機動戦士ガンダム00 The human race's reformation   作:K-15

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第7話 戦う理由

「あんな軽装で何で砂漠を走っていた!」

 

「っ!?」

 

連邦軍に掴まった沙慈は厳しい尋問を受けていた。

兵の怒鳴り声にただ口を閉ざす事しか出来ない。

 

「どうしても言わない気か?まぁいい。もうすぐ生体認証の解析も終わる。化けの皮が剥がれるのも時間の問題だぞ」

 

「……」

 

民間人の沙慈に軍の尋問に耐える精神力はない。

ただ下を向いて時が過ぎるのを待つしか出来る事は無かった。

すると部屋の扉が開きもう一人連邦軍の兵士が入ってきた。

 

「バイオメトリクスがヒットした!そいつはカタロンの構成員だ!」

 

「やはりそうか!」

 

「違う!僕は―――」

 

僕はカタロンの構成員なんかじゃない、そう言いたかった。

だが連邦兵は問答無用で沙慈の顔面を殴りつける。

 

「そんなウソが通用するわけないだろ!」

 

「違う……」

 

殴られた所がヒリヒリと痛む。

カタロンの構成員の容疑を掛けられてしまった以上尋問はさらに過激さを増すだろう。

情報を聞き出すまでは殴るくらい当たり前、でも沙慈はカタロンの情報なんて何も知らない。

そう訴えかけても聞いてくれる事は無いだろう。

沙慈はこれから起こる事に恐怖した。

 

「手荒な真似は止せ!」

 

声のする方を振り向くとまた別の兵が来ていた。

尋問していた二人が姿勢を正し敬礼をする。

 

「後の事は私がする。」

 

「スミルノフ大佐、しかし!」

 

「命令だ、下がれ!」

 

スミルノフの命令で二人の兵はもう一度敬礼をすると部屋から出て行った。

部屋の扉が閉まるとスミルノフはイスに座り沙慈と向き合った。

 

「キミは戦士ではないな」

 

「え……?」

 

「長年軍に居たから分かる、キミは戦う者の目をしていない。つまりカタロンではないと言う事だ。一体何があったのかな?」

 

「……」

 

さっきまでの尋問とは違い怒鳴ったりはしてこないがすぐには信用する事は出来なかった。

また沙慈は口を閉ざし何も話そうとはしなかった。

 

「ソレスタルビーイングと何か関わっているのではないか?」

 

スミルノフの言葉に沙慈は驚いた。

 

(ソレスタルビーイングの事なんて一言も言っていないのにどうして)

 

さっきの連邦兵も知らないはずだ。

 

「理由はある。データを見るとキミは数週間前までガンダムが現れたクラウドでコロニー開発に従事していた。そしてガンダムと戦闘があったこの地域にキミが居る。簡単な推理だよ」

 

「僕はカタロンでもソレスタルビーイングでもありません」

 

「分かっている、ただ話を聞かせて欲しいだけだ。悪いようにはしない」

 

沙慈はスミルノフの顔を見た、初めて話を聞いてくれる人に出会えた。

その事に心が揺らいでしまった。

 

///

 

プトレマイオスから発進したユニコーンは送られてきたデータを頼りに指定座標に向かう。

あたり一体砂漠しか見えず今自分がどこに居るのかさえレーダーを見ないと分からない。

 

「今はレーダーを信じるしかない。急がないと!」

 

バナージはユニコーンのランドセルのバーニアを全開にする。

パイロットスーツを着ていないせいで機体に凄まじいGが掛かる。

 

「っ!?アレは?」

 

機体の加速で揺れるコクピットの中でバナージは見た。

上空に赤い粒子を発生させているモビルスーツの部隊が同じ方角へ向かっている。

 

「このままじゃ間に合わない!」

 

バナージは指定座標へユニコーンを急がせる。

だがアロウズのモビルスーツ部隊の襲撃には間に合わなかった。

 

「カタロンの基地らしき施設を発見しました」

 

「よし掃討作戦を開始する」

 

バナージのユニコーンが追いつくまでにアロウズのモビルスーツ部隊に基地が見つけられてしまう。

砂に隠されたシェルターにアヘッドのビームライフルが砲撃を始める。

ビームの直撃でシェルターは呆気なく破壊されてしまい内部への侵入路があらわとなる。

だが破壊の衝撃で砂が周囲に舞い視界が悪くなる。

 

「シェルターの破壊を確認。これより内部に!?カタロンのモビルスーツが出てきました!」

 

内部へ侵入しようとした所にカタロンの旧式のモビルスーツが防衛の為に出てきた。

どれもフラッグやティエレンばかりで今のモビルスーツにとても太刀打ち出来ない。

アヘッドに向かいレールガンを発射するがどれだけ撃っても簡単に避けられてしまう。

 

「そんな旧型のモビルスーツで」

 

この作戦に参加しているソーマ・ピーリスは悲痛な気持ちで居た。

相手との戦力差は歴然としている。

わざわざ殲滅作戦などしなくてもよいのではないのか?

