罪を犯したエルフをファミリアに誘うのは間違ってるだろうか(凍結)(メインタイトル関係なし)   作:伊つき

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メラの本名はメラゾフィスですがかなりどうでもいいので割愛します。


第42話

冬香がクレアに宣言してから数日。

暗殺者(アサシン)達は『任務』をこなしていく。

ある日、本拠(ホーム)にいる団員(メンバー)がリアに呼び出された。

 

「練。メラ。冬香。マイア。これで全員かな?」

「俺達よりあんたの方が把握してるだろ」

「いちいち偉そうな物言いしてんなよクソ人間(ヒューマン)

「あ?」

「あ?」

 

早速睨み合う練とメラ。

喧嘩を始めそうなところでリアが手を叩いて制止する。

 

「喧嘩なら外でやってくれ。これから話すのはかなり重要なんだ」

「へー。そんな重要な話、皆が揃ってなくていいの?もしかして僕達だけでおっきな任務こなすの?」

「まあ落ち着いて。聞いて欲しい、マイア」

「はいは~い。急かすつもりはなかったよ。ごめんね、リア」

「構わないよ」

 

両手を合わせて謝罪するマイアにリアは会釈する。

マイアが話を聞く気になったところでリアは予め用意していた資料を手に取った。

 

「マイアの言う通り、有力な情報を手に入れた。勿体ぶるつもりはないので言うが軍曹エリシアの居場所が特定できた」

「【殺戮の天使(ブリュンヒルデ)】…!」

「うっそ!?ブリュンって各地を転々としてて特定できなかったんじゃないの?」

 

冬香を除く全員に衝撃を与えられる名前。

練が忌み名を呟き、マイアが乗り出す。

殺戮の天使(ブリュンヒルデ)】。

エリシアの忌み名、非情さと圧倒的な戦闘力に知略さえ練れる頭脳。

強く、美しく、素早く、賢く、全てを兼ね備えた戦闘の達人(カリスマ)だ。

忌み名は彼女の美しさと非情さを兼ね備えたもの。

天使と称するのは皮肉も込めているだろう。

だが、周りが付けておいてその名は聞きたくもない最悪の忌み名となった。

先程まで緩んでいた空気も引き締まる。

 

「で?何処にいるんだ、ニャ」

「何処にいる…ではなく何処に()()。エリシアの行先を偵察班が見つけ出してくれた」

「その後偵察班は?」

「無事さ。見つかっているのなら任務を提案しない。エリシアが我々が来ることを想定して罠まで張るなら勝ち目は0に等しい」

「とにかく好機ってことだね」

 

マイアの言葉にリアが頷く。

情報によるとエリシアが行く場所は東北の沿岸、帝国沿いの海に面している場所だ。

そこには――。

 

「ちょっと待って。そこって確か…」

「革命軍がいるところだ…」

 

マイアに続くように練が地図を広げて指を差す。

リアは頷き、煙草に火をつける。

冬香も地図を眺める中、メラが首を傾げる。

 

「でもなんで、ニャ?これまで攻めこなかったのに…。なんで今になって…」

「エリシアが動き出したからだ。これまではクレアの魔剣で革命軍もなんとか堪えてきたけどエリシアの魔道具(マジックアイテム)なら魔剣に対抗できる」

「厄介過ぎるだろ…!」

 

練の悪態に誰もが同意する。

ただ一人。

メラは一層深刻な表情になっていた。

 

「……なあ、そこら辺って確か村がなかったか?」

「え?え~っと……あっ!ほんとだあった!」

「なに…?」

 

メラの指摘通りすぐ側に村があった。

他にも異国民の集落などが多々ある。

エリシアが率いる軍隊の襲撃、それが村や集落のすぐ側まで来ることにメラは表情をさらに険しくしていく。

 

「村の近くで戦争をするのか?どうにか民は避難できないか?」

「……どうだろうね。正直厳しい」

「エリシアはいつ来る?」

「……五日後だ」

「い、五日!?皆が帰ってくるのが明後日で、ここからブリュンが行くとこまで二日…ってギリギリじゃん!?」

「あぁ。それにあっちについてからの準備期間が最低でも一日必要だ。かなりきついよ」

「皆を待たずに行けば…!」

「そんなことをすれば全滅だ」

「くっ…!」

 

