幻想郷
そこは忘れられたもの達の最後の楽園
人、妖怪、悪魔、幽霊、神...何ならガラクタでもいい...
全てのものを無条件に受け入れ、そして共存する
...クックック...
ん?何がそんなに可笑しいかって?
それは勿論、こんな矛盾した世界が存在している事が...いや、愚かにも完全にそれが成立していると錯覚している、幻想郷の主がね...
おっと、勘違いしないで欲しい。幻想郷は確かに素晴らしい世界だ。
矛盾した世界が何百年と続いている
これだけでも評価するに値するものだ。こんなことが出来るのは正しく天才だ。
ただ、その天才が初歩的な事を忘れているのがね...
ん?そう言うお前は誰だって?
そうだね...私は語り手、言わばナレーションだ
...なんだね、その不満そうな顔は...
どうせあれだろう、「お前絶対嘘ついてるだろ?!」って思ってるのだろう?
安心してくれ、私は嘘は言っていない
勿論、真実もまだ言っていないのだがね
今はまだナレーションでしかないのは確かだ
...出来れば私が出てこない事を祈っておいてくれ
さて、私が語り手と言うことはつまり、語るべき物語があると言うことだ
そう、今回は幻想郷で産まれ、人間に受け入れられなかった青年の...
いや、彼女を少女と呼ぶならば、彼は少年だろうか...どちらでもいいか...
そう、彼の物語だ
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人里から離れた森の中。ここに1人の青年が住んでいる。
彼の名前は
彼は今、1人では少し大きすぎる家の縁側で、チルノと呼ばれる氷妖精と大妖精と呼ばれている妖精の2人に、おとぎ話を読んでいた。
「...そうして優しい死神は、誰にも見付からない世界の果てで1人静かに暮らしましたとさ。おしまい」
「あー、面白かった!」
「チルノちゃん...このおとぎ話は面白いものじゃあ...」
「いいんだ、大。感じ方なんて人それぞれだろ。それじゃあ大はどう感じたんだ?」
「わ、私は...悲しいなって思いました」
「うん、それが大が感じた感情だ。大事にしたらいい」
そう言うと白は大妖精の頭を撫でた。大妖精は一瞬気持ち良さそうにしたが、直ぐに我に帰り白の手を振り落とした。
「子供扱いしないで下さい!」
「悪い悪い。つい、な」
「あー大ちゃんだけズルいぞ!私にもしろー!」
「分かったから暴れるな...ほら、これでいいか?」
白は大妖精の時とはうって変わってワシャワシャとチルノ髪を撫でた。どうやらチルノはこのぐらいが丁度いいらしい。
暫くしたら「もういい」と言ったので、素直に頭から手を離した。
「チルノちゃん、そろそろ帰らないと...」
「え!?もうそんな時間!」
「そうか...もうすぐ日が落ちるな...」
周りを見渡すと、空はすっかりオレンジ色に染まっていた。
「白さん、今日はありがとうございました」
「いいって、どうせ俺暇だったし」
「白、また遊ぼうな!」
「おう、いつでも来いよ。後レティによろしく言っておいてくれ」
そうして、チルノと大妖精は空を飛んで帰って行った。
「...さて、俺はさっさと晩飯つくるか」
白は2人が見えなくなったのを確認して、家の中に入って行った。