機動戦士ガンダム00 The human race's reformation 作:K-15
ダブルオーライザーとユニコーンはプトレマイオスに回収される。
モビルスーツデッキに収容されるとすぐにイアンとミレイナが機体の整備に取り掛かった。
ダブルオーガンダムはオーライザーと分離するとアームで固定される。
固定されたのを確認すると刹那はハッチを開放してコクピットから姿を現した。
ユニコーンとの戦いで疲労している体を少しでも早く休めたい。
ヘルメットを脱ぎライトが眩しく光るデッキを見渡す。
そこにオーライザーから降りてきた沙慈が駆け寄ってきた。
沙慈はデッキに足を付け刹那と向かい合うと少し前に体験した不思議な空間について聞く。
「刹那、大丈夫だった?」
「俺は何とも無い。沙慈は?」
「僕も平気だけど」
「そうか、あの現象は何だと思う?」
「僕にも何がなんだか。気が付いたら虹色の不思議な所に居て知らない内にまた元に戻っていて」
「お前と同じ様に俺も見た。あそこで出会った女はバナージの記憶の中にも居た」
「うん、マリーダ・クルスさんだよね。でもあの人は……」
「俺達が見た物が事実ならすでに死んでいる。意識だけの存在、お前はコレを信じる事が出来るか?」
「…………」
沙慈は何も言う事が出来ない、彼もまた刹那と同じ物を見ているから。
激動の戦場の中でマリーダ・クルスはその短い人生を終えた。
『マリーダさん、好きな食べ物ありますか?』
『アイスクリーム、かな?』
『ならこの戦争が終わったら一緒に行きましょう。うまい店知ってるんです』
だが彼女とバナージの約束は果たされる事は無かった。
やっとこれからやり直せると言うのに、今までの苦しみも悲しみもこれからの思い出で埋めていけばいい。
忌まわしき呪縛から解放された彼女が選んだのは死と引き換えにバナージを守ることだった。
「刹那、僕にはあの現象が何だったのか分からないし、あの女の人がどうしてあそこに居たのかも知らない。でもあの人は言ってた、人と人とが分かり合うのがニュータイプだって。バナージ君はその為に戦うって。僕はもう1度ルイスに会いたい。それであの時、彼女から逃げてしまった自分を許して欲しい。それで……」
「沙慈……」
以前に比べて自信を持っている沙慈に刹那は驚いた。
プトレマイオスに救助されたばかりの頃は自分の事しか考える余裕が無かった。
(これもバナージの影響か)
すると整備を受けているユニコーンのあたりが騒がしくなっているのに気付く。
「どうしたのかな?」
「行こう」
「うん!」
2人は無重力の床を蹴るとふわりと浮かびユニコーンの元へ飛んだ。
ゆっくりと近づき視界に映る白亜の機体が大きくなる。
そこでは涙目になってハッチを叩くミレイナとハロの口からケーブルを延ばし機体と接続させプロテクトを解除しようとしているイアンが居た。
ミレイナは右手が真っ赤になるほどユニコーンのハッチを叩き続けている。
「リンクスさん!リンクスさん!」
「どうした?」
イアンが後ろに振り向くと刹那と沙慈の2人が心配そうな面持ちでこちらに向かって来た。
「刹那と沙慈か?いや、バナージがコクピットから出てこないんだ。だからこっちで強制的に開放しようとしているんだが、相変わらずコイツのプロテクトが頑丈でな」
「この機体、まだ解析出来ていないのか?」
「あぁ、敵の襲撃もあってあまり進んでいない。それにしても何なんだ!このユニコーンって機体は!?構造設計がまるで違う。大きなダメージを受けたら面倒見切れんぞ」
文句を言いながらもプロテクトを解除する為に小型端末を操作するイアン。
イアンですらここまで手間取っているのだ、刹那と沙慈には何もする事が出来ずただハッチが開放されるのを待った。
その間もミレイナはバナージの名前を叫び続けた。
ユニコーンのコクピットに集まっておよそ5分程経過した。
「もうすぐ開くぞ」
プロテクトの解除も終盤に差し掛かっている。
ユニコーンのハッチは1度解除したにも関わらずまだ時間が掛かってしまう。
それでも初めの頃と比べると短縮されている。
「ハッチカイホウ、ハッチカイホウ」
ケーブルで繋がれているハロの目がチカチカと点滅しユニコーンのハッチが開放されようとしている。
「ミレイナちゃん、離れて」
「クロスロードさん」
重たい機械音を鳴らしハッチが開かれる。
「リンクスさん!」
ミレイナはすぐにコクピットの狭い空間に入り込んだ。
バナージは白いパイロットスーツを着たままシートに座り込んでいた。
頭は下を向いておりモビルスーツデッキのライトの光りが差し込んでも身動き1つしなかった。
