鬼滅の刃を大人買いして、読み込んでましたww
長時間一緒に過ごせば、やはり仲は深まるようだ。4人が楽しそうである。私は寝起きなので眠い。ついでにちょっと頭がボーッとする。もうすぐ時間なのでフミ子に起こしてもらったが、もうちょっと寝たかったな。
「サクラ、大丈夫? 顔色悪いよ」
「なに!? ちょっと診るぜ」
レオリオが診察してくれるというので、言われた通り口を開けたりする。
「ずっと眠ってた癖に体調崩したのかよ。あんた、身体弱すぎ」
「キルア、彼女は持病持ちだ。倒れたところを私とレオリオはみている」
いや、ただの念能力の影響だぞ。キルアの言う通り、身体が弱いだけ。しかしよく食べて眠ることにしていたが、風邪をひく未来から逃れることは出来なかったな。やはりここはレオリオに治してもらおう。
「普段、何を飲んでる? 副作用を起こすわけにはいかねぇからな、教えてくれ」
「飲んでないぞ」
「……治る見込みはあるのか?」
「違う違う。急に眠くなるだけで、病気とかじゃないから」
おかしい。ちゃんと説明しているのに、レオリオが心配そうに私をみている。
「アレルギーとかは持ってねーか?」
「ん、大丈夫」
「……調べてからするか」
おーい、私の話を聞いてるのかー?と心の中でよびかける。レオリオは完全に何も知らされていない病人と認識しているので、声を出しても意味ないし。
「大丈夫そうだな。チクっとするけど、我慢しろよ」
針を見ると更に痛く感じるので、視線はそらす。ふと未来編で10年後の兄に注射されたことを思い出した。……あの時から兄は死ぬつもりだったんだよな。
やはり兄を1人にするわけにはいかない。あんな思いは一回で十分だ。
「よし。ギリギリまで楽な体制で休むんだ。眠ってもオレが背負って四次試験まで連れってやるぜ」
「大丈夫。スクーデリアに乗るし、正しい道を選べばすぐに下につくと思うから、合格してから休む」
「……オレはサクラに賭けるぜ!」
「オレも!」
クラピカとキルアは軽く息を吐いてから、同意したのだった。ウソはつかないから安心してくれ。
時間がきたので、ゴンに読んでもらい選択していく。ただしちょっと難しい時は声をかけて多数決をとる。
「○の方が最短だけど、嫌な予感がする」
「具体的にはわからないのか?」
「ん。ただの勘だから。でも扉を開く前から嫌な感じがするから、私は×を選ぶ。私の経験上、ロクなことがないから」
「ロクなこと?」
「……最近だと、兄と離れ離れになったな」
違う世界に飛ばされたと説明しても信じてもらえないので、軽めに話した。それでも重く受け止めたらしく、×を選んだ者が多かった。時間がまだ残っているのもあると思うが。
途中にクイズなどもあったが、○と×での解答なので正解を連発すれば、更に彼らから信頼を得られたようで、スタートから約30時間後には最後の選択部屋にたどり着いた。何度か遠回りした割には好タイムだったと思う。
問題は長く困難な道は早くても45時間かかる。私達の残り時間は約42時間。私の勘を使えば時間内につくだろたうが、彼らはいくら私が言っても信じにくいだろう。だって私が一番弱いし。……この子達を使えば勝てるだろうが、そこまでして残りたいとは思わない。
「君達が決めてくれ」
ゴンが気付いた原作の結末を教えてもいいが、彼らの回答を聞きたくなった。
「オレは○を押すよ。せっかくここまで来たんだから5人で通過したい」
ゴンの言葉に3人は息を顔を見合わせた後、ボタンを押した。それを見て私もゴンもボタンを押す。
画面に目を向けると、5人全員が○を押していた。
「私がいうのもなんだが、物好きだな」
「不可能ではない、私はそう判断した」
「病人のサクラ頼みっていうのも気がひけるけどな!」
「オレ1人が×押しても意味ねーし」
彼らは本当に良い人達だな。
「得意じゃないけど、やってみるか」
よいしょっという掛け声と共に、スクーデリアからおりる。私の行動にレオリオ達が不思議そうに見ていた。私はそんな彼らの疑問をスルーし、○の扉に入り、少し進んだところで横の壁を叩く。
