機動戦士ガンダム00 The human race's reformation   作:K-15

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第38話 聖永

2機のモビルスーツから溢れ出すサイコフレームの光は留まることなく、戦闘領域全土へ拡散していく。

GN粒子とはまた違う緑色の粒子はユニコーンとナイチンゲールを包み、本来のスペック以上の力を発揮させている。

大型ビームライフルから発射されたビームをIフィールドを発生させたシールドで受け止め、バナージは残り少ないカートリッジを気にしながらビームマグナムのトリガーを引いた。

 

「バナージ・リンクス、おとなしくその機体のサイコフレームを僕に渡せ!」

 

「渡すもんか!俺はみんなの想いを引き継いでここに居るんだ。力しか求めないアンタとは違う!アンタの思想は邪悪だ!」

 

「何もわかっていないお前に何が出来る!」

 

ナイチンゲールを包む光はビームをバリアーのように防ぎきった。

左のマニピュレーターにビームサーベルを握らせ、ユニコーンのハイパービームジャベリンと刃が交わる。

共振したユニコーンはさっきまでと違い、パワー負けすることなく眼前に居るナイチンゲールを押し返す勢いだ。

 

「何もわかっていないのはアンタだ。力だけを求めてその先に何があるって言うんだ!人類は変わろうとしているんだぞ」

 

「変わろうと変わるまいと関係ない。この力さえあれば!そして人類は統括される。イオリアの計画を体現するのはこの僕しかいない!」

 

「イオリアはそんな事を望んでいない!あの人が目指したのもまた、人類の革新だ!」

 

話は平行線を辿り、両者は目の前の相手を睨み合う。

ナイチンゲールのフロントスカートの裏側から腕が伸び、手にはビームサーベルを握っている。

赤い閃光を放つビームサーベルがグリップから発生し、肉薄するユニコーンのコクピット目掛けて突き立てる。

白熱する戦闘の最中、サイコフレームの共振が互いの心を結びつけ意識共有領域が発生した。

虹色の空間の中で戦い合っていた2人は、互いの心の本心を語り合う。

 

「リジェネ・レジェッタ、人は変わろうとしているんだぞ。アナタだって変われる可能性を持っている。どうしてそれを知ろうともしない」

 

「人類が永続する事こそがイオリアの目的。僕はその為にこのナイチンゲールを作った。力がなくては来るべき対話を迎える事は出来ない!」

 

「来るべき対話?」

 

「そうだ。人類はいずれ外宇宙にまで進出していく。イオリアは外宇宙に生息する知的生命体の存在を予期していた。僕はその知的生命体から人類を守る!」

 

「人類以外の知的生命体……やっぱりアナタはイオリアの思想から逸脱しています。あの人は戦う為にGNドライヴやガンダムを作っていない。人類同士でわかり合う為に、残された人達に想いを託したんだ。争いで奪い合うのではなく、わかり合えばまた新しい可能性だって生まれるはずです」

 

「そんな保証がどこにある!ガルムガンダムのテストの時に見つけたサザビーの残骸とサイコフレーム。これは運命だと僕は確信したよ。サザビーのデータから新たにナイチンゲールを作り出し、サイコフレームの未知のエネルギーを見つけた。ナイチンゲールが完璧な物となればリボンズも、誰も僕の邪魔なんてさせない。これこそが僕の使命だ!」

 

意識共有領域はリジェネにより唐突に遮られバナージの声は届かなくなる。

リジェネの殺気をサイコフレームを通してバナージの脳にいち早く伝わってくる。

ビームサーベルの切っ先が装甲に届くよりも早くに機体は射程圏外へと後退し、両機は握っているビームライフルの銃口を向けた。

発射されたビームはぶつかり合い激しい閃光となって2人の視界を遮るが、リジェネは脳量子波を通してユニコーンの動きを読み取る。

バナージもサイコフレームによりさらに敏感になった感覚が脳に伝達され、敵の反応を感じ取る。

メインスラスターを吹かして瞬時に移動しビームマグナムのカラになったマガジンを放出し、残り3発となったマガジンを装填させた。

再び銃口を向けすかさずトリガーを引いたが今度はビームが発射されず、装填したばかりのマガジンだけが放出される。

 

