機動戦士ガンダム00 The human race's reformation 作:K-15
ユニコーンは単機でプトレマイオスに迫る6機のトリロバイトの相手をする。
しかも初めての水中戦でもあり敵は水中用のモビルアーマー、状況は不利だ。
「GN粒子の充填が終わり次第すぐに出るわ。だからなるべく離れすぎないでね」
「戦いながらそんな器用に出来ませんよ」
「大丈夫、アナタなら出来るわ。最悪、強引にでも回収するから安心して」
「了解、ここを乗り切ればいいんでしょ……来る!?」
前方からトリロバイトから発射された大量の魚雷が向かって来る。
大型のから小型のまで、数は軽く30発を超えている。
バナージは迫り来る魚雷にハンドミサイルユニットを構えてトリガーを引いた。
ユニットから連続してミサイルが発射され魚雷に命中する。
破壊された魚雷は大きな爆発を起こし他の魚雷も巻き込んでいった。
爆発に飲み込まれた魚雷がさらにまた爆発を起こし海中を光りで照らす。
その大きすぎる爆発のせいで潮の流れが変わり機体を大きく揺らした。
「くっ!宇宙とは勝手が違いすぎる。機体が流される!」
全方位、360度警戒しながら戦うのは同じだが水が抵抗となり運動性能は著しく落ちてしまう。
さらには潮の流れも考慮して動かないと機体を制御出来ない。
「海がこんなに動きにくいなんて!?また来る!」
レーダーを見るとトリロバイトの反応がユニコーンに向かって来る。
擬似GNドライヴを3基搭載しているトリロバイトの水中での機動性は他の機体を大きく上回る。
バナージはハンドミサイルユニットを構えるとトリロバイトにミサイルを3発放った。
発射されたミサイルを散開して回避する、誘導弾のミサイルは回避行動を取るトリロバイトを追い続けるが振り切られてしまう。
ミサイルは何も無い海中で爆発した。
「外した!こんなんじゃダメだ、何とかしないと」
プトレマイオスが宇宙に上がる準備を整えるまでは一人で敵を落とすしかない。
だが初めての水中戦でトリロバイト6機を相手にするのはあまりにも無謀だった。
そうしている間にもトリロバイトがクローアームを突き出しユニコーンに突進してきた。
「!!!」
研ぎ澄まされた感覚がすぐに敵の殺意を察知し体が反応した。
ランドセルのバーニアを吹かし回避行動を取るが、機体はすぐには加速せず右腕のクローアームが胴体を突き刺そうとする。
右腕のサーベルラックを稼動させビームトンファーを発生させるとギリギリでクローアームを受け止めた。
「水中じゃパワーが出ない!?」
だがビームサーベルは水を蒸発させるのにエネルギーの大半が流れてしまい装甲を切断出来ない。
残っていた左腕のクローがユニコーンを突き飛ばした。
「くぅぅぅぅっ!!!!」
機体はまた海に流されてしまい無防備な状態になる。
「これがソレスタルビーイングの新しい機体?」
「弱くないか?」
トリロバイトのパイロットはまともに戦えていないユニコーンをあざ笑っていた。
あえてすぐには機体を破壊せずユニコーンが動き出すのを待っていた。
「こんな機体で勝てる訳がない。この白いのは俺達がやるぞ!他のヤツは敵の輸送艦を落とすよう伝えろ!」
「了解」
トリロバイトは2人乗りに設計されている。
メインパイロットがそう言うとサブパイロットが他の5機のトリロバイトに通信で伝えた。
6機居る内の5機はユニコーンを無視しプトレマイオスに向かい進んだ。
「逃げられる!?」
ユニコーンを通り過ぎていくトリロバイト、バナージは急いで機体を方向転換させミサイルを撃とうとする。
しかし残ったトリロバイトがそれを妨害する。
後部アームに装備されている小型のGN魚雷をユニコーンに発射した。
バナージはシールドで機体を守りながらバーニアを吹かし魚雷から逃げた。
だが魚雷の誘導を振り切れずシールドに直撃してしまう。
爆発の炎が機体を覆っている間にトリロバイトはユニコーンの側面へと移動した。
「遊びは終わりだ!仕留めさせてもらう!」
クローアームを広げると一直線に突っ込む。
バナージはハンドミサイルユニットを腰へマウントすると両腕のサーベルラックを稼動させると重ね合わせた。
迫るトリロバイトに機体の方向を変えると本体へ向けビームサーベルを発生させた。
「ビームサーベル何か無駄なんだよ!」
