機動戦士ガンダム00 The human race's reformation   作:K-15

13 / 39
第13話 仇

「あの機体はスローネの発展型!?」

 

アルケーガンダムを初めて見るティエリアだがその特徴的なフォルムですぐに分かった。

大型のバスターソードを担いでいながらも機動性は衰えておらず相当な性能だと推測出来る。

 

「行けよファング!!!」

 

サーシェスが先に動いた。

腰部に格納されている無線誘導兵器ファングが射出される。

高速で動き回るファングは小型で捕らえる事は難しい。

内臓されているビーム砲で全方位からビーム攻撃を仕掛けて来る。

 

「オラオラどうした!ソレスタルなんたらーー!!!」

 

ファングの猛攻に刹那とティエリアは逃げる事しか出来ず防戦一方だった。

 

「はやい!?」

 

「前とは違う!」

 

擬似GNドライヴの性能も4年前より向上している為、機体性能も上がっている。

その差に戸惑うティエリアだが一瞬の隙を付かれて2基のファングが間合いに入り込んできた。

 

「しまった!?」

 

発射されたビームがセラヴィーに当たり機体が煙幕に包まれる。

 

「ティエリア!」

 

「物足りねぇな、ガンダム!!!」

 

バスターソードを構えたアルケーがダブルオーに斬りかかって来る。

刹那はGNソードを2本構えると交差させバスターソードを受け止める。

刃と刃が激突し激しい火花が飛び散る。

 

「生きていたのか、アリー・アル・サーシェス!!!」

 

「おうよ!けどな、お前らのせいで体の半分が消し炭だ。ヤロウの命だけじゃ足りねぇんだよ!」

 

アルケーがフルパワーでなぎ払いダブルオーが後方へ流されてしまう。

 

「キサマ!!!」

 

「再生治療のツケを払え!てめえの命でなぁ!!!」

 

///

 

海中で待機しているプトレマイオスはティエリア達からの連絡を待っていた。

索敵レーダーに引っかからないようにする為あまり動けない。

イアンが宇宙に行った為モビルスーツの整備は娘のミレイナが受け持っていた。

そしてユニコーンのデータの解析も同時にしていた。

彼女はモビルスーツデッキで未だに解けない頑丈なプロテクトを地道に解読していた。

 

「ユニコーンさんは今日もご機嫌斜めです」

 

機体に繋いだケーブルから自身の持っている端末でデータを閲覧する。

だがユニコーンのデータは何一つ載っていない。

 

「ゆにこーんさ~ん、データ見せてくださいです」

 

機体のプロテクトはジオンの袖付きもアナハイムの技術者も解く事は出来なかった。

いくら設備が整っていても彼女に解けるほど簡単ではない。

 

「これじゃパパに怒られちゃうです」

 

初めて見るプログラム構成は彼女でなくとも難しい。

でもそれはユニコーンが何処で作られたのか分からない原因の一つでもある。

ミレイナはがむしゃらにキーをタッチした。

 

「コレを、こうして、こうやって!!」

 

「どうしたのミレイナ?」

 

「!?」

 

解析に集中しすぎて背後から来た人物に声を掛けられるまで気がつかなかった。

振り向くとそこにはこの機体のパイロットであるバナージが居た。

 

「ななななっ!?何でもないです!ユニコーンさんの整備をしていたです!」

 

「そう、俺は高専に行ってたけどあんまり成績が良くなかったから。こいつの事は頼むよ」

 

「はいです、任せてくださいです」

 

持っていた端末を背中に隠すとミレイナは何とか誤魔化した。

スメラギの指示でこの事はバナージには秘密にしている。

彼女と会ったバナージは以前に出撃前に何かを伝えようとしていた事を思い出した。

 

「そうだ、この前何を言おうとしてたの?」

 

「この前?」

 

「出撃する前に俺に聞こうとしていただろ?」

 

「!!!」

 

ミレイナは顔を赤らめると急に体をもじもじとし始めた。

 

「あっアレはですね、そのぉ~」

 

「ん?」

 

「リンクスさんは、その……すすす!」

 

(!?っ……この禍々しい空気はなんだ?ティエリアさんが危ないのか?)

