連載版 僕のヒーローアカデミア~希望の娘と絶望の転生者~   作:アゲイン

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どうもアゲインと申します

この話は総合評価300突破記念のものです
キャラクター原案 ナマケモノ改Ⅱ様 ご提供のものです

流れた動画によって動く世界の一場面
そんなサイドストーリーでございます

前話の通常話から読んでいただくと話の流れがよろしいかと
ご注意ください


SS:世界を動かす絶望は俄に語る

 その動画は内容に関わらず、いやむしろだからこそ爆発的に人々の間に広まっていった。

 

 超人社会の象徴ともいえるヒーローを育てる雄英高校。ヒーロー科と呼ばれる金の卵たちが、敷地内の設備にて授業を受けているところからそれは始まった。

 彼らの前に現れたのは、大勢の敵たち。転移系の個性によって出現した彼らのよって、たちまちそこは戦場と化した。

 

 その映像に移る敵の中には、それまでと明らかに違う存在がおり、映像もその者たちを中心に映していた。

 

「・・・これが、無個性の動きなのか?」

 

 私、指方(さしかた ) (まなぶ)はその映像に映る自らを無個性と名乗る子供たちを見ながら、なんとも言えない気持ちになっていた。

 

 

「凄いだろう彼らは」

「っ!?」

 

 

 その時だ。

 自分以外誰も居ないはずの室内から別の人物の声が聞こえた。映像からではない。背後から確かに、しっかりと聞こえた!

 

 暗い部屋の影から、声の主が一歩、また一歩と姿を露にしていく。画面の光に照らされて、ようやくその全貌が明らかになった瞬間。私は生涯で感じることがないような恐怖を覚えた。

 

「あ、あなたは・・・!?」

「おや、知っているはずだろう?」

 

 ああ、そうだ。

 確かに私はこの男を知っている。

 裏切り者、快楽犯罪者、頭脳犯。

 様々な呼び名を持つこの男は、されどそのヒーローの名残が一番有名で。

 

「モノクローム・・・・・・」

「YES I am!」

 

 指を振り腕を振り、特異な動作を交えて肯定するそのやり方。まさしく彼はモノクロームその人。

 元ヒーローにして敵という異色の経歴を持ち。

 そして---

 

 

 ---わたしが長年出会いを渇望した男である。

 

 

◆ 

 

 

「やあ、しかし、こうして初対面を迎えた訳だが・・・どうだい、なにか感想はあるかい?」

 

 私が出した紅茶を疑うでもなく口にし、全く警戒をしていない様子を見せるモノクローム。

 こっちはヒヤヒヤものだというのに、やはり大物の敵だ。態度にまるで遠慮がない。

 

「・・・・・・では、いくらか質問を交えて」

 

 しかし、発言を許可してもらえたのは行幸といえるだろう。長年の望みが叶うのだ。この機会を逃すわけにはいかない。

 

「私は長年あなたを追い、その足跡を辿ってきました。あなたの活動は日の当たるものではありませんでしたが、確かにそこには正義があった。なのになぜ、敵になったのです?」

「それに答えるには長い時間がかかるだろう。手短にいうのなら、ヒーローが救えるものが限られたものだということと、つまらなくなった、ということさ」

「つまらなく?」

「そう、だってあいつら、つまんないじゃないか」

 

 カップを置いてこちらの見るその瞳には、複雑な感情が入り乱れて読み取ることが難しい。だがそこには確かに信念と、それに匹敵する絶望が存在していることだけはわかった。

 

「・・・では、次に。この映像はあなたの差し金ですか?」

 

 私はそのことについて、それ以上は聞き出せないことがわかったので、出回っている雄英襲撃の映像について質問した。

 

「その通りさ。まあ私の主導ではないがね」

「ではこの無個性の子達は」

「私の生徒だよ」

「生徒?」

 

 確かに彼らの名乗りには必ず『才改学園』という単語が含まれていた。まさか本当に、この男が・・・・・・?

 

「重なるかい? 君の子供に」

「っ!? なぜそれを!!」

 

 私は思わず席を立ち上がった。それほどの驚きだった。

 それを知るものは本当に僅かしか存在しないというのに、赤の他人のこの男が何故そのことを!

