機動戦士ガンダム00 The human race's reformation   作:K-15

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書いていて思ったのは自分はギャグとかそういうのを書くのは苦手だなと感じました。
だからあまり上手に書けていませんが見てくれると嬉しいです。
アドバイスなどをくれたら今後の参考にしていきます。


第20話 乙女心

バナージは単機でメメントモリ破壊に向かう。

後方はアリオスが奮闘しており敵を近づけさせないでいる。

ロックオンが狙撃した箇所に装備したGNランチャー、GNドライヴがないユニコーンでは粒子の貯蔵が出来ず弾数も減り威力も下がってしまうがこれでも十分に装甲を破壊できる。

射程圏内に入るとユニコーンの姿勢を制御し右肩にGNランチャーを構えた。

「これで終わらせる」

 

操縦桿を握りトリガーを引こうとするバナージ、しかし自身に迫る殺気にサイコフレームと宇宙へ出た事によるニュータイプの感覚がそれを察知した。

 

「新手か!」

 

大出力のビームがユニコーンに飛来する。

シールドを構えながらメインスラスターを全開にし回避行動に移る。

ビームが飛んできた先にはGNメガランチャーを構えたガデッサが居た。

ヒリングの脳量子波のお陰でリヴァイヴはすぐにここまで来れた。

「これ以上はやらせない!!」

「くっ!まだ居る!?」

 

ブリングの搭乗するガラッゾがGNビームクローで背後から襲い掛かる。

振り向くとすぐに左腕のサーベルラックを稼動しビームトンファーを発生させた。

ビームクローとビームトンファーが交わり激しい閃光が飛ぶ。

「この機体は見た事がない。新型なのか?」

「デヴァインの仇を取らせてもらう」

「まだ!!」

 

鍔迫り合いで動きの取れない2機、リヴァイヴはガデッサのGNメガランチャーでユニコーンだけを正確に照準に定めた。

もちろんブリングには脳量子波で既に攻撃する事は伝えてある。

それにガラッゾにはGNフィールドが展開でき、もしもの場合でもこれで機体にダメージは通らない。

「これで終わりです、角付き!」

 

トリガーを引くとGNメガランチャーの大出力ビームがまたもユニコーンに迫る。

ブリングは勝利を確信した。

「勝ったな」

「っ!!!」

 

殺気を感じたバナージはユニコーンの握っているGNランチャーを手放しガラッゾの胴体にマニピュレターを叩き付けた。

「なにぃ!?」

 

ガラッゾは姿勢を崩し、ユニコーンはそのわずかな隙にアンバックとメインスラスターの制御で距離を離した。

その瞬間に目の前を巨大な閃光が通り過ぎていった。

「確かにビームは強力だけど、当たらなければ何とも無い!」

「外した!何で!?」

 

ビームを回避するユニコーンにリヴァイヴは理解出来ないで居た。

(今までもそうだ、あの白いのは信じられない反応をして来た。ただの人間にそんな事が出来る訳が無い。だとしたらヤツも!?)

 

リヴァイヴは1つの可能性を思いつくがそれは検討違い、それを彼らが知るのはまだ先の事。

そこにアレルヤのアリオスも後方から追いついてきた。

GNツインビームライフルの連続して発射されるビームがガラッゾとガデッサの連携を分断させる。

「もう追いついてきましたか。やはりただの人間には期待できませんね」

 

2機は回避行動を取りつつアリオスに照準を定めた。

「そうだ、それでいい」

「アレルヤさん!」

「バナージは衛星兵器に行くんだ!ここは僕がやる」

「でも……!!!」

「刹那も居る。行くんだ!」

「……すぐに戻ります。持ちこたえてください!」

バナージは手放したGNランチャーをマニピュレータに握らせるとメインスラスターを噴かして2機から離れていく。

「ブリング、白いのが逃げます」

「了解した」

 

逃げるユニコーンを追うべく2機は連携して追い詰めようとする。

「行かせはしない、トランザム!!!」

 

アレルヤはもう1度トランザムを発動させた。

機体が発光し機動力がさらに上がる。

その加速に一瞬にしてユニコーンに向かう2機の前に立ちふさがる。

「羽付き!?ブリング!」

「バナージの邪魔はさせない!」

 

