選択した結果(仮)   作:ちびっこ

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 私達が天空闘技場に辿りつくまで4日かかった。

 

 適当に進んだ結果、私達はヨルビアン大陸についたのだ。といっても、到着した時点では私達はどこに居るのか見当もつかなかったのだが。

 

 偶然にも、というよりは私が幸運を引き寄せたのだろう。天馬は目立つため、人気の無いところで降りたところすぐにライオンっぽい動物に襲われて居る女性と遭遇し、ディーノが助け出したのだ。

 

 そこからはディーノのイケメン効果が発揮した。命の恩人だからとお礼するからと言って、村へ案内してくれたのだ。もちろん空気を読んだ私はディーノの姪と名乗ったぞ。視線を感じたが、無視だ、無視。

 

 まぁその後に一泊させてくれるという話が出た時に、私に何かあったら兄に合わせる顔がないとか言って、ディーノと同じ部屋に泊まる羽目になったが。もちろん視線は送ったぞ、無視されたけどな。くそぅ。

 

 その日はしっかり休むのは決定だが、私の体力が心配ということもあり、話し合った結果天空闘技場に向かうのはもう1日遅らせようということになった。情報収集したかったし。

 

 予定通り私達は、次の日の朝からフミ子を連れて村の人達の怪我を治して小銭を稼いだり、要らなくなった物を譲ってもらった。もちろんその時に情報を得るのも忘れない。地図は貰えなかったが、写真を撮らせてもらったし天空闘技場への方角がわかった。

 

 外がまだ明るいところで区切りをつけ、私達は村を出た。出る前にディーノには恋愛イベントがあったようだが、断わっていたっぽい。よく聞こえなかったので、詳しくは知らない。

 

 私達は村から少し離れた後、すぐにスクーデリアに乗って移動した。

 

「やっぱ念能力者は少ないんだな……」

「あの規模の村じゃ、一生に一度会えるかどうかかもな。会えても強化系だとは限らないし、彼らが払えるような金額じゃない」

「そうか……」

 

 お互いに思うところがあったので、野宿出来そうな場所を見つけるまで無言だった。

 

「ディーノ、私も見張りをするぞ?」

「明日は長時間の移動だ。出来るだけ休むんだ。オレは数日寝なくたって何とかなるしな。途中でフミ子がかわってくれるみたいだし、大丈夫だ」

 

 そう言われ渋々フミ子と一緒に布に包まる。もふもふだし、ぬくぬくだ。

 

「身体痛くないか?」

「前に野宿したこともあるし、何とかなると思う。最悪、フミ子に眠らせてもらう」

「それがいいかもな」

 

 寝ようと目を閉じる。だけど、考えずにはいられなかった。

 

「……村の人達、まだ探しているかな」

「暗くなっても見つからなかったら、諦めるはずだ。少なくともオレが村長ならそうする」

「だったら、いいなぁ……」

 

 稼いだお金のほんの一部以外は全て村に落としたし、数日経てば私達のことは忘れようとするはずだ。でも仕方がないとはいえ、村人に悪意を植え付けてしまった。それだけ彼らにとってフミ子の能力は魅力的だったのだ。もちろん全員がそう思ってしまったわけじゃないだろう。少なくとも私達に心から感謝していた人達の前で、そういう素振りを一切見せなかったのは救いだと思う。

 

 ディーノが動く気配がしたので視線をむける。私が疑問を浮かべている間に、ディーノは私を横抱きにし、そのまま座り直した。普段なら怒っただろうが、抵抗する気力がなかった。彼の優しさに浸かりたい気持ちだったから。

 

「2人で決めたことだ」

「……ん」

 

 ポンポンと叩かれ、大人しく目を閉じる。1人じゃないと思うと眠れる気がした。

 

 

 

 次の日、明るくなる少し前から私達は移動を開始した。しかしまぁわかっていたことだが遠い。スクーデリアの速度でも丸一日飛びっぱなしだった。当然の如く、私が先にへばった。

 

「ごめん……」

「オレは大丈夫だから眠ってろ」

 

 食料も水分も優先してもらっているのに、これは酷い。ちょっと熱が出ているみたいに頭がボーッとするし。一般人の平均より体力が少ない私にはきつい道のりだ。かといって、陸路はもっとない。日数がのびる分だけ疲れが増すだけだ。

 

 飛行船に乗れるのが一番良かったのだが、戸籍がない私達では国境を越える航路のチケットは買えない。ディーノ1人なら忍び込めただろうが、私には厳しかった。

 

