機動戦士ガンダム00 The human race's reformation   作:K-15

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第35話 サイコフレーム

ヤークトアルケーは巨大なGNバスターソードを握るとティエリアのセラヴィーを襲う。

重量が増加し機動力の低下したセラヴィーにヤークトアルケーの猛攻を凌ぐのは至難の業だ。

両手のGNバズーカで威嚇射撃をするも簡単に接近されてしまう。

 

「そんな鈍亀で俺に勝てるのかぁ?」

 

「機動性が違いすぎる!?」

 

振りかぶるGNバスターソードの切っ先が胸部装甲にキズを付ける。

メインスラスターを吹かし距離を離すが脚部ビームサーベルが逃がすまいとGNバズーカの片方を切断してしまう。

使えなくなった武器を手放し機体全周にGNフィールドを展開させるがヤークトアルケーの猛攻は終わらない。

 

「逃がすかよ、行けファング!!」

 

「くっ!?こうなったら」

 

スカート部から射出されるファングはセラヴィーを捉えると逃げられないように周囲を飛び回る。

切っ先から発生するビームサーベルが牙を向くがGNフィールドは侵入を許さない。

絶え間なく続く攻撃にエネルギーは消費していく。

 

「このまま持つのか?」

 

「いいや、終わりだぁ!!」

 

両手でGNバスターソードを握り大きく振りかぶるとGNフィールドを突き抜けようとする。

セラヴィーはGNキャノンの隠し腕を出すとビームサーベル2本で受け止めた。

閃光がほとばしる両者の刃、パワー任せに振るわれるGNバスターソードにGNキャノンの隠し腕では長くは持たず機体が悲鳴を上げる。

 

「このままぶった切ってやる!!」

 

「セム起動、集中砲火だ!」

 

セラヴィーが背部に背負っていた2機の小型モビルスーツが目を覚ます。

頭部のゴーグルが緑色に光るとセラヴィーからのマウントを解除し折りたたんでいた手足を伸ばす。

両膝に1個ずつマウントされているGNビットとGNマシンガンを両腕に装備すると照準をヤークトアルケーに合わせる。

 

「ちっ!俺が知らない武器を使いやがって」

 

サーシェスはGNバスターソードを引くとセムから放たれたビームマシンガンを回避する。

3体1と不利な状況になろうともサーシェスはむしろ笑っていた。

数々の戦地を渡り歩き身につけた戦闘技術と経験が今のサーシェスを構築している。

 

「でも楽しいぜ!初めてテメェラと殺りあった時みたいによぉ、俺の前に跪かせてやる!えぇ、ガンダムゥ!」

 

///

 

ダブルオーザンライザーは単機で敵要塞へ取り付こうと動いた。

巨大ビーム砲でも損傷はしておらずほぼ無傷の状態のダブルオーなら容易に可能だ。

 

「刹那、やっぱりプトレマイオスとは通信が繋がらない」

 

「わかった、このまま突入する」

 

「あれが敵の本拠地なんだよね。大丈夫?」

 

「トレミーと連絡が出来ない以上独自に動くしかない。さっきのビーム砲でどれだけの損害が出たかもわからない。リスクはあるが第2射が来る前に破壊する」

 

元々の作戦は待ち構えていたアロウズ艦隊の撃破の為に出撃したがイノベイターが動き出した今を置いて討ち取らなければ戦いは終わらない。

大打撃を受けたアロウズにもはや戦力と呼べる物はなく宇宙空間に破壊されたモビルスーツや巡洋艦の残骸が漂うだけ。

残された兵は逃げるので精一杯、生き延びる事を最優先にしてソレスタルビーイングのガンダムに攻撃など来ない。

だが要塞から出てきた機影の1つはまっすぐにダブルオーへと向かってくる。

 

「待って刹那、登録されてない機体がこっちに来てる」

 

「こちらでも確認した。あのサイズはモビルアーマーか?」

 

宇宙空間に溶けこむような漆黒の黒い装甲、血のように赤く巨大な爪。

異型のモビルアーマーは敵意をむき出しにして大型のメインスラスターでスピードを上げる。

 

「来る!?」

 

「戦闘は任せろ。ツインドライヴの制御に集中するんだ」

 

刃を閉まったGNソードⅢを向けるとツインドライヴで精製された高濃度の粒子ビームを発射する。

黒いモビルアーマーは擬似GNドライヴ特有の赤い粒子で機体を囲むと発射されたビームを打ち消した。

 

「GNフィールドか。それなら接近戦で仕掛ける」

 