「リンクスさん!大丈夫ですか?リンクスさん!リンクスさん!」
大声で叫んでも体をゆすってもバナージは動かなかった。
その様子を見て沙慈もまたコクピットを覗き込む。
「ミレイナちゃん、1度バナージ君を外に出そう」
「クロスロードさん、分かったです」
沙慈に言われて白いパイロットスーツの体を持ち上げようとするが重くてすぐには動かない。
「~~~~ん」
「変わって、僕がやる」
ミレイナは全天周囲モニターのシートの裏へ移動すると外から沙慈が入り込んできた。
女性の彼女とは違いバナージの体を軽々と抱えるとシートを蹴りゆっくりと後ろに下がった。
2人に続いてミレイナもコクピットから出て行く。
バナージを床へ寝かせた沙慈はヘルメットを脱がせる。
「バナージ君、バナージ君?」
呼びかけても返事は無かったが顔の表情は優れている。
「よかった、息はしてるよ」
「リンクスさん……」
「医務室に連れて行こう、ミレイナちゃん」
「はいです!」
沙慈はバナージを背負うとミレイナに案内をしてもらいながらメディカルルームへ運ぶ。
3人の姿が見えなくなるとイアンはユニコーンの整備に取り掛かった。
「さて、俺達も仕事に戻るか。ユニコーンのデータ解析もあるしな」
「イアン、解析にはどれくらいかかる?」
「さぁな、さっきも言ったが機体の構造が従来のモビルスーツとはまるで違う。1から調べ上げていたがさっきのアロウズの襲撃でラボにあったデータがパァだ。トレミーの設備でどれだけやれるか」
「ユニコーンと戦っている時ツインドライヴの粒子発生量が増加した。これも出来れば調べて欲しい」
「アレは俺もモニター越しに見たぞ。トランザムを発動しているのに粒子はさらに増えていった。それに……」
「それに?」
「あの光りはGN粒子だけの光りじゃない。おそらくユニコーンのフレームに使われている、たしかサイコフレームと言ったな。その光りかもしれん」
「サイコフレーム、それがあの現象の原因なのか?」
「これは俺の勝手な推測だ。本当の事は分からん」
「そうか」
今はまだ誰にも分からない、サイコフレームとGNドライヴ、この2つの関係性を。
刹那は意識を共有するあの空間の中で何を思ったのか。
(あの女はバナージの事をニュータイプと言った。人と人とが誤解なく分かり合える存在。人類がニュータイプに覚醒する事で争いは無くなるのか?それがガンダムに乗る俺達マイスターの使命、イオリアの目指した先にある未来なのか……)
考えても答えには辿り付かない。
これから先の戦いに何が待つのか、刹那達は考えなくてはならない。
ガンダムに乗る者として、世界を変革する為に。
「それよりもいいのか?ミレイナを行かせて」
「何だ?俺の整備では不満か?」
「いや、何でもない」
「バナージの事を言ってるのか?なぁに構わん、俺の目が黒い内はミレイナには指1本触れさせはせん。もし何かあったらシートに爆弾仕掛けてやる」
顔は笑っていたが心の中では怒り心頭のイアン。
さっきの爆弾の件は冗談だと思いたい。
刹那は整備を任せると自室へ向かい体を休めた。
///
バナージをメディカルルームに連れてきた2人はベットへ寝かせた。
検査をしても体に異常は見られなかった。
「しばらく休んだら良くなると思うよ。後は目を覚ますのを待とう」
「クロスロードさん、ありがとうございますです」
「僕は出来る事をやっただけだよ」
「ミレイナだけじゃ慌てるだけで何も出来なかったです」
「そんな事はないよ。それじゃぁ僕は戻るからバナージ君を見ていてあげて」
「はいです!お任せです!」
ミレイナに看病を任せて沙慈は部屋の扉のロックを解除した。
部屋から出たのを確認するとミレイナはバナージへ近寄った。
今はただ穏やかな寝顔で眠っている彼がモビルスーツに乗り戦っているなんて想像出来ない。
思いを伝えるなら早い方がいいのだろうか。
「り、リンクスさん!ミレイナはリンクスさんのことが!」
「好きなの?」
「!!!」
声にする方に振り向くとそこには新メンバーのアニューが居た。
誰も居ないと思っていたせいで動揺が隠せない。
「あ、アニューさん、どうしてここへ?」
「急に気分が悪くなってね、バナージ君はどうしたの?」
「検査では何も無かったです。疲れてるだけだってクロスロードさんが言ってたです」
「そうなんだ」
「アニューさん、出来ればさっきのことは……」
「大丈夫、バナージ君にも言わないから」
「~~~っ、ミレイナはお仕事に戻るです~!」
顔を真っ赤にするとミレイナも走って部屋から出て行った。
そんな少女の姿に懐かしい自分の思い出が蘇る。
(私にもあったっけ、あれはたしか……たしか……?)
