機動戦士ガンダム00 The human race's reformation 作:K-15
「ダブルオーライザー、活動限界時間に到達します」
赤く発光していた装甲が元の色に変わっていく。
GNドライヴから放出される粒子量もそれに伴ない少なくなっていく。
「凄い、理論的限界値を超えた」
「こいつは……ダブルオーは、ワシらの想像を遥かに超えている!コレはとんでもない代物だぞ!」
稼動試験を行っていたイアンとアニューは驚きを隠せないで居た。
ダブルオーライザーは擬似GNドライヴ、今までに作られたどのガンダムよりも圧倒的な性能を持っている。
このガンダムは世界を変える力となる。
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ブリッジにクルー全員が集められた。
地球に放たれた衛星兵器の情報を集める為だ。
「みんな集まったわね。分かっているとは思うけど一応、説明するわね。先ほど低軌道ステーションから地球へ向けて大出力のレーザー兵器が使われたわ。おそらくアロウズが極秘裏に作った衛星兵器と思われます。狙われたのは中東のスイール王国、被害規模は今だ不明、レーザーの当たった場所は完全に消失してクレーターの様になってるわ。入ってくる情報はまだ少ないけれど今分かっている事はこのくらいね」
ブリッジの大型画面には衛星兵器の放たれたスイール王国が拡大映像で映し出されていた。
スメラギの言う通りレーザーの当たった場所は全て焼き尽くされていた。
人の命を何とも思わないアロウズの卑劣な行為にティエリアは怒りをあらわにする。
「コレがアロウズのやり方なのか!奴等はこんな事をしておいて恒久和平を掲げるのか!僕は断じて認めない、こんな愚かな行為を!!!」
ティエリアの言う事に一同は同感した。
そしてこのような歪みを破壊する為にソレスタルビーイングは存在しているのだ。
「トレミーとガンダムの補修後、連邦の衛星兵器破壊ミッションに移ります。各員は持ち場に……」
「待ってくれ、ミッションの前にみんなに話しておきたい事がある」
ティエリアは突然、みんなを呼び止めた。
彼がこんな事をするのは始めての事だ。
「連邦を裏から操り世界を支配しようとする者達が居るんだ。」
「どうしてそんな事を知っている?」
ロックオンは鋭い目つきでティエリアを見た。
「僕は彼らと会った事がある。彼らの名前はイノベイター、ヴェーダによって生み出された生体端末。彼らがアロウズを裏から動かしヴェーダを掌握している。そして僕達が活動を始めた5年前から存在している」
「それじゃあトリニティを武力介入させたのも、擬似GNドライヴを国連軍に提供したのも!?」
「そうだ」
ブリッジは重たい空気に包まれた。
彼らイノベイターの行いによりロックオンが、一緒に戦う仲間が死んで行った。
「彼らはイオリアの計画を続けていると言っていた。もしそれが本当なら我々の方が異端である可能性も」
ティエリアは今まで自分のして来た事が正しかったのか分からなくなってしまった。
(こうして僕達が戦う事で世界は歪んでいるのかもしれない。僕のして来た事は間違いだったのだろうか?)
彼らしくもなくその表情は落ち込んでいた。
「そんな事はない、アロウズを造り反政府勢力を虐殺、そんなやり方で本当の平和が得られる訳がない」
「アレルヤ……」
「破壊する、アロウズを倒しイノベイターを駆逐する!俺が俺の意思で!」
刹那は力強く言葉にした。
イオリアからGNドライヴを、ガンダムを託された時からその思いは変わっていない。
その思いは他のメンバーも同じだった。
「刹那……でも僕は!!」
「ティエリアさん、言いたい事は大体分かりました。でも俺達が今やる事は衛星兵器を止める事、後の事はまたその時でいいんじゃないですか?」
「バナージまで、でも僕はみんなに……」
「人を騙すのと隠し事を持つのは違うと俺は思います。俺は今までやってきたことが全部無駄だなんて思いたくありません。みんなだってそうな筈です」
意見はまとまった。
いや、むしろ何一つとして変わっていないと言った方が正しい。
ティエリアはソレスタルビーイングの仲間、それ以上何が必要だろうか。
「これより衛星兵器破壊ミッションを開始します。全員持ち場に付いてちょうだい。補給が完了しだいすぐにでもトレミーは出向します」
スメラギの声を聞いてクルーは各自の持ち場へ移動していく。
その中でティエリアはバナージを呼び止めた。
「バナージ、一つ言っておきたい事がある」
「どうしました?」
「さっきので3回目だ」
「え?」