ガラッゾのGNビームクローでトランザム状態のアリオスに振りかぶった。

だがアリオスはビームクローをメインスラスターを全開にして潜りぬけ、ガデッサにツインビームライフルを放つ。

その攻撃にとっさに装備していたGNメガランチャーで防いでしまう。

「しまった!?」

 

メガランチャーはビームの直撃で破壊されてしまう。

チャージしていたエネルギーもありその爆発は凄まじくリヴァイヴはメガランチャーを手放しすぐさま距離を離した。

すると有爆が始まり宇宙に眩い閃光が浮かび上がった。

「メガランチャーをやられるとは……ブリング、ここは私が抑えます。角付きへ向かってください」

 

指示を受けブリングはアリオスを放置しユニコーンを追う。

無論そうはさせまいとするアレルヤだが無常にもその時は訪れてしまう。

「くっ!トランザムの限界時間」

 

アリオスの粒子残量が底を突きトランザムが解除されてしまう。

こうなっては機体の性能は従来よりもさがってしまう。

2機を相手に戦うのはとても無理だった。

 

///

ダブルオーライザーはヒリングの搭乗するガラッゾを相手にしながらもアロウズ部隊のモビルスーツとも戦っていた。

スメラギの作戦で粒子の消費を減らす為、ライフルを使わず接近戦で敵を打ち倒していく。

接近戦に強く設計されているダブルオーにはそれが出来る。

GNソードを一閃すると目の前のジンクスが2つに両断された。

「ミッションは上手くいっているのか?」

「敵機撃墜、すごいよ刹那!」

「あぁ、次が来る!」

 

ガラッゾのGNビームクローがダブルオーに迫る。

GNソードで刹那はそれを防ぎ距離を離すと下方に位置するアヘッドにオーライザーのGNミサイルを放出した。

急いで回避に移るアヘッドだが誘導するミサイルは装甲に突き刺さり爆発した。

「ん、トレミーから通信?」

「繋げるよ」

「頼む」

 

沙慈はオーライザーのコクピットからプトレマイオスから送られてきた通信に繋げた。

画面にはスメラギの顔が映し出された。

「刹那、プランC-5に移行よ」

「了解した、行くぞ沙慈!」

 

ダブルオーのコクピットの戦闘画面にトランザムの文字が浮かび上がった。

「トランザム!!!」

 

刹那の叫びと共にダブルオーライザーがトランザムを発動させる。

「やらせない!」

「お前に構っている時間は無い!!!」

 

ガラッゾは指を手刀の形に合わせる事でビームクローを一本の高出力ビームサーベルにする。

メインスラスターを活かし加速を付け鋭い突きをダブルオーライザーに当てた。

「取った!!!」

 

だがビームクローの突き刺さったダブルオーライザーは爆発するどころか傷すら付いていない。

するとヒリングの目の前からGN粒子を放出しながら薄っすらと消えていった。

「消えただと、馬鹿な!?」

 

レーダーですぐにダブルオーライザーの位置を確認するとガンダムはメメントモリへ向かい飛んでいた。

だがトランザムを発動させたダブルオーライザーの加速でレーダーの反応できる範囲からすぐに消えてしまう。

「今のは……一体……」

先ほどの現象に刹那は理解出来ないで居た。

 

///

ガデッサとアリオスは互いにビームサーベルを握り戦っていた。

GNメガランチャーを失ったガデッサだが接近戦でも十分に戦える性能を持っている。

もう何度目かビームサーベルが交わる。

「どうしました?トランザムが使えなければこの程度ですか」

「まだ負けた訳じゃない!」

「減らず口を!」

 

アリオスはビームサーベルでガデッサを押し返し腕に内臓されているGNサブマシンガンを前方に突き出す。

弾はガデッサの装甲に当たり火花が散る。

連射性に優れたサブマシンガンだが威力は低く致命傷にはならなかった。

「くっ!小賢しい!!!」

 