「っ!?頭が……」
何故か分からないが昔の事を思い出そうとするとアニューに頭痛が襲った。
体の振るえは収まっているのに、やはり何か異常があるのだろうか。
その感覚が伝わったのだろうか、眠っていたバナージが突然目を覚ました。
「ここは?」
疲れの取れていない体を起こし周囲を見渡す。
部屋の明かりが眩しかった。
「メディカルルーム、どうして?」
ゆっくりとまぶたを開けるとこの場所がメディカルルームだと分かった。
そこに頭を抱え苦しそうな表情をしているアニューが居る。
「アニューさん!!!」
ベットから立ち上がるとバナージは急いで駆け寄る。
「アニューさん、どうしました?」
「バナージ君……ううん、もう平気だから」
「そうはいっても」
「優しいのね」
「アニューさん?」
「バナージ君、アナタの乗るユニコーンがガンダムに変身するのを見たわ。アレはとても危険な機体よ。ユニコーンの事は私にはまだよく分かっていないけれど何故だか分かるの。あの時のユニコーンはまるで憎悪の塊のようだった。でもアナタは違う、人の心が分かる優しさを持った人間よ。私は……」
「もうしゃべらないでください。どこか悪いんですか?」
バナージの問いかけに頭を横に振るアニュー。
「ごめんね、もう平気だから。」
「本当に大丈夫なんですか?」
「えぇ、私はブリッジに戻るわ」
「分かりました、俺も戻ります。気をつけてくださいね」
「アナタもね、ここにはバナージ君を待ってる人が居るからね」
「…………」
そう言い残すとメディカルルームにはバナージ1人だけ残ってしまう。
(みんなが待ってる。プトレマイオスの人達だけじゃない。タクヤ、ミコット)
今でも鮮明に心の中に残っている彼女の声を、言葉を記憶から呼び起こす。
「オードリー」
反政府勢力カタロンによる衛星兵器破壊作戦はすでに始まっている。
第2射を放たれる前にソレスタルビーイングはコレを破壊しなければならない。
///
オービタルリング上に設置されている連邦軍の衛星兵器。
これを破壊する為に反連邦勢力カタロンが決死の攻略作戦に打って出た。
モビルスーツの性能も数も圧倒的に連邦軍が勝っているこの状況でも彼らは進むしかなかった。
衛星兵器による地上への攻撃は甚大な被害を及ぼしたった一撃でも都市を跡形もなく消し去ってしまう。
これは何としても阻止しなければならない。
無理、無謀と笑われようとも彼らは前へと進む。
「目標ポイントに到着しました」
「第2艦隊攻撃準備完了しております」
「全艦、ミサイル攻撃を開始せよ!」
味方艦隊はすべてで12隻、ミサイルの射程範囲外だがそこから狙うしかない。
ありったけの弾薬を積めれるだけ積みこんだ。
カタロン艦隊は一斉に長距離からのミサイルによる破壊作戦を実行する。
モビルスーツによる白兵戦に持ち込まれると性能差で瞬く間に押されてしまうだろう。
連邦軍は擬似GNドライヴが標準装備されているがこちらは違う。
今では旧式のフラッグなどを使うしか戦う方法はない。
艦長の指示を受けミサイルが衛星兵器に向かい発射される。
絶え間なく発射されるミサイルと弾薬はさしずめ光りの雨のようだった。
しかし降り注ぐミサイルは目標の衛星兵器とは程遠い場所で撃ち落されてしまう。
ガデッサのGNメガランチャーが持ち前の長距離射程のビームでカタロン軍の砲撃をなぎ払う。
高出力のビームに直撃しミサイルは破壊され暗黒の宇宙に広大な閃光を照らす。
パイロットのリヴァイヴはスコープから目を離すとGNメガランチャーのエネルギーのチャージに掛かる。