 

いきなりバナージの目つきが変わった。

バナージのニュータイプの能力が戦場の空気を感じ取っていた。

サーシェスの心の波動は強烈な悪意の塊となり果てていた。

 

(この感覚は危険だ、急がないと!)

 

プトレマイオスのクルーでただ1人、バナージは刹那とティエリアに迫る危機を察知した。

 

「ゴメン!ミレイナ、ユニコーンで出る!」

 

「すき……え?」

 

「ティエリアさん達が危ないんだ、何か使える武器はない?」

 

「あ……えええっ~と、NGNバズーカとGNビームライフルならあるです」

 

「ならそれをユニコーンに装備させてくれ。すぐに出る!」

 

「はっはいです!」

 

ミレイナはユニコーンに繋いでいた端末のケーブルを取り外すと急いで武器を装備させる為の準備に入った。

バナージは機体のコクピットにノーマルスーツも着ずに乗り込んだ。

シートに座りエンジンを起動させるとブリッジに通信を繋げた。

画面にはフェルトの顔が映し出された。

 

「すみません、ユニコーンで出ます」

 

「どういう事、今は刹那達が戻ってくるまで」

 

「刹那さんとティエリアさんが危ないんです!もう敵と戦闘になってるかもしれない」

 

「でもそんな情報は!」

 

「とにかく出ます!」

 

「待ってバナージ!バナー」

 

フェルトの静止も聞かずバナージは通信を切った。

ユニコーンのハッチを閉めるとミレイナの言っていた武器がアームに掴まれてユニコーンにやって来る。

 

「ミレイナ、バズーカは背中のランドセルにマウントしてくれ」

 

「背中ですか?出来ますけどどうして?」

 

「両手が使えなくなるのはマズイ、接近されると何も出来なくなる」

 

「分かったです」

 

バナージの指示でNGNバズーカはランドセルに、GNビームライフルは右手に持った。

機体の脚部をカタパルトに固定させるとプトレマイオスのハッチに注水が始まった。

大量の海水がハッチに溜まって行く。

見る見る内に水は内部を満たし2分程で一杯になった。

 

「準備OKです!」

 

「ありがとうミレイナ、ユニコーン出る!!!」

 

開放されたプトレマイオスのハッチから白亜の機体が海中を進んでいく。

 

///

 

アルケーから距離を取りながらGNソードをライフルモードにしてビームを連射するダブルオー、だがサーシェスの高い操縦技術もあり全て避けられてしまう。

「このクルジスのガキが!」

ビームを掻い潜り再び接近しバスターソードを振るう。

振りかぶられるバスターソードをギリギリで受け止めた刹那。

このままではいずれ押し負けてしまう。

 

「はっ!くたばりやがれーーー!!!」

 

「やられる!?」

 

もう一度フルパワーでバスターソードを振りかぶった。

ダブルオーに迫るバスターソード、このままでは直撃を受けてしまう。

その両者の間を下からビームが通り過ぎた。

 

「何だ!?」

 

「新手か!」

 

2人が見下げた先にはビームライフルを構えたユニコーンが居た。

刹那はその隙にアルケーの脇腹を蹴り付けた。

コクピットに居るサーシェスに激しい振動が襲う。

 

「刹那さん、無事ですか?」

 

「バナージか!?助かった」

 

「あの人は危険です、何とかして止めないと」

 

「あぁ、援護を頼む!」

 

「ヤローーッやりやがったな!!!」

 

機体の姿勢を整えたアルケー、このくらいでは倒す事など出来ない。

 

「舐めんなよ、俺のほうが上なんだよ!」

 