いくら上層部からの命令とは言え納得が出来ないで居た。

そうしている間にも次々とカタロンのモビルスーツが破壊されていく。

 

「これより掃討作戦に入る。オートマトン射出準備」

 

部隊長のアヘッドがキルモードに設定されているオートマトンを内部へ射出しようとする。

 

「そんな!?待って!」

 

その行動にピーリスは驚いた。

無抵抗の人間までも容赦なく殺すアロウズの本質がやっと分かった。

しかし彼女にそれを止める術は無かった。

無常にもオートマトンは射出されようとしていた。

 

「ん!?新たな敵影を確認、こちらに向かってきます。」

 

部隊長が部下の報告を受けて振り向く、そこには白亜の機体が飛んでいた。

 

「遅かった」

 

バナージが見つめる先には無残に破壊されたモビルスーツが横たわっていた。

見るからに戦力差は圧倒的にカタロンの不利だ。

それでもまだ懸命に戦っているモビルスーツが数機残っている。

これ以上被害を大きくさせないためにも赤い粒子を出しているモビルスーツに接近する。

ユニコーンに気付いた敵機がビームライフルを撃ってくる。

左腕のシールドをX字にスライドさせ機体の前方に構える。

シールドのIフィールド発生装置が飛んで来るビームを弾く。

ユニコーンには頭部のバルカンしか射撃武器は無いためビームサーベルで斬りかかるしかない。

シールドでビームを防ぎながらアヘッドに迫る。

接近するユニコーンにアヘッドはビームライフルの攻撃を止めサーベルに持ち替える。

 

「来る!」

 

右手にビームサーベルを握ったアヘッドが接近戦を仕掛けてくる。

バナージも左腕のビームサーベルを引き抜き鍔迫り合いに持ち込むと目の前に居るアヘッドの頭部にバルカンを発射する。

弾は頭部に命中しモニターが割れ装甲が凹む。

さらに左腕のシールドを横になぎ払い頭部を吹き飛ばすとアヘッドは地上の砂漠へと落下していった。

落下していくモビルスーツに戦闘能力が無いのを見ると次の標的に向かう。

 

「これ以上はやらせない!」

 

敵のモビルスーツ部隊にバナージは飛び込んでいく。

アロウズは突然現れた謎のモビルスーツに困惑していた。

こちらが戸惑っている間にすでに1機落とされてしまっている。

 

「隊長、アレは?」

 

「分からん、データに該当する機体はない。だが今回の作戦はカタロンの基地の殲滅だ。ピーリス中尉!」

 

「……」

 

「中尉!」

 

「!?っはい!」

 

ピーリスは敵であるはずの白亜の機体に引かれていた。

まるで心の中を覗かれているような、でも不思議と嫌悪感は無かった。

むしろ暖かくて安らぎを感じていた。

 

「白いヤツは中尉に任せる。その間にオートマトンを基地に射出する、分かったな!」

 

「了解!」

 

部隊長の命令を聞くとピーリスは単機でユニコーンの撃墜に行く。

ピーリスのアヘッドにバナージもすぐに気付いた。

 

「手ごわいのが来る。でもここで時間は掛けられない」

 

ピーリス以外の機体は尚も基地への攻撃を止めようとはしない。

これ以上被害を拡大させる訳にはいかない。

アヘッドを視界に捕らえるとバルカンで威嚇をする。

弾は簡単に避けられてしまいユニコーンにビームライフルのビームが飛んで来る。

バナージもコレを回避しビームサーベルで斬りかかろうとするが。

 

「敵意が感じられない。どう言う事だ?」

 

敵意の感じる事の出来ない相手にバナージは戸惑う。

だがそのまま右手のビームサーベルを振りかぶる。

アヘッドは軽くスラスターを吹かし横へ回避するがその隙にユニコーンはアヘッドを掻い潜り基地へ向かって行く。

 

「しまった!?」

 

機体を反転させビームライフルで背を向けて飛んでいるユニコーンを狙い撃つ。

しかしユニコーンは背中に目が付いてるかのようにビームを避けていく。

ついには射程外へと距離を開けられてしまう。

 

「何をやっているのだ……私は……私は超兵なのに!」

 