「この程度ガデッサには容易い。次の一撃で終わらせてあげます」
ガデッサの長距離射程のビーム攻撃にカタロンは対抗する術は無かった。
///
ガデッサのGNメガランチャーのビームにミサイル攻撃は失敗に終わった。
もう1度衛星兵器を破壊出来るだけの弾薬はもう無い。
こうなるとモビルスーツによる白兵戦を仕掛けるしか手段は残されていないが結果はやる前から歴然としている。
こちらが束になってもアロウズの新型モビルスーツには太刀打ち出来ない。
「だが引く訳にはいかん!このままアロウズの所業を許す事など出来はせん!」
艦隊の指揮を取る艦長は声高らかに叫ぶ。
他の乗組員もそうだった。
このままアロウズの進攻を許せば世界は奴らの手中に納まってしまうだろう。
(それだけは何としても阻止しなければならない。たとえココで砕け散ろうとも、次の世代への架け橋となるため!)
「全艦全速前進!砲撃をしつつ敵衛星兵器へ特攻を掛ける!!!」
アロウズ艦隊はその号令を聞き艦のスピードを上げる。
それでもたどり着くまでに何隻残っている事か想像に容易い。
すると突然暗号通信が送られてきた。
「艦長、暗号通信が送られてきています。読み上げますか?」
「頼む」
通信兵はパネルを操作すると暗号化されたメッセージを変換その内容を読み上げた。
「アロウズの衛星兵器破壊作戦は我々が行う。カタロン艦隊は至急離脱を願う……ソレスタルビーイング!?」
「そうか、来てくれたのか」
「艦長、どうします?」
「全艦、現領域から離脱する。我々は邪魔になる、他の艦にも速やかに伝えろ!」
「了解!」
///
プトレマイオスはオービタルリング上を突き進んでいた。
狙いはただ一点、衛星兵器のコントロールシステムの破壊のみ。
そのためのプランもスメラギは既に考えてある。
「刹那はダブルオーライザーで先行して敵戦力の分散、最悪でもコントロールルームへの進路は空けてちょうだい。オーライザーの沙慈君の事もお願いね」
「了解した。刹那・F・セイエイ、目標を駆逐する!」
「オーライザー、沙慈・クロスロード行きます!」
ダブルオーガンダムとオーライザーはカタパルトから射出される。
「沙慈、ドッキングする」
「分かったよ刹那」
「ドッキングセンサー」
2機はセンサーを同調させるとダブルオーの背部にオーライザーがドッキングした。
ダブルオーライザーになる事で驚異的な粒子を発生するツインドライヴ。
「ダブルオーライザー、先行して敵戦力を叩く」
緑の粒子を放出しダブルオーライザーが作戦通りに単機で敵部隊に突入していった。
それを確認したスメラギは考えていたプランを実行に移す。
「こちらも行動開始ね。アニュー、このまま全速力で衛星兵器に向かって。フェルト、ロックオンに繋げて」
スメラギの指示でフェルトはガンダムのコクピットで待機しているロックオンに通信を繋げた。
「ロックオン、作戦開始よ。予定通りトランザムで……」
「大丈夫、大丈夫、わかってるって。それよりも俺の後のカバーを頼むぜ」
「そちらも抜かりは無いわ」
「それならノープロブレムだ。その名の通り狙い撃つ!」
そう言うとロックオンは通信を切った。
///
先行する刹那のダブルオーライザーはアロウズの防衛部隊と対峙していた。
衛星兵器メメントモリの防衛は硬く並の戦力では太刀打ちできない。
それでもダブルオーライザーはたった1機でこれに立ち向かっていく。
アヘッド部隊のビームライフルの砲撃を高い運動性と機動力で被弾する事無く潜り抜けていく。
「はやい!?」
「怯むな!攻撃を続けるんだ!」
