機動戦士ガンダム00 The human race's reformation   作:K-15

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第32話 アクシズの軌跡

『刀のサビとなれ!』

 

『邪魔をするなぁ!』

 

赤い機体は大型のビームライフルを向けると無造作にトリガーを引きビームをスサノオに発射する。

大出力で放たれたビームだが狙いの定まっていない攻撃には目もくれずスサノオは床を蹴り再度接近戦を仕掛けた。

メインスラスターの出力も相まって短距離ではあるが見失ってしまうほど機体の速度は早かった。

 

『どこに!?』

 

『話にならん』

 

修行を積んだグラハムにはその一瞬だけで充分で左手の強化サーベルでナイチンゲールが持つ大型ビームライフルを半分に真っ二つにしてしまう。

急いで使えなくなったビームライフルを手放すがリジェネにはグラハムに勝てるだけの技量は持ち合わせてはいなかった。

次いで振るわれたスサノオの右手の強化サーベルの突きをシールドで受け止めたが刃はシールド中央を貫通し左肩の装甲をかすめた。

 

『ぐぅっ!リボンズめ!』

 

リジェネはシールドも捨てるとスサノオから逃げるようにスラスターを吹かして後ろに距離を取る。

スカートの隠し腕にビームサーベルを2本握らせ床をX字に切り裂き穴を開けると鉄板をその大きなボディーとメインスラスターの推進力で強引に突き破って行った。

もちろん逃げるリジェネをそのままにしておくグラハムではない。

同じ穴からナイチンゲールの巨大な姿を逃がすまいと飛び込んだ。

 

『逃がすものか』

 

ナイチンゲールは背部のプロペラントタンクを切り離すとバインダーからファンネルを出し銃口をプロペラントタンクへ向けた。

 

『行けファンネル!』

 

ファンネルから放たれた小さなビームはプロペラントタンクに直撃すると燃料が残っており爆発が起きた。

グラハムは炎に巻き込まれる直前に機体を止めると視界が晴れるのを待った。

 

『目くらましか、姑息な手を』

 

爆発の炎が晴れた時にはナイチンゲールの姿はどこにも居なかった。

けれどもまだコロニーに潜んでこちらの動向を探っている。

もはや必要のなくなった王留美をこの世から消すために。

 

///

 

「紗慈、敵はどうした?」

 

「黒い機体と戦って逃げて行ったよ」

 

「王留美をオーライザーのコクピットへ乗せてくれ。これから戦闘になる」

 

2人を連れて紗慈が待つガンダムへと戻ってきた刹那、幸いにも機体は無傷だ。

ここから脱出しようとするが王留美はそれを拒んだ。

 

「いいえ、私は大丈夫です。それよりも渡したデータを確実に届けてください」

 

「だがそれでは?」

 

「脱出ルートはこちらでも確保しています。私の事よりも今はそのデータのほうが大事なはずです」

 

「……わかった」

 

1人で行けと言う彼女の言葉を信じて刹那はデータの入ったチップを握りしめて2人を置いて行った。

 

(私はアナタ達と一緒には行けないのよ、求めている先が違うのだから。最後まで何も知らずに戦っているといいわ)

 

心の中でほくそ笑みながら先を行く刹那の背中を見た。

振り返らないのを確認すると再び指令室へと踵を返す。

 

「これから何をなさるつもりですか?」

 

「リジェネはここであの赤いモビルスーツを作っていた。ならそのデータが残っているはず」

 

「モビルスーツのデータ、そんな物を何に?」

 

「どこで手に入れたのかはわからないけれど普通の機体とは違う特殊な素材を使っていると前に聞いたわ。それをリークすればリジェネは不利になる」

 

もはや敵になったリジェネは彼女にとって邪魔者でしかない。

だがまともに戦ったのでは勝ち目はない、こちらは多額の資金を持っているだけでそれなら相手にもある。

情報を自由に操作、統括し軍隊をも意のままに操れるイノベイター達には勝てない。

指令室の扉のエアロックを解除すると彼女は走ってコンピューターへと向かった。

 

「その素材で一体何が変わるんだ?モビルスーツに使われる部品がそんな―――」

 

「うるさい!さっきから聞いてばかり、そんなのだからアナタは当主に選ばれなかったのよ!そのせいで私がどんなに苦しかったかアナタにわかるの!」

 

「っ……!?」

 

