連載版 僕のヒーローアカデミア~希望の娘と絶望の転生者~   作:アゲイン

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どうもアゲインと申します

変化する戦場、それぞれの動き
そんな三十一話でございます

また、活動報告のほうでご挨拶がありますのでよろしければご覧ください


反撃の狼煙 新たなる脅威

 三人衆それぞれが自身の役割を果たしているなかで、一番最初に変化があったのは斑目のところであった。

 

「こなくそーーーー!!!」

「うおっ!?」

 

 うつ伏せで拘束されていた飯田は自身の個性である『エンジン』の特徴である足から延びる排気管から気体を噴出。それにより全く警戒していない刺激を食らった斑目は拘束を緩ませてしまい、その隙に飯田は拘束から逃れる。

 

「---君の境遇に対して同情する点はある! しかし今俺がするべきことは仲間を助けることだ!」

 

 それだけ言い残し、飯田は加速を重ね瞬く間に姿を縮ませていく。斑目が確認したときにはすでに遥か先、追い付くことはできない距離が開いていた。

 

「あーークソ! やられちまった!!」

 

 悔しそうな表情で地面に寝そべる斑目。汚れることを気にすることなく体を左右に振るい、その感情を発散させようとしている。

 

「まあでも二十分以上は確実に稼げたんだ。2クォーターは仕事ができたと考えりゃ、一人の戦果としちゃまずまずだろ」

 

 切り替えが早いのかすっぱりと次の行動に移る。彼は転がっていたボールを回収して首に掛けていたドックタグのようなものに向けて話しかける。

 

「やっほー御鏡ちゃん、聞こえてるー?」

『はい、聞こえてますよ』

 

 そこから響いてくるのは同胞、御鏡 ミラの声。帰還の手段として彼女の個性を使用するためにこうした形で鏡を所持していたのである。

 

「そんじゃ頼むぜ」

『分かりました。すぐにお連れしますね』

 

 そして光が鏡より溢れて斑目の体を包み、収まったときにはドックタグを残して彼の姿は消えていた。

 彼女の個性、『鏡面世界』は出入り口とした鏡は持ち込めない性質を持っているためこうして残ってしまうのだが、それについては対策として鏡に消滅機能が備わっている。才改学園に抜かりはないのだ。

 

 こうして斑目は一足先に役目を終え、帰還を果たすのだった。

 

 

 

 

「---くらああああえええ!」

 

 二丁の銃声を上回るかのような絶叫が辺り一帯に響いている。もちろん正気ではい。彼女、紅厳院は今だかつてない屈辱によって怒り狂っていた。

 

「私は私を傷つける奴を許さない! 許さない!!」

 

 無論それだけでここまでにはならない。彼女が怒っているのはそれが髪だったからだ。

 才能を見いだされる前の彼女にとって、唯一誇れるものはその美しい髪だけだった。絶望のなかにあってそれだけを支えに生きてきたのだ。

 壮絶ないじめにあっても精神を歪ませるだけで済んだのはそれがあったからっだった。

 だからこそ、それを焼いたあのガキとその仲間は許せない。絶対に許せないのだ。 

 

「脳みそ地面にブチまけやがれクソガキどもがーーー!!!」

 

 (その距離じゃでき)ないです。

 マグナムとはいえゴム弾。威力があろうともゴム弾ではこの距離は厳しい。激しい痛みを与えはすれど前衛を固めている面々を突破するほどではないのだ。

 そしてそんな状態で打ちまくれば必然的に。

 

「・・・・・・あ、マズ」

 

 ガチ、という音が両方の銃から聞こえた。体感からして体に仕込んだ銃弾が尽きたことを悟る紅厳院。彼女の判断は早かった。

 

「帰るわ」

「え、はっ?」

 

 一瞬にして冷静になった彼女はすぐさま黒霧に帰還を要請した。いきなりの物言いについていけない黒霧。しかしそんなことはどうでもいいとばかりに紅厳院はせかす。

 

「仕事はここまでってことよ。早くしてくれる?」

「いやいやいや幾らなんでも」

「や・れ」

「はい」

 

 恐ろしいまでの殺気によって黒霧は抵抗の意思をなくした。逆らってはならぬと本能が叫んだのだ。しょうがないことである。

 黒霧は人一人が通れる程度のゲートを作った。

 それに満足げな顔をしながらそれを通ろうとするときに雄英側から声が上がる。

 

「逃げんのかクソ女!!」

 

 銃撃をくらいダウンしていた爆豪が回復し、忌々しい相手が自分の前から去ろうとしているのを見た彼は咄嗟にそう叫んでいた。

 

「ーーーふざけんじゃないわよ」

 

 それに応えたのは底冷えするような殺意の篭った紅厳院の声。雄英側には今背中しか見えていないが浮かべているだろう表情を容易く想像できてしまう。

 

「今の装備じゃ殺せない。そういう指示も出ていない。組織に属する以上勝手はできないの。あのお方が望んでおられないことを私がするわけにはいかないし。これは矜持よ。今はできなくてもいずれ必ず殺すわ」

 

 じゃ、そういうことで。

 

 それだけ言い残し、紅厳院 朱美はその場から姿を消した。脅威としての記憶だけ与えその場を大いに乱したにも関わらず、あまりにも呆気ない退場だった。

 

「・・・どうしろというのだ」

 

 その場に残された黒霧は、なんかもう、疲れていた。ただ、それだけだった。

 

 

 

 

「かぁっ!!!」

「はぁっっ!!!」

 

 お互いに動き回り斬り合いを続けてはその過程で傷を増やし、両者共にボロボロになっていた。

 それでも止まらずに勝負を続ける彼らは、自分たち以外の大きな力の出現に反応し、その方向へと視線を向けた。

 

 そこには異形、という他ない存在が死柄木へと迫っていた相澤を攻撃しているところであった。

 

「・・・あれが脳無か」

 

 それを見た宮造は戦いの手を止める。

 

「あれは・・・」

「敵の首魁が用意した切り札とか。あれによってオールマイトを打倒するのが本来の目的でした」

 

 希の疑問に答える宮造。そこには情報を開示するのになんら躊躇はない。所詮は別の勢力、ばれても困らない情報だ。それより。

 

「お行きなされ」

「・・・いいの?」

「ええ、決着はいずれ。今はあなたの成したいことを」

「ありがとう」

 

 交わした会話は短く、しかしその意思は確かに通っていた。宮造は彼女の助けたいという気持ちを察し、それに希は感謝をして駆け出す。

 一目見てその脅威が分かるあの異形に迷わず立ち向かっていこうとするその姿を後ろから眺めながら、宮造は懐から鏡を取り出す。彼も斑目同様に御鏡の個性にて帰還する。

 

 

 

 こうして才改学園からの刺客はそれぞれの役割を存分に果たし、その脅威を示しながらも襲撃の途中でその姿を消したのだった。




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