切れたサーシェスが2人に迫る。

こうなってはもう手が付けられない。

なりふり構わず攻撃を仕掛けて来るはずだ。

だがそこへ大出力のビームが2本放たれた。

GNバズーカを両肩に構えたセラヴィーだ。

 

「キサマだけは許しておく訳にはいかない。ロックオンの仇!」

 

「負けたヤツは死ぬんだよ!」

 

ティエリアはもう一度ツインバスターキャノンをアルケーに照射した。

高い運動性能で紙一重でビームを回避すると後方からもユニコーンとダブルオーの援護射撃が飛んで来る。

 

「くっ!行けファング!!!」

 

3機を相手にしていては手数で劣る為サーシェスはもう一度ファングを放出した。

10基のファングはティエリアの援護に駆けつけたユニコーンとダブルオーに迫る。

 

「これはファンネル!?」

 

「散開しろ!」

 

縦横無尽に飛び回るファングに刹那は回避行動を取る。

だがその間にアルケーはセラヴィーの元へ向かっていってしまう。

小型のファングを撃墜する事は難しく何も出来ないでいた。

一方のバナージは冷静にこれを対処していた。

 

「ファンネルのようなジャミングは感じない、これなら!」

 

ファングはファンネルとは違い機械制御な為どうしてもどこかで規則的な行動パターンになってしまう。

そして何よりも動きが直線的だった。

このファンネル、サーベルを出すときに一瞬動きが止まる!?

わずかな時間でもバナージはファングの性質を捉える事が出来る。

クシャトリヤ、ローゼンズールとの戦いでそれは熟知しているつもりだ。

動き回るファングの1基がユニコーンを照準に合わせる。

だがそれはバナージには瞬時に反応が出来た。

読み通りビームサーベルを発生させる一瞬にファングの動きが止まった。

 

「そこだ!」

 

右手のGNビームライフルを発射するとビームは止まっていたファングに命中し破壊される。

ユニコーンはすぐに背後へ振り向くともう一度ビームライフルを前方に構えた。

 

「当てる!」

 

発射されたビームはまたファングへ命中する。

 

「これじゃあ時間が掛かる。一気に落とさないと!」

 

ビームライフルを腰に構えると銃口にビームサーベルのグリップをあてがった。

ビームサーベルを低出力で発生させてトリガーを引く。

すると発射されたビームはサーベルにより出力が拡散して飛び出る。

威力は低くなってしまうがファングを落とすぐらいには十分だ。

ダブルオーもライフルのビームを拡散させてファングを落としていった。

 

「すまない、また助けられたな」

 

「いえ、急いでティエリアさんの援護に行きましょう」

 

2機は対峙しているティエリアとサーシェスの元へ向かった。

 

セラヴィーとアルケーの戦闘は既に行われていた。

セラヴィーは見るからに押されていた。

GNバズーカは破壊されたのかもう装備していなかった。

残されたビームサーベルでアルケーの攻撃を何とか防いでいた。

バスターソードとビームサーベルで鍔迫り合いになる。

 

「そんな図体で俺に勝てるのか?」

 

「戦い様はある!」

 

GNキャノンの隠し腕を出しビームサーベルでコクピットを突き刺そうとする。

 

「隠し腕!?でもなぁ!!!」

 

アルケーの脚部からもまた隠し腕が伸びビームサーベルを握っていた。

セラヴィーのビームサーベルが届く前に腕を切断する。

 

「俺にだってあるんだよ!」

 

「くっ!」

 

「くたばりやがれ!!!」

 

アルケーの隠し腕が今度はセラヴィーに襲い掛かる。

鍔迫り合いのこの状況では動く事が出来ない。

 

「こんな所で僕は!!!」

 

「!!!」

 

セラヴィーはトランザムを発動させた。

機体性能は飛躍的に上昇し隠し腕をギリギリで回避した。

でも急場凌ぎにしかならない。

トランザムの活動限界時間が来てしまったらもう打つ手がない。

でもそこへ刹那が追いついてきた。

 