長男である紅龍ではなく留美が当主に選ばれた事にずっと負い目を感じていた。

それ以来ずっと傍で見守ってきていたからわかっているつもりでいたが最近の彼女の行動には理解出来なかった。

兄妹だから、当主にさせてしまった負い目からずっと着いて来たがそれすらも彼女の重荷になっていた。

王留美はデータを次々に開示していくと目的のモビルスーツのデータを見つけた。

疑似GNドライヴと核融合炉をハイブリッドさせて作られた機体ナイチンゲール、けれどもその事には興味がない。

 

「見つけた、これがナイチンゲール。リジェネが作った機体、疑似GNドライヴと核融合炉が動力源。核融合炉は封印された筈、そんな物がどうしてこの機体に?」

 

太陽光発電が確立されてからは原子力発電は廃止され兵器としての使用もなくなった。

失われた技術としてナイチンゲールに使用されているがこれがリジェネの言っていた特殊素材とは思えなかった。

 

「何かもっと別のがある筈。リジェネが重要視するほどの何かが」

 

ナイチンゲールのデータを次へ次へと開示させて行くとコクピット周辺に使用されているサイコフレームと書かれた部品を見つけ出した。

モビルスーツの知識はあまりない彼女だがコクピットにしか使用されていない事が気になった。

簡単に考えられるのはそれだけその部品が希少だということ。

 

「サイコフレーム、恐らくこれがリジェネの言っていた特殊素材。サイコフレームのデータさえあれば―――」

 

「データは渡さない」

 

聞いたことのある声、頭がそれを認識した時には銃声が室内に響き渡った。

振り向くと逃げたと思っていたリジェネが銃を向けてこちらを狙っている。

そして床には王留美を庇って撃たれた兄の紅龍が倒れていた。

腹部からは大量の血が流れ出し赤い水滴が宙に浮かんだ。

 

「逃げ……リュウ……」

 

「お兄様!?リジェネ、アナタ!!」

 

「サイコフレームのデータは渡さない」

 

握っている銃のトリガーを引くと弾丸が液晶ディスプレイを貫き画面が真っ暗になる。

そして次は銃口を王留美の頭部へと向けた。

 

「サイコフレームは僕の物だ、他の誰にも渡さない。リボンズでもイオリアでもなくこの僕でしかサイコフレームは使いこなせない」

 

「それほどまでにサイコフレームは重要だと」

 

「キミにはもう関係ない。邪魔をしなければ逃げしてあげようと思ったけれどコレを知った以上生かしておく訳にはいかなくなった」

 

(ここで終わるの?世界を変革しようとここまで来たのに私は何も変えられないまま終わるの?)

 

冷たく光る銃口に彼女は震え成す術がなく、2発目の銃声が響く。

 

///

 

ガンダムのコクピットへと戻った刹那は目の前に立ちふさがる相手を見据えた。

幾度となく戦いもはや宿命とすら呼べる相手を。

わざわざコクピットに乗り込むまでは何もせずに正々堂々と戦いが始まるのを待っている。

 

「久しいな、少年。この日をどれだけ待ちわびたか」

 

「グラハム・エーカー、お前が何故ここに居る?」

 

「忘れたとは言わせんぞ、私のフラッグファイターとしてのプライドを打ち破り、師や仲間も戦いの中に消えていった。私はずっと待っていた、キミとの勝負を!」

 

「戦う為だけにここに居るのか。これがお前が望んだ未来なのか?」

 

「そうだ、キミと決着を付ける為に今の私は存在する。その為ならイノベイターの傀儡になろうと構わない!」

 

「戦いだけが全てではない!」

 

「戦いで全てを奪ったキミの言う事か!」

 

「っ!?この男もまた俺達によって歪まされた存在」

 

「歪んで結構、これも私の望んだ道だ!」

 

ソレスタルビーイングの武力介入により人生を歪められた、それは必要な犠牲なのだろうか。

戦いに身を投じてから刹那はずっと考えてきた。

紗慈もグラハムも、そして刹那もガンダムにより人生が変わった。

意識共有領域で出会ったイオリアは刹那にGNドライヴとガンダムを託すと言ってくれた。

託された想いを未来に繋げる、それがソレスタルビーイングの存在意義。

 

「歪んだ闘争心、俺は破壊する。このガンダムで!」

 

「それでこそだ少年!ならば打ち破れ、私の望みを!」

 

