機動戦士ガンダム00 The human race's reformation   作:K-15

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第6話 それぞれの想い

尋問が終わったバナージが沙滋の居る部屋に戻ってきた。

突然の事に戸惑っていた沙滋が無事に戻ってきたバナージを見て安堵する。

 

「よかった、なんとも無かったんだね」

 

「少し質問されたぐらいですよ」

 

「でも僕の時は何も無かったのにどうしてキミだけ?」

 

刹那の計らいで何もされる事なく保護されているが沙滋はその事を知らない。

それにバナージは所属不明のモビルスーツに乗りソレスタルビーイングに攻撃を仕掛けてきた。

その彼を沙滋と同じようにただ保護する訳には行かない。

その事を言うべきか躊躇するがいずれはわかる事だった。

 

「それは……それは、俺がモビルスーツに乗っていたから」

 

バナージは正直に告白した、その事に驚きを隠せない沙滋はバナージの両肩を掴んだ。

 

「どうしてキミまでそんな事を?何で?罪の無い人が一杯死ぬんだぞ!」

 

「俺だって人殺しがしたくて乗っている訳じゃありません。でもユニコーンは父さんに託された最後の想いなんだ」

 

「想い、その為にキミは戦っているのかい?」

 

「父さんのユニコーンには今までに出会った人達の想いが詰まっているんだ。オードリーを守る為にも俺はユニコーンに乗る」

 

「オードリーって人はキミの大切な人なのか?」

 

「そうです!」

 

バナージは自信を持って答えた。そんな彼を見て沙滋はルイスを思い出す。

4年前の時ルイスに何もしてやることが出来なかった。

そして今も何も出来ないでいる。

状況に流されるだけで何も出来ない自分が酷く嘆かわしく感じられた。

かと言ってソレスタルビーイングに加担して戦おうとも思えない。

 

(僕はどうすればいいんだ)

 

今は沙滋の声を聞いてくれる人もおらず、答えも分からないままだった。

 

「大丈夫ですよ、彼女も想っています」

 

「え……?」

 

「それに自分に出来る最大限の事をすればいいんです。そうすれば他の人に利用なんてされません」

んてされません」

 

不思議な感覚だった、まるで考えている事が分かっているような言葉だ。

 

「どうしてキミがそんな事を?」

 

「いえ、そう感じただけです。それよりも一つ頼みたい事があるんです」

 

「あ……あぁ、なんだい?僕に出来る事なんて少ないけどね」

 

「そのコンピューターを使わせて欲しいんです。気になる事があって」

 

バナージが指差す先にはケーブルでハロと繋がっているコンピュータがあった。

スメラギとティエリアにバナージが連れて行かれて一人になっている間に使っていた物だ。

 

「それはこの艦のなんだ。だから自由に使ってもいいよ」

 

「じゃあ使わせてもらいます」

 

そう言うとバナージは床に座り込みコンピューターを操作しはじめた。

沙滋はさっき感じた不思議な感覚が何かを考えていた。

 

///

 

アレルヤを救出する為に連邦軍の収容施設を襲撃した事は瞬く間に世界中に伝わった。

ガンダムが現れた事でソレスタルビーイングが復活した事を世に知らしめた。

連邦軍はソレスタルビーイングが再び武力介入を始めた事を逆手に取りアロウズの権限の拡大を謀った。

今世界中で報道されておりソレスタルビーイングも来るべき戦いに向けて準備を始める。

マリナ・イスマイールはその放送を見て母国であるアザディスタンの現状が気になっていた。

本当なら彼女が先頭に立ち国民を先導しなければならないが今はアロウズに狙われる身であった。

迂闊な行動をしては情勢が不安定なアザディスタンがさらに悪くなる。

 

「いったいどうしたら」

 

不安になるマリナ、プトレマイオスに収容されてからその事ばかり考えていた。

すると部屋と扉が開いた、そこには刹那が立っていた。

 

「どうした?」

 

「刹那、そういえばまだ助けてくれたお礼を言ってなかったわね。本当にありがとう」

 

「気にするな、指示に従ったまでだ」

 

「そんな事は無いわ、それに5年前のアザディスタンの内紛を止めてもらった事も本当に感謝しているわ。戦いをせずに内紛を止めた、あの行為はとてもすばらしい物だと私は感じます」

 

マリナの言葉を聞いても刹那は無表情のままだ。

そんな彼をマリナは優しく見ていた。

 

「そんな事はいい、これからどうするつもりだ」

 

「アザディスタンに戻ります」

 

「駄目だ、保安局が来る。それにマリナを口実に連邦が介入してくる可能性もある」

 

