連載版 僕のヒーローアカデミア~希望の娘と絶望の転生者~ 作:アゲイン
希望の前には困難がなければならない・・・!
そんな五十四話でございます
訓練二日目、放課後。
前日の軽い手合わせを除けば、まともな訓練がようやく始まったといえる。
爆豪、伊留御は事前に示し合わせた訓練場にて希の到着を待っていた。
『ちょっと待ってて』
それだけ告げた希は二人を先行させ、どこぞに姿を眩ませたのだ。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
正直、気まずい。
そもそもが同じような粗暴さを持つ二人だが、友好などこれまでほとんどなかった。
お互いに自分から話をするような性質ではなくなっている。
爆豪は緑谷との関係性による葛藤故。
伊留御は折れた鼻っ柱のため。
自分を内面を表に出すことに戸惑いを覚える感覚。まさしくボッチの思考である。
会話という最大のコミュニケーションをとることを今まで放棄してきた。自分中心で動いてきたツケともいえる。
周りの視線ではなく、特定の相手との力関係の変化が原因といよう。
そんな二人が共に訓練を行うとしても、積極的に話しかけるということはなかった。
「おまたせ」
「「---いや、まったく!!」」
まあ、それも希が来るまでであった。
似た者同士、言うタイミングすら同じであった。
伊留御にいたっては『きた! メイン盾きた! これで勝つる!』と希の到来に感謝すらしていた。
「・・・? まあいいや」
なんか変な二人だな。というぐらいにしか希は思っていない。
この娘もボッチの素質があるものの、父親の強い個性が耐性を作り人見知りなどしない。あの強烈な父親の前ではほとんどの人間が凡人である。
臆せず攻める。
友好関係を広げるのに躊躇などなかった。
「今回から本格的な訓練に入るよ」
「・・・ああ、頼む」
爆豪のやる気を確認した希は軽く頷き返し、
『ゴウン・・・ゴウン・・・!!』
あまりに巨大な物体の移動に伴う轟音。
地面とそれの軋みによって起こる嫌な音が伴奏が加わり、殊更その異様さを際立たせる。
学校という環境において見ることなどない
「これが、あなたの壁だ」
巨大トレーラー。
コンボイとも呼ばれる大型輸送用車両が、黒い猛獣がごとき威圧を放ってその存在を露にしていた。
「・・・・・・」
爆豪、唖然。
圧倒的・・・唖然・・・!
肝をブッコ抜かれたと言っていい!!
基礎を鍛える。
その宣言から飛び出してきたこのモンスターの存在に、完璧に思考をぶっ飛ばされる。
「・・・・・・」
伊留御、驚愕。
ただただ驚愕・・・!
とんでもない女であると認識していたが軽く越えてきた。
想像できようはずもないことを仕出かされ、
しかしそれもまた認識不足であることをこのあと知るのだ。
「明ちゃん。展開せよ」
『ラジャーです!!』
トレーラーから知らない声が響いたかと思えば、途端に変貌を遂げていく荷台。
壁が割れ、その後ろから支えるようにして小型の運搬ロボが訓練場に展開していく。
恐ろしいほど迅速な動きで展開を終え、瞬く間に陣を構築した。
「こいつは・・・・・・」
空白となっいた思考が回復し、現実を見ることができるようになった爆豪の目の間にはロボと壁にて作られた特設会場の姿が。
「開発科所属の発目 明共同のもと、どんな環境でも対応できるように開発した訓練用変形トレーラー。
その名も『コンボイの謎』
これであなたの心身を鍛える」
クソゲーの予感しかしねぇ。
「では始めよう。
死(ぬかもしれないシゴキ)と苦しみ(とか)に満ちたゲームをな・・・」
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