選択した結果(仮)   作:ちびっこ

13 / 20


 一週間は長かった。お風呂が私を呼んでいる。

 

 そんなことを思いながら、番号を見せる。私が持っているナンバープレートは407、34、106、198番である。簡単にいうと自身のと、私を狙っていた人物のもの、ポックルが持っていたもの、移動中に空から降ってきたものである。

 

 兄とディーノは2枚で6点分を稼いだ。兄の狩るものは3次試験を一緒にクリアした人物だったらしい。昨日の友は今日の敵のようだ。ご愁傷様。

 

 ディーノも遠慮なく狩った。ただしちょっとだけ時間がかかった。ポックルが強かったとかではなく、何度も1人で行こうとするので止める羽目になったから。

 

 私達兄妹から離れるとか死亡フラグでしかないことになぜディーノは気付かないんだ。仕方ないので、ディーノに私のそばから離れるなと強請った。あっさり落ちるディーノもどうかと思うが、ニヤニヤしている兄に一番苛立った。ちょっとは協力しろ。

 

 そんなこともあったが、他の受験生とは全くというほど会わなかった。たまに私を急に抱き上げて移動することもあるから、2人が避けていたのだろう。あれからイルミの襲撃もなかったので結構平和だった。……もう野宿は勘弁だけどな!

 

 早くお風呂入りたいと思いながら周りを見渡すと、ゴン達も合格していた。ポックルが居ないのはわかるが、キルアに殺される人も居ない。他はまぁ原作通りのようだ。

 

 ゴンの顔の腫れ具合からみて、原作通りヒソカと戦ったらしい。ヒソカの番号を引いて挑もうと思う神経が凄いと思う。ぶっちゃけ、友達になりたいと思わないタイプ。

 

 やっぱり友人はツナみたいなタイプがいいなと心の中で頷く。似たようなことはしているが、誰かのために前に立とうとするから好感を持てるかもしれない。見守る方からすれば、ゴンよりツナの方が応援しやすいのもあるんだろうな。ハンターという意味ではゴンの方が良いと思う。

 

 つくづく、この世界は私に合わないなと思う。そして早く戻りたいという気持ちが強くなる。……でもそれは私だけかもしれない。

 

 チラッと視線を向ける。兄はこの世界の方が生きやすい気がする。正直、ディーノはいくら身体を鍛えても、この世界に馴染む強さを得れないと思う。持ち前の戦闘センスで念能力を使ってなんとかしている状況だ。強化系というのも救いだったと思う。

 

 一方、兄は馴染める。2tの扉を念をつかわず開けれるだろう。この世界にきて気付いたが、私が思っている以上に兄はセーブしていたのだ。

 

 ……ディーノだけ戻し、この世界で生きる覚悟がいるかもしれないな。

 

「サクラ?」

「ん、なに?」

 

 ディーノに呼ばれたので視線を向けたが、彼は困った表情をしていた。呼んだのは君だろと睨む。ディーノは迷ったように視線を泳がしてから、下を向いた。つられて私も下を向く。

 

「……深い意味はない」

 

 下手な言い訳をしてから手を離す。くそっ、なんで私はディーノの服を掴んでいたんだ。バカだろ。

 

「どこにも行かねーよ」

 

 ディーノが安心させるように私の頭を撫でながら言ったので、泣きそうになりながらも口を開く。

 

「……ごめん」

 

 ディーノを縛っているのは私だ。ディーノの優しさに甘えてしまっている。……それなのに私はディーノを選べない。

 

「大丈夫だ。だから元気出せ、な?」

 

 なんとか頷き、ディーノの優しさから逃れるように兄に抱きつく。兄は私を抱き上げながら「落ち着いたら話し合おう、サクラ。言葉にしないと伝わらないことがあると学んだだろう?」と囁いた。

 

 私達はまだ何も話し合っていないこと今更ながら気付いた。……同じ過ちを繰り返すのだから、やっぱり私はバカなんだなと思って、ちょっと笑えた。

 

 

 飛行船でゆっくりしていると面談の放送が流れた。ヒソカが呼ばれたので、次は兄の番だろう。

 

「……想像出来てしまった」

 

 不思議そうにディーノが首を傾げているが、兄はニッコリと笑っていた。肯定ということだろう。……志望動機も気になる人物も戦いたくない人物も全部私と答えるのか。

 

 付き合わされるネテロ会長が可哀想と思っていると、兄が呼ばれたので見送った。ついネテロ会長がいる方向に手を合わせた私は悪くないと思う。

 

 ネテロ会長がうまくかわしたのか、意外にも兄が帰ってくるのが早かった。そしてそのままサクサク進み、私の番がやってきた。

 

 ノックする前に、兄とディーノに手を振る。面談に配慮したのか、近づきすぎず遠すぎずの距離でいる。さっさと戻ってきて安心させよう。

 

 ネテロ会長の許可が出たので、そーっとドアをあけお邪魔する。私自身、緊張はあまりしていないようだ。雲雀恭弥がいる応接室に顔を出す方が緊張するからだろう。……彼に会いたいと素直に思えないのは私が捻くれてるからじゃないと思う。

 

 ちょっと意識を飛ばしていると、躊躇していると思ったのか、ネテロ会長が座るように促した。

 

「この子達もいい?」

「もちろんじゃよ」

 

 許可をもらえたので、フミ子とエリザベスと一緒に座る。流石に今回はスクーデリアはお留守番である。

 

 久しぶりの畳だと思っていると、ハンター志望動機を聞かれたので口を開く。

 

