連載版 僕のヒーローアカデミア~希望の娘と絶望の転生者~   作:アゲイン

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どうもアゲインと申します

一人目はこの男、斑目の戦い
そんな二十八話でございます


USJの三人衆 バスケの斑目

 才改学園よりの尖兵たちは各々の役割を果たすべく、その才能と能力をのびのびと行使していた。

 

 連絡役の足止めをしている斑目も、今まで感じたことがないような高揚感を隠すことなく、溌剌とした動きをみせていた。

 

「はっはーー! どうしたどうした!! 鈍いじゃねーの!!!」

「くそっ!」

 

 上下左右から自身を抜き去ろうとする飯田の動きを阻害する。速度の変動のタイミングを見抜いて転倒させては振り出しに戻るといったことを繰り返している。

 

「この『超高校級のスウィングマン』を相手にすんなら! もっと激しく来いよ!!」

「ぐぅっ!」

 

 打ち倒そうとする蹴撃を軽やかに避けてはバランスを崩していく。攻防のやりとりをするなかで、相手のフィジカル、テクニックといった能力値を浮き彫りにしていく斑目。すでに十分もの時間が経とうとしているが、こちらの動きを上回る様子は見受けられない。どうやら経験不足のようであることが斑目にはありありと感じられた。

 

「あらっ・・・よ!!」

「うおぉ!?」

 

 ステップを交えた動きでラリアットをするように相手を大きく吹き飛ばした斑目であったが、自分を脅かすほどではないと、どうせだからと構えを解いて質問をすることにした。

 

 

「よう兄ちゃん。どうだい諦めねぇか?」

「何を言っている!?」

「だってよぉ。お前さん、いい加減俺を越えなきゃ増援を呼んでも時間切れになっちまうじゃねぇか。わからねぇことじゃないと思ってんだけど?」

「そんなことにはさせない!! 俺は自分の役割を果たす! みんなのためにもだ!」

「正義感・・・てやつかい。くだんねぇなあ」

 

 斑目は頭をふりかぶり、呆れた様子を見せつける。それを見せられている飯田はそれはもう怒り心頭といった具合だ。それでもやるべきことを忘れるべきではないと必死になって考える。現状を打開するための手段はないか、仮面に隠した目線を巡らして

 

「おい」

「っ!?」

 

 耳に届いた斑目の声、いつの間に自分の目の前にと思考すれど間に合わず、いかな技術かいとも簡単に地面へとうつ伏せに叩き潰されてしまう。

 

「ぐはっ!?」

 

 衝撃が胸を打ち思わず呻き声があがってしまう飯田。その痛みに気をとられていると背中にのし掛かってくるような重量を感じ、身動きできなくされている。

 

「よっこいしょい」

「ど、どけろ!」

「やなこったい」

 

 どかせようとする飯田の動きを押さえ込むようにガッチリと拘束を固める斑目。

 

「まあ聞けって。ある意味あんたは運がいいんだぜ。俺はおしゃべりなんでな、きちんと聞いときゃ俺らの情報が労せず手に入るんだぜ」

「お、お前は!」

「おっと、別に裏切りでも何でもねぇ。俺は心の底から学園長を尊敬してる。これは情けだよ。だらしねぇお前さんにお情けできかせてやんのさ」

「くそっ!」

 

 悪態をつく飯田のことを無視するように、斑目は口を開いて揚々と喋り出す。

 

「まず俺らが所属してんのは無個性の集団なのよ。いくらか例外はあるが全体のほとんどを俺みたいなやつが占めてる」

「む、無個性!?」

「驚いたか、驚いたろ! はっ! いいぜお前の態度。エリートのそんな反応がこうも簡単に見れるなんて、さすがは学園長だ!」

 

 飯田は自分を封じ込んでいるこの男が無個性であることに何より驚いていた。自身の個性である『エンジン』に、素の身体能力で付いてくるばかりか上回っているのだ。その驚愕はかなりのものである。

 その様子がおもしろいのか、さらにテンションを上げていく斑目。

 

「今まで社会の底辺で踏みつけられていた俺たちに、あの人だけが手を差し伸べてくれた。

 あの人だけだ!

 俺たちに生き方を、戦い方を、抗い方を教えてくれたのは!!」

「・・・・・・」

 

 圧倒される。

 なによりもその声に宿るその想いにだ。

 飯田はしばし目的を忘れ、その声に耳を傾けてしまう。自分でも分からないが、ここで振り払うことが正解とは思えなかったのだ。

 

「泥にまみれた生活を! 親に見放される人生を! 必死に自分に言い聞かせて耐えてきた!! でもあの人だけは、胸の内に溢れるこの黒い感情を肯定してくれた!!」

 

 叫ぶように、何度となく周りに響く。

 それを向けられているのは自分だというのに、飯田はまるで自分ではない誰かに訴えているような、そんな思いが浮かんでくる。

 

 本当にこの男は敵なのか。

 

 そんな考えに囚われてしまった飯田は、救援を求めることにさらに時間を掛けてしまうことになる。

 その分だけ味方を苦しめてしまうのに、彼はそれでも動けないでいた。




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