 

「過激派集団、謎の爆破により全滅。だったかな」

「・・・・・・」

「選民思考の強い奴等が行った悲惨な事件として、『無個性狩り』と呼ばれる事件があった。彼らは個性至上主義を掲げ無個性の者を世界に適合できなかった不良品と見なして凄惨の限りを尽くした」

「・・・・・・っ」

「その中には妊婦もおり、彼らの容赦のなさを全世界へと見せつけた。この事態に警察、ヒーロー両面からの全力の捜査があったにも関わらず過激派はその足取りを掴ませることなく姿を眩ました」

「・・・・・・もう、いい」

「しかし事態は急変する。山奥に存在していた過激派の集会所が謎の爆発により木っ端微塵に。中にいた過激派は一人残らず全滅だ。爆破の原因は爆弾によるものとされたが、実行犯は分からずじまい。一応の解決を向かえたとして人々の記憶から」

「もういい!!!」

 

 ・・・・・・私は耐えきれずに叫び、続きを遮った。

 

 いくら時間が経とうとも、誰もが忘れようとも、私は、私だけはあの事件を忘れはしない。

 手を握りしめ、歯を食い縛る私に、彼はそれまで通りに話をする。

 

「ご冥福を、深く、お祈りするよ。どうか君の愛するものが苦しみから解放されることを」

「・・・・・・勝手なことを」

 

 だが、怒りと後悔に支配された私は、その言葉が許せなくて、許せなくて、気づけば座る彼の首を締め上げて立たせていた。

 

「勝手なことをいうな! 苦しみから解放されるだと? そんなことが、彼女たちにあると思うか!! 

 ずっとだ!

 ずっと、彼女は苦しんでいる!

 彼女の、私の子供は空を見ることなく海を知ることなく風を感じることなく・・・希望を持つことなく惨たらしく殺された!!

 そんな二人が、苦しみから解放されるなんてあるわけがないんだよ!!

 何故だ!

 何故あのとき、あなたは居てくれなかった!

 天才なんだろう?

 ヒーローだったんだろう?

 ならば何故、彼女を・・・二人を助けてくれなかったんだ!!!」

 

 

 はぁ、はぁ、と私の荒い息だけが部屋に響いた。久々にこんな大声を出した。

 黙って私の叫びを聞いていた彼の首に延びている自分の手に今更ながら気がつき、慌てて離そうとする。

 まずい、気が動転してやり過ぎた。急いで謝らなければ。

 そうした考えをよそに、彼は離れていく私の手を、急に掴んだ。

 

「な、何を!?」

「素晴らしい」

 

 締め付けられていたダメージを感じさせないはっきりとした発音で喋る。私を見つめるその目には、蛮行を非難するようなものはなく、代わりにようやく見つけたとでもいうような、そんな輝きを放っていた。

 

「君のような人材を、私は探していたのだ」

「私のような?」

「そうだ!」

 

 彼は身を翻すと大袈裟な身ぶり手振りを繰り出しながら口を動かす。

 

「改めて自己紹介をしよう!

 私はモノクローム! 才改学園の学園長なのだ!

 私は常に同胞を求めている。それもより世界に絶望した者をだ。

 君の絶望、我が学園に迎え入れるに足る人材と見た。

 

 故に聞こう。 

 指方 学君。

 君を、我が才改学園が招こう」

 

 それはあまりにもな提案だった。

 

「・・・私に、悪の道を逝けと」

「すでに君は復讐者だ。その道は険しく、なによりも尽きぬ精神がなければ成り立たない。それを果たした君は、それでもまだその道を歩んでいる。それは、納得がいかないからさ」

 

 納得。

 彼を追うなかで、何度か聞いた言葉だ。

 確かに、と思うことが多い彼の言葉のなかで一番印象に残っている。

 

「家族二人の死に、君は全然納得がいっていない。

 だからこうして私なんかを追っているんだ。

 なにかを追うことに意味はない。追い越して初めて意味を成す。

 幻影さ。なにもないんだ。その先にしか本当は見えない」

「・・・置いていけと?

 私に二人を、苦しみに縛られた妻子を、置いて進めと?」

「覚悟だ。人間の成長には善であれ悪であれ、覚悟がなければならない。

 痛みを背負って進め。君は、二人分の苦しみを背負って、その重みを世界に示す道がある」

 

 重ねられた言葉は、ストンと私の中に収まった。

 結局私は、『誰かのせい』にして、そこから動けずにいたのだ。

 世界が私たちの惨劇を忘れるというなら、私は示すべきだったのだ。

 怒りを、苦しみを、後悔を、なによりも愛を。

 

「・・・できますか、私に」

「できるさ。その絶望こそを私は望む」

 

 そうか。だから私は、この人を追っていたのだ。

 この、漆黒の意思とでもいうべき人間性に、私は惹かれていたのかもしれない。

 

「・・・・・・よろしくお願いします。学園長」

「ようこそ、男の世界へ」

 

 この日から、私は完全に日の元に存在しなくなった。

 私は指方 学。

 才改学園の教師にして、『超超人級の講師』。

 世界への復讐を望む、絶望の徒である。




読了ありがとうございました
感想など大歓迎ですので遠慮なくお願いします

こういったものはこれからも書いていくつもりです
活動報告のほうで募集の告知を行いますので興味のあるかたは気軽に連絡していただければできる限り対応します
これからも頑張りますので、応援よろしくお願いいたします
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