リヴァイヴは機体の姿勢を整えると再度アリオスにビームサーベルで斬りかかろうとする。

だがガデッサに目掛け高出力のビームが飛んできた。

「何だ?この粒子量のビームは?」

ビームを回避しつつその先を見るとそこにはヒリングと戦闘をしているはずのダブルオーライザーが居た。

「刹那!」

トランザムを発動させたダブルオーライザーが居た。

「アレルヤ、援護に廻る」

 

GNソードから発射されるビームがガデッサに降り注ぐ。

「ダブルオーが来た、と言う事はヒリングを抜けたのか。ここまでですね」

 

2対1ではさすがのリヴァイヴでも不利だ。

状況をすばやく判断し、無駄な被害を避ける為リヴァイヴはガデッサを撤退させる。

刹那も逃げるガデッサを追おうとはしない。

「助かったよ刹那」

「敵部隊が集結しつつある。バナージの援護に行く」

「了解、迎撃行動に移る」

 

2人はメメントモリに居るバナージの元へ向かう。

「もう時間がない。はやく終わらせないと」

 

アレルヤの援護のお陰で再びメメントモリの電磁場共振部をGNランチャーの射程圏内に定めた。

バナージも敵の防衛部隊が集結しつつある事に気付いている。

このまま長引けば持久戦にもつれ込み疲労が激しくなる。

そうなればメメントモリの破壊も難しくなってしまう。

「っ!?後ろからまだ来る」

「これで終わりだ」

 

ブリングのガラッゾがユニコーンを後方から追尾してきた。

指先からGNビームクローを発生させてこちらに向かって来る。

バナージはユニコーンを振り向かせると構えていたGNランチャーのトリガーを引く。

銃口から強力なビームが発射されガッデスに飛んでいく。

だがガッデスが機体にGNフィールドを発生させるとGNランチャーのビームを打ち消した。

「あの機体にもフィールドがあるのか。残弾数2、どうするバナージ……」

 

ビームを防いだガラッゾが接近しビームクローの鋭い攻撃が容赦なくユニコーンに襲い掛かる。

メインスラスターと各部のアポジモーターを駆使して紙一重で避けきるバナージ。

するとユニコーンは右手に握っていたGNメガランチャーを手放した。

ブリングはこの期を逃すまいとさらに攻撃の手を激しくする。

「仕留めさせてもらう」

「来る!!!」

 

ブリングがガッデスの右手を振り上げビームクローで装甲を引き裂こうとする。

ビームの光りがユニコーンの白い装甲を照らす。

 

「なんだと!?」

 

「今だ!!!」

 

手放したはずのGNメガランチャーからビームが発射されガラッゾに飛んできた。

バナージが事前にタイマーをセットして自動に発射されるよう仕組んでいた。

ブリングは咄嗟にGNフィールドを発生させてこれを防いだがユニコーンを見失ってしまう。

「何処だ、何処に居る!」

「このぉぉぉぉぉっ!!!」

 

「!!!」

 

振り向く先にはNT-Dを発動させたユニコーン、右腕のビームトンファーがガッデスの胸部に突き刺さりそのままメインスラスターを全開にして突き進む。

「ガンダムッ!このままで!!!」

 

ユニコーンの加速で機体が吸収しきれないGがブリングに掛かる。

体がシートに押さえつけられ満足に息も出来なくなる。

だがブリングはガッデスの指を手刀の形に合わせ高出力のビームサーベルを発生させてユニコーンのメインカメラに突き刺そうとする。

「ガンダム!沈めぇぇぇ!!」

 

だが突き刺そうとした瞬間、機体がメメントモリの装甲にぶつかった。

「ぐあっぅぅ!!!」

「こんな兵器、存在してはダメなんだ!」

 

ユニコーンの左腕のサーベルラックを稼動させると出力の上がった巨大なビームサーベルがガラッゾを斬り上げた。

そこに援護に駆けつけた刹那とアレルヤが駆けつけた。

「バナージ、衛星兵器は?」

「やりました、ここから離脱します!」

 

作戦は成功したがバナージには気がかりな事がまだ1つ残っていた。

(NT-Dが勝手に反応した。どうして?強化人間もニュータイプだって居ないのに)

 