「そんな!?こんな時に!」

 

「貰った!!」

 

バナージが動揺した隙に巨大な機体を再びユニコーンに肉薄させ左手のビームサーベルを振るう。

脚部のスラスターで後退しようとするも、ビームサーベルは握っていたビームマグナムの銃身を切断していく。

使えなくなったビームマグナムを投げ捨てた瞬間にマガジンが誘爆し、爆発が右肩の白い装甲を剥がして行く。

 

「まだ終われない!俺はアナタを止める!」

 

「止まれる筈がない。消えるのはお前だ!」

 

シールドに装備されているハイパービームジャベリンのグリップを伸ばさせる。

リーチの伸びたハイパービームジャベリンの刃は、ナイチンゲールのビームライフルも突き刺し同じように使えない状態にさせた。

腕の動きと連動して横一閃するとビームの刃はビームライフルを切断させ、充填されていたエネルギーが爆発する。

 

「やってくれたな!」

 

爆発でマニピュレーターは明後日の方向に折れ曲がり正常に機能しなくなる。

それでもリジェネはフロントスカートの隠し腕を稼働させハイパービームジャベリンのグリップをビームサーベルで叩き斬る。

柄の先のビーム発生部は宙に漂いユニコーンはまた1つ武器をなくしたが、ハイパービームジャベリンにも使用されているサイコフレームの輝きはなくなっておらず、まだ鮮やかな緑色の粒子を発行している。

 

「リジェネ!!」

 

両手でランドセルからビームサーベルを引き抜きそのまま勢いを付けナイチンゲールに向かって2本を投げつけた。

回転するビームサーベルはピンク色の円弧を描きながら飛んでいき、フロントスカートから伸びている隠し腕の1本を斬った。

もう1本のビームサーベルも左フロントスカートに突き刺さり、内部に隠されている腕は使い物にならなくなる。

 

「同じ攻撃を2回も喰らうなんて!でもまだサイコフレームは僕に力を与えてくれている!

 

残されているのは左マニピュレーターが握っているビームサーベルのみ。

シールドでボディーを守りながらメインスラスターを全開にしてナイチンゲールの巨体をユニコーンへぶつけた。

 

「ぐぅっ!?」

 

「渡せ、サイコフレームを!」

 

「ガンダム!!」

 

姿勢の崩れたユニコーンはナイチンゲールの追撃を防ぐ手立てがなかった。

擬似GNドライヴのエネルギーで赤く光るビームサーベルが装甲を切り裂こうと袈裟斬りを繰り出すが、バナージの想いに機体が反応しサイコフレームの光がより一層強く輝いた。

ビームサーベルは緑色の粒子に弾かれて装甲まで届かない。

 

「ビームサーベルが届かない!?この輝きはなんだ?」

 

「サイコフレーム同士で共振しているのか?機体が持たないぞ」

 

共振は不可視のエネルギーとなり2機に干渉し機体のフレームが悲鳴を挙げ出す。

アクシズショックが発生しユニコーンの全身の白い装甲がはじけ飛ぶ。

むき出しになる内蔵部品と輝くサイコフレーム、そしてナイチンゲールにも崩壊の兆しが現れた。

握っていたビームサーベルは左腕ごとバラバラに崩壊し、擬似GNドライヴが耐え切れずに内部から爆発してしまう。

 

「ナイチンゲールが崩壊しているとでも言うのか?あと少しで手が届く、目の前に探し求めていたサイコフレームがあるのに!」

 

「もうこれ以上は無理だ!邪悪な心を吐き出せ!」

 

「吐き出す物など、ない!ぐぁぁああっ!」

 