右腕を側面の戦闘画面に打ち付けると自分の不甲斐無さを悔やんだ。

ピーリスは敵を撃ち損じた悔しさもある一方、この掃討作戦を止めてくれるのではないか、と、ユニコーンに微かな希望を抱いた。

ピーリスのアヘッドを後にしバナージは基地へ向かった本体を追う。

だが時はすでに遅く隊長機がオートマトンを基地内部に向け放っていた。

地上へ落下していくオートマトンを見て直感的に感じる。

 

「アレはダメだ!急いで止めないと!」

 

戦闘画面に小さく映っているだけにも関わらずバナージはオートマトンの本質を瞬時に感じ取る。

オートマトンは人間を殲滅対象として設定されている。

基地内部で活動を開始したら瞬く間に血の海となるだろう。

ユニコーンはバーニアを噴かして地上へ降下する。

起動したオートマトンを狙いバルカンを撃ちまくる。

弾に直撃したオートマトンは跡形も無く破壊される。

だが数が多かった、ユニコーン1機のバルカンだけでは数が減っていかない。

さらには上空からアヘッドのビーム攻撃がユニコーンを狙う。

 

「これだけの数、一人じゃ無理だ。殺気!?」

 

アヘッドからの攻撃を敵意を感じ取りながら回避していく。

敵意を感じ取る事で相手より一瞬でも早く動く事が出来る。

さらにシールドのIフィールド発生装置でビームは全て無効化される。

 

「何でコレだけの数のビームを避け切れるんだ!?」

 

「あのシールド、ビームを弾いてる!?」

 

数で圧倒しているにも関わらずユニコーンを落とす事が出来ない事に次第に焦りが見え始める。

ユニコーンの性能とバナージの戦闘能力で敵からの被弾は未だにゼロだがオートマトンへの攻撃が出来ないで居た。

 

「このままじゃ……」

 

ビームをシールドで防ぎながら横目で全天周囲モニターの後方を見る。

そこには起動したオートマトンが4本の足を砂の上で器用に動かし基地へ入っていった。

 

「ダメなのか!」

 

自分一人では何も出来ない現状がバナージは悔しかった。

それにこのまま数で押されてはユニコーンでも持たないかもしれない。

 

「アレを使う。それしか!」

 

NT-Dの使用を覚悟した、パイロットである自分をNT-Dに認知させガンダムに変身する。

バナージはもうそれしかないと考えた。

ユニコーンの装甲の隙間からピンク色の光りが漏れ出す。

するとアヘッドの1機がビームに貫かれ爆発した。

 

「何だ!?援軍?」

 

レーダーにソレスタルビーイングのガンダムが3機こちらに向かってきていた。

その内の1機、ケルディムガンダムがGNスナイパーライフルで敵機を狙撃した。

 

「無事か?」

 

「アナタは?」

 

「モビルスーツは俺達が食い止める、内部を頼む」

 

「分かった」

 

ソレスタルビーイングのガンダムから通信が入ってきた。

援護が来てくれた、これならNT-Dを使わなくても出来る。

通信画面に映る緑色のスーツを着たパイロット、ロックオンを信じてアヘッドに背を向けて基地に侵入する。

 

「敵の増援を確認、ソレスタルビーイングです!」

 

「各機ガンダムと応戦しろ」

 

隊長機の指示で固まっていた部隊がそれぞれ展開していく。

 

「彼に任せて大丈夫なの?」

 

「今はあの機体が基地から一番近い。信用するしかない」

 

アレルヤは突然プトレマイオスから出撃したバナージをすぐには信用出来ないで居た。

身元不明、何処で作られたのかも分からないモビルスーツ、疑うには充分だ。

「それよりも今はコイツ等を何とかするのが先だ!」

ロックオンが二人の会話に割って入る。

アロウズの卑劣な作戦で仲間が殺されようとしている。

そんな事を黙って見ている訳には行かない。

 

「アロウズ、許さねぇ!許すもんか!!」

 

ロックオンはGNスナイパーライフルを腰にマウントさせGNピストルに持ち替える。

両手にGNピストルを持つとアヘッドに凄まじい速さで連射する。

「逃げんじゃねぇ!」

回避行動を取るアヘッド、だが連射されるGNピストルのビームに飲み込まれてしまう。

たちまち装甲は貫かれGNドライヴが破壊される。

 

「高濃度圧縮粒子開放」

 

ティエリアはセラヴィーのGNバズーカを連結させ機体前方に構える。

GNドライブからエネルギーがチャージされる。

 

「ダブルバズーカ、バーストモード!」

 

丸いビームの塊がアヘッドに目掛けて発射する。

シールドを構えて防御姿勢を取るがビームは機体を飲み込み爆発する。

 

「無人兵器による虐殺行為、自ら引き金を引こうともしないなんて!」

 

