機動戦士ガンダム00 The human race's reformation 作:K-15
プトレマイオスに帰艦するセラヴィーとダブルオー、そして突然襲い掛かってきた謎の機体。
ガイドビーコンに沿って着艦準備に入る。
ダブルオーが腕を引っ張り白い機体をゆっくりと格納庫に移動させる。
「そいつは一番奥に入れろ、カタパルトへ固定させる」
「了解、セラヴィーはどうなっている?」
「手痛くやられているな。ったく!新型だっつうのに!」
イアンは愚痴を零しながら刹那を誘導し機体を移動させる。
謎の白い機体の足をカタパルトが大きな音を立てて固定する。
「よし、刹那もダブルオーを固定させろ。整備に掛かる」
「分かった、後は頼む」
ダブルオーを鹵獲した機体の前に配置するとコクピットから下りていく。
ハロを積んだ無人機が数機ダブルオーに飛んできて修理に入る。
「やれやれ、相変わらず愛想が無いな。それよりも」
イアンは回収された白い機体を見上げる。
「この角付き、詳しく調べる必要があるな。ハロ付いて来い」
「ツノツキ、ツノツキ」
黄緑色のハロは耳をパタパタさせてイアンの後に付いて行く。
パネルを操作しハッチを開放しようとするがプロテクトが頑丈に作られており簡単には開かなかった。
何度もパネルを操作するがどのパターンを試してもエラーが出てしまう。
「何だこのプロテクトは?ただハッチを開けるだけだぞ!?」
ハッチに近づいてきたハロの口からケーブルを出し機体に繋げる。
それでもプロテクトを破るには時間が掛かる。
///
刹那はイアンに整備を任せるとMSデッキからブリッジに移動する。
グリップを握り足を浮かせて向かっている途中にティエリアと会う。
先ほどのティエリアらしからぬ行動に疑問を感じていた刹那はその事について聞いてみた。
「あの白い機体、何故かは分からないがとても不愉快に感じた」
「それだけであんな行動を取ったのか?」
「これでは理由にもならないな。昔のキミの事を言えない」
刹那は気にせず話を続けた。
「ティエリア、あのガンダムについて何か情報は有るのか」
「過去のデータから見ても、やはりあの機体の情報はやはり載っていない。イアンからの解析結果を待つしかない」
「そうか……」
落胆の表情を浮かべる刹那、二人で話していると小型輸送船からスメラギとライルがプトレマイオスに乗艦する。
ノーマルスーツを着た二人と鉢合わせになる。
「よぉ!いやスッゲェなガンダムって」
刹那とティエリアがギロリと睨み付ける。
空気もピリピリとしておりライルは完全に場違いだった。
「あら?」
「……刹那、二人の事は任せる。僕はイアンとあの角付きを調べて来る」
ティエリアはそう言い残しグリップを掴んで行ってしまう。
一人残る刹那にライルが近寄り話しかける。
「アイツは驚かないんだな、俺の事」
「ブリッジまで案内する。スメラギも来てくれ。」
刹那は二人を案内しようと歩いて行く。
スメラギは顔を俯け無言で刹那に付いて行く。
「やれやれ、感動のご対面って訳にはいかないか」
刹那がブリッジのドアを開けるとクルーが迎え入れてくれた。
みんなスメラギの顔を見ると立ち上がり駆け寄る。
「スメラギさん!お帰りなさい」
「お久しぶりです、ノリエガさん」
「相変わらずだな」
スメラギは暗い表情のままだった。
刹那に連れられてプトレマイオスに来たが彼女はまだソレスタルビーングに戻る決意を固めては居ない。
「私は……」
隣からライルもブリッジに入ってきた。
ライルを見ると一同に驚く。
「ロックオン……」
フェルトは目に涙を浮かべた。
(でも、どうしてロックオンがここに?)