「連邦に加盟しなかったアザディスタンは世界から見放され経済も破綻している、国民は飢えに苦しみ、改革派との争いも泥沼と化している。でも、だからこそ私は……」

 

「マリナの考えている事も理解している。でも艦の進路を変える事は出来ない」

 

「そう……ごめんなさい、無理を言ってしまって」

 

刹那に否定され落胆するマリナ、そんな彼女を見ても刹那の表情は変わらない。

マリナを一人残し部屋を後にしようと歩き出す。

だが扉を開けて出て行こうとした所で歩みを止めマリナに振り返った。

 

「トレミーはこのまま反政府組織カタロンの基地に行く。降りる準備をしておけ」

 

「何で私まで?」

 

「お前に会いたがっている人がいる」

 

そう言うと部屋から出て行った。

閉じられた部屋の中で自分の元を去っていったかつての親友を思い出す。

今まで不安や心配事しか頭の中に無かったのが一筋の光が見え始めた。

プトレマイオスはカタロンの基地を目指し敵に見つからぬよう海中を進んでいく。

ルブアルハリ砂漠、ここに反政府組織カタロンの基地がある。

砂漠に地下道を作り3年あまりの歳月をかけ基地と言えるまで大きくした。

通常なら連邦軍が見逃すはずは無いがGN粒子散布装置のおかげで見つからないで居た。

連邦軍が非加盟国に対する経済活動を麻痺させるために設置されているこの装置で今まで連邦に見つからずに来れた。

そこへプトレマイオスは向かっている。

砂漠には大量のGN粒子が散布されており敵機の反応をレーダーで捕らえる事は出来ない。

その為発見される可能性は低くなるが敵の奇襲がないとも限らない。

スメラギはプトレマイオスの光学迷彩展開機能を使い砂漠の砂の中に艦を隠しガンダム2機と輸送艦で基地に行くことにした。

輸送艦にはスメラギ、マリナ、沙滋、刹那の四人が搭乗しケルディムとセラヴィーが小型船の防衛に付いた。

 

「こんな所に敵なんて来るのかよ?」

 

「GN粒子が散布されているとはいえ油断は出来ない。気を緩めるな」

 

「はい~、はい~、わかりました」

 

ロックオンの言う様にあたりは砂漠しかなくとても敵が来るようには思えなかった。

レーダーも何一つ反応が無い。

それでも敵が100パーセント来ないとは言い切れない。

もしもここで取り逃がし増援を呼ばれたらカタロンの基地やプトレマイオスが危機に陥る事となる。

それは何としても阻止しなければならない。

ティエリアは全方位に集中し前に進んでいると砂漠の一角にソレらしき物が見えてきた。

巨大なシェルターを砂で覆っているが間違いなく基地だった。

 

「スメラギさん、カタロンの基地を発見しました」

 

「わかったわ、こちらでコンタクトを取ります。敵機の反応が無いか再度確かめて」

 

「了解」

 

ティエリアは通信を切るとより一層警戒を強めた。

ケルディムもGNスナイパーライフルを構えて輸送艦の防衛に付く。

スメラギは暗号通信でカタロンに呼びかけた。

しばらくすると基地のシェルターがゆっくりと開放されていく。

 

「聞こえるか?そちらを確認した。シェルターを開ける」

 

カタロンからの通信が入りガンダム2機と輸送艦をシェルターの内部に移動する。

シェルターはまたすぐに閉じられた。

基地の内部は旧式のモビルスーツが10機以上並んでいた。

ガンダムと輸送艦も余裕で入りきる程内部を広かった。

 

「これがガンダム!」

 

「アザディスタンを救ってくれた英雄の機体だ」

 

ガンダムを見るとカタロンの構成員が迎え入れてくれた。

皆ガンダムに目が惹かれており作業を止め写真まで撮りだす者も居た。

輸送艦とガンダム2機が着地し乗組員とパイロットが降りてくる。

ティエリアとロックオン、パイロットスーツにヘルメットを被っており顔は見えない。

するとカタロンの構成員が次々と二人に集まってきた。

 

「よく来てくれた、ソレスタルビーイング!」

 

「歓迎するよ!」

 

「顔は見せてくれないのか?」

 

ティエリアはいつもと変わらず冷静に対処する。

 

「我々には秘匿義務がある。悪いがそれは出来ない」

 

「そんな硬い事言うなよ。いいじゃねぇかそれぐらい」

 

そう言うとロックオンはヘルメットを脱ぎ顔をさらした。

その行動にティエリアは慌てる。

 

「キサマは何を!?」

 

「アレルヤを助けるとき助太刀してもらっただろ?」

 

ティエリアはロックオンを睨み付けた。

だが諦めて輸送艦のスメラギ達を迎えに背を向けて歩き始めた。

 