「次のミッションも期待している」
そう言うとティエリアもブリッジから移動していった。
微かに見えた表情は先ほどと違いやわらかかった。
///
バナージは解析をされているユニコーンの元へ向かった。
コクピット周辺には沢山の機材が並んでおり何十本ものケーブルが繋がっている。
ユニコーンの傍には小型の端末を持ったミレイナが立っていた。
「ユニコーンの具合はどう?」
「リンクスさん、あまり上手くいかないですぅ」
「俺としてはあまり調べられたくないけどね」
「いくらリンクスさんの頼みでもこれはダメです!スメラギさんから言われてるです!」
するとコクピットから人が出てきた。
(リンダさんとアニューさんだ。3人がかりで解析しているのか)
コクピットから出てきたリンダさんは頭を悩ませていた。
「う~ん、ユニコーンちゃんは難しいわねぇ」
「プログラムの構成が従来のモビルスーツとはまったく違います。固定概念を捨てて1から進めないと全てのデータの解析は出来ないと思われます」
「無理やりやったらすねちゃってデータが消えるかもしれないし。そうしたらもう動く事も出来なくなるわね」
「はい、ここは慎重に進めるべきだと思います」
バナージは2人の話を聞いて少し安心した。
高専には通っていたがプログラムの構成まで行くと専門職の人でないと分からない。
聞いているとすぐには解析出来ないらしい。
でもソレスタルビーイングの技術力ならいつかは出来てしまうのではないかと、バナージも頭を抱えた。
「バナージ君、どうかしましたか?」
「!?いえ、アニューさん、ユニコーンはどうですか?」
「始めたばかりだからまだ何とも言えないわ。でも安心して、整備には抜かりないわ」
「ありがとうございます。でもいいんですか、こんな所に居て?」
「私、イアンさんの推薦でプトレマイオスに乗艦する事になったの。オーライザーの調整もあるし、このユニコーンのデータも調べないと」
「そうなんですか」
「えぇ、これからよろしく」
「こちらこそ……」
するとバナージは不思議な感覚を感じた。
( 何だろう、ザワザワする。誰かに見られてる?)
奇妙な感覚の正体を探ろうとするが周囲に変化は見当たらない。
このままいくら探しても答えは見つかりそうにないと判断し早々に雑念を捨てた。
「それよりアニューさん、ブリッジでスメラギさんが」
「…………」
「アニューさん?」
今まで話していたアニューが急に無表情になり言葉も発しなくなった。
不安になったバナージは彼女の肩を掴むと軽く体を揺すってあげた。
「!!!えぇ、そうね」
「大丈夫ですか?」
「気にしないで、それで?」
「ブリッジに来るようにスメラギさんが言っていました」
「分かった、すぐに行くわ」
アニューはユニコーンの解析を中断するとブリッジへ向かった。
自分を通り過ぎていく彼女の後姿を見るバナージ。
(やっぱり、気のせいなのか……)
考えても答えは出ないのでバナージはそう思う事にした。
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プトレマイオスが補給作業を受けている最中、アロウズの艦隊が資源衛星へ進行している。
その中には新型のモビルスーツ、ガデッサに搭乗しているリヴァイヴも居た。
資源衛星はアロウズの部隊に完全に包囲されていた。
それには一辺の抜け道もなく指揮を取るマネキンの攻撃指示を待っている。
この攻撃には新型機ガデッサとガッデス、モビルアーマーのエンプラスまでも投入された。
パイロットはリヴァイヴとヒリングとデヴァイン・ノヴァ、3人共イノベイターである。
「ヒリング、抜かりのないように」
「当たり前でしょ。あぶり出して殲滅してあげる」
「デヴァインも」
「…………」
「ふふっ、なら!!!」
リヴァイヴのGNメガランチャーが最大出力で資源衛星に放たれた。
それと同時にマネキンの指揮する艦隊からも一斉にGNミサイルが放出される。
瞬く間に資源衛星がミサイルの爆発の炎に包まれる。
基地の外壁を成す岩が次々に剥がれていく。
内部にもそれに伴ない大きな衝撃が襲う。
「補給を中断してトレミーを緊急発進します。ガンダムを出撃させて!」
ノーマルスーツを着用するとスメラギはブリッジから指示を出した。
今、資源衛星は3方向から攻撃を受けておりまずはこの状況からプトレマイオスを脱出させる事が先決だ。
このままでは何も出来ないまま沈んでしまう。
ガンダムで敵の注意を逸らしてその間に出向する。
だが敵はこの攻撃に万全の準備を整えているのに対してこちらは補給の真っ最中であり迎え撃つ術は無かった。