互いのモビルスーツは両手に武器を握ると目の前の敵と対峙する。

 

「ダブルオーライザー、未来を切り開く!」

 

「このスサノオで、キミとの因縁を断ち切る!」

 

機体のメインスラスターを前回にし緑と赤の粒子が放散する。

GNソードと強化サーベルが交わると火花を上げ装甲を照らす。

接近戦に特化したスサノオの猛攻にダブルオーライザーは食らい付く。

 

「修行の成果を見てもらう!」

 

「こんなもの!」

 

2本の強化サーベルを繋げ薙刀のようにすると巧みの操縦技術でリーチのある斬撃を繰り出す。

袈裟斬り、横一文字、逆袈裟、薙刀の両刃を駆使し1秒と掛からずに何度も斬り付ける。

最初の攻撃は右手のGNソードで防ぐが続いてくるサーベルにもう片方のGNソードを切り払われてしまい手から離れてしまう。

胸部を狙った逆袈裟に床を蹴り後方へ回避するも刃がかすり胸の青い装甲に切り込みが入る。

 

「強い!」

 

「当然と言っておこう。だがこの程度では私の高揚感は抑えきれん!」

 

「俺とガンダムなら!」

 

残ったGNソードをライフルモードに切り替えてスサノオにトリガーを引く。

放たれたビームをスサノオは機体の向きをわずかに逸らすだけで容易く避けてしまう。

2発目のトリガーを引くよりも早く強化サーベルが猛威を振るう。

腰背部に装備されているGNビームサーベルを引き抜き鍔迫り合いに持ち込んだ。

 

「無粋な、我々の戦いにライフルなど不要!」

 

「接近戦ではヤツのほうが早い」

 

「ならばどうする、本気を出して見せろ!そして私はキミを超えてみせる!」

 

グラハムの殺気迫る姿勢に刹那は舌を巻く。

接近戦に特化したスサノオにこのまま戦いを挑んでいては分が悪い。

オーライザーに搭乗している紗慈に回線を繋げると刹那は覚悟を決めた。

 

「紗慈、トランザムを使う。ヤツを止めるにはそれしかない」

 

「わかった、制御は任せて」

 

GNドライヴの出力量が増大してゆき機体性能が従来よりも格段に良くなる。

変化するガンダムを見てグラハムは闘志を燃やす。

以前に地上で戦った時はトランザムを使用したが直ぐにオーバーロードして戦闘不能になってしった。

動かない相手を倒したところで本当の勝利とは言えないと考え再び会い交える時まで勝負を預けてきた。

軌道エレベーターでの戦いでも1対1ではなく、邪魔の入った戦いなどグラハムは求めていない。

相手が全ての力を出し切った真剣勝負、そうでなければ戦う意味がない。

 

「そうだ、この瞬間を待っていた!今こそ我が師と友から受け継いだスサノオの真の姿を括目せよ!」

 

スサノオの疑似GNドライヴからも赤い粒子が通常よりも増大されて放出され始める。

機体の装甲がガンダムと同じように発光すると宿敵目がけて駆け抜けた。

 

「「トランザム!!」」

 

高速で飛び交う2機のモビルスーツ、尚も増大し続けるGN粒子は機体を包み込み離れた位置から見ると彗星のようにも見える。

幾度と交わる剣は致命傷には至らずパイロットの巧みの技術で弾き返す。

 

「これだ、この一瞬の生と死の駆け引き!私はこの為に生きてきた!」

 

「お前はそれでいいのか!戦いだけの人生など」

 

「私を戦いに駆り立てたのはキミだ!ガンダムを倒して初めて私は報われる」

 

「そんな物が本当に正しいのか!」

 

「ガンダムを倒す、私は今を充実している!」

 

「お前の歪んだ心を俺とガンダムで破壊する!」

 

「来るがいい少年!この武士道だけは!」

 

ぶつかり合う互いの意思はGN粒子を通して意識を共有させる。

過去を忘れず憎悪を力に変えてガンダムと戦うグラハム、死んでいった仲間の想いを連れて未来へ進もうとする刹那。

緑に光るGN粒子は刹那を覚醒させる。

 

「取ったぞ!」

 

強化サーベルがダブルオーライザーの胸部に突き刺さる。

それを最後にグラハムの意識は途切れた。

 

///

 