カタロンのクラウス・グラウドとソレスタルビーイングは今後の行動についての会談をする為に集まった。

それと一緒にマリナと沙滋の保護も頼むつもりだ。

これからの戦闘は熾烈を極める事になる。

戦闘員でない二人をこのまま置いておくにはあまりに危険だった。

 

「会談に応じてくれて感謝します。クラウス・グラウドと言います」

 

「申し訳ありませんが自己紹介は」

 

「事情は承知しております」

 

「マリナ姫を助けていただきありがとうございます。以後は我々が責任を持って保護させていただきます」

 

会談の場にはかつてのマリナの側近であるシーリン・バフティヤールも居た。

 

「シーリン」

 

マリナは彼女もまた戦闘に参加して戦っている事に戸惑いを隠せない。

 

「ソレスタルビーイングに居たいの?」

 

「アナタこそ反政府組織に―――」

 

「いけない事?」

 

その言葉に言い返すことが出来ないマリナ、自分が国を指導出来なかったばかりに彼女を戦いへと誘ってしまった。

今のアザディスタンの情勢が悪いのも私がしっかりできていれば・・・

そんな私に国の為に戦っているシーリンをとやかく言う事は出来ない。

 

「もう一人保護を頼みたい。沙滋クロスロード、民間人だ。いわれなくアロウズにカタロンの構成員の疑いを掛けられている」

 

「ちょっと勝手に!?」

 

ここでやっと自分がなんでココに連れてこられたのかが分かった。

 

(ソレスタルビーイングには居たくない、けれどもカタロンだって戦いを引き起こす存在としては変わりない)

 

そんなところに沙滋は居たくはなかった。

 

「そうするのが一番よ、沙滋君」

 

スメラギはそんな彼を強引に引き取らさせた。

これ以上は民間人の彼にも被害が及ぶとスメラギも思っていた。

 

「そろそろ本題に入ろう、我々カタロンは現政権打倒の為―――」

 

「申し訳ありませんが私達は政治的思想で行動しているわけではございません」

 

「ですがソレスタルビーイングは連邦と対立している」

 

「私達の敵は連邦政府ではなくアロウズです」

 

「政府直轄の独立部隊を叩く事は我々の目的と一致するのではないですか?アロウズの悪行を征するため共に手を取り合い……」

 

「残念ですがここにあるモビルスーツではGNドライヴ搭載型のモビルスーツには太刀打ち出来ません」

 

「だとしても我々はアナタ達に協力したい。補給や整備だけでも力になりたいのです」

 

「ありがたい申し出ですがそれも出来ません。こちらの情報を外に漏らすわけにはいきませんので」

 

「そうですか。分かりました」

 

「ですが私達も出来る限りの事はします」

 

「その言葉を聞けただけでもうれしいです」

 

クラウドとスメラギは互いに握手を交わし今回の会談は終了した。

 

///

 

会談が終わりクラウドとシーリンは別室に移った。

シーリンはソレスタルビーイングを取り込めなかった事に落胆していた。

 

「やはり無理だったわね」

 

「いや、あの言葉を聞けただけで十分だ。これからのアロウズとの戦いは熾烈を極めるだろう。近い将来我々と手を取り合う日も来るだろう。そうだろう?ジーン1」

 

クラウドが見た先にはガンダムマイスターであるはずのロックオン・ストラトスが居た。

 

「さぁ、どうですかね」

 

カタロンの構成員であるライル・ディランディはソレスタルビーイングの情報を漏洩しようとガンダムマイスターの誘いに乗ったが未だに何も掴めないで居た。

 

「ただ、敵ではない事とガンダムの性能は凄まじく高い。それだけは確かです。もう戻りますよ、あんまり長くココに居たんじゃ怪しまれる」

 

そう言うとライルは部屋から出て行った。

 

ガンダムと輸送艦に戻ったメンバーはプトレマイオスに戻るべく準備を始める。

その中で刹那はスメラギと話していた。

 

「一つ頼みたい事がある。この艦を貸してくれ」

 

「どうするつもり?」

 

「マリナをアザディスタンに連れて行く」

 

刹那は以前にマリナに頼まれた事を覚えていた。

ガンダムやプトレマイオスが公の場にさらされるのは避けなければならずこの前は聞いてやる事が出来なかった。

腕を組みどうするかを考えるスメラギ、この輸送艦ならもしも発見されてもアザディスタンに危害はないだろう。

 

「分かったわ、私はガンダムで先にトレミーに戻っているわね。他のみんなにも私から言っておく」

 

「了解した」

 

それを聞くと刹那はマリナを連れて輸送艦でアザディスタンに向かう。

スメラギはガンダムでプトレマイオスに戻る。

基地のシェルターが開きガンダム2機と輸送艦が飛んでいった。

 