攻撃の手は緩む事なく続けられるが一向に撃破どころかダメージすら与えられていない。
そんな砲撃を突破してきたダブルオーライザーがGNソードを握り接近戦を仕掛けて来る。
「来るな!?」
「はあぁっ!!!」
アヘッドのパイロットは目前に迫るダブルオーライザーにビームを放つが機体をわずかに傾けただけで避けられてしまう。
GNソードを横へなぎ払うと両腕を切断されてしまう。
その反動を利用し1回転すると攻撃手段のなくなったジンクスの胴体に回し蹴りを当て蹴り飛ばした。
クルクルと回転しながらアヘッドは在らぬ方向へと飛ばされていってしまう。
刹那はまたすぐに次の敵に目標を切り替える。
GNソードをライフルモードへ切り替えると3機編隊でこちらに攻めて来るジンクスを身構えた。
GNランスのバルカンで弾幕を張られ得意の接近戦に持ち込めない。
だが接近戦が出来なくともダブルオーライザーは他を圧倒する性能を秘めている。
バルカンの弾幕に対して回避行動を取りながら両手のライフルを交互に放つ。
発射されるビームはモビルスーツとは思えないほど高出力でありバルカンを消し去りながらジンクスへ飛ぶ。
負けずに弾幕を張るジンクスだったがその内の1機の脚部にダブルオーライザーのビームがかすめた。
そのせいで姿勢を崩してしまい攻撃を止めてしまう。
その隙を逃す刹那ではなかった。
「もらった!」
姿勢を崩したジンクスへビームを発射すると回避行動も取れぬまま胴体を貫いた。
「ガラン!」
「やったな!!!」
仲間が死んで行った事に怒りを燃やすジンクスのパイロット
ビームサーベルを引き抜くと加速をしダブルオーライザーに迫った。
だが単機で戦って勝てる相手ではない。
それに連携の崩れた今の状況は刹那の有利だった。
「よくもガランを!!!」
ビームサーベルを振り上げて斬りかかろうとするジンクスに急上昇を取る。
ビームサーベルは加速するダブルオーライザーを捉える事が出来ず何も無い暗闇を引き裂いた。
「くそ、はやい!?」
コクピットにアラームが五月蝿く響く。
だがアラームが鳴ったその時には頭上からGNソードのビームが飛んできていた。
振り向いた時には画面一杯に眩しく光りが広がっていた。
「ここま―――」
ビームは機体を貫き数秒すると機体全体を炎が包み込んだ。
「2人がやられたって言うのか!?そんな……」
残されたパイロットは現実を受け止められなかった。
ただ呆然とその場に立ち尽くし動く事さえ間々鳴らない。
だが戦場でその行為は死を意味する。
『消えてなくなれ、ガンダム!!』
「刹那、上から!!!」
「っ!?」
沙慈が叫ぶと立ち止まっていたジンクスにビーム攻撃が当たり爆発した。
刹那は沙慈の声を聞き機体を移動させ難を逃れる事が出来た。
「アレを避けたのか!?」
死角を突いての闇討ちを容易く避けられてしまい戸惑うパイロット。
だがすぐ傍までダブルオーライザーが迫り来る。
「くっ!」
左腕のシールドを構えGNフィールドを展開し攻撃を防ごうとする。
「甘い!」
だがダブルオーライザーのGNソードは紙を切り裂くかのようにフィールドごと機体を一閃した。
「沙慈、助かった」
「うん……」
「次の目標に向かう」
(さっき声が聞こえたような気がした)
あれは何だったのだろうか。
頭の中で考えるがそうしている間も目まぐるしく現状は変化し続けている。
「きっと気のせいだ」
「どうした?」
「何でもない。行こう、刹那」
「あぁ!」
ダブルオーライザーは戦場を駆け抜ける。
ご意見、ご感想お待ちしております。