「マテー!」
「ニガスナー!」
「トラエロー!」
「メーリンサマヲカエセー!」
「しつこいんだよ畜生!」
「ワハハ〜逃げろ〜」
俺は今、気絶した美鈴をお姫様抱っこして…何故かルーミアが背中に引っ付き…紅魔館の真っ赤な廊下を、メイド服を着た妖精達から全力ダッシュで逃げていた。
「ルーミア、そろそろ自分で飛んでくれると嬉しいんだけど」
「やだ」
「なんでだよ!」
「ワハハ〜」
「笑ってんじゃねぇ!」
俺も一応負傷者なんだけどな…
そう思いながら次の角を曲がると、突き当たりにかなり大きな扉が見えた。
「ルーミア、あの扉に入るぞ!」
「はーい」
俺は思いっきりその扉を蹴り開けて、直ぐに扉を閉めた。
するとどうだろうか、妖精メイドの追跡がぱたりと止んだ。
「ハァハァ……疲れた……」
「楽しかった!」
「それは良かったな!」
息を整えた後、改めてこの部屋の見渡した。
「……すげぇな、これは」
この部屋はどうやら書庫の様な場所だった。いや、書庫では規模が小さすぎる。大図書館、と呼んだ方が良いだろう。
本棚の端が見えないほどあり、その本棚にぎっしりと本が並べられていた。
「……う、うーん……」
大図書館に見惚れていると、腕から美鈴の声が聞こえた。どうやら目が覚めた様だ。
「お、起きたか?」
「白さん……あの、この格好は……」
「あぁこれ?傷に響かないように運ぶ体制がこれしか無かった」
「私の……初めてだったのに……」
「その言い方やめろ」
「あの……そろそろ降ろしてもらっていいですか?…恥ずかしくなってきました」
「傷は大丈夫なのか?」
「えぇ、妖怪を舐めないでください」
「そうか」
俺は美鈴をゆっくりと降ろすと、美鈴に質問した。
「なぁ美鈴、この図書館は一体……」
「此処ですか?ここはパチュリー様の図書館です。パチュリー様は強いですよ」
「いや、戦う気はサラサラないけどな」
「それじゃあ私はこれで失礼します。門番の仕事がありますので」
「待て待て……ちょっと失礼」
俺は門番に戻ろうとする美鈴を引き止めて、肘撃が当たった場所を軽く触った。美鈴は声は出さなかったが、表情は少し歪んだ。まだダメージが残っているらしい。
「こんな状況で門番なんか出来ないだろ」
「しかし…」
美鈴は俺の発言に複雑な顔をした。思いっきり寝ていたが、門番としての意地みたいなのはある様だ。
しかし俺もこんな状況の美鈴を行かせる訳にはいかない。使いたくはないが、ここは勝者の特権を使わせて貰おう。
「美鈴、俺達と一緒に来い。敗者に拒否権はないぞ」
「っ!…………分かりました」
「それじゃあほら、そんな状態だったら歩くの辛いだろ」
俺は美鈴に背中を見せ、おんぶする体制を取った。
「し、しかし…」
「お姫様抱っこの方がいいか?」
「………し、失礼します」
美鈴はゆっくりと背中に抱きついた。
「あの……私、重くないですか?」
「いや、全然」
「私もおんぶしてー」
「ルーミアはそろそろ自分で歩け!」
俺達は大図書館の中を歩き始めた。
___________
暫くこの大図書館を歩いていると、不意に開けた場所に出た。そこには、紅茶を飲みながら本を読む女性が1人いた。
「やっと来たわね、侵入者。私はパチュリー・ノーレッジ。この大図書館の……あなた、どうしたらそう言う状況になるのか説明して欲しいわ」
「それは俺が聞きたいよ」
目の前にいる、ふわふわした服を着て長い紫の髪をリボンで結んでいる女性、パチュリー・ノーレッジは俺の格好を見て呆れ顔をした。
今の俺の格好?首に跨るように乗っているルーミアに、何故か顔を真っ赤にした美鈴を背負ってる。
美鈴は兎も角、ルーミアはそろそろ降りて欲しいんだが……
「…美鈴、貴女…」
「パチュリー様!こ、こここれはですね!えっとですね!その!……負けてしまいまして……その、決して彼の背中が心地いいとかそう言うのでは…その…」
「……分かったわ。それで、貴方は?霧を止めに来たんでしょ?私と戦う?」
「……いや、まずは美鈴の傷を治してやってくれ。魔法使いなんだろ?多分内臓が潰れてると思うから」
「……分かったわ、それじゃあ美鈴をここに置いてくれる?」
パチュリーは自分の目の前の長机を指差した。本で散らかっているが、美鈴を寝かせられるスペースはギリギリあった。
「……ほらよっと」
「あの……ありがとうございました」
「いいって別に……なぁパチュリー、暫くここ見て回ってもいいか?」
「良いけど……貴方、霧を止めに来たんじゃないの?」
「んー…まぁこの霧止めて欲しいってのはある。でもまぁ、美鈴と戦って疲れたし、俺が止めなくても博麗の巫女がどうにかして止めてくれるだろうから、俺はここで本でも読んでゆっくりするよ」
「博麗の巫女を信用してるのからしら?」
「いや、代が変わってから会ったことすらない。けど、まぁ博麗の巫女だしな。問題ないだろ」
「白ー、早く早くー」
いつの間にか場所を背中に変えたルーミアが催促して来た。
「分かった分かった。じゃあゆっくりさせて貰うぜ」
俺はパチュリーの返事を聞く前に本の森に入って行った。
「……不思議な人間ね」
Q.紅魔郷編、後何話ぐらいで終わりそう?
A.5話は確実にかかりそう
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