ガラッゾとの戦闘で自分の意思とは関係なくNT-Dが発動した。

だとしたら何故か、バナージはまだ分かっていない。

ユニコーンはNT-Dを発動したまま空域から離脱する為メインスラスターを噴かした。

他の2機もそれに続きプトレマイオスへ帰艦すべくこの空域から離れていく。

///

アーバは分散させた部隊を集結させて電磁場共振部のガンダム撃退のために指示を出す。

(ライセンサーの機体の性能ならガンダムでも苦戦するはずです。それまでにソレスタルビーイングを包囲出来ればこちらの勝ちです)

 

戦力ではこちらが圧倒している、負ける訳が無いと考えるアーバ。

そしてメメントモリのエネルギーチャージももうすぐに終わる。

「エネルギーのチャージが済み次第、敵輸送艦に発射しなさい」

「エネルギーチャージ50パーセント撃てます」

(勝ったな……)

ブリングのガッデスはユニコーンのビームサーベルで斬られ動かない。

斬られた箇所の装甲からバチバチと火花が飛び交い、暗闇の宇宙で不気味に光っている。

数秒、消えていたメインカメラのバイザーが赤く光った。

それと同時に機体が爆発を始めた。

爆発は大きさを増し電磁場共振部を飲み込んでいく。

ロックオンが空けた装甲にまで広がってゆき内部も爆発に包まれてしまう。

電磁場共振部にまで有爆しメメントモリは内部から崩れていく。

///

プトレマイオスに帰艦する3機のガンダム、望遠カメラからそれは確認できた。

フェルトは3機の無事をスメラギに伝える。

「ミッション成功、ガンダム3機トレミーに帰艦しています」

「トレミーはガンダム回収後、トランザムで現空域を離脱します」

「了解、ティエリアに報告します」

「お願い」

 

ミッションの成功を聞きスメラギは肩の力を抜いた。

操舵をしていたアニューは立ち上がるとのミレイナ元へ移動した。

「アニューさん、どうしましたです?」

 

軽い身のこなしでふわっと浮き上がると傍に近寄り小さな声で言った。

「よかったね、バナージ君も無事みたいで」

「そ、そそ、そんな事ないです!みんな無事なほうがいいです!」

「迎えにいってあげれば?後はなんとかなるから」

「でも……」

「きっと喜んでくれるから」

「……はいです!行って来るです!」

 

そうアニューに言い残すとミレイナはブリッジを後にした。

「アニュー、ミレイナはどうしたの?」

「バナージ君を向かえに行くそうです」

「……なるほど、わかったわ」

 

スメラギは大体の事情を察してくれた。

アニューも自分のシートへ戻るとモビルスーツデッキのティエリアから通信が繋がってきた。

「ミッションは成功のようですね」

「えぇ、メインディッシュは頂いたわ。やっぱり出撃したかった?」

「いえ、これも作戦の内です。それにたまにはこういうのもいい」

「そう、3機が戻り次第トランザムを発動させてちょうだい。すみやかに離脱します」

「了解」

 

衛星兵器は破壊できた、だがこれはまだ戦いの序曲でしかない。

これからもまだ戦いは続いていく。

 

///

 

「ガンダムを回収、パイロットは全員無事です」

 

プトレマイオスへミッションを完了した4機のガンダムが帰艦する。

モビルスーツデッキへ収容されたとフェルトがスメラギへ報告した。

「わかったわ、トレミーはトランザムを発動してこの空域から離脱します」

 

それを聞いてアニューはトレミーの進路を地球へと向け加速を始める。

逃げるプトレマイオスに追撃部隊が迫るがGNフィールドを展開しダメージは通らない。

コクピットに搭乗しているティエリアはセラヴィーのトランザムを機動させた。

「トランザム」

 

装甲が発光しGNドライヴの粒子発生量が飛躍的に上昇しそのままプトレマイオスの推進力に使われる。

「彼女にはあぁ言ったがただ座っているだけなのも退屈すぎるな」

 

ティエリアはヘルメットを脱ぐと額の汗が数滴飛び散った。

するとその小さな丸い水滴を瞳でじっと見つめた。

無音の密室で自身の心境が昔と変わっていることに気がついた。

「この僕が任務を退屈だなんて、ずいぶん変わってしまったな。笑ってくれ、ロックオン……」

 