「ネテロ会長と縁を結ぶため。だから私の目的は果たしたと言ってもいいかな」

「そうかそうか」

 

 動揺はなし。まぁ後半は当然か。4次試験で私のあとをつけていたのはネテロ会長だし、兄達から聞かされていると判断するだろう。

 

 ちなみに兄はネテロ会長をエロジジイと認識しているらしく、私が水浴びする時に他の者は気絶させて、ネテロ会長は隣で見張っていたようだ。まぁ私も簡単に倒せるとは思えなかったし兄の判断に任せた。……兄が飛び出したことで私の近くで見張る羽目になったディーノは頭を抱えていたが。

 

「真面目に話すと、ただ生き抜くためにハンターになった方がいいだけであって、私達はハンターになりたいわけではない。その上であなたと縁を欲したのは、ハンターになれば副会長やあなたの息子に目をつけられる可能性を極力減らすためなら会長派と示した方がいいと思ったから」

「…………ふむ、なるほどのぉ」

 

 返事が遅かった割に、纏ってるオーラに変化はない。本当に強化系なのだろうか。

 

「ネテロ会長が生きていれば起きない問題でもあるから、頑張って」

 

 ニッコリ笑って言えば、わずかにオーラに変化があがった。私の言葉から何かが起きるとわかったのだろう。それも戦闘でというのも察してそうだ。

 

「次の質問に移るかの」

 

 コクリと頷き、気になる人物と戦いたくない人物の名をあげる。

 

「気になるのはキルア。……肩入れするか悩んでいるから」

 

 思わず答えた後に溜息を吐いた。今までの経験から考えるとこの時点で肩入れしているんだよな。ツナのために何度悩んだことか。

 

「戦いたくないのは全員。私は温室育ちだから、根っからハンターに向いていないんだ」

「ふむ、ご苦労じゃった」

 

 話が終わったので立ち上がる。出て行こうとして足にしがみついたパンダを見て、ちょっと笑った。勘をつかわないと私には2匹の違いがよくわからないが、今私にしがみついたのはフミ子だと断言できる。

 

「ネテロ会長」

「ん?」

「兄……45番から408番のことは聞いているか?」

「妹の話ばかりじゃったぞ」

 

 そうだよなと一瞬遠い目をする。気を取り直すかのように首をふってから再び向きなおる。

 

「次は408番のディーノだろ?」

「そうじゃが?」

「ディーノの扱いに困ったら、私を呼べばいいから。この部屋の近くに居る」

 

 私の言葉の意味を考えているのか、ネテロ会長はヒゲを撫でていた。恐らく派手に転んだりするんだろうなと思いながら、私は外へと出た。

 

 私が外に出ると兄とディーノが駆け寄ってきた。ちょっと長かったらしい。

 

「特に何もなかったぞ。それにしても伊達に歳をとってないな」

 

 ポロポロと聞き流せない内容を口にしたのに、全部スルーした。リボーンとはまた違ったタイプである。9代目に近いかもしれない。巨大な組織を背負うようになったらそうなるのか? ……ツナは変わらないでほしいなとボンヤリした頭で思った。

 

「……聞いてねーな」

「ん? なんか言ったか?」

 

 ディーノは呆れたように溜息を吐きながら首を振った。処置無しと言ったところだろう。

 

「ディーノはサクラが心配なのだよ。それだけはわかってあげるんだよ」

「……ん」

 

 誰にも邪魔されないでネテロ会長と話せる機会だったので、ここぞとばかりに有効活用したが、私が負担を背負うことには良しとしなかったらしい。ただディーノがどう思っても、私の価値を高めて生存確率をあげた方がいいのは間違いないんだよな。私は呆気なく死ぬから。

 

「ディーノ、ごめん」

 

 それでもディーノの言い分もわかるので、素直に謝る。すると、ディーノは仕方がないように笑って私の頭を撫でた。

 

 そうこうしている内にディーノが呼び出された。扉の前に居たのでディーノを見送ってから私と兄は急いで離れる。その際に大きな物音が扉の向こうから聞こえてきたので、やれやれと肩をすくめた。

 

「ネテロ会長、がんば」

「彼の腕なら被害を最小限におさえるはずさ」

 

 ネテロ会長は思わぬ伏兵が居たとさぞ驚いているだろう。残念ながら私達3人全員が問題児なのだ。

 

 しばらくの間、兄と雑談していると扉が開いた。無事に面談を終えたのかと視線を向けると、ネテロ会長が手招きしていたので兄と目で会話した後、代表して私が向かう。

 

「悪い、迷惑かけた」

「気にするでない」

 

 ネテロ会長に声をかけた後、部屋を覗き見る。どうやら足が痺れたらしく、ディーノは転がっていた。……流石、ネテロ会長だ。机の上にあった墨は彼から遠ざけている。

 

「ディーノ」

「サ、サクラ!?」

 

 私が居るとわかった途端、ディーノは何もなかったように立ち上がり私に駆け寄ってきた。

 

「どうかしたのか?」

「……足の痺れは?」

「んなもん、どうってことねぇよ」

 

 さっきまで起き上がれなかっただろと心の中でツッコミする。いくら言っても自覚しないので、私は早々に諦めて指示を出す。

 

「なら、さっさと行くぞ」

「おう」

 

 ネテロ会長に「すまなかったぜ」とディーノは声をかけてから私の後に続く。残念なイケメンだと心から思った。さそがしネテロ会長も似たようなことを考えているだろう。




ストックが減ってきた……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。