでね。
「未来を守る、奪う奴等に、『個性』という武器を持つ彼らに、『才能』によって打ち勝とうではないか!」
そのための学園。そのための組織。
「この学園は、君たちの『才能を改め』、人生を『再開』させるためのものである! 励めよ諸君!! 我々は、諸君らのその才能をこそ望むのだ!!」
『『『『はいっ!!』』』』
よろしい。
「これにて学園長からの挨拶とさせていただこう。それでは」
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