連載版 僕のヒーローアカデミア~希望の娘と絶望の転生者~ 作:アゲイン
相澤危機一髪、娘の必殺技
そんな三十二話でございます
また、活動報告のほうでご報告と記念企画みたいなものをについて書いております
よろしければご覧ください
「(油断したっ・・・・・・!)」
もうこれ以上の増援はないと決めつけて相手を見誤った。この敵の力量から、勝手にそう思い込んでいた。
相澤は自身の片腕を捻り上げられ、地面に押さえつけるその黒い異形の圧倒的な力によって身動きを完全に封じられていた。
「どうだいヒーロー。すげぇだろ!」
先程までとは立場が逆になったことで自由となった死柄木は、得意気に話を始める。
「そいつは脳無と言ってな、対オールマイト用に準備した奴だ。確実にオールマイトを殺すことができる!!」
そう語る彼の目は愉悦に染まり、その声に乗る感情も余裕の現れか昂りを感じるものとなっている。
それを下から見上げる相澤は拘束による痛みによって起こる呻きを押さえることしかできず、歯を食いしばってそれを耐える。
「・・・それにしては関係のない奴等がいたようだが」
「はっ! あんなのに期待なんてしてねぇよ! ムカつく野郎に無理矢理入れさせられただけだ」
最初に希望ヶ峰がその攻撃を防がれてから、二人だけでの攻防を繰り広げていたあの男。相手をしている希望ヶ峰から語られたその男の背後で蠢く存在。
希望ヶ峰 絶
そいつがただの戦闘員を送り込んできたとは思えない。だが、この主犯の態度を見る限りどうもおかしい。まるでその存在を嫌っているかのようなこの反応。
「まあいい。お前もここで死ね」
「くっ・・・!」
思考を妨げるように首を絞める力が強まる。このまま絞め殺すつもりらしい。抵抗しようにもこの剛力では動くことなどできない。意識が遠くなるなかで、それは突然起こった。
「------っ!!?」
相澤が霞む意識の中で聞こえたのは誰かが驚愕したような声。そして急に消えた体の重みと拘束の痛み。
「・・・ごほっ!?・・・・・・がはっ!?」
締め付けられた反動か、噎せかえる相澤。苦しみから解放されて見上げればそこには背を向けて立つのは、一人の少女。
「---おまたせ」
希望ヶ峰 希が、悠然とその場に立ち向かっていた。
◆
父からの刺客、宮造との戦いを中断して急いで駆け寄ったはいいものの、この状況をどうするべきかと思案する。
先生を拘束しているほうはちょっとやそっとではどうにもならなそう。直接解放させるにはとれる手段が物騒に過ぎる。やれなくはないが先生に被害が出るやり方は却下しなければ。
となれば。
「滅殺」
「ぐおあ!!!?」
必殺のぞみんキックは変な装飾を全身につけた敵の集団のボスと言われていた変態野郎に深々と突き刺さった。
加速機能をフルに活用した一撃。
のぞみんキックは決着をつけるによし、奇襲によしの必殺技である。食らえばただではすまないけど範囲は足のサイズのまま、余計な被害は出さないこの状況にぴったりの技と言えるだろう。
「---脳無!!」
吹き飛ばされた手首マンは負傷した腹部を押さえながら、それでもあの異形に指示を出して迎撃をさせる。
よし、予定通りだ。
すごい勢いで振り回されるその太い腕から逃れ、先生を背にするように構える。
「おまたせ」
「・・・・・・じゃじゃ馬が。おまたせじゃないだろうが」
ふらつきながらもそんな風に毒づいて立ち上がる相澤先生。
どうやらまだ元気らしい。よかった、一人じゃどうにも決定打がないところだったので助かる。
「時間を稼げますか?」
「舐めるな小娘」
疲弊を感じさせない言葉で応える相澤先生はしっかりとした足取りでわたしの横に並ぶ。
「そっちの用は済んだのか?」
「うん」
「後できっちり説明してもらうぞ」
「覚悟は出来てる」
そう言い切ったわたしの反応に、先生は呆れたような笑いを一つ漏らしてすぐに戦闘態勢に意識を集中させる。
わたしもブレードを構え直し、巨躯の異形へと戦意を向ける。
「遅れるなよ小娘」
「先生こそ」
「はっ。・・・・・・だったらいくぞ!!」
わたしたちはそれを合図に駆け出した。
「・・・・・・ふざけやがってっ!! 脳無! 奴等を潰せぇえええ!!」
それを見た相手は激昂を露にし、その脅威をわたしたちに差し向ける。
指示された事柄を忠実に守るロボットのように、脳無と呼ばれた暴力の塊がその力を振るいだす。容易く命を砕くその怪人に向かい、わたしはさらに加速した。
読了ありがとうございました
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