半壊した小惑星内でユニコーンを月まで運ぶ作業は着々と進行していた。

サブフライトシステムを使えば機体のエネルギーを消費することなく長距離を移動出来る。

3人がかりで機体の壊れた箇所も修理し戦闘できるレベルまで回復できた。

 

「あとはゲタに乗って月へ行くだけだ。俺達に出来るのはここまでだ」

 

「これだけしてもらっただけでも充分すぎます。俺だけだと何もできません」

 

「ユニコーンで何をするかはバナージ次第だ。本当なら子供にモビルスーツを乗って戦闘させるなんて止めるべきなんだが。行くんだろう?」

 

「はい、みんなの所へ帰ります」

 

「バナージ、帰れる場所があるのは幸せな事だ。その感覚を忘れるな」

 

「でも、アムロさんは?」

 

アムロには帰れる場所があるのか、自分と同じように何も知らないこの世界に来て彼はずっと1人だった。

元の世界に戻れるかどうかもわからない状況で彼の帰る場所は何処にある。

バナージは彼女と約束した、生きて帰ってくると。

ソレスタルビーイングも気持ちを同じくした仲間、アロウズとイノベイターを止める為共に戦うと言った。

だから今のバナージには帰れる場所があった。

 

「戻れるなら戻りたいが、無理ならそれでもいいさ。俺にはチェーンが居てくれる」

 

「チェーンさんが」

 

「この世界に来ても彼女は隣に居てくれた。傍に居る人を大事に思うのは普通の事だろ」

 

「チェーンさんの為にアムロさんはここに居るのですか?」

 

「そうだな、彼女を1人にはさせたくない」

 

「でもそれって良いことだと思います。帰れないのは悲しいですけど、その気持ちをみんなが持てれば人類がニュータイプになる日が来るかもしれませんね」

 

「ニュータイプにならなくても人間はわかりあえるさ。神様になったわけじゃない、これから先の未来は今居る世代が作らないと時代は進まない。生きている内にすべてをやる必要はないさ」

 

話し込んでいると作業服を着たチェーンが2人の所にやって来た。

作業していたにも関わらず服がほとんど汚れていないのはメカニックが本職であることを教えてくれる。

 

「アムロ、準備は終わったわ」

 

「そうか、もう俺達に出来るのはこれで全部だ」

 

「はい、アムロさんもチェーンさんもお世話になりました」

 

「気にするな、行くぞ」

 

3人は月へ行く準備が完了したユニコーンの元へ向かう。

見慣れた白亜の機体が直立し、その手にはライフルが握られている。

 

「ビームマグナム?」

 

「ユニコーンに積まれているデータから有り合わせでやってみた。あまり性能は期待しないでくれ。武器がないと辛いだろ」

 

「他にもシールドに装備されている」

 

「ジャベリンだ、これだけあれば充分に行ける」

 

ユニコーンに増設された新装備ハイパービームジャベリン、柄を二つ折りにすることでシールドにマウントさせている。

これならマニピュレーターを使わなくても接近戦に切り替えれる。

ビームサーベルを引き抜く時間が短縮された分、戦いでは有利に動くことが出来る。

 

「さっきも言ったが後はバナージ次第だ。死ぬなよ」

 

「行きます」

 

バナージはヘルメットを被るとハッチが開かれているユニコーンのコクピットに入り込んだ。

旅立つ彼をチェーンは見守りながらも疑問に思ったことをアムロに聞いた。

 

「でも本当に良かったのですか?νガンダムのパーツをユニコーンの修理に使っても?」

 

「どの道ガンダムは破壊するはずだったんだ、構わないよ。それにサイコフレームが多い方がバナージに有利だ」

 

「そうですけど……」

 

「俺にはもうガンダムは必要ない。次の世代に託す」

 

ユニコーンのエンジンは既にチェーンが起動してくれていてすぐに動ける。

解放されているハッチを閉じ操縦桿を握りユニコーンの歩を進める。

用意されたサブフライトシステムにうつ伏せに機体を固定させると電気信号を通して遠隔操作する。

巨大なスラスターから火が噴き出て推進力になり機体はゆっくりと進みだす。

 

「ユニコーンガンダム、行きます!」

 

順調に加速して行くサブフライトシステム、バナージは首を傾け振り返ると先ほどまでいた小惑星はどんどん小さくなっていく。

小惑星アクシズ、アムロとシャアが最後に勝負を繰り広げた場所は数分もすると視界に映らなくなってしまった。

 