「フェルト、敵戦力の分析を急いで。アレルヤは脱出する輸送船の防衛、ティエリアとロックオンはトレミーを守って、刹那とバナージ君は先行して敵部隊の殲滅!」
「了解!」
スメラギの指示で迅速に行動する各員。
アレルヤはアリオスと新型のGNアーチャーをドッキングさせて出撃した。
GNアーチャーの推力、武装が追加される事で機動性と火力が大幅に増加されている。
モビルアーマー形態でプトレマイオスから出撃するとそこはもう戦場になっていた。
「敵の進攻がこんなに早いなんて!?」
敵のモビルスーツ部隊を前にアレルヤはたった1人で脱出する輸送艦を守り抜かなければならない。
「それでも!」
モニターに次々と増えてくる敵影に狙いを定める。
GNアーチャーのメインスラスターユニットからGNミサイルを発射させ敵機に向かって行く。
「各機散開しろ!」
大量のミサイルを敵パイロットは迅速な判断で回避行動に移る。
9機居るジンクスはそれぞれにミサイルを避けようとスラスターを吹かした。
誘導作用もあるGNミサイルは移動するジンクスに流れるようにさらに飛んでいく。
「くっ!」
GNランスに内臓されたバルカンで避け切れないミサイルを撃ち落していく。
弾とミサイルがぶつかり炎が上がる。
一緒に発射されたミサイルにも炎で誘爆し視界が光りに包まれる。
激しく光る閃光にパイロットは爆発を逃れたミサイルに気が付けなかった。
「しまった!?」
残ったミサイルが機体の右足に当たり爆発した。
爆発の衝撃がコクピットにまで伝わり体が揺れる。
機体の右足も膝から先が破壊されてしまった。
残ったモビルスーツがGNランスを構えて資源衛星を脱出する輸送艦に迫る。
速度の遅い輸送艦ではこのまますぐに掴まってしまう。
「反乱分子など!」
パイロットが輸送艦に狙いを定めトリガーに指を掛ける。
だが彼は攻撃に意識を集中しすぎておりアリオスの機影に気づいてはいなかった。
「させない!!!」
ジンクスの胴体にノーズユニットを展開したアリオスが一直線に突っ込んできた。
「!!!」
パイロットが接近するアリオスに気が付いたときにはすでに機体がノーズユニットに挟まれていた。
掴まった状態のままアリオスの加速で輸送艦から距離を離されていく。
そして展開していたノーズユニットが元に戻ろうと装甲を切断しようとする。
装甲は意図も容易く切断され機体は爆発した。
「これ以上仲間をやらさせはしない!ここは僕が守り抜く!」
///
資源衛星から出撃した刹那、ティエリア、ロックオン、バナージ。
作戦通り刹那とバナージが切り込み、ティエリアとロックオンが脱出するプトレマイオスの防衛に当たる。
セラヴィーはGNバズーカを両肩のGNキャノンに接続させた。
「僕が敵をかく乱させる。その間に2人は逃走経路の確保を。ロックオンは確実に敵を仕留めろ、近づく敵は僕がやる」
「「「了解!」」」
セラヴィーの背部の装甲がスライドしガンダムの頭部があらわになる。
大量のGN粒子が放出されエネルギーがチャージされていく。
「高濃度圧縮粒子開放、ツインバスターキャノン!!!」
チャージされたGN粒子は高出力のエネルギーとなり敵部隊へ発射された。
2本の太いビームが敵のモビルスーツを数機飲み込み跡形もなく消し去った。
だが長距離からのビームはすぐ敵に察知され散開して避けられてしまう。
「これだけ距離があればそうそう当たらない」
敵のパイロットのほとんどはそう考えていた。
しかしケルディムのGNスナイパーライフルはこの長距離からでも正確に攻撃が出来る。
散開したモビルスーツはほとんどが孤立しており格好の的だ。
「敵さんが誘いに乗ってくれた、頼むぜハロ」
「ウカツ、ウカツ」
「狙い打つぜ!」
スコープに映るジンクスにトリガーを引く。
GNスナイパーライフルから発射されたビームがコクピットに突き刺さる。
パイロットはどうやられたのかも分からぬまま絶命した。
ロックオンは次の敵に狙いを定めまたトリガーを引く。
「行くぞバナージ、一気に本丸を叩く!」
「了解!」
ティエリアとロックオンの援護を受け2人は敵の本体へ機体を向けた。
降り注ぐ火線を物ともせず2人は突っ込んだ。
敵母艦を破壊し指揮を弱めれば脱出の可能性はさらに高まる。
だが近づくにつれて攻撃はさらに激しさを増す。
そして接近してきたダブルオーに3機のジンクスが戦闘を仕掛けてきた。
刹那はGNソードを右手に掴み向かって来るジンクスに振りかぶる。
ビームサーベルでこれを受け止めるジンクス、動きの止まった敵にバナージがGNビームライフルを構えた。