GNソードⅢなら相手のGNフィールドを突破してダメージを与えることが出来る。

高性能だが大型であるがゆえに小回りの効かないモビルアーマーに取り付ければダブルオーにも勝機は充分にある。

機首部から大型GNキャノンのビームを発射されるのを確認して回避行動に移る刹那だが初めて見る敵モビルアーマーの性能を理解していない。

ビームはまっすぐ進むと言う常識を覆す新技術がモビルアーマーには備わっている。

 

「ビームが曲がった!?」

 

回避行動を取るダブルオーを追いかけるように大きく湾曲したビームを機動力で振り切った。

GNフィールドに対抗して接近戦で勝負するはずが2機の距離は大きく離れてしまう。

モビルアーマーは休む暇など与えずに赤い爪を5基射出するとそれは意思があるかのように縦横無尽に動きまわる。

爪の先からビームを出しダブルオーを四方八方から攻撃する。

 

「大型のGNファングか。モビルアーマー相手に持久戦は不利だ。沙慈、トランザムを使う!」

 

「ツインドライヴは安定してる。行けるよ刹那」

 

「トランザム!!」

 

ツインドライヴから放出される通常時よりもはるかに多い粒子量はそれだけ機体の性能が向上したことを示している。

装甲が赤く発光しトランザムライザーになるとGNファングの追尾を簡単に振り切りモビルアーマーに迫る。

巨大な腕からエグナーウィップを2本伸ばすと高圧電流を流しトランザムライザーを絡め取ろうとするが今のガンダムには攻撃を完全に見切られた。

まっすぐに伸びる2本のエグナーウィップを機体の姿勢をわずかにそらし回避すると補助アームに握らせたザンライザーを振るう。

ザンライザーは一振りで切断された2本のエグナーウィップは制御をなくしゆらゆらと蛇のように流れていく。

エグナーウィップを巻き取り残されたGNファングを射出するがそのときにはもうトランザムライザーは目の前まで来ていた。

 

「これだけ近づけばGNファングは使えないな」

 

トランザムライザーを囲もうとするGNファングだが敵に接近された状態では自機にも被弾する可能性がある。

攻撃手段がなくなったかに見えたモビルアーマーだったがその本性を表した。

モビルアーマーだったそれは人型に変形すると射出していたGNファングを回収し鈎爪のように引っ掻いた。

 

「モビルスーツに変形した!?」

 

「刹那!この機体のパイロットは―――」

 

『ガンダム、死ねぇぇぇ!!』

 

鈎爪をGNソードⅢで受け止めるがモビルスーツ形態では大型ビーム砲は胸部に搭載されている。

動きが止まったその隙に大出力のビームを放つとトランザムライザーは飲み込まれた。

 

『手応えがない。それにこの粒子は一体?』

 

戦闘空域全域に漂う緑の粒子はオリジナルGNドライヴから発生する粒子とは異なる。

消えたガンダムと突然現れてきた緑の粒子にパイロットは困惑する。

 

「もらった!」

 

『後ろから!?』

 

量子化してビームを避けたトランザムライザーがモビルアーマーの後方から現れた。

パイロットが反応した時にはGNソードⅢの切っ先が装甲に突き刺さろうとしている。

 

「ルイスゥゥゥ!!」

 

沙慈がオーライザーのコクピットから叫んた時ツインドライヴから放出される粒子が3人のパイロットの意識を包みこんだ。

 

///

 

敵要塞からの大型ビーム砲により戦力の30%も削られたカタロンだがマネキンの統率により部隊がバラバラになる事はなく突入の為の準備が進められている。

難を逃れたバナージも単独で突入するのは危険と考えこの場では彼女の指示し従う。

 

『白い角付きのパイロット、機体の損傷はどうか?』

 

「無事です、まだ動けます」

 

『よし、なら私の指示通りに動いてもらう。ソレスタルビーイングのガンダムと戦艦は独自に動いている。こちらが戦力を集結させ突破口を開く。そこから内部に侵入しろ』

 

「わかりました、頼みます」

 

黒幕であるイノベイターを倒すべく一致団結して敵の本拠地に攻め入るユニコーン。

集結したモビルスーツ部隊も思いは同じとバナージをサポートしてくれている。

その中の1機、白いジンクスがユニコーンにマニピュレーターを接触させてきた。

 

『久しぶりだな、角付き!この俺様が付いてるんだから大船に乗ったつもりでいろ!』

 

「アナタは?何処かで会いましたっけ?」

 

『おいおい、この俺を忘れたのか?不死身のコーラサワー様だ。思い出しただろ?』

 