///

 

「この感覚はなんだ?私はガンダムと……」

 

グラハムの意識が戻った時、その場所は虹色の光に包まれていた。

ダブルオーライザーと戦ってもいなければスサノオのコクピットでもない。

GN粒子に包まれたと思うとここに来ていた。

 

「今ならお前にもわかる筈、これがイオリアの目指した人類の革新」

 

「少年!?どういう事だ」

 

何もない空間に現れたのはガンダムのパイロットである刹那・F・セイエイ。

けれども彼は普通とは少し変わっている部分があるのをグラハムは気づいた。

 

「キミは目が―――」

 

「これもイオリアが唱えた純粋種に進化すると言う事だろう。ガンダムに搭載されたGNドライヴはただの動力源ではない」

 

「何が言いたい」

 

「GNドライヴから放出されるGN粒子、あれは人を進化させてくれる」

 

「戯言を、何時までも話をするつもりはない。今この場で!」

 

グラハムは拳を握ると目の前に立つ刹那に向かって走り出した。

たとえ生身であろうとも彼に勝つことさえ出来れば心の中の呪縛は解放される。

でも刹那は闘争本能をむき出すグラハムに何1つ警戒心を抱かない。

 

「ソレスタルビーイングの武力介入は布石でしかない。本当の目的はGN粒子を世界に浸透させて人類を革新させること。それがイオリアの目指した未来、でも俺は自分の意思でガンダムに乗る。イオリアの為でも人類の未来の為でもない。これは俺の意思だ!」

 

「ならば私のこの呪縛も、自分の意思で貫いている!討ち取って見せろ!」

 

固く握った拳は刹那に振るわれるが当たっても感触が伝わらない。

目の前に居た刹那は粒子のように消えてなくなった。

 

///

 

「消えた、馬鹿な!?」

 

確かに捉えたと思った一撃だがガンダムは視界から霧のように消えてしまった。

幻でも見ているのかと錯覚するが消えたと思ったガンダムと刹那は自分の背後に回り込んでいた。

 

「後ろだと!?」

 

「遅い!」

 

気が付いた時にはすでに手遅れで避ける事も防ぐ事も出来ない。

振るわれたGNソードがスサノオの右肩から切断し背部にビームサーベルの柄を突きつけた。

 

「後ろを取った。もう終わりだ」

 

「何故トドメを刺さない」

 

「俺は生きる事も戦いだと思った。お前の悲しみも怒りも俺は生きて償いたい」

 

「甘いぞ、少年!」

 

だがグラハムはそのような結末など望んではいなかった。

残された腕で剣を握ると腹部に刃を突き刺した。

機体を貫通した剣は再びガンダムに迫るが握っているビームサーベルで受け止められてしまい遂に動けなくなる。

 

「世話になった、我が愛機よ。どうした、私を討ち取るには今を置いて他にはないぞ」

 

「お前はそこまでして勝負にこだわるのか?」

 

「何をしている!あの空間でキミは私の心を見たはずだ。このまま私を生かして生き恥をさらすつもりか!」

 

「俺にもまだ答えはわからない。だが生きる事そのものに意味がある。生きるんだ、生きて明日を掴め」

 

刹那は再起不能になったスサノオをそのままにしコロニーを後にする。

残されたグラハムはコクピットの中で自問自答した。

 

「ガンダムを倒す事も、死ぬ事も許されず。私は今まで何の為に生きてきた?」

 

決して答えの出ない問に彼は何を導き出すのか。

 

///

 

「ツインドライヴの粒子解放。その時、確かにナイチンゲールのサイコフレームは共振した」

 

グラハムのスサノオに痛手を負ったナイチンゲール、もはや邪魔者になった王留美と紅龍を消したリジェネもまたコロニーを出ていく。

普通なら負けてた上に機体も損傷して悔しがる所だがリジェネはコクピットの中でほくそ笑んでいる。

 

「思った通りだ、これならソレスタルビーイングもリボンズも邪魔者はすべて消せる。サイコフレームの未知のエネルギーを力に出来る。そしてイオリアの計画を体現する」

 

サイコフレームとGNドライヴの関係性にただ1人気が付いたリジェネ。

イオリアの計画はリボンズかリジェネかソレスタルビーイング、どちらかが体現する事により人類の未来は変わろうとしている。




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