「あ。そっか」
流石、原作でこの案を思いついた張本人だけある。私の僅かな行動で気付いたようだ。ゴンが説明してくれる間に、私は集中する。私は基本の四大行しか使えないし、はっきり言ってお粗末な物だ。それでも時間をかけて念を練れば……。
「んっ!」
私が殴ると蜘蛛の巣状にひび割れが起こる。といっても、所詮私程度の念では時間をかけたのに直径で30センチもないし……。
「疲れた」
久しぶりに『練』をした気がする。私の場合、『纒』と『発』が無意識に出来るようになって、『練』を拙いながら覚えたという変わった習得方法だったのだ。ちなみに訳あって『絶』は普段使い出来ない。酷い念能力者だ。
「それも教われば、出来るようになるの?」
「なるぞ。私は下手だから、才能ある君達ならもっと凄いことになると思う」
私が軽く答えても誰も驚きはしない。恐らく私が眠っている間にゴンとキルアが話していたのだろう。
「私に教えてくれないか? 幻影旅団を捕らえるのに使えるかもしれない」
「クモ相手には必要だろうな」
エリザベスとフミ子が構えたが大丈夫だと手を振る。ついでに斧で壊しといてと指示を出す。
「答えろ! 何を知っている!」
「よせ! クラピカ!」
「クラピカ!? いきなりどうしたの!?」
ゴンとレオリオが必死に言ったからか、詰め寄られていたが距離を置いた。ホッと息を吐いた2人だが、クラピカの行動に困惑しているようだ。
「幻影旅団の名称がクモなんだろ? クラピカの怒り具合から考えるばすぐわかるじゃん」
「……そうだ。このことは限られた者しか知らないはずだ」
「一部では有名だぞ。彼らは私と違って一流の使い手だし。だからこれを覚えなければ、話にならない。頑張って良い師匠を見つけろ」
「それならサクラ達が教えてくれればいいじゃねぇのか?」
「ゴンとキルアにも言ったけど、良い師匠を見つけて教わるのが一番の早道。伸び率が大幅にかわるし、下手すりゃ命を落とす。ベテランを探せ」
「良い師匠ってどうやって探せばいいんだよ……」
レオリオがのボヤキに、私はニヤりと笑ってから口を開いた。
「ハンターになるんだろ?」
私の挑発に彼らは乗ったらしく、自信満々に返事をした。その後すぐにクラピカが謝罪したので許した。
「参考にしたい。サクラ達はどれぐらい時間がかかった?」
「私達は独学だからなぁ」
「独学?」
「そう。私の頭には知識だけあったんだ。ディーノは私の拙い説明で覚えた。試行錯誤してたし、大変だったと思う。使えるようになるだけなら1日だったけど、形になるには結構かかったぞ。それに今でも完成ではないらしい。奥が深いみたい。後、兄は私と一緒で知識はあったから、離れ離れになってる間に覚えたみたいで私はよく知らない」
私はスクーデリアにもたれて休んでるけど、ゴン達は壁を壊しながらだから大変そうだ。ちなみに私の分はエリザベスとフミ子が頑張っている。後でもふもふしてあげよう。
「サクラはどれぐらいかかったの?」
「私の場合は特殊すぎて参考にしない方がいい」
「いいじゃん、教えろよ」
「……起きたら使えていたんだ」
は?というように彼らの手が止まる。その一瞬にエリザベスとフミ子が開通させた。
「よし、壊れたな」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。さっきと話が違うじゃねーか。命を落とすぐらい危ねぇことなんだろ?」
「私は言ったぞ、特殊って」
「特殊すぎだろ!?」
「稀に居るらしいぞ、無意識に使ってる人とか。一流の職人が多いらしい。私はそっちのタイプだっただけ」
一流の職人という言葉に引っかかっているのか、胡散臭そうにみられた。解せぬ。
「いい加減、行こうぜ」
これ以上私と話してもマトモな情報を得れないと思ったのか、キルアが声をかけたのだった。
ゴンとキルアの次に行かせてもらった。何かあった時、真ん中の方が安全だから。そしてスクーデリアが先に行き、エリザベスとフミ子に挟まれながら私は滑り落ちる。……地味にお尻が痛い。この世界にきて、私のお尻がピンチ過ぎないか?