以前に地球で2人は戦闘したがワンオフ機であるユニコーンとは違いジンクスは量産された機体。

他と違う特徴的な色や武装を装備しているわけでもなく至って普通のジンクスでありパイロットなど誰が乗っているのか外からではわからない。

搭乗しているパイロットの名前を聞かされてもバナージにはコーラサワーの記憶がない。

それが表情にも出てしまい通信画面越しにコーラーサワーに気づかれてしまう。

 

『やっぱり覚えてないな!ガンダムには負けたことのない不死身のコーラサワーだ。よく覚えとけよ!』

 

「はぁ、コーラサワーさんですね」

 

『スペシャルなパイロット、パトリック・コーラサワーだ。絶対に―――』

 

(この感じは何だ?こっちに来ている)

 

ニュータイプとしての能力がバナージに敵が近づいてきている事を予感させる。

コーラサワーの言葉など耳に入れず広い宇宙空間で敵の気配に集中する。

 

(前にも感じた事がある。でもその時よりも強い憎悪が伝わってくる)

 

『おい!ちゃんと俺の話聞いてたんだろうな!うん、何だアレ?赤い彗星?』

 

「来たのか!」

 

コーラワサーが見つめる先には赤い色をした彗星が光って見えた。

彗星はデブリに衝突することなくユニコーン目掛けて一直線に突き進んで来る。

メインカメラが映し出すその姿は彗星とは程遠く頭部から生えた角やトゲトゲとしたフォルムは人を怯えさす。

 

「見つけたよ、ユニコーンガンダム。サイコフレームを渡してもらう!」

 

「赤いモビルスーツ、あの時のヤツ!」

 

以前に宇宙で戦闘になった赤いモビルスーツはリジェネの修復により完全に修復された。

ナイチンゲールと呼ばれた機体は擬似GNドライヴの赤い粒子とサイコフレームから緑の粒子を放出して禍々しき雰囲気を出している。

 

『パトリックは角付きの援護に廻れ。ここで時間は掛けられん。赤いヤツを落とせ!』

 

マネキンはナイチンゲールに対して攻撃指令を下し総力を上げて本拠地攻略にあたる。

だが完成されたナイチンゲールはバナージは以前に戦った時よりも性能が強化された。

サイコフレームの光は未知の力を与え本来の機体性能を更に増大させた。

そんな事など知る余地もなく白いジンクスに乗ったコーラーサワーはマネキンの命令を受けて何も考えずに突撃する。

 

『任せて下さい大佐ぁ!見てろ角付き、あんな図体がでかいだけのヤツはこのコーラサワー様が―――』

 

「雑魚は消えろ」

 

背部バインダーから10基のファンネルをジンクスに向け発射させた。

広い宇宙空間で対策もなしにサイコミュ兵器のファンネルを防ぐには常人では無理に等しい。

ファンネルはパイロットの感応波で操作され動く先を読み取らなければ何も出来ずに機体は破壊される。

GNファングもごく一部の機体にしか搭載されておらずコーラサワーに対策術はない。

ナイチンゲールと同じ色をしたファンネルはパイロットも気が付かない内に忍び寄ると頭部と右脚部を破壊していった。

 

『な、なんだぁ!?』

 

ジンクスを再起不能にすると他のモビルスーツにもファンネルは牙を剥く。

小型で単体だと威力の低いファンネルでも感応波による的確な射撃でモビルスーツに致命傷を与えられる。

ナイチンゲールを迎え撃つ3機のジンクスもファンネルの射程圏内に入ってしまう。

 

「えぇい、ちょこまかと」

 

GNビームライフルでファンネルを狙い撃とうとしても俊敏に動く的には当たらず宇宙の闇に消える。

ファンネルはコクピットや頭部を破壊していくと次々にモビルスーツを動けなくしていく。

マネキンに知らされる味方機の撃墜報告は止まらずナイチンゲールによる損害が増えていく。

 

『第1、第2艦隊は主砲で援護、モビルスーツ隊は左右から挟み込め』

 

指示通りに巡洋艦の主砲が巨大なボディーのナイチンゲールを砲撃する。

モビルスーツの機動力に巡洋艦では付いて行けないが物量で敵を袋叩きにする作戦。

狙いを付けられたのがわかるとリジェネは巡洋艦に向けて機体を動かした。

擬似GNドライヴと核融合炉のハイブリッドで機体には充分ナエネルギーが蓄えられており見た目に反して早い動きをする。

 

『無駄だよ。サイコフレームがこの機体に力をくれる。何体集まった所で敵じゃない』

 