アレルヤのアリオスは変形すると敵モビルスーツに一気に接近する。

モビルアーマーの加速性能に敵は反応する事が出来ないで居た。

ビームライフルを構えてビームを発射する。

アリオスをロックする事は出来ないがやらないよりはマシだ。

4機がかりでビームライフルを撃つ。

だがそんな攻撃に当たるアレルヤでは無い。

ノーズユニットを展開し胴体を挟み込む。

 

「罪の意識すら持つ気は無いのか!」

 

胴体を挟まれたアヘッドはそのまま半分に切断され爆発した。

ガンダム3機の介入により基地の掃討作戦はこれ以上の進行は無理だ。

破壊されていくモビルスーツを見て状況は不利と判断した隊長機は撤退命令を下す。

 

「初期目標は完遂した、撤退する!」

 

ガンダムの迎撃から免れた機体が上空へ離脱して行く。

逃げるアロウズにロックオンの悲痛な叫びがこだまする。

見えなくなっていく機体に一心不乱にビームを撃ちまくる。

 

「逃げんなよぉ、逃げんなよアロウズ!!!」

 

内部へと侵入したバナージ、そこには悲惨な現状が待ち構えていた。

起動したオートマトンのマシンガンが武装したカタロンの構成員を撃ち殺していた。

あたりには血が飛び交い動けなくなった人をオートマトンの足が無残にも踏み砕く。

必死になって手持ちの武器で応戦するが硬い装甲を撃ち抜く事は出来ないで居た。

 

「酷い……こんな……」

 

これではダカールの戦いと同じ、いや、それ以上に酷かった。

アロウズは上層部の命令に従っているだけ。

それに主義や思想などは無い。

ジンネマンや一緒に戦った袖つきのメンバーとは違う。

 

「下がってください!ユニコーンで破壊します」

 

通信で構成員に呼びかける。

だがバナージの言う事を聞く者は居なかった。

それどころかユニコーンに銃を向ける人も居た。

 

「違う、俺は敵じゃありません。あなた達の味方だ!」

 

必死に呼びかけるが恐怖に錯乱する人々には通じなかった。

勝てるはずも無いオートマトンと戦いまた一人と死んでいく。

 

「!?避けてくれよっ!」

 

バナージは頭部のバルカンでオートマトンを器用に撃っていく。

しかしバルカンでは威力が強すぎて破壊の衝撃で地面がえぐれ壊れたパーツが周囲に飛び散る。

それでも少しづつ数が減っていく、バナージがいち早く気配を察知して動いた事によりカタロンの被害は想定よりも少なく済んだ。

最後のオートマトンがユニコーンにマシンガンを撃ってくるがモビルスーツの装甲には効かない。

ユニコーンの足でソレを踏み潰すと戦闘は終わった。

 

「終わった。でも……」

 

それでも人的被害は少なからず出たし今回の掃討作戦で基地の場所がばれてしまった。

内部はモビルスーツとオートマトンの攻撃でボロボロに破壊されており復旧には時間が掛かる。

血で汚れた基地を見てユニコーンはプトレマイオスに帰艦する為ガンダムに続く。

 

沙慈はスミルノフ大佐の計らいで逃がしてもらえた。

だがカタロンの基地を目指しアロウズが動いている事を聞かされた。

乗ってきた車に乗り方位磁石で位置を確かめながら基地に車を走らせた。

その途中で見覚えのある光りが空を飛んでいくのを見る。

 

「アレは!?」

 

擬似GNドライブの赤い粒子が空に舞ってた。

車のアクセルを踏みスピードを上げる、だが基地に到着するには20分以上掛かってしまう。

それでも沙慈は急いだ。

 

///

 

小型輸送船でアザディスタンへ向かった刹那とマリナ。

刹那は上空の雲に隠れながら敵に発見されないように小型輸送船を操縦し進んでいく。

 

「もうすぐアザディスタンに着く」

 

レーダーで現在地を確認する刹那、もうすぐ故郷であるアザディスタンの国境を渡る。

だが雲を抜けたその先には炎に包まれる町だった。

「アザディスタンが燃えている……どうして……どうして……」

その光景を見てマリナは絶望する。

 

「せっかくここまで来たのに、結局何も出来ないなんて……」

 

「これだけの破壊規模、テロではない」

 

状況把握の為空域をレーダーで探索する。

そこに赤いモビルスーツが居た。

「あのモビルスーツ!?まさか……!」

それはアルケーガンダム、因縁の相手アリー・アル・サーシェス。

 

「そうよ、そのまさかよ!」

 

「くっ!?現空域を離脱する」

 

「刹那、でもアザディスタンが―――」

 

「この機体では無理だ、捕捉される前に離脱する」

 

小型輸送船を方向転換し全速力でアザディスタンから離れていく。

燃えるアザディスタンが視界から遠ざかっていく。

マリナは涙ながらに見つめた。




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