女子的にどうなのだろうかと疑問に思ってたり、どうやってディーノの怒りを鎮めようかと考えていると、スベリ台が終わった。
フミ子のおかげで立ち上がれた私は、後から来る2人の邪魔にならない位置に移動する。
「ケツ、いてー!」
「レオリオ、危ないぞ?」
声をかけたが遅かったようだ。お尻を気にして動かなかったせいで、クラピカに蹴られていた。ドンマイ。
最後の最後に一悶着あったものの、無事に私達は最後の扉をくぐり抜ける。
「ゴール」
「ああ。よく頑張ったな」
ブリキのようにゆっくりと聞こえた声の方向へ首を動かす。
「そ、そう。頑張った」
「ああ。偉いぜ」
なぜだ、褒められてるのに全然嬉しくない。後方にいる兄に助けを求めるようと視線を送ろうとした時、ガシッと肩を掴まれた。
「サクラ、オレに何か言うことはないのか?」
「反省はしている。だが、後悔はしていない」
キリッとした表情で言い切った。ディーノは「そうか」と呟いた後、私を抱き上げた。流石に恥ずかしいので抗議する。
「お、おろせ!」
「すまん。こいつが迷惑をかけた。ここまで連れてくれてありがとな!」
私の言葉を無視し、ディーノはゴン達に声をかけていた。キルア以外からは私のおかげで助かったと言ってフォローしてくれるので「そうだぞ」と偉そうに相槌を打つ。
「オレが気付かないと思ってるのか?」
うぐっ。体調を崩しているのがバレていた。
「ディーノ、お説教は後でしたまえ」
「だな……」
「礼は僕がしておくよ」
ディーノに変わって今度は兄がゴン達に感謝を伝えていた。……感謝を伝えているはずなのに、兄が絡んでいるように見えるのは気のせいだろうか。
ゴン達のフォローをしたかったが、ディーノがスタスタと歩き出した。そのため抱っこ状態の私は、肩越しに見るしか出来なかった。
兄達はスペースを確保していたらしく、そこでおろしてもらった。見たことがないキャンプグッズは兄の持ち物か。
「とりあえずコレを飲め。桂がお前のために作っていたんだ」
「ん」
料理スキルが低い私達は保存食が多かったが、兄は日持ちする食材などを持ち込んでいたらしい。こんなところで手の込んでそうなスープを飲めるとは、ありがたい。
「おいし……」
慣れ親しんだ味だからか、ホッとする。お寿司の時はあまり思わなかったのに。
ゆっくり飲んでいると視線を感じて顔を上げる。私と目が合い「ん?」と首を傾げたディーノが、優しく見える。もちろん普段からトップレベルで優しいんだが、いつもとちょっと違う気がした。
「良いことでもあったのか?」
「……オレはまだ怒ってんだぜ」
「それはわかってる。でもなんとなく……そう思ったから」
言葉にしようとしても、雰囲気としか言えない。
「そうだなー……。やっぱりサクラには桂が必要だなと思ってよ」
そうかもしれない。兄には私が必要だと思っていたが、私が兄を必要としているのかもしれない。
……だって、私のお兄ちゃんだもん。
気付いた時には、兄は私を大好きだと公言していた。鬱陶しいぐらい大袈裟だし、呆れるぐらいずっと私の側にいた。10年後の兄が私の目の前で亡くなってから、当たり前が当たり前じゃなくなることを理解していた。……していたつもりだった。
本当に私は大バカだ。兄のためと言って、結局自身のためだった。
「ディーノ、覚えてる?」
「ん? 何をだ?」
「いつだったかな、リング争奪戦の時だったか?」
うん、確かそうだった。ディーノに聞かれたんだ。兄に恋人が出来て優先順位が変わった時はどうする?って。その時、私はありえないというような返事をしたんだ。
「ディーノは……兄は私のためなら引けるが、私には出来ないって言いたかったんだろ?」
「懐かしいなぁ。そんなこともあったな。それがどうしたんだ?」
「君の言う通りだっていう話。私は兄を好き過ぎる」
だから……と続けようとしたところで、後ろから抱きしめられたので言葉をかえる。
「急になんだ」
「サクラ、僕も大好きだよ!」
「ん、大丈夫。知ってる。飲みにくいから離れて」
いつの間にか戻ってきた兄を適当にあしらいながら、こっそり溜息を吐く。私は兄さえ居ればいいんだと伝え、ディーノに諦めてもらおうとしたが出来なかったな……。