「ロックオン、イキテタ、ロックオン、イキテタ」
「どういう事だ、どうしてロックオンが!?」
「熱烈な歓迎だな」
驚くクルーに事情を説明するスメラギ、でも表情は変わらない。
「弟さん、なんですって」
「そうゆう事だからこれからよろしく!」
ライルが自己紹介をしているとMSデッキのイアンから通信が入る。
「白い機体のハッチが開いたぞ!」
///
ハロが10分程掛かりハッチを開けた。
ハロには最新鋭の電子プログラム機能が搭載されている。にも関わらずハッチ一つ開けるのに10分も掛かるのは異常だった。
それだけこの機体のプロテクトが頑丈に組まれている。
「よくやったぞハロ」
「アイタ、アイタ」
イアンはその事をブリッジに報告する。
「白い機体のハッチが開いたぞ!」
ノーマルスーツの通信機からそう言うとハッチを潜りコクピットを覗き込む。
そこには機体と同じ白いパイロットスーツを着た少年、バナージ・リンクスが居た。
コクピットを開けたイアンは中から白いパイロットスーツを着た少年を引っ張り出す。
無重力なので重さはあまり感じなかった。
シートから体を浮かせ両腕で抱え込むとそのまま足で床を蹴りコクピットから後ろ向きに出て行く。
抱えた体を床に仰向けに寝かせヘルメットを取る、その顔は10代の様に見えた。
「こんな子供が操縦していたのか!?」
白い機体のパイロットが子供だったことに驚愕するイアン。
こんな子供が最新鋭のガンダム2機、刹那とティエリアの相手をしていたなんて。
機体の性能も然る事ながらその事に驚いていた。
ガンダムマイスターの刹那もソレスタルビーングのメンバーになったばかりの頃は14歳だった。
そのころはモビルスーツに乗った事など無く、シミュレーターで訓練する日々が続いた。
刹那の専用機、ガンダムエクシアが与えられたのはそれから2年後だ。
当時の技術レベルのはるか先を行くガンダムは他のモビルスーツなど相手にならない。
それでも数で押されたり、パイロットの技量の差で窮地に立たされる事もあった。
刹那は数多の戦いを得て今ではソレスタルビーングを支えるガンダムマイスターになっている。
(2人を相手にこの少年はたった一人で)
思う事は多くあるがイアンはこのパイロットをメディカルルームへ運ぼうと体を抱えようとした。
「その少年が、この機体のパイロットなんですね」
後ろから声が聞こえ振り向くと少年の顔を凝視するティエリアが居た。
メガネ越しに見える目はいつもより鋭いように見える。
「ティエリアか、丁度いい。この子をメディカルルームへ運んでくれ」
「……!」
ティエリアは顔をじっと見たままで返事は無い。
「……」
「ティエリア……どうした?」
「いえ。白い機体の解析はどうなりましたか?」
「今からやる所だ。ハッチのプロテクトがなかなか破れなくてな。こりゃぁ、手こずりそうだ」
「分かりました、解析が終わったら知らせてください。この少年は僕が見ます」
「あぁ!そっちも頼んだぞ。」
ティエリアは寝かせていた少年の体を抱えるとメディカルルームに向かい歩き出した。
その後姿を見るとイアンは機体の解析を再開する。
///
「この子供があの白い機体のパイロット」
モビルスーツデッキを出たティエリアは白い機体のパイロットを抱えて歩いて行く。
少年は目を閉じたままで意識がない。
そんな彼を見ていると自分の心の中を見透かされているような感覚に陥ってしまい不愉快だった。
とは言えあの機体を回収すると言ったのは自分であり、無抵抗な人間をこのままにもしておけずイアンの指示に従っている。
艦内を進んでいるとスメラギが一人立ち尽くしていた。
まだソレスタルビーングの制服に袖は通していない。
人を抱えて進んでおり目立つ筈なのに彼女はこちらを見なかった。
ティエリアはそのままスメラギに近寄り話しかけた。
「こんな所でどうしたんですか?」
「ティエリア……」
ゆっくりと振り向くがすぐに下を向いてしまう。
今の彼女に4年前の面影は無かった。
「その様子だと、まだ決心は付いていないようですね」
「それは……」
「これからアロウズと戦っていくにはあなたの戦術予報が必要になる」
「それでも!……もう、私は……」
「……そうですか。では、僕はこれで失礼します。彼を連れて行かないといけないので」
ティエリアの彼と言う言葉を聞いてスメラギはやっと気づく。
白いパイロットスーツを着た少年がティエリアに抱えられている事を。
「っ!何なの!?」
その少年を見ると不思議な感覚に包まれた。
艦内に居る筈なのに一瞬宇宙が見えた。
きっと疲れているんだと、目を閉じ頭を振った。
「どうしました?」
「えぇ、何でもないわ。その子はどうしたの?」
「先ほど遭遇したアンノウンのコクピットに入っていました。おそらくパイロットと思われます。意識が戻らないので今からメディカルルームに連れて行く所です」
「アンノウン?」
「アロウズとの戦闘後に突然襲い掛かってきた謎の白い機体です。今は解析中で詳しい事はまだ分かりません。このパイロットの意識が戻り次第尋問を行います」
「尋問って……まだ子供なのよ」
「あのモビルスーツは危険です。ですがこちらで使用出来れば強力な兵器になります。そのためにも、そのパイロットから話を聞かなければなりません。それに4年前の刹那もこのパイロットと同じ年代です。子供といえど厳重な警戒が必要です」
ティエリアの言う事に何も言い返せない。もう自分には関係ないと、割り切るしか無かった。
「では、僕はこれで。新しく来たマイスターの訓練もありますので」
それだけ言うと少年を抱えて立ち去ってしまった。
スメラギはティエリアの姿が見えなくなると自室に戻った。
扉のロックを解除し部屋に入ると明かりも付けずにベッドに倒れこんだ。
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