リアの冷静な分析にメラが怒りのぶつけ所を卓上に、拳を打ち込む。

激情するメラに冬香は不思議そうに見つめる。

練達は頭を悩ませた。

 

「敵はエリシアだけじゃない。五人で行くのは無謀だよ」

「……クレア達に任務を中断させればどうだ」

「クレアもエルもジルも任務の行き先が違う。全員に招集を掛けると逆にタイムロスになるかな」

「クソがっ…!!」

 

どうしようもない現実にメラの怒りの声が響く。

いつもは仲の悪い練も同情の目を向け、何か策はないかと思考する。

だが、いくら悩んでも現実は非情だった。

ことごとく提案を知将であるリアに否定される。

遂にメラの沸点に限界が来てしまった。

 

「なんでだ…!なんでニャ…!!」

「あ、ちょっ!?まだ会議の途中だよー?」

「マイア。今はそっとしておいてあげよう」

「……りょーかーいー」

 

メラが退室してしまい、世話焼きなマイアが呼び止めようとしたがリアに制止される。

マイアが不満げにするのを他所に冬香は一人、メラを追って退室する。

いつの間にかいなくなった冬香に練が気付いた。

「あれ?冬香?」

 

練が見渡すもいない。

冬香は廊下を走っていったメラと同じ方向を目指した。

 

 

 

 

 

鍛錬所まで行くとメラが武器を振っていた。

鎌の刃が風を斬る。

額に汗が流れ始めたところでメラが冬香に気付いた。

 

「なんだ。お前まで抜けてきたのか、ニャ」

「少し、気になって。大丈夫?」

「……あぁ」

 

心配してくれた冬香に素っ気ない返答を返すメラ。

ここ数日で早くも『ブラッドスターク』に慣れてきた冬香だが、メラの方はあまり馴染めない。

無機質な声が鍛錬所に響く。

 

「何故飛び出したの…?」

「別に」

 

これには即答した。

理由はある。

だが、話す必要は無い。

クレアや練、エルのようにメラにも話したくない私情があるのだ。

他の団員(メンバー)も知らない。

知っているのはリアだけだ。

 

「嘘を、ついてる。私には話せないのね…」

「そうだ、ニャ。だから失せろニャ」

「……」

 

シッシッと手振り(ジェスチャー)で冬香を追い出そうとするメラだが、冬香は何故か鍛錬所の隅に座り込んでしまう。

メラは正直なんだこいつと鬱陶しく思ったが、冬香は勝手に語り始めた。

 

「……私は両親を殺された。今ならなんとなく、分かる。多分国を裏切ったんだと思う…」

「裏切った?どういうことだ、ニャ」

 

仕方なく隣に座り、話を聞いてやるメラ。

メラの質問に冬香は小さく言葉を紡いでいく。

 

「私のお父さんはそれなりの地位にいたの。でもきっと裏切ったから処分されたのね」

「そうか…」

 

淡々と話すが事実を今になって理解した冬香の瞳には涙が浮かんでいる。

きっと誰かに話したかったのだろう。

迷惑ではあるが理解はできる。

これでもそれなりに生きてきたメラには冬香程の少女の気持ちなど容易く想像できた。

練に話せばいいのに、と思ったが想い人だからこそ話せないのだろう。

メラ自身恋愛に詳しいわけではないが重い女と思われるのは好印象ではないことは確かだ。

練の代わりに仕方なく冬香の頭をメラは撫でてやった。

 

「ま、そういうこともある。ニャ」

「そうかしら…」

「オレにだって色々あるから、ニャ。この際だから話してやるニャ」

「メラの話…?」

 

冬香が首を傾げ、メラが頷く。

 

「オレは小さな村で生まれたんだ。お前くらいの歳までは普通に生きてた。ま、相変わらず権力者(クズ共)のせいで生活は苦しかったけどニャ」

「……そう」

「でもある日、オレの日常は壊れたニャ」

 