大型ビームライフルのトリガーを引くと高出力のビームが巡洋艦を安々と貫いた。

爆発に包まれる巡洋艦、サイコフレームの力を利用したナイチンゲールはモビルスーツの性能を逸脱している。

 

「落ちろ!」

 

『無駄さぁ!』

 

追いかけてきたユニコーンのビームマグナムとナイチンゲールの大型ビームライフル、互いの強力なエネルギーがぶつかり合う。

強烈な閃光が発生し視界が見えなくなるが両機のサイコフレームがパイロットに敵の存在を知らせてくれる。

ユニコーンは装甲をスライドさせガンダムに変身すると光の先に飛び込んだ。

 

「今度はもう逃さない!」

 

『それは僕だって同じさ!そのガンダムのサイコフレームは僕の物だ!』

 

ガンダムに変身し赤く発光したサイコフレームがむき出しになる。

ビームマグナムをバックパックにマウントさせるとランドセルからビームサーベルを引き抜きメインスラスターで加速し赤い魔物に斬りかかる。

リジェネも左手にビームサーベルを握らせるとユニコーンガンダムの攻撃を片腕で受け止める。

サイコフレームの光がビームサーベルの出力を向上させユニコーンのビームサーベルごと断ち切れそうなくらいのエネルギーを持っている。

 

「サーベルのパワーが負けている!?」

 

『サイコフレームがナイチンゲールに力を与えてくれる。もう今までのようにはいかない。ガンダムなんてもう敵じゃない!』

 

「何でサイコフレームの事を知っている!」

 

『この機体に使っているからさ。そしてサイコフレームの力を使いこなせるのは僕だけだ!』

 

「使いこなす?サイコフレームの力?」

 

『サイコフレームは人の意思を増大して力に出来る。後はオリジナルのGNドライヴさえあれば来るべき対話は!』

 

「俺は負けない!ガンダムもサイコフレームも渡すもんか!」

 

ビームサーベルの閃光が照らす中でユニコーンガンダムのサイコフレームが緑色に輝き出す。

粒子は戦闘空域全域にまで広がりアクシズショックと呼ばれる現象が起きようとしている。

放出していたナイチンゲールのファンネルがユニコーンガンダムを背後から撃つと鏡のようにビームを反射しファンネルを破壊する。

 

『ファンネルが!?』

 

「このぉ!!」

 

ナイチンゲールを押し返し姿勢を崩させると左のマニピュレーターをかざすとファンネルの制御を奪い取った。

銃口がすべてナイチンゲールを捉え一斉にビームを発射する。

 

「行けファンネル!」

 

ビームの雨をシールドで防ごうとしたが無数に振りかかる攻撃を全ては受け止められす背部バインダーや脚部にも直撃するがサイコフレームが威力を緩和させる。

開発者ですら解析出来なかったサイコフレームを意図的に共振させ自在に扱うリジェネが搭乗するナイチンゲールは性能以上の力を発揮しユニコーンガンダムを追い込む。

 

『またあの時と同じ。そうか、ファンネルの制御を奪ったのか』

 

「もう好きにはやらせない。ここで落とす」

 

『そうさ!このナイチンゲールを止めるには同じサイコフレームを使ったユニコーンでしか止められない。擬似GNドライヴなんて過去の遺物、オリジナルのGNドライヴも力を増幅させる道具でしかない』

 

大型ビームライフルを向けると戦艦のようなビームを何発も発射するがサイコミュでパイロットの敵意を読み取るバナージの反射速度とユニコーンガンダムの機動力に追いつけない。

バナージもサーベルをランドセルに戻しビームマグナムを構えると残り少ないカートリッジを気にせずトリガーを引く。

メインスラスターを吹かし見た目にそぐわない俊敏な動きを見せてビームマグナムから放たれるビームを回避しまたトリガーを引く。

2機から放たれる高出力ビームにカタロンもマネキンの部隊も迂闊には近づけずそれを感じてバナージのユニコーンは部隊から距離を離す。

ビームマグナムに装填された最後のEパックを使いビームを発射しシールドのハイパービームジャベリンを起動させた。

赤い装甲にビームがかすめながらもナイチンゲールはビームサーベルを展開させハイパービームジャベリンと交わる。

 

『ユニコーンガンダム、全てのサイコフレームがそろえばイオリアの予言した来るべき対話に備えられる。それをわかっているのか!』

 

「来るべき対話は何なんだ。その事に何故サイコフレームが必要になる?」

 