メインカメラの回路が焼き切れコクピットからは何も見えなくなった。

他の電気回路も次々にショートし始めリジェネは、突然火花を上げたコクピットに驚き操縦桿から両手を放してしまう。

機体が限界に到達してもまだ、リジェネは諦めようとはしない。

脳量子波でサイコフレームの力を使い無理矢理にナイチンゲールの右腕を伸ばさせた。

折れ曲がったマニピュレータをユニコーンへ伸ばすも、触れようとした瞬間にまた崩壊してしまう。

 

「僕はこんな所で……止まる訳には行かないんだ。来るべき……対話が……」

 

リジェネの執念は止まらずアクシズショックによりナイチンゲールの装甲が壊れ始める。

特徴的な背部バインダーが切り離され、紙を丸めるかのように簡単に圧迫され爆発の炎を上げる。

内蔵されているプロペラントタンクも強度が耐えられずに真っ先に爆破した。

機体の爆発の衝撃でコクピットのリジェネはメインモニターに被っているヘルメットをぶつけてしまいバイザーにヒビが入る。

頭からは血が流れだし狭いヘルメットの中で赤い液体が数滴浮き上がる。

 

「僕は……終われない……」

 

「アナタは!こんな事はもう無意味だ!」

 

それでも戦う意思をなくそうとしないリジェネに、バナージはユニコーンの右腕を伸ばす。

未だに続くアクシズショックからリジェネを助け出そうと、ガンダムに想いを乗せた。

 

「とまれぇぇぇぇ!!」

 

バナージの叫びにユニコーンが答えたのか。

拡散しているサイコフレームの光が収縮されユニコーンとナイチンゲールを包み込み始めた。

まばゆい光の渦の中心に居る2機のモビルスーツは次第に見えなくなっていく。

 

///

 

スメラギと同じく内部へ潜入したティエリアも、1人でヴェーダの場所を見つけ出そうと動いている。

ティエリアは脳量子波で戦闘領域全域にまで広がったGN粒子とサイコフレームの光から、人々の思想が頭の中に流れてきた。

流れてくる情報の中に戦死したヒリングとリヴァイヴ、光に飲み込まれたリジェネの思考も含まれている。

 

「今の僕にならヴェーダが何処にあるのかがわかる」

 

リジェネの思考にはヴェーダへの道順がもちろん入っており、それを頼りに初めて来るこの巨大な要塞の中で迷わずに進む事が出来た。

敵本拠地の内部だと言うのに妨害工作が何一つとしてなく、邪魔もされずにスムーズに目的地へと向かえる。

それはリボンズが意識共有領域に飲み込まれてヴェーダに命令が送れなかったのと、自らが出撃する際にヴェーダとのリンクを解いていたからだ。

リジェネの反逆、ソレスタルビーイングも捨て身で内部にまで侵入されてしまっている。

危機的状況に陥ろうとも自分さえ生き残ればいいと考えた故の行動。

誰にも自分には勝てないと絶対の自信を持っている証拠でもある。

ティエリアは迷うことなくヴェーダが隠された部屋の前へとたどり着いた。

 

「ここだな。この先にヴェーダがある」

 

目の前に開かれた巨大なシェルター、ティエリアは感覚的にこの場所だと理解出来た。

隔離された巨大な空間に足を踏み入れると初めてヴェーダの存在を自身で確認した。

世界最高峰の演算処理能力を持っているヴェーダの全貌は球体で、供給されている電力から青白い光が発行している。

 

「僕たちの戦いもようやく終わる事が出来る。長かった……本当に……」

 

ゆっくりと、心臓の鼓動が聞こえるくらいにゆっくりと呼吸をし静かにまぶたを閉じた。

脳量子波でヴェーダと自身を接続させ、今までずっとイノベイターの支配下に置かれていたヴェーダを取り戻そうとする。

シンクロしていく意識の中に自分とは違う意思も存在しているのが分かった。

閉じていたまぶたを再び開けたら、ティエリアの瞳は黒い眼光ではなくGN粒子のように光が宿っている。

その瞳から見えるのは敵対していたリジェネ・レジェッタ。

 