メラの目に影が被る。

今でも夢に見る最悪の光景。

メラの村は業火に沈んだ。

後から知ったことで、村長が村の皆を生活を思って国家に対する仕送りを拒否したのだ。

わかりやすい悪行この上ない、重税の結果だ。

村長は自身の村や辺りの集落などの土地を治める者に話をしにいったが、聞き入れて貰えず首都の王宮に無断で押し通った後、国王に全て話したという。

最上権力者ならば民の声にも耳を傾けてくれる。

そう信じた村長だっが、そんなもの嘲笑うかの如く村長は処刑されてしまった。

困窮に悩まされていた村は迷うことなく切り捨てられ、没落。

地図上から村の名が消えた。

メラはその生き残り、なんとか食い繋いでいたところをリアに拾われた。

ここまでが『ブラッドスターク』にメラが加入した流れだ。

 

「メラは奴らが憎いの…?」

 

メラの過去を聞いて冬香が恐る恐る尋ねる。

メラは一瞬キョトンとしたかと思うと突如笑い出した。

 

「ははははははは!!」

「何故笑うの…」

 

おかしくなったのか、メラは大笑いする。

冬香は困惑し、理由も分からず笑うメラに少しムッとするが、次第に笑いを止めて殺気を込めた目になるメラに感情を押し殺した。

否、本能的に引っ込めた。

 

「憎いかだと?当たり前だ。そうじゃなきゃオレは『ブラッドスターク』には入らない」

「メラ…」

「この腐った国をぶっ潰す。オレの村を、家族を、村長を虫けらとしか思ってない奴らにオレの存在を思い知らせてやる」

 

語尾はなく、発言には底知れぬ怒気が含まれている。

冬香は最初こそ怖かったが次第にそれを受け入れ始める。

メラのことを冬香はそっと抱いた。

 

「なっ…!?」

「メラのことはよく分かったわ」

 

メラを優しく撫でる冬香。

何をすると弾き飛ばそうとするが冬香が離さない。

――どこからこんな力が、とそれは違うことをメラは経験から理解する。

冬香がメラを硬めていられるのは『技』だ。

絶妙に関節を利用し、メラを固定している。

抗えないと悟ったメラは大人しく力を抜いて冬香に身を預ける。

 

「なんで抱かれてるんだ、ニャ」

「さっきのお返し…?」

 

諦めて尋ねると相手から首を傾げられる。

知るかよ…ともはや思考すら放棄したメラは目を閉じる。

冬香はまたメラの頭を撫でる。

 

「私も憎い。私は家族を奪われた」

「そうか…」

「でも今度は奪われない。練もメラも私が守る」

「はは、任務をこなしてから言えよ」

「それは…」

 

言葉に詰まる冬香。

冬香が加入した初日、食堂から出てきた彼女はメラが最初に見た時と豹変していた。

感情が豊かになった冬香はリアに『任務』を言い渡されると承諾、しかし失敗した。

リアは驚愕し、冬香が人を殺せなくなった理由を探し出した結果分かったのか頭を抱えていた。

メラはなんとなく予想がついているがわざわざ公言してやるほどお人好しではない。

任務に失敗した理由は冬香の『覚悟』。

練に出会うために殺し続けてきた筈の彼女は突如人を殺すことに恐怖を抱き出した。

故に加入してから今まで冬香は一度も人を殺していない。

そのことを指摘され、目を泳がせた冬香の隙をついてメラは拘束から解放される。

 

「あっ…」

「いつまでも女にやられたままではいられない、ニャ」

 