『何も知らない人類の為に僕が導いて上げるだけさ。イオリアでもリボンズでもないこの僕が!存在意義を求めて戦いを起こすアイツなんかとは違う!僕は君たち人類の未来の為に戦っている!』

 

「未来は今を生きる人達がみんなで決める!誰か1人で決めていい訳ない!」

 

『キミはそう言うけど、決めるまで待っていたら遅いんだ。短い時しか生きられない人間に何が出来る!』

 

「リジェネ・レジェッタ!!」

 

『バナージ・リンクス!!』

 

互いの感情と心がぶつかり合いサイコフレームの光は輝きを増していく。

1度も会ったことのないパイロットがわかるほどに戦闘空域には光で満ちている。

増大する光に導かれるように2機はぶつかり合いながら見えない力で要塞へ流される。

 

///

 

モビルスーツデッキでイアンとミレイナは装備されなかったGNビームピストルをクレーンで吊し上げ外壁へ銃口を向ける。

ハロからコードを伸ばしGNビームピストルへ繋げると電気信号でビームを発射できるようにさせる。

 

「パパ、準備完了です!」

 

「よっしゃ、派手に行くから離れてろ」

 

『ハデハデ、ハデハデ』

 

繋がれたハロの目がチカチカ光るとクレーンに吊るされたGNビームピストルが火を噴く。

硬直状態の続くプトレマイオスのブリッジで心を乗っ取られたアニューは虚ろな目のまま。

このままの状態が続けば大型ビーム砲に飲み込まれてしまうが銃を握る彼女が居ては何も出来ない。

フェルトはばれないようにイアンに救助を求めたが反応はなく危機迫るばかり。

 

「もうタイムリミットだ。アニュー・リターナーの肉体と共にここで朽ち果てろ」

 

「いいえ、まだ終わらないわ!」

 

大型ビーム砲にエネルギーが充填され発射まで残り数秒の所まで来てしまう。

リボンズの意表を付き艦内部が爆発しブリッジも大きく揺れ3人の姿勢も崩れた。

 

「この爆発は内部からか!?」

 

「今しかない!」

 

床から足が離れ宙に浮くアニューに向かってスメラギは飛び込んだ。

体を押さえつけ慣性で体が流されると大型ディスプレイに後ろからぶつかってしまい後頭部を強打する。

肺から空気が吐き出で意識が飛ぶとアニューの呪縛も解かれた。

 

「スメラギさん、アニューは!」

 

「気絶しただけよ。それよりも第1メインスラスターのエネルギー供給をカット第2を最大出力、急いで!!」

 

スメラギの怒号が響きフェルトは高速でパネルを叩く。

操縦桿が破壊されブリッジからでは制御出来ないが時間も押し迫る。

メインスラスターの制御のみで強引に艦を方向転換させるが大型ビーム砲は発射された。

充分な旋回など出来るはずもなくビームは左側面を擦る。

モニターには損傷の警告がひっきりなしに浮かび装甲は剥がれる。

シートにしがみついて揺れから体を支えるフェルト、這いずりながらもスメラギは画面のパネルを触りケルディムガンダムに通信を繋ぐ。

 

「ロックオン、聞こえる?」

 

『あぁ、ぶったまげたぜ。一体何考えてあんな―――」

 

「ティエリアに、合流して!こっちの事は気にしないで、早く!!」

 

ロックオンの声を遮り簡潔に次の行動を伝える。

部隊もバラバラ、司令塔でもあるプトレマイオスは大きな損傷を負ってもスメラギは前へ進もうとあがく。

どれだけ危機が迫ろうともうスメラギは諦めるなどと言う感情は持たない。

 

「フェルト、損害は?」

 

「第2から第16ブロックまで大破、第1メインスラスターの出力が上がりません!」

 

「構わないわ!GNフィールドを最大展開、このまま敵要塞に突っ込んで!」

 

残りの粒子残量は考えずGNフィールドと推進力に全てつぎ込み前しか見ない。

緑色のGN粒子が壁となりプトレマイオスを囲むと同時に損傷していたメインスラスターが爆発しまた大きく揺れる。

シートにしがみつくフェルトに完全に壊れてしまったのを伝えるディスプレイ、目を見開きもう後戻り出来ない状況に驚く。

 

「メインスラスター制御不能!?スメラギさん!」

 

「爆発が推進力代わりになるわ。それよりも衝撃に備えて!突っ込むわ!」

 

スメラギは意識のないアニューを体に抱きかかえ今までで一番大きな衝撃と揺れがブリッジに響く。




最近は2日に1回のペースで更新しておりましたが、次の更新は時間がかかります。
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