「チッもう来やがった」

 

「アリー・アル・サーシェス!!!」

 

刹那はGNライフルで銃撃戦を仕掛ける。

ダブルオーのビームを左腕のシールドで受け止める。

 

「テメェも俺に勝てると思ってるのか?」

 

「キサマは世界の歪みだ!」

 

「世界も歪みもどうだっていい!俺は殺るだけだ!」

 

アルケーもバスターソードをライフルモードに切り替えた。

剣はスライドし切っ先に隠された銃身が露になる。

それを右腕にマウントするとビームを連射した。

 

「オラオラオラ、どうした!そんなんじゃやられちまうぞ!」

 

アルケーのビームをダブルオーはツインドライブを前方に稼動させGNフィールドを展開する。

回避行動を取りながらすこしでもダメージを押さえる。

 

「ぁん?」

 

(何か変だ、何故仕掛けて来ない?)

 

攻撃を中々してこないダブルオーに不信感を感じる。

そしてこの場に白亜の機体の姿は居ない。

 

「まさか!?」

 

「落とす!」

 

海中からユニコーンが飛び出してきた。

ユニコーンの位置はちょうどアルケーの真下、完全に死角になっている。

ビームが発射されるがサーチェスは持ち前の反射神経で回避した。

だがビームはバスターソードに当たってしまう。

内部に貯蔵されたエネルギーが爆発しアルケーを包んだ。

上昇するユニコーンはシールドを前に構えたままアルケーに突進した。

煙で視界に見えない中、体当たりの衝撃がパイロットを襲う。

 

「ぐぅぅぅぅぅ!!!」

 

「これで!」

 

右腕のビームトンファーを出し振りかぶるバナージ。

だがコレもギリギリで左腕のシールドで受け止められてしまう。

 

「強い!?」

 

「コイツ!!!」

 

バナージは左腕のシールドを真っ直ぐに首へ突き立てた。

ユニコーンのシールドが強引に首に突き刺さりメインカメラの映像が途切れる。

シールドを引き抜くと肩にも何度も振り下ろした。

真っ直ぐに振り下ろされたシールドが装甲を凹ませまたアルケーに衝撃が伝わる。

あまりの衝撃にさすがのサーシェスも一瞬意識が途切れた。

そしてユニコーンもパワーに流されて機体は海へと落ちていく。

 

「このぉっ角ヤロウがっ!!」

 

落下していく機体の中、意識が回復するサーシェス。

だがユニコーンのランドセルにマウントされているNGNバズーカが狙っていた。

バズーカの弾が正確にこちらへ3発飛んできた。

 

「コノヤローーー!!!」

 

シールドを構えるがバズーカの弾はアルケーに直撃した。

アルケーは海に沈み大きな水柱が起こる。

 

「やった……のか?」

 

しばらくたっても海からアルケーガンダムは現れない。

倒したのか、それとも逃げられたのか。

戦闘が終わりセラヴィーとダブルオーと合流するバナージ。

セラヴィーは損傷しているが自力で帰艦出来る様だ。

 

「刹那さん、あの機体のパイロットって何者なんです?」

 

「アリー・アル・サーシェス、元KPSAのリーダー、そして」

 

「ロックオンの仇だ」

 

「仇……」

 

そう、あの男はロックオンが命を懸けても尚生きている。

変革していく世界の中にあの男は危険だ。

世界に戦いを引き起こす存在、だから正さなければならない。

ティエリアは月が昇る空を見てロックオンにそう誓った。

変われなかった人達の為に。

アルケーガンダムとの戦闘が終わりガンダムは海中のプトレマイオスに帰艦するとミレイナはすぐにガンダムの整備に向かった。

 

「ガンダム4機とのGNドライヴ接続完了しました」

 