「リジェネ・レジェッタ、決着は付いた。これ以上僕たちが戦う意味はない」

 

「あぁ、そうだね。ナイチンゲールは負けてしまった。でもこれで人類に未来は訪れない。いずれ来訪する知的生命体に対して人類の防衛手段はなくなった」

 

リジェネの心はバナージとの戦いに敗れた事により脱力しており、天を仰ぐように顔をあげた。

心を閉ざそうとしているリジェネにティエリアは語りかけるのを止めようとはしない。

彼も長きに渡る戦いで変わった存在だから。

 

「それは違う。この戦いが終われば人類は変わっていく。互いに手を取り合い、共存出来れば来たるべき対話にも対処できる」

 

「どうやって?僕はバナージ・リンクスにも言った。そんな曖昧な物で本当に来たるべき対話を乗り越えられるのか?」

 

「出来る。それこそがイオリアが目指した未来だからだ。このヴェーダとGNドライヴ、覚醒した純粋種の存在が僕にそれを教えてくれている。外宇宙からいずれ来訪する知的生命体。このまま人類が変わらなければ、キミの言う通り僕たちはその存在と戦う事になる。でも今は違う。僕たちはわかりあえる鍵を握っている。戦うのではなく、互いに支えあい共存する方法だって見つかるはずだ」

 

「今までの歴史の中で散々戦い続けてきた人類が、未知の生命体に対して防衛本能ではなく共存を持ちかけるなんて出来ると思っているのか?無理だね、変われる筈がない」

 

「心を閉ざしてはダメだ。意識共有がなくとも人はわかりあえる。その気持ちが、想いが進化へと繋がる。キミや僕にだってその可能性はある」

 

イオリアが2世紀以上前から考案した計画の真意にティエリアは辿り着こうとしていた。

支配ではなく、人類が真の意味で統括するのがイオリアの考案した何世紀にも渡る計画。

 

「ティエリア・アーデ、僕とキミが手を取り合うなんて出来はしない。僕と君たちが歩むべき道は違うんだ」

 

「どうしても、僕たちはわかり合えないのか?」

 

「キミにはキミのやるべき事がある。僕にもまだやる事が残っている。違うかい?ヴェーダのコードは解除しておいた。後はキミの仕事だ」

 

口には出さないが、リジェネにはもう抵抗する意思がない事をティエリアは感じていた。

それ以上は何も語らずに、ティエリアに背を向けてリジェネは遠ざかっていく。

消えていく姿を眺めながら最後に残された言葉を胸に刻みこみ、ティエリアは自分がやるべきことを成す。

 

「ヴェーダとのリンクは完了している。セラフィムを起動、トライアルシステムを作動させる!」

 

脳量子波でコクピットに誰もいないセラヴィーが遠隔操作で自動的に動き出した。

両手足のない機体の背面から一回りも小型のセラフィムガンダムがセラヴィーから切り離される。

折りたたまれていた脚部を伸ばし、GNキャノンとして使用されていた腕からマニピュレーターを展開させた。

頭部のメインカメラが光り背部に備わっているGNドライヴから緑色の粒子が放出する。

そして虹色の輝きを放ち、ティエリアは擬似GNドライヴのモビルスーツを掌握した。

セラフィムにのみ許されたトライアルシステム、ヴェーダの制御下に置かれたモビルスーツはティエリアの命令1つで動けなくさせる事が出来る。

 

///

 

「そんな武器で俺を倒せるとでも思ってんのか?オイ!!」

 

トランザムにより機動力が向上したケルディムだが、GNビームピストルでは決定打には至らない。

接近して至近距離から撃てばこの武器でも倒せるだろうが、その前にアルケーのGNバスターソードがケルディムの装甲を切り裂いてしまう。

このままではいずれGN粒子も底をつきトランザムも解除されてしまう。

そうなる前にロックオンは勝負を仕掛けに行った。

 

「あぁ、やってやるぜ!」

 