4年前に戦場で散っていったロックオンが今のティエリアを見たらなんと言うのだろうか。

少しは人間らしくなったのだろうか、笑えるようになったのだろうか。

でも彼はもういない、だから彼の分も生き続けてみせよう。

(そして成し遂げてみせる。彼と、僕と、みんなの、イオリアの計画を遂行する)

 

「だから思い出の中で見守っていてくれ……」

 

それが今も昔も変わらないティエリアの気持ちである。

プトレマイオスは地球へと降下した。

大気圏に突入すればレーダーは役に立たないので敵の追撃からも逃げられる為である。

連戦の体の疲れを癒すのと艦やモビルスーツの整備もしなくてはいけなかった。

アフリカ森林地帯へ艦を止めると光学迷彩で景色と同化させてカモフラージュをさせる。

これで敵に察知される可能性もぐんと下がる。

束の間ではあるがクルーに休息が訪れた。

「久しぶりの休暇ね。今までの疲れも溜まってるからゆっくり寝れそう。フェルトはどうするの?」

「私はまだ仕事が残ってますから」

 

スメラギに返事を返しながらもコンピューターを動かす指の動きは止まらない。

フェルトには今までの戦闘データの処理が残っていた。

特に重要なユニコーンのデータ解析がある。

ユニコーンは宇宙での戦闘で2回NT-Dを発動させている。

NT-D発動時のデータはまだ行われておらず、これからの戦いに備えても重要な意味を持っている。

そして誰もがユニコーンの真の性能を知りたいと思っている。

画面に映るユニコーンとアロウズの新型モビルスーツとモビルアーマーとの戦闘。

NT-Dを発動させたユニコーンは今までとは明らかに性能が向上しておりアロウズの新型をたった1機で圧倒した。

(たしかにユニコーンの戦闘能力は高い、けれどもスメラギさんの言うように何処で製造されたのか未だに分からない。私達と対等に戦うだけの技術をこの機体を作った組織は持っている。だとしたらバナージ君はなぜ?)

 

機体に付いては気になる点は多くあるが、それ以上にパイロットのバナージも観測の対象になっている。

バイオメトリクスにはバナージのデータは存在せず初めて会ったときに言っていたインダストリアルに住んでいたというのも本当かどうか怪しい。

(けれども一緒に戦っている以上は仲間と信じるしかないわ。まずこのデータを解析しないと)

 

映像に移るユニコーンのサイコフレームは赤く発光していた。

「フェルト、あまりやりすぎないで休めるときに休むのよ」

「あまり時間は掛かりませんので。スメラギさんとアニューは休んでください。私もすぐに行きます」

「そう、無理しないでね」

「はい」

「ならアニュー、一緒に行かない?」

 

仕事を続けるフェルトを心配しつつも自身も休まなければこれから体がもたなくなってしまう。

休息も仕事の1つであり、万全の状態でなくては戦っていけない。

スメラギはアニューを誘って外に出ようとした。

「すみません、私も手伝う事がありまして……」

「なに?アナタも仕事だなんて言うの?」

 

立て続けに断られて少し不機嫌なスメラギ。

でもそれはすぐに笑みへと変わる。

「いえ、ミレイナがチョコレートを作るからそれを教えに……」

「チョコレート?」

「はい、今日は2月14日ですから」

 

アニューが皆まで言わずともここまで言えば誰でも理解できる。

そしてミレイナが渡す相手もおのずと検討は付いている。

たちまちスメラギの顔は不敵な笑みへと変わっていった。

「へ~、面白そうじゃない。決めた、私も行くわ!」

「え……でもスメラギさん、料理できるのですか?」

「大丈夫よ、私は見てるだけだから。それよりも早く行きましょう」

 

スメラギはそう言うとアニューの右手を掴んだ。

「あ、でも!!」

「いいから、いいから」

 