「使い様はある!」
重ね合わせサーベルを発生させるとそれは通常よりも長く伸びた。
2本合わせる事でビームの出力を一時的に増大させたのだ。
「何!?」
トリロバイトは減速する事も方向転換する事も出来ずに真っ直ぐにビームサーベルへ突き刺さった。
切っ先がわずかにコクピット付近へ刺さっただけだがそれで十分だった。
内部へ水が侵入し瞬く間にコクピットにも浸水してくる。
パイロットは水に飲み込まれ機体は制御を失い海の底へと沈んでいく。
「やっと1機、急いで追わないと」
バナージはプトレマイオスに向かい機体を移動させた。
「敵モビルアーマー、ユニコーンを突破。こちらに向かってきます」
「厳しいわね、トランザムのチャージは後どのくらい?」
「現在89パーセントまで完了しています」
「一か八かね……」
フェルトの報告に頭を悩ますスメラギ、さすがにバナージ一人では無理だった。
こうなれば、と強攻策に打って出る。
するとブリッジに沙滋とマリーは白いパイロットスーツを着てやって来た。
「何か用でしょうか?」
「2人とも、補助席に座って。少し荒っぽい事になるから」
スメラギに言われると2人は空いているシートへ座った。
それを確認するとラッセはプトレマイオスを加速させた。
「トレミーはこれよりユニコーンを回収後、急速浮上体勢に入り宇宙へ上がります。」
「GNフィールド展開、バナージ聞こえる?」
フェルトは通信でユニコーンのバナージへ呼びかけた。
戦闘中にも関わらず幸いにもすぐに通信は繋がった。
「スミマセン、上手く出来ませんでした」
「大丈夫、それより聞いて。トレミーはこれより宇宙へ上がるわ。これから回収に向かうから準備してちょうだい」
「回収ってどうやって?」
「どこでもいいからトレミーにしがみ付いて」
「そんな!?無茶ですよ!」
「GNフィールドを最大展開するわ。Gはかなりキツイけど機体は大丈夫な筈よ」
「それしかないんですね」
「大丈夫、アナタなら出来るわ」
そう言うと通信は切れた。
プトレマイオスはトリロバイトの魚雷一切避けずGNフィールドで防ぐと急加速しながら突っ切った。
バナージの眼前にプトレマイオスが加速しながら迫ってくる。
(チャンスは1回、上手くやれバナージ!)
「来た!!!」
真っ直ぐに来たプトレマイオスのコンテナ部に機体を持っていきぶつかる様にしてしがみ付いた。
衝撃がパイロットとプトレマイオスに伝わる。
「ユニコーン、トレミーに取り付きました」
「バナージ君、これより緊急浮上するわ。辛いけど持ちこたえて。トランザム始動!」
モビルスーツデッキのガンダムがトランザムを発動させ機体が赤く発光する。
高濃度のGN粒子はプトレマイオスに繋がりそのまま出力として使われる。
そしてプトレマイオスもまた赤く発光し艦のスピードが上昇する。
「GNフィールド最大展開、トレミー緊急浮上!」
浮上するプトレマイオス、暗い海の底から一気に地上へ上がる。
海の中でも光りの見える水深までわずか数秒で到達した。
「トレミーを飛行モードへ!」
羽を稼動させると海を飛び出しさらに加速をする。
だが上空にはアロウズのモビルスーツ部隊が待ち構えている。
「敵艦、海面に浮上、さらに上昇」
「私の予測より早い、敵艦の上昇ルートを算出しろ」
「了解」
マネキンは指示を出すと共にプトレマイオスの予想を超えた行動に驚いた。
しかしプトレマイオスがトランザムを使用して作戦圏内から離脱するのは想定の範囲内だ。
待機していたモビルスーツ部隊は一斉に浮上したプトレマイオスに攻撃を始めたがGNフィールドに防がれてしまう。
さらには上昇スピードの速いプトレマイオスにすぐに射程外へと逃げられてしまう。
「逃げるな、ソレスタルビーイング!」
ルイスは逃げるプトレマイオスを追いながらビームライフルを発射し続けた。
「きかねぇじゃねぇか!」
マネキンの配属のパトリック・コーラサワーもこの作戦に参加していた。
パトリックもビームを放つがGNフィールドを貫通出来ない。
追ってくるモビルスーツにフェルトはプトレマイオスの全砲門を向けた。
「全砲門開けました」
「一斉発射!!!」
搭載されているGNミサイルがアロウズのモビルスーツ部隊に降り注ぐ。
発射されたミサイルは次々とモビルスーツに直撃していく。