 

///

 

「マリナ、何処に行ったのかしら?」

 

シーリンは保護されたはずのマリナを探していた。

クラウドと話している間に何処かへ行ってしまい姿が見えない。

 

(てっきり子供達の相手をしてくれているものだと思っていたのに)

 

マリナを見なかったか、と、しらみつぶしに聞いて回っていた。

それでも足取りはつかめないで居た。

この閉鎖された空間で見つからない訳がない。

 

「まさかソレスタルビーイングに!?」

 

だがガンダムと輸送艦はすでに基地から出て行った後だった。

 

「マリナ……」

 

///

 

沙滋はカタロンに居るつもりは無かった。

砂漠を抜けた先には町がある。

何とかしてそこまで行きたかった。

モビルスーツの置いてある格納庫で何か使えそうな物はないか探していた。

 

「おい!そこで何をしている!」

 

後ろから銃を構えたカタロンの構成員がコチラに向かってきた。

どうする事も出来ずただ震えて立ち尽くすしかなかった。

 

「お前はソレスタルビーイングの?」

 

どうやら自分はソレスタルビーイングのメンバーだと思われているらしい。

本当は違うと言いたい所だが今はそれを利用させてもらおう。

 

「ま、町に仲間が居て……」

 

「そうか、なら車を使え」

 

そう言ってその人は車のキーを放り投げてきた。

 

「ありがとう……ございます」

 

キーを受け取ると苦笑いしながら沙滋は車の元へ走っていた。

しばらく走ると車が置いてある場所に着いた。

乗り込むとキーを差込みエンジンを駆けた。

助手席の座席には砂避けのローブも置いてある。

ローブをまとうと車を発進させる。

 

「コイツで超えられるかな?」

 

沙滋は一人で砂漠を越えようと走り出した。

幸いにも誰にも止められずに砂漠まで来れた。

車は砂漠でも走れるようにチューニングされており問題なく砂の上を進む事が出来た。

 

「このまま進めば……」

 

大きな砂山を越えると突然ブレーキを踏み車を止めた。

 

「アレは連邦軍!?」

 

そこには連邦軍の軍艦が空を飛んでいた。

 

///

 

沙滋の居なくなった部屋でバナージは一人コンピューターの画面に向き合っていた。

今の自分に置かれた状況が少しずつ理解してきた。

 

「アロウズ、まるで授業で聞いたティターンズじゃないか」

 

どんな手段を使ってでも敵である者は排除する、昔連邦軍がジオンに対して行った政策と似ている。

やはり人は変わる事は出来ないのだろうか?

 

「!?これは……敵意が近づいてくる」

 

バナージは立ち上がるとユニコーンの置いてある格納庫まで走った。

 

「急がないと」

 

艦の構造はさっき見ていたコンピューターに載っていた。

真っ直ぐに格納庫のユニコーンまで来るとパイロットスーツも着ずにコクピットに乗り込もうとする。

だがガンダムの整備をしていたイアンに気付かれてしまう。

 

「何をしているんだ!」

 

整備を中断しバナージのユニコーンに向かって来る。

 

「敵が来ます!急がないと取り返しのつかない事になる」

 

「敵だって?そんな情報は……」

 

「レーダーに敵機の反応、カタロンに基地に向かっています」

 

するとフェルトの通信が艦内に響き渡った。

 

「行かせて下さい。俺はアナタ達の敵じゃありません!」

 

このままではカタロンの基地はアロウズの襲撃は免れることは出来ない。

少しでも早く救援に向かわなければならない。

スメラギはまだ戻っておらずガンダムもアリオスとこのユニコーンしかない。

 

「……分かった」

 

「本当ですか!?」

 

「ただし完全に信用した訳じゃない。すぐにアリオスも向かわせる。それまでの間だけだ」

 

「分かりました、ユニコーンで出ます!」

 

バナージはコクピットに乗り込みハッチを閉じた。

ディスプレイに右手をかざし生体反応を読み取らせた。

エンジンが起動し全天周囲モニターが周囲を映し出す。

イアンもユニコーンの発進準備を進める。

 

「今頼れるのはアレルヤとアイツだけだ。頼んだぞ」

 

ユニコーンの足を固定しているカタパルトが動き出す。

移動されたユニコーン、プトレマイオスのハッチが解放し外から光りが差し込む。

 

「場所はすぐにデータを送る。方角はここから北北西だ」

 

「了解、ユニコーンで出ます!」

 

カタパルトが動きだし体にGが掛かる。

ランドセルのバーニアを吹かしカタパルトを切り離すとユニコーンは飛び立った。




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