「しまったな...肉が無くなった...」
藍と晩飯を一緒に食べた次の日、冷蔵庫を確認すると、肉類が全く無いことに気がついた。いや、実際は昨日の時点で分かったのだが...
「仕方ねぇ、今日は狩りかな...」
そうと決まれば話が早い。早速準備をして行くとしよう。
俺は護符、大きめの袋、短刀を持った。
「...行ってきます」
返事のない家を背に、俺は森へと入っていった。
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少し警戒しながら俺は森の中を進んでいた。
さて、ここで俺の能力について説明しておこう。...何で俺説明するんだ?まぁいいか。
俺の能力は「霊力を操る程度の能力」だ。その名の通り、自分の中にある霊力を自由に操る事ができる。
能力自体はショボいが、汎用性は非常に高い。
代表例としては、身体強化が分かりやすいだろう。腕に霊力を送れば岩も砕く威力の突きが放てるし、脚に送れば妖怪程度には走れるようになる。
後、護符に霊力を注ぐと、その護符ごとの事象が発生する。例えば火の護符なら火が、氷の護符なら氷が出てくる。
罠系統の護符もあるので、これらを駆使して毎回狩りをする。
...さて、能力の説明も終わったので、「さて、罠でも仕掛けようかな」と思った矢先...
「お、お腹すいたのだー」
少し、この場面ではほんの少し面倒な奴が、目の前にうつ伏せになりながら倒れていた。
黒いロングスカートの金髪幼女ルーミアだ。
「ルーミア、大丈夫か?」
「その声...ハクか?」
「あぁ、そうだけど...ルーミアお前、夜行性じゃなかったか?」
今はこんな情けない格好をしているが、ルーミアは立派な闇妖怪だ。真夜中に闇を使って相手と自分の視界を奪い相手を襲う、立派な?...うん、立派な妖怪だ。
ルーミアは闇妖怪のため、夜行性の筈なんだが...
「そーなのかー?」
「いや自分の事だろ」
取り敢えずこのままでは情けないので、持ち上げて近くの木に凭れかけさせた。
「...改めて聞くけど、何で昼に居るんだ?」
「...お腹すいたー」
「あぁ、成る程、大体分かった」
つまりルーミアは、お腹がすいたので狩りに出掛けたが、昼間だったので力が出ずに、そのまま力尽きて倒れていた...と言うわけだな。...なんにも言えねぇ
「ハクー、何か食べるもの持ってないかー」
「済まんな、今何も持ってないんだ」
「そーなのかー...」
「...ルーミア、この近くに動物の匂いはするか?」
「する、ハクの匂い」
「いやいや、俺以外な。例えば熊とか猪とかさ。出来れば熊で」
「むー注文が多いー」
そう言いながらもルーミアは目をつぶり、集中し始めた。鼻がピクピクと動いてるから、多分本当に匂いを追っているのだろう。
1分もしないうちにルーミアが目をあけた。そして丁度俺の後ろに指を指した。
「あっちの方から熊の匂いがするのだ...これ以上は...もうげんかいー」
「ありがとな、ルーミア。後で熊肉食わせてやるからここで待ってろ」
「ほ、本当か!?」
ルーミアは俺の言葉に目を輝かせた。
「だから人とか食うなよ」
「分かった!」
俺はルーミアに「殺ってくる」と言って、ルーミアが指した方向に歩き始めた。
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熊は3分も歩かないうちに発見できた。
体長は3Mはある。俗にいうKUMAと呼ばれているものだ。俺は見たことがないが、幻想郷には他にもTSUBAMEが居るらしい。藍が30分かかって一度も触れなかったらしい。
TSUBAMEに比べればKUMAはまだマシな方なので、不意をついて一気に決めてしまおう。
そうと決まればさっさと殺してしまおう。
俺は出来るだけ気配を消しながら、懐にある短刀と氷の護符を取り出した。
一歩、また一歩、足音を消しながら熊に近づく。
取り敢えずは射程圏内に入った。後は熊が一瞬だけ隙を見せてくれれば...
フッ、と熊の視界の先に物陰が通った。
熊は一瞬だけだが、そっちに気を取られた
「(今だ!)」
俺は直ぐに動いた。四肢と護符に霊力を送り、かなり早い速度で熊を後ろから襲った。
「!!!」
熊も気づいたようだが、もう遅い。
俺は素早く熊の足に氷の護符をはった。すると熊の足が一瞬にして凍った。
「!?グアァ!....」
「...死ね」
俺は熊の悲鳴を聞かずに、熊の首をはねた。
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「ただいま」
さっきの場所に戻ると、ルーミアがまたうつ伏せで倒れていた。
「おかえりー...クンクン...この匂い!肉!」
ルーミアは熊肉の袋に向かってノーモーションで口から突っ込んできた。
このままだったら俺の腕ごと持ってかれるので、ちゃんと避けた。ルーミアは当然頭から地面に突っ込んだ。
...あぁ、うつ伏せの理由はこれか...
「はいはい俺の分なくなるから、いきなり袋に噛みつくな」
「むー、ケチー」
「俺の家でちゃんと食わせてやるから。...立てるか?」
「......無理」
「しょうがないな...よっと」
俺はルーミアをおんぶして、家に向かって歩き始めた。
ちなみに、熊肉の7割はルーミアの胃の中に吸い込まれるように消えていった。
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