パトリックもミサイルが自身のジンクスの右腕に当たり破壊されてしまう。
「かっこわる~」
ジンクスはそのまま地上へ落下していった。
プトレマイオスはトランザムを発動し上空8000メートルまで来た。
ここまできたらもう宇宙まではすぐだ。
酸素は限りなく薄くなり重力も感じなくなってくる。
だがチャージが不十分であった為にこのままでは宇宙に上がれてもまともに動けない。
その空の上でリヴァイヴ・リバイバルは新型のガデッサのGNランチャーでプトレマイオスを狙っていた。
「上昇角度の変更はたったの3度、このガデッサなら」
マネキンの作戦で宇宙へ逃げるようならそこを待ち構えるべく宇宙にも部隊を派遣してある。
トランザムには限界時間がありその間に攻撃を仕掛ける。
その為には今の上昇角度を変える必要があり、その為にリヴァイブは待機していた。
狙いを定めトリガーを引こうとした瞬間にリヴァイヴの指が一瞬止まった。
(この奇妙な感覚は何だ?誰かが見ている)
だがリヴァイヴはその感覚を振り払いトリガーを引いた。
ガデッサのGNランチャーから高出力のビームが発射されプトレマイオスに飛んでいく。
だがその光景をバナージはユニコーンで必死にしがみ付きながら見ていた。
(このままでは当たる。それぐらいでは大丈夫だろうけど、何かイヤな予感がする……)
迫り来るビームにバナージはユニコーンのNT-Dを発動させた。
コクピットのシートが稼動しバナージを覆うと装甲がスライドし、サイコフレームが赤く輝きユニコーンはガンダムへと変身した。
「何だ、アレは!!!」
突如として変身したユニコーンにリヴァイヴだけでなくプトレマイオスのクルーも驚愕した。
「ユニコーンが変身した!?」
「スメラギさん、あれって……」
「ユニコーン、一体何なの?」
モビルスーツデッキのダブルオーガンダムのコクピットに居た刹那は静かに呟いた。
「ガンダム」
するとプトレマイオス全体にサイコフィールドが発生した。
ガデッサのビームを防ぎきりリヴァイヴの狙っていた上昇角度の変更は出来なかった。
さらにはプトレマイオスの上昇速度が上がっていく。
「スメラギさん、トレミーの速度が上がっています!それにガンダムのGNドライヴも基準以上の粒子が放出されています。これは!?」
「分からないわ。とにかく今は宇宙へ上がる事に専念して!」
突然起こった現象にクルーは驚くが今は気にしている場合では無かった。
プトレマイオスの放出するGN粒子はユニコーンのサイコフレームに吸い込まれていく。
赤く光っていたフレームが緑色に変わっていきスピードがさらに上昇する。
ユニコーンガンダムはそのままプトレマイオスにしがみ付きながら宇宙へと上がった。
///
宇宙へ上がったプトレマイオス、待ち構えていた部隊をすり抜け安全空域まで離脱した。
しがみ付いていたユニコーンも回収されモビルスーツデッキで補修を受けている。
装甲は格納されいつもの白亜の姿に戻っていた。
コクピットから降りると機体の整備をしていたミレイナが駆け寄ってきた。
「リンクスさん、無事でよかったです」
「あぁ、でももうこんな事はやりたくないよ」
「でもユニコーンさんすごいです!ガンダムに変身したです!」
「……」
出来ればバナージはこの事はあまり知られたくなかった。
今までは刹那とティエリアしか知らなかったが先ほどのでクルー全員がガンダムに気付いてしまった。
バナージの心配は現実となり、スメラギの声で艦内放送が流れた。
「バナージ君、至急ブリッジに来てちょうだい」
「……」
「リンクスさん、スメラギさんからお呼び出しです」
「あぁ、そうだね。行ってくる」
バナージはミレイナを置いてパイロットスーツのままブリッジに向かった。
これからの事を思うと憂鬱なバナージをミレイナは笑顔で送り出していた。
ブリッジに到着するとそこにはマイスターとミレイナ以外の全員が居た。
プトレマイオスは警戒空域にいることもあり現場はピリピリとした空気が漂っている。
バナージはユニコーンの事をどう言うべきか悩んでいると沙滋とマリーが向かいに来てくれた。
「バナージ君、無事で良かった」
「心配しましたよ」
「沙滋さん、マリーさん、どうしてここに?」
「ここに居たほうが安全だってスメラギさんが」
「そうなんですか」