何かを言おうとするが有無を言わさずにアニューは連れ出されてしまった。

///

軌道エレベーター、地球と宇宙を繋ぐ橋。

いずれ人類が宇宙を新たな住処とするスペースコロニー開発の為に必要不可欠な存在。

そして太陽光発電で世界中のエネルギー需要を満たしている。

化石燃料の衰退した現在では軌道エレベーターはなくてはならない。

それゆえに軌道エレベーター周辺での戦闘行為は禁止されている。

もしも破壊されてしまった場合、エネルギー不足は免れない。

それは自身の首をも絞める事となる。

だから建設されて以来、軌道エレベーター周辺での大規模な戦闘は行われていない。

「ここにいる全市民の方々に報告する。私は地球連邦軍情報作戦室所属、ハング・ハーキュリー大佐。私は同士達と共にこの低軌道ステーションを占拠した。駐留軍、各施設、リニアトレイン、そして太陽光発電システムも私達が掌握している。私達の目的はただ1つ、連邦政府直轄組織アロウズの蛮行を世に知らしめその善非を世に問う為である。反政府勢力を排除する名目で彼らは数百万規模の虐殺を行っている事実をアナタ方はご存知か?中東再編の為、罪の無い多くの人々が殺された事をご存知か?」

 

ハング・ハーキュリーが掌握した低軌道ステーション、そこで彼は全世界に向けてこの宣言を飛ばした。

ステーション内の軍はハングの部下により全員拘束されている。

「そう、アナタ方は連邦政府の情報統制によって偽りの平和を与えられ知らぬうちに独裁と言う社会構造に取り込まれているのだ。この事実を世に知らしめるまでの間、アナタ方の命を預からせてもらう」

 

この宣言を聞いてステーション内の一般市民にパニックが襲う。

冷静になれる人など居る筈もなく皆が自身の安全の為に必死になる。

叫び、泣き、怒声が響く。

突如訪れた死ぬかもしれない状況に市民は混乱していく。

「憎んで頂いて構わない。だがコレだけは断言する。我々は連邦市民の利益と安全を守る軍人だ。ゆえに誤った政治、間違った軍隊を正す事もまた我々軍人の使命なのである!」

 

連邦軍内でのクーデターに世界はどう動くのだろうか。

///

 

「出来たです!!」

 

エプロンを付けたミレイナが声を上げた。

見た先には綺麗に作られたチョコレートが置いてある。

作り方はアニューの指導の下で行われ時間は掛かったが1人で作るよりも綺麗に仕上がった。

スメラギはウイスキーを片手に余っているチョコレートを食べていた。

「すごく上手じゃない。お酒の摘みに合いそう」

「スメラギさん、ダメですよ。これは……」

「わかってるわよ。さすがにそんな事はしないわ」

 

彼女の顔はすでにほんのりと赤くなっていた。

「飲みすぎはよくありませんよ?」

「いいお酒は悪酔いしないから大丈夫」

「……さぁ、梱包しましょうミレイナ。見た目は大事よ」

「はいです!」

 

出来上がったばかりのチョコレートを箱詰めし紙に包む。

不慣れな手つきではあるが形を崩さないように慎重に作業を進めていくミレイナ。

「リターナーさんのお陰で上手に出来たです」

「私はただ手伝っただけよ。作ったのはアナタ、きっと思いも届くはずよ」

「やっぱりリターナーさんも送った事があるのですか?」

「私は……わた……しは……」

 

何故なのだろう、昔の記憶が思い出せない。

それを言い出せずに言葉が詰まってしまう。

(何故、ナゼ、なぜ……)

 

自問自答しても答えは出ず彼女の心を暗く蝕む。

「どうしたです?」

「あ……ううん、何でも」

 

声を掛けられ意識を戻すアニュー。

ミレイナはすでに梱包を終えていた。

所々シワが付いているがそれは綺麗に出来上がっていた。

「それじゃあ渡してくるです!」

そう言うと勢いよく走り出していこうとする彼女を酔ったスメラギが引き止めた。

「ミレイナ、そういうのはサプライズが大事よ」

「サプライズ、ですか?」

「そう、ビックリするようなね。出ないと振り向いてもらえないわよ」

「わかったです!」

 

ミレイナは箱を大事そうに抱えて走り出していった。

それから数分後にソレスタルビーイングのメンバーは連邦軍内のクーデターを知る。

短い休息は終わりまた戦火へと身を投じなければならない。

彼女の思いがどうなるかはまだ少し先の話になる。




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