「刹那さん!」
横目でユニコーンがビームライフルを構えているのを見るとダブルオーの右足で敵機を蹴り付けた。
体勢の崩れたジンクスにバナージがビームを放つ。
敵は避ける事が出来ず機体に直撃しそのまま爆発に包まれた。
だがまだ2機も居る。
GNランスのバルカンがユニコーンに連射される。
バナージは左腕のシールドをスライドさせ内部のIフィールド発生器を発動させ攻撃を防いだ。
「バナージ!」
刹那はGNソードをライフルモードに切り替え敵に向かいビームを発射するが回避行動を取られてしまう。
こうしてここに留まっていては作戦に支障が出てしまう。
しかし敵の増援は留まることをしらずに現れる。
「このままでは!?」
残った1機、そして増援にさらに3機ものモビルスーツがこちらに向かって来る。
「ここで合流されたらマズイ、止まっちゃダメだ!」
バナージはビームライフルを構えるとジンクスへ向けバーニアを噴かした。
ビームを発射しながら敵に突っ込む、ジンクスはユニコーンを迎え撃とうとビームサーベルを握り振りかぶった。
振りかぶるビームサーベルにユニコーンは一歩早くバーニアをもう一度噴かせる。
サーベルは空を斬りユニコーンはジンクスの頭部を踏みつけていった。
仰け反るジンクスに駆けつけた刹那のダブルオーのGNソードが機体を横一線に両断した。
残る1機にすぐさま視線を向ける刹那とバナージ。
だが視界に映った敵機は後方からのビームに貫かれ爆発した。
「何してやがる、こんな所でモタモタしちゃいられねぇぞ!」
GNスナイパーライフルを構えたケルディムの援護射撃である。
「すまない!」
刹那はロックオンにそう言うと向かって来る敵を無視して先へ進んだ。
///
指揮を取るマネキンは防戦一方のソレスタルビーイングを落とす為新型2機とモビルアーマーも用意した。
普通に考えれば防戦一方のこの状況で負ける訳が無い。
だが油断は禁物だ、マネキンの予想が正しければソレスタルビーイングの指揮をしているのは間違いなく彼女である。
その事もあるのだろうか、ソレスタルビーイングの防衛網をなかなか突破出来ないで居た。
「敵影2機、こちらに向かっています!」
「ライセンサーを向かわせて確実に仕留めろ!他の部隊も呼んでいい!」
「了解」
(この状況で何か策があるというのかクジョウ……だがこちらも負ける訳には行かない。戦争根絶などと言う馬鹿げた事は今日で終わりだ!)
マネキンの指示で3人は接近してくる2機の撃墜に向かった。
「ヒリング、機体の調子はどうだ?」
「問題なし、さっさと終わらせるよ」
「その調子でお願いしますよ。さて!!」
ガデッサのGNメガランチャーがダブルオーとユニコーンに向けられる。
エネルギーは充填されておりすぐに発射が出来る。
「GNメガランチャー、発射!」
大出力のビームが発射される。
すばやく反応した2機はビームを避けるとこちらの存在に気が付いた。
「白い角付きは私が貰うよ!」
ヒリングはガッデスにGNヒートサーベルを握らせると単独でユニコーンに突入した。
「ならこちらは2個付きをやらせてもらう」
ヒリングは気にもせずダブルオーと対峙した。
ガデッサのGNメガランチャのビームを回避する刹那とバナージ。
ビームが飛んできた方向を見るとそこには見た事も無いモビルスーツが2機とモビルアーマーが居た。
「敵!?」
「アロウズの新型か!?」
こちらを捉えたモビルスーツ2機がこちらへ向かってきた。
このままではまた進攻を止められてしい戦うしか方法がなくなってしまう。
するとプトレマイオスから刹那へ通信が送られてきた。
「刹那、トレミーは資源衛星を出向しました。オーライザーの調整も終わっています。至急、そちらに送ります」
「オーライザーが、パイロットは?」
「沙滋・クロスロードさんに行ってもらいます」
「沙滋が!?だがアイツは…!」
民間人である沙滋が戦闘に加担する事を心配する刹那。
だがその沙滋からも通信が繋がってきた。
「いいんだ、僕の事は気にしないで」
「沙滋……」
「今の自分に出来る事をするだけさ。そうやってバナージ君も言っていた。とにかく今はこのオーライザーが必要なんでしょ!」
確かに今の状況ではここを切り抜けるのは難しい。
ダブルオーライザーの性能があれば敵を退ける事ができる。
しかしその為にはバナージを1人戦わせる事になってしまう。
「行って下さい、ここは俺がやります!沙滋さんの思いを無駄にしないでください!」
「バナージ…了解、後は頼む!」
刹那は戦線をバナージに任せオーライザーへ向かった。
ご意見、ご感想お待ちしております。