するとスメラギがシートから立ち上がりバナージに向かってきた。
いつもの彼女とは違いその表情は作戦中の様に険しくバナージを見据えていた。
「バナージ君、すこし聞きたいことがあるのだけれどいいかしら?」
「……はい」
その目は鋭くバナージを見つめていた。
「さっきのユニコーン、ガンダムに変わったわよね?アレはどう言う事なの?」
「どうって?」
「現状でガンダムは私達ソレスタルビーイングしか所有していない。なのに何故、私達の知らないガンダムをアナタが持っているの?」
「あの機体、ユニコーンは人の想いを具現化する為に造られました。それがアレを俺に託してくれたあの人の想いでもあるはずです。何故ガンダムなのか……それは俺にも分かりません。でも、この世界の理不尽と戦うにはユニコーンが必要です」
「ではあの機体は何処で造られたの?」
「前にも言いました、俺は託されただけでそれ以外は何も分からないんです」
「あの機体がガンダムに変わった時、GNドライヴの粒子量が基準値よりも多く出た。おそらくあのガンダムが関係しているに違いないわ。悪いけど詳しく調べさせてもらうわよ」
「分かりました」
「もうすぐで資源衛星に着くわ。それまで休んでいてちょうだい。沙滋君とマリーさんも」
3人はそう言われるとブリッジから出て行った。
スメラギはシートに座りラッセにプトレマイオスの進路を伝えた。
///
ブリッジを出ると3人は各々の自室へ向かい一緒に歩いていた。
「本当にモビルスーツで戦っているんだね」
白いパイロットスーツを着ているバナージに沙滋は言った。
僕と歳もほとんど変わらないのに、こんな危険な事をしているバナージに感心していた。
「俺に出来る事は限られているから。だから今、出来る事をするだけです」
「すごいよ、僕には何も出来ない。こうしてここに居るだけで」
「沙滋さん」
「そんな事はないわ。これから見つけていけばいいのよ」
「見つけると言っても……」
「必ずある筈よ。諦めてはダメ」
「マリーさんの言うとおりです。諦めたらそこで可能性も無くなってしまいます。信じるんです、自分を」
「でも僕には人殺しなんてとても」
「そんな事をする必要なんてありませんよ。人殺しなんて怖い事を」
「そうよ、出来なくて当たり前よ」
「ねぇ、聞いてもいいかい?2人はずっとここに居るつもりなの?」
「えぇ、私はアレルヤに付いて行く。彼がここに居るのなら私もここに残るわ」
「俺はユニコーンを正しい方法で使う。この世界から争いを無くすと言うソレスタルビーイングに付いて行きたい」
「私は軍人でしたし覚悟も出来ています。それにアレルヤから離れないと決めましたから」
「うらやましいな、僕にも好きな人が居てその人からずっと離れたくないと思っていたのに……」
「想いは伝わります、沙滋さんが諦めてどうするんですか?その人だって待っている筈です」
「そう……かな?」
「信じる事から始めましょう。私とアレルヤもそうだったから」
4年前の事故から沙滋はルイスと会っていない。
今、彼女はどうしているのかすら分からない。
心の中でそう思う事しか出来ない自分が情けなく思った。
(でも信じてみよう。もう一度、彼女と会えるように……)
///
宇宙に出て数時間、プトレマイオスは資源衛星群に到着した。
ガイドビーコンの誘導に従いプトレマイオスはゆっくりと移動していく。
完璧にカムフラージュされておりは外から見るとただの岩にしか見えない。
内部に入ると大型のアームが稼動し固定作業に入る。
4本のアームが装甲を挟むと艦が振動する。
搭乗用ハッチが接続されクルーが全員ラグランジュ3に降りた。
搭乗ゲートを潜ると先に宇宙へ上がっていたイアンと若い女性が待っていた。
「やっと来たか、待ってたぞ」
「イアン、ガンダムの補修をお願い。それと新しく作られた・・・」
「オーライザーだろ?すぐにダブルオーと繋げて稼動試験に入る」
「えぇ、それとバナージ君の乗っているユニコーンなんだけれどここで詳しく調べてちょうだい」
「それは構わんが、あの機体のプロテクトは相当頑丈に作られていてな。ここでも時間が掛かるがそれでもいいか?」
「お願い、バナージ君にもそう伝えてあるから」
「そう言う事なら任せておけ。ただミレイナを借りるぞ」
「分かったわ、すぐにでもお願い」