「GN粒子充填後トレミーは宇宙へ上がるわ。トランザムの準備を」

 

「宇宙へ、ですか?」

 

「えぇ、ガンダムの補修とサポートメカの受け取りも出来る。大気圏離脱シークエンスに入ってちょうだい」

 

「了解しました」

 

プトレマイオス2はガンダムのGN粒子を貯蔵する事でトランザムを発動する事が出来る様になった。

トランザムを発動すればマスドライバーがなくても重力を振り切り宇宙へ上がれる。

現状で補助機器を付けずに宇宙へ行ける艦はプトレマイオスだけ。

 

(この事はまだアロウズは把握していない筈)

 

スメラギは宇宙へ上がる為の作戦プランを考えていた。

しかしこうしている間にも敵の司令官であるカティ・マネキンはプトレマイオスを包囲する為のモビルスーツ部隊を準備していた。

 

マイスターとバナージはデッキに集まっていた。

先ほどの戦いで損傷したのは幸いにもセラヴィーだけだった。

GNバズーカと隠し腕でもあるGNキャノンが破壊されたがこれぐらいならすぐに直す事が出来る。

自らの機体を見上げるティエリア、そこに機体から降りてきた刹那とバナージがやって来た。

 

「無事か?」

 

「刹那とバナージか。僕は大丈夫だ、セラヴィーも修理を始めている」

 

「ヤツが生きていた、アリー・アル・サーシェス。世界の歪みが」

 

「あぁ、ロックオンの仇。アイツだけは!!」

 

「あの、ロックオンさんって?」

 

バナージはライル・ディランディのロックオンしか知らない。

だから2人の会話が中々理解出来ずに居た。

 

「今のロックオンは2人目、4年前に居たロックオンはヤツに殺された」

 

「……」

 

「僕達は世界を変える為に武力介入を行ってきた。戦いの中で自分が死ぬ事も、仲間が死ぬ事も覚悟はしている。けれど!!!」

 

「でも、その世界を変える為に沢山の人が死んだ。その人達だってソレスタルビーイングを恨んでるはずです」

 

「分かっているさ、でも!!この怒りと悲しみは消えない。アイツをこのままにしておく事なんて出来ない」

 

「俺には4年前のロックオンさんの事は何も知りません。でも想うことは出来ます。ティエリアさんが憎しみの感情で戦ってたら世界は変わらない。ロックオンさんだってそんな事は望んでないはずです」

 

「キミはいつもそうだな。まるで心の中を覗いているかのような話し方だ。この前といい、今回といい、キミは危機に扮している僕と刹那を助けようと誰よりも早くにユニコーンで出てきた」

 

「俺は人の心を覗くなんて便利な事は出来ません」

 

「でもキミは来た、僕の所へ」

 

「それは……偶然です」

 

「ありがとう、次にまたこのような事があったらそれはもう偶然なんかじゃない。キミには何か特殊な力があるんだろう」

 

「えっ?」

 

「次も期待している」

 

そう言うとティエリアは背を向けてデッキから立ち去っていった。

バナージは突然言われた感謝の言葉に驚いて体が硬直していた。

 

「これで、よかったんでしょうか?」

 

「俺にも分からない、でもお前の言った事も正しい。それがさっきのティエリアの行動だろう」

 

プトレマイオスにバナージが来てからもうずいぶん時間が経った。

少しずつでもこの仲間と打ち解けあう事が彼はうれしかった。

 

(人と繋がる事はそんな難しい事なんかじゃない。それを分かっているのに、見えない心の呪縛を開放出来ない。社会と言う見えない実態から摘み出されてしまうのが怖いんだ。だから言いたい事も言えない、言葉が無いから相手の事を理解出来ない。自分以外の人を疑ってしまうんだ)

 

それはニュータイプとしてではなく、バナージがいままでの経験で感じてきた事だった。

 

