死神は少女に聞いたが、少女は首を横に振った
『アハハハハ!!私ト遊ンデクレル『動クモノ』ハ何時ブリカシラ!』
「…………」
これがフランの『狂気』か……
怖い
恐ろしい
今にも逃げてしまいたい
そんな思考が頭の中を駆け巡る。
その思考をある考えが塗りつぶす。
『フランの方が苦しい思いをしてる』
そう考えると自然と恐怖は消え去った。
「来いよフラン、遊んでやるよ」
『ソレジャア……スグニハ壊レナイデネ!』
____________
……時は少し遡る
「貴女ね…どう戦闘したらこんな傷作ってくるのよ?」
「あはは…面目無いです」
私、紅美鈴は今パチュリー様に白さんにつけられた傷を治療して貰ってます。
いやー、綺麗に決まったとはいえ、まさか肋骨2本と内臓を持っていかれるとは思っていませんでした。
「まさか貴女が白兵戦で負けるとは思ってなかったわ。あの侵入者は何者なの?」
「それが私にも分からないんですよ。霊力はそこまで高くない、この一撃をくらうまではただの人間だったのですが…」
「ですが、何よ?」
「肘撃を打ったときだけ、白さんの霊力がレミリアお嬢様、いやそれ以上にまで膨らんだんですよ」
「レミリア程に、ね……ますます分からなくなったわ」
「そうですか……痛たたた!パチュリー様!痛いですって!」
「私の治療が痛みを伴うのは貴女も知ってることでしょ?大丈夫よ、20分ほどしたら治ってるから」
「この痛みが20分も続くんですか?!」
「当たり前じゃない、肋骨だけならまだしも内臓もやられてるのよ。我慢しなさい」
「そ、そんなー」
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「…はい、終わったよ」
「し、死ぬかと思いました」
あれからきっちり20分後、私は死ぬほどの痛みから解放されました。もう2度とこの治療は受けたく無いと思いました。
「さ、傷も治ったんだから早く門番に戻りなさい」
「すいません、後5分だけ休憩させて下さい」
「はぁ…しょうがないわね」
そう言ってパチュリー様は紅茶を一口飲んで、机の上にあった本を読み始めました。
それにしても、あの黒川白という人物は一体何者なんでしょうか?
咲夜さんの事前情報では、人里にはあの様な人物がいるとは聞いていませんでしたし…人里には住んでいないのでしょうか?
それにあの霊力の量は異常でした。この幻想郷での勢力図に入っていてもおかしくありません。それならレミリア様が気づかないはずはありません。
白さん…貴方は一体何者なんですか?
「……おー……おーい!…誰かー!」
少女の声が聞こえたのと、フランお嬢様の殺気が図書館全体に広がったのはほぼ同時だった。
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「パチュリー様!」
「えぇ、分かってるわ」
私達の行動は早かった。
私とパチュリー様はほぼ同時にフランお嬢様が監禁されている部屋を目指して走り出しました。
その10秒後、白さんと一緒にいた闇妖怪のルーミアさんを見つけました。フラフラと浮いていて顔はかなり青くなっていました。フランお嬢様の殺気にやられたのでしょう。
ルーミアさんは私達を見ると、勢いよく近づいてきて、訴えてきました。
「白が!白が!」
「落ち着きなさい!貴方が知っている状況をゆっくりと教えなさい!」
パチュリー様、そんな顔で聞いたら相手も混乱しますよ…
「あ、あの…多分だけど…白はこの殺気を出してる奴と戦ってる…」
白さんが……フランお嬢様と?
「パチュリー様、失礼します!」
「待ちなさい!美鈴!」
私はパチュリー様の忠告を無視して、フランお嬢様の、白さんの元へと全力で急いだ。
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「はぁ…はぁ…」
私はどうしてこんなにも焦っているのでしょうか?
たった数十分前に、しかも敵として出会った人。
でも何故か気になる人
その真剣な顔が
その優しい笑顔が
何より、安心できるその背中が
たった数十分で私の頭の中は彼の事で一杯になっていた。
だからかもしれない。何か確信的なものを感じていた。
『彼が死ねば、私は耐えられなくなる』
何が耐えられなくなるのかは分からない。
もしフランお嬢様が彼を殺してしまったら、私はフランお嬢様を憎むかもしれない。
酷いことを言ってしまうかもしやない。
殺してしまうかもしれない。
それほど私は……彼を……
気が付けばフランお嬢様のお部屋に着いていた。中からは戦闘音が聞こえていた。
「白さん!フランお嬢様!」
私は扉を開けた。
中は酷い状態だった。
部屋の内装は殆どなくなっていた。その中で1人の青年と4人の少女が対峙していた。
4人に分身し、その手に燃え上がる剣を持った、狂気に染まっているフランお嬢様
白さんは背中しか見えないが、その足元には血の池が出来ていた。
『『『『アハハハハ!!!マダ壊レナイナンテ!ナンテシブトイ玩具ナノ!!!』』』』
「…そろそろ止まってくれよ」
その状況を見て、私は何かよくわからない気持ちに支配された。
Q.美鈴……貴女……
A.一目惚れ……かな?
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