両手に握るGNビームピストルのトリガーを引きつつ、ケルディムは不利な接近戦を仕掛けにアルケーへと肉薄した。

二刀流のアルケーは右手のGNバスターソードを大きく振り上げ、パワー任せに振り下ろす。

GNビームピストルをアックスモードに切り替えて、振り下ろされた攻撃を両手を使い受け止めた。

 

「ハッハッハッハッァ~!パワーならこっちが上だ!」

 

「そうかよ!」

 

GNバスターソードとGNビームピストルの鍔迫り合いで閃光がほとばしる中で、ケルディムは腰部フロントアーマーからGNミサイルポッドを向けた。

 

「なっ!?」

 

サーシェスがミサイルの存在に気がついた時には既に遅く至近距離から6発のGNミサイルが発射された。

ミサイルの爆発がアルケーを襲うが、至近距離でのGNミサイルはケルディムにも被害が出た。

フロントアーマーが衝撃ではじけ飛び、GNドライヴにも異常が生じてトランザムが強制解除されてしまう。

 

「まだまだぁ!!こんなモンで終わりじゃねぇぞ!」

 

両手に握るGNビームピストルの照準を正確にアルケーのコクピットに合わせ、至近距離からの連射で止めを刺そうとする。

でも爆発の衝撃から立ち直るのはサーシェスのほうがわずかに早かった。

ケルディムが銃口を向けたその瞬間に、脚部ビームサーベルがケルディムの両膝から先を切り裂いた。

 

「終わるのはテメェだ!!」

 

ミサイルの爆発で装甲は剥がれ内部のフレームもあらわになりボロボロになった機体でも、サーシャスは目の前の獲物を狩る。

膝先がなくなり満足に動けなくなったケルディム、左腕を伸ばし銃口を向けるがトリガーを引くよりも早くにGNバスターソードが振るわれた。

またも肘から先を持って行かれ、防衛手段のなくなったケルディムにはもう太刀打ちが出来ない。

 

「やってくれやがったな!けどな、テメェごときを殺すぐらい1発で終わらせてやるよぉ!!」

 

「あぁ、そうだな」

 

大きく頭上に振り上げられたGNバスターソードは確実に目の前のケルディムを捉えている。

防ぐ事も逃げる事も出来ない状況でも、ロックオンの眼差しは輝きを失ってなど居ない。

投げ捨てたGNスナイパーライフルはすぐ近くに漂っている。

GNバスターソードが今まさに振り下ろされようとした瞬間、アルケーはパイロットの操作を受け付けなくなり動きを止めてしまう。

 

「何が起こりやがった?機体が反応しない」

 

操縦桿をどんなに動かしても機体はピクリとも動かず、メインカメラから送られる情報だけが唯一コクピットから見えるだけ。

 

「テメェを倒すのは……」

 

GNピストルからGNスナイパーライフルに持ち替えたケルディム、正常に作動しないGNドライヴから残り少ないエネルギーを絞りだす。

動かないアルケーのコクピットへ銃口を向けられるのをサーシャスは何も出来ない。

 

「クソがぁ!!脱出装置もコントロールが効かねぇ!このままお陀仏かよ!」

 

背部に備わっているコアファイターも動かせずハッチの開閉さえも受け付けず、エネルギーチャージの終わったGNスナイパーライフルのトリガーに指をかける。

 

「1発あれば充分だ!」

 

放たれたビームは真っ直ぐに突き進みアルケーのコクピットを貫き、貫通したビームはコアファイターをも破壊した。

それを最後にケルディムは動かなくなり、握っていたGNスナイパーライフルも力なく手放し宙へ浮いた。

 

「あとは頼んだぜ。刹那」

 

///

 

刹那のダブルオーガンダムとリボーンズのリボーンズガンダムとの最後の決戦。

GNソードとビームサーベルが交じり合い激闘を繰り広げながらも、脳量子波と拡散するGN粒子が戦い続ける両者の意思を伝えている。

 

「わかりあう気はないのか?そうまでして人類を支配したいのか?」

 