それを聞いたミレイナはイアンの隣の女性に駆け寄った。
「ママ!会いたかったです」
「私もよ、ミレイナ」
「リンダ、ミレイナ、そう言う訳でユニコーンは頼んだ。俺はダブルオーを見る」
「分かったわアナタ、行きましょうミレイナ」
「はいです」
ミレイナとリンダと言われた女性はプトレマイオスのユニコーンに向かい歩いていった。
その会話を聞きバナージは小さな声でアレルヤに話しかけた。
「もしかして、リンダさんってイアンさんの……」
「らしいね、どうしたらこうなるんだか」
自分達の隣を通り過ぎていく2人は久しぶりの再会に喜んでいた。
その様子はやはり親子のようだった。
「で、ユニコーンさんが真っ白ですごくキレイなんです」
「そうなんだ、私も見てみたいわ」
通り過ぎる最中、そんな声が聞こえた。
「あぁ、それと新しいメンバーが増えたんだ。紹介する」
するとイアンの後ろからまた別の女性が現れた。
どうやら柱の影に隠れていたみたいだ。
「アニュー・リターナーと言います。ソレスタルビーイングの活動再会と同時に王留美からスカウトを受けました」
「彼女がラッセに変わってトレミーの操舵手になってもらう」
「よろしくお願いします。それからモビルスーツの修理なんですけど最低でも5日は掛かります」
「5日ね、分かったわ。みんなもそれまでは体を休めてちょうだい。何かあればまた連絡するわ」
スメラギが言うとメンバーは各々散っていった。
その中で一人、ティエリアだけがその場に残り鋭い眼差しでアニューをじっと見つめていた。
「どうかされましたか?」
「いや、何でもない」
そう言い残しティエリアもその場を後にした。
残されたアニューも新造されたオーライザーとダブルオーとの稼動試験の為すぐに動いた。
///
低軌道ステーション、地球を囲うリングにそれはある。
アロウズがオービタルリング上に建造した巨大な電子レーザー掃射装置。
それが今、地球を狙っている。
太陽光発電システムにより供給される莫大なエネルギーは都市を消滅させる程の威力を備えている。
「准将、照射準備完了しております」
「よし、カウントダウンを開始しろ」
「了解しました」
メメントモリの指揮をしているアーサー・グッドマンは部下であるアーバに命令すると座っているシートの腰を少しずらした。
「
照射までカウント、10、9、8」
メメントモリに狙われているのはスイール王国、その事実を知る者はまだ誰もいない。
刻一刻と迫るカウントダウンをもう止める事は出来ない。
///
オーライザーとダブルオーとの稼動試験が行われた。
ドッキングしたガンダムには刹那が乗っている。
その様子を別室でアニューとイアンはデータを取りながらモニタリングしている。
「オーライザーとの接続完了しました。これよりトンランザムを開始します」
「了解、トランザム起動」
刹那はコクピットの中でガンダムのトランザムを起動させた。
今まではトランザムを起動するとオーバーロードでGNドライヴが強制停止してしまっていた。
だがそれもオーライザーがあれば解決出来る。
ツインドライヴシステムを安定制御する事で従来のモビルスーツを遥かに凌ぐ粒子量を放出出来る。
トランザムを起動させたガンダムが赤く発光し、GNドライヴから通常を大きく上回る粒子が発生する。
「粒子生産量、粒子放出量、共に上昇。通常時の180パーセントを超えました」
「これならいけるぞ!」
トランザムを起動したダブルオーの粒子放出量は留まることを知らずにさらに上昇して行く。
「これは……」
刹那はダブルオーの本当の能力に言葉を無くす。
「290パーセントを突破、理論的限界値を超えます」
「何!?」
「これがイオリアの提唱したツインドライヴの本当の力」
放出されるGN粒子は資源衛星に居る他の人へも影響を出し始めていた。
脳量子派を使えるティエリア、アレルヤ、マリーにも直感的に感じた。
「この感覚は!?」
ティエリアは自身の脳量子派が普段と違い敏感に反応した。
「あっ頭が!これは……ハレルヤ?」
アレルヤは消えてしまったもう一人の人格、ハレルヤを感じた。
「大佐……!?逃げて!!!」
マリーは遠く離れた地球のスミルノフを感じた。
「空が落ちる……アレは憎しみの光りだ!」
バナージは死に行く人達の魂を受け止めていた。
ご意見、ご感想お待ちしております。