「刹那さん、この戦いが終われば世界は変わるんですか?」

 

「俺達はイオリアにガンダムを託された。だから変えなくてはならない。そして俺達も変わるんだ、未来へ生きる為に」

 

「未来……」

 

未来、それが今を生きる人の希望の光になると信じて。

 

///

 

海中を移動するプトレマイオスの迎撃作戦が開始された。

今までの行動でおおよその位置は掴めている。

作戦を指揮するカティは大型空母6隻とモビルスーツ部隊を用意した。

さらにはモビルアーマーであるトリロバイトも6機居る。

 

「各員は所定の配置に付け、敵空母はトランザムシステムを搭載している。それまでが勝負になる」

 

通信機で部隊に指示を出す。

その隣でアーバ・リントは冷酷に笑っていた。

 

「お手並み拝見させていただきますよ」

 

「もちろんです、対策は用意してありますので」

 

「ふふふっ、そうですか」

 

「……」

 

嫌味に笑うアーバをカティは睨み付けるだけに止めた。

アーバは非人道的な作戦行動をする事を聞いていた。

反政府勢力撲滅の為と抵抗力の無くなった人まで殺している。

そんな彼がマネキンが嫌いだった。

作戦行動中の今は隣に居る彼を無視する事にする。

 

「トリロバイト、魚雷を全弾発射!その後モビルスーツ部隊を全機発進させろ!」

 

マネキンが通信兵に怒鳴り部隊が動き出す。

海中のトリロバイトが魚雷を一斉に発射した。

魚雷の進む先にはカティの予測通り、プトレマイオスが潜行していた。

 

「敵水中用モビルアーマー6機を確認しました」

 

プトレマイオスのレーダーにはトリロバイドが映し出された。

フェルトはレーダーに映る状況を正確に報告した。

 

「各員は所定の位置に着いて下さい。敵はトレミーを包囲しつつ接近してきます」

 

「攻撃開始予定時間は?」

 

「0024です」

 

「赤道上に居る事を敵は予測していた」

 

スメラギはこちらの行動を読んだ敵の作戦に舌を巻く。

でもここから突破する方法はまだいくらでもある。

冷静に状況を把握し次の行動に備える。

 

「沙滋君とマリーさんにノーマルスーツを着用させてブリッジに呼んでちょうだい。ここのほうがまだ安全よ。それとバナージ君をユニコーンで出させて」

 

「分かりました」

 

「ラッセ、2人が来たらトレミーを急速浮上させて」

 

「了解」

 

バナージはパイロットスーツに着替えてユニコーンのコクピットに入った。

シートに座りエンジンを起動させるとブリッジのスメラギから通信が入ってきた。

 

「バナージ君、トレミーはトランザムで宇宙へ上がるわ。それまで敵の動きを足止めしてちょうだい」

 

「分かりました、時間を稼げばいいんですね」

 

「えぇ、ミレイナにハンドミサイルユニットを用意させたからそれを使って。危険な作戦だけど頑張って」

 

通信画面からスメラギの顔がミレイナに切り替わった。

 

「リンクスさん、ハンドミサイルユニットを準備したです」

 

「ユニコーンに装備させたらすぐに出る」

 

「了解です!」

 

ハンドミサイルユニットを掴んだアームがユニコーンに伸びてくる。

右手を伸ばしグリップを握るとカタパルトに移動する。

 

「注水開始するです」

 

モビルスーツデッキに海水が注水される最中、バナージはコクピットの中で初めて行う水中戦を考えていた。

 

「海で戦うなんて初めてだけど、出来るのか?俺に」

 

「注水完了です、リンクスさん発進どうぞです」

 

注水が終わりプトレマイオスのハッチが開放される。

光りのない海がバナージの視界に映し出される。

 

「了解、バナージ・リンクス行きます!」

 

光りの届かない海中で一人、バナージは戦いに行った。




ご意見、ご感想お待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。