「くどい。僕と君たち人類を一緒くたにしないでもらいたい。僕は人類の上位種、人類を導く存在だ」

 

「戦うのではなく、俺達はわかりあえる。変わる事が出来る。俺もみんなも、お前に出来ない通りはないはずだ。それがイオリアが目指した未来な筈だ!」

 

「キミは勘違いをしているよ、刹那・F・セイエイ。僕は人を、人類を超越したんだ!」

 

鍔迫り合いに持ち込む2機のモビルスーツ、リボンズガンダムは脚部で胴体を横蹴りし距離を離しビームライフルのトリガーを引いた。

大出力で放たれるビームに刹那は、視界で捉えるよりも早くに気配で察知しGNフィールドを機体全周へ展開させた。

GNフィールドに拡散されるビームは暗闇に消える。

 

「弱いよ。行け、フィンファング!」

 

リボンズは次の手を休まずに繰り出し背部の4本のバインダー、GNフィンファングを射出させた。

縦横無尽に飛び回るフィンファングから通常のファングと比べ遥かに強力なビームが四方八方から発射される。

GNフィールドに閉じこもりながら身動きが出来ない状況に追い込まれてしまう。

 

「頂く!」

 

メインスラスターを吹かし左手に握らせたビームサーベルでダブルオー目掛けて袈裟斬りをする。

またもGNフィールドに防がれてしまうが動けないダブルオーにこれ以上の対抗手段はない。

 

「まさかこれで終わりなんて言わないよね?」

 

「俺は変わる!その先にある未来の為に、変わらなくては道は開けない!イオリアの計画ではなく、自分自身の為にも!」

 

「ふん、世迷い事を!」

 

その瞬間にGNフィールドが消え失せ、振るわれたビームサーベルが白い装甲を切り裂いた。

でもリボンズはビームサーベルで獲物を捉えた感触が伝わらない。

目の前に居るはずのダブルオーライザーを次に見た時には視界から風に吹かれた砂のように消えてしまう。

 

「量子化したのか!?だが脳量子波は遮断出来まい」

 

量子化してリボンズの視界から消えたダブルオーライザーだったが装備していたGNソードだけはその場に残っている。

脳量子波から伝わる相手の感覚を読み取り、次に現れた瞬間に攻撃を仕掛けようと考えたリボンズは神経を研ぎ澄まさせる。

 

「量子化なんて長時間出来る物ではない。あと何秒だ……右、いや―――」

 

GNフィンファングを4基自機の正面へ向けると大型のビームライフルも構えた。

残されているGNソードは意識を他の場所へと反らす為に置いたに過ぎない。

その事にリボンズは感付き、ライフルのトリガーに指を掛ける。

 

「正面!」

 

「断ち切る!」

 

消えたダブルオライザーは再び同じ場所から両手にビームサーベルを握って現れた。

背部のオーライザーは補助アームで実体剣のザンライザーを左右に握り、一閃したその先のGNフィンファングを2基破壊した。

右手のビームサーベルも1基は仕留めたが、残ったGNフィンファングが左マニピュレーターに突き刺さる。

リボーンズガンダムはビームライフルを間髪入れずに向けダブルオーガンダムを撃ち抜こうとするが、ツインドライヴの粒子を開放させ機体の性能を向上させた。

トランザムを発動させたダブルオーライザーは視界から消えたが完璧には回避出来ず、ビームが左肩に直撃し腕だけを置いていく。

 

「ツインドライヴも、トランザムも、自分だけの物だと思うな!トランザム!」

 

リボーンズガンダムに備わっている擬似GNドライヴから放出される赤いGN粒子が増幅し、装甲も赤く発光しダブルオーライザーと同じ状態になる。

 

「その機体もトランザムを使えるのか!?」

 

「そうだ。これが君たち人類を導く僕だけのガンダム。リボーンズガンダムの前にひれ伏せ。刹那・F・セイエイ!」

 

「負けられるものか!キサマはもうガンダムではない!俺たちは変わるんだ!」




終わる終わる詐欺はまだ続く。
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