仕返しとばかりに冬香を寄せるメラ。

互いに事情を分かち合った二人は出会って間もないのも関係なく身を寄せあった。

自分の過去(弱い所)を見せたことで二人の間の壁は無くなっていた。

今になって理解出来た辛い過去に涙する冬香をメラは慰める。

その夜、誰に知られることもなく冬香は泣いた。

メラの胸で埋もれる少女の叫喚は響き渡らず、誰の耳にも入らない。

ただ一人。

メラだけはまだ未熟な少女を包んであげた。

二日後、クレア達が帰還し『ブラッドスターク』は本拠(ホーム)を留守にする。

万が一にも見つからないように細心の注意を払い、リアを筆頭に暗殺者(アサシン)達は独自の道筋(ルート)で東北に向かう。

最短ルートを辿る彼らだがそれでも目的地に辿り着くまで二日間。

一晩を道中野宿で過ごした彼らはあと少しで到着というところで二晩目の野宿をしている。

辺りは暗闇。

月が輝く夜の森で火を囲む暗殺者(アサシン)達は作戦会議(ミーティング)をしていた。

 

「エリシア率いる軍隊、兵の数は三千だ」

「少ないな…」

「それだけ余裕ってことだ、ニャ。実際エリシア一人で一万人相当だと言われる、ニャ」

「あそこに構える革命軍が持つ魔剣の数は十。大剣型がその内の二振りしかない。エリシアの魔道具(マジックアイテム)に対応するには絶望的に足りない筈だ」

「エリシアを派遣して首都の防衛などの人員を無駄に裂くことがない。つまり、我々が東北の仲間達を見捨てても意味がないということになる」

「エリシア一人でここまで変わるか…」

 

各々口にする言葉でどれ程エリシアが脅威か嫌でも再認識させられる。

敵側の動きはリアが認める程完璧だった。

穴がない、そう表現できる程に。

 

「あの。僕らここまで来ちゃいましたけど全員で大移動しちゃって良かったんですか?この隙を狙ってきたりは…」

「ないだろう。我々の本拠(ホーム)が割れてるとは思えないし、なにより我々は単独で戦っているわけではない。各地に革命軍の仲間がいるんだ」

「その数も減らさられているから安心とは言えないが、そもそも私達の動きを奴らが把握出来ていない筈だ。その為に隠れて行動しているからな」

「ま、あっちがエリシアを寄越すことで防衛に徹してるってのが何より証拠だろ。安心しろよ、ジル」

「そうですね」

 

ジルも納得するように頷く。

クレアの言う通り、油断はできない。

だが、いちいち気にしていたらキリがない。

確かに大元の敵は首都にいる。

だからといっていつでも同じところに構えて、攻撃するチャンスを窺うだけではいずれ仲間の革命軍が滅びてしまう。

全体の戦力が落ちれば勿論革命軍の敗北と終わる。

暗殺者(アサシン)達がどれほど優れようと『数』の前では無力だ。

しかし、それを防ぐための防衛。

此度は戦力維持のためエリシアを何があっても止めなくてはいけない。

それに――。

 

「エリシアを仕留める機会(チャンス)だ。こんなことはもうないと思った方がいい」

「あぁ。その為に全員で来たんだろう」

「勿論さ。いいかい?くれぐれも一人で勝負を仕掛けるのは厳禁だ。エリシアは強い、それは誰もが痛いほど理解している筈。もう奴の被害になる同志達、民達を増やさないためにも確実にエリシアの首を取る」

『了解』

 

リアの意見には誰も反論せず、賛同する。

エリシアを相手に愚かな真似をするような者はプロの暗殺者(アサシン)達の中にはいなかった。

ただ、一人だけ。

メラは少し不満げな感情を抱く。

極力表に出さなかったメラの気持ちに皆が気付かない中、例外がいた。

殺しだけではない、あらゆる能力が突出している者。

洞察力もずば抜けた才能がある冬香はなんとなく悟っていた。

 

「……」

「メラ…」

 

握り拳をつくるメラを見つめる。

メラは視線には振り向かなかった。

自身の中の葛藤と向き合っていたのだろう。

露知らずの面々は話し合いを終えると各々テントを広げ、就寝の準備を始めた。

皆が寝る中、見張り番のメラが夜空を眺めてクレアの持ってきた魔剣などの大荷物も監視している。

クレアの魔剣は革命軍には欠かせないものだ。

戦争となれば必ず必要になる。

しかし、メラは魔剣の火力で周囲の村や集落の民が被害を受けないか心配だった。

だからこそ、戦争は回避させる。

エリシアを倒し、魔剣を使うまでもなく戦いを終わらせる。

メラはそんな決意を持ってここまで来た。

そんなメラの元に冬香が訪れる。

 

「まだ起きてたのか。ニャ」

「メラが気になって…」

「お前に心配される程ヤワじゃない。ニャ」

「そうね…」

「分かったならささっと寝ろニャ。交代制なんだから休める時に休まなきゃ意味がない、ニャ」

「分かってるのだけれど…」

「……仕方のない奴、ニャア」

 

メラが火を起こして温かいミルクを作ってやり、冬香に渡す。

極東には四季があり、今は冬。

外の冷気が冬香の肌を刺激していたが、メラのくれたミルクが冬香の身体を芯から温める。

簡易の寝袋にくるまった冬香はメラの肩を借りながら頭を傾け、一緒に夜空を眺めた。

近頃冬香はメラに対して口が軽い。

何処か絶対的な信頼のようなものをメラに抱いていた。

 

「メラが心配…だけど、半分は明日が怖いの…」

「明後日には戦わなきゃいけないからか。ニャ?」

「うん…」

 

肩に触れる冬香から彼女の震えを感じる。

それは寒さに対してか、目前に迫る戦争に対してか。

そんなもの口にするまでもなく理解できる。

リアが目にかける程に才能を秘めている少女はまだ弱い。

一度は無感情(からっぽ)になることで紛らわしてきたが、そうはいかない。

人を殺す『覚悟』がないのは普通だ。

戦う『勇気』がなくともおかしくはない。

だが、冬香は見せてしまった。

リアの前で、戦う者達の前で、今の惨状を抱える国で。

天才的なものを内に眠らせる彼女はもう逃げられない。

皆分かっているから誰も冬香を助けてあげられない。

戦うしかないのだ。

 

「大丈夫だ、ニャ」

「え?」

 

不意に確信を込めてメラは口にする。

冬香を助けることはできない。

もう充分に巻き込まれてしまった。

冬香じゃない誰かならもう戦わなくていいと言えたかもしれない。

それでも冬香は未来欠かせない存在になる。

メラも含むリア、革命軍が冬香に『希望』を見出しているのをメラは知っている。

天才(冬香)を手放すわけにはいかない。

だから、彼女を救う――戦いから遠ざけることはできない。

メラもその気はない。

 

「オレが守ってやる、ニャ」

 

救う気はない。

否、救えない。

だが、守ることはできる。守れる筈だ。

互いに過去を明かし合い、共に家族を全てを奪われた身としていつの間にかメラは冬香を想っていた。

冬香が守りたい存在になっていた。

ほんの数日の間で二人の間に誰にも干渉できない深い絆が生まれた。

 

「メラが私を守る…?」

「あぁ。だから、安心して寝るニャ。オレが強いのは冬香が一番知ってる筈だニャ」

 

言い聞かせて冬香の頭をなでてやるメラ。

メラの言葉を冬香は誰よりも信頼している。

故に緊張も自然と解れていった。

 

「そう…ね…。うん…メラなら安心…」

「おやすみ。冬香」

「んっ…」

 

やがて、寝息を立てる冬香。

メラは眠りについた彼女を抱き上げ、テントに連れていく。

毛布を掛けてやり冬香が安らぎながら夢に落ちたのを確認すると、彼女に寝顔に自然と頬が緩む。

また見張り番への戻ったメラは自身の心境の変化を思い返す。

 

「守る、か…」

 

最近仲間になった似た境遇の女の子。

ずっと復讐のために戦ってきたメラは初めて誰かを『守りたい』と思った。

自身の拳を見つめ、メラは夜空に決意を抱く。

 

「オレはまだ死ねない。エリシアを殺してあいつを守る…!」

 

冬の寒空の下で復讐に囚われていた猫人(キャット・ピープル)は愛情を知った。

彼は守るために戦うと決意する。

その為に憎むべき仇を殺して前に進もうと誓った。

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