 ……ハンター試験に向かう時も大変そうだ。憂鬱である。今年は何期生なのだろうか。村ではわからなかったんだよな。といっても何期生かわかっても、主人公達の年が何期生か覚えてないので意味はないが。兄なら覚えてるんだろうな。

 

 完全にディーノに頼りきり、私が起きた時には天空闘技場に到着していた。

 

 おんぶのままで申し訳ないないが、どのチケットを買うか小声で指示を出す。今回ばかりは仕方ないので、所謂大穴というような倍率のものに賭ける。ディーノも何も言わなかった。元々、全財産が少ないので私達が賭けたとしても遊び感覚に見えるし、とにかく私を宿で休ませたかったのもあるのだろう。

 

 こんな状態でも、私の勘は外れることもなく無事に宿を確保出来た。ディーノが旅の疲れが出たと宿の人に説明したようで、胃に優しそうな食べ物を用意してくれた。非常に助かる。

 

 明日のことも相談したかったが、食事を終えた私はホッとしたのかそのまま寝てしまった。

 

 

 

 パチっと目を開ける。そして自身が雲の上に立っているという、ありえない光景に思わず溜息を吐いた。どうやら今回の予知夢の景色は上空らしい。……キツイ方か。

 

 私の予知夢は大きく分けて2種類ある。私が意識したというよりも、無意識に見ようとした時、または何気なく見た未来は、写真のような静止画で見える。この写真が結構重要なヒントになって、枚数が多いとそれだけ厄介なことになる。

 

 これはかなり使い勝手がいいが、私の深層心理に深く関わっているのか、私視点が多く、自身に身近な人物のことじゃなければ全く見れない。つまり身近であればあるほど見え、さらに気になれば気になる程、見える。問題は成功率がそこそこ。見たとしても、起きた拍子に忘れることもあるようで回数をこなすしかない。

 

 以前、ディーノが帰れる日を調べる時はこっちで見るつもりだった。他に何も杞憂がなく、気になっているのがそれだけなら、いつか見れるということだ。ディーノが帰る前、律儀に私のところに顔を出すので見える確率をあげていたのだ。まぁ彼は今、私と一緒に居て帰れなかったから、見れなかっただろうけど。

 

 この条件から考えると、私が興味のない野球の点数とかを見たいと思っても見れない。どっちが勝つかは勘でだいたい当たるけど。ちなみにだいたいなのは引き分けや中止があるため厳密には二択ではないから。勝敗の二択しかないと思い込んでいると、外れて驚くことになる。だから私の勘は意外と使い勝手が悪いと思っている。

 

 特に人の心は変わりやすいからか、私の二択能力を知っていると外れる可能性が出てくる。いやまぁ知っているのは限られた人しか居ないから、外れないけど。

 

 天空闘技場は相打ちの引き分けパターンがあるかもしれないが、この場合は払い戻しになるため大丈夫だろう。引き分けを賭ける項目がないし。取られてもシステム料だと思う。……念のため後で確認しよう、そうしよう。

 

 話がそれたが、今日の予知夢はもう1つの方だ。基本、私の深層心理に関わっているようで身近な人のことばかり見える。たまによくわからないのもあるが、後々わかるという内容が多い。つまりもう1つのと原理はほとんど一緒だ。

 

 決定的に違うのは、情報量。ただ1つの予知を見ればいいという時もあれば、大量の予知を同時進行で押し付けられることもある。ほぼほぼ後者。情報量が多過ぎて、何を見せたいのか全くわからないから、未来が見えていたのに後手にまわることがある。精神的にもかなりしんどい。起きたらボロ泣きとか良くある。多分、私のスペックの許容範囲を超えているからだろう。

 

 ちなみにリボーンが私に頼んだ内容を見ようとしたら、多分こっちになっていた。今私がこんな状態になっているし、情報量が多くなるのは明白だから。

 

 原理は一緒だが、瞬時に私はどっちのパターンか判断出来る。楽な方は写真が見えるだけだが、キツイ方は身体の感覚があるのだ。さらに写真ではなく、巨大なフィルムが私の周囲をまわるように流れていく。写真のフィルムよりフィルム映画の方が近いと思う。声も聞こえるから。

 

 ここでも深層心理が反映しているのか、私の体格より何倍もフィルムが大きい。それでも1つならそれだけを見ればいいので楽だ。フィルムの本数が重要になってくる。ちなみに1つの時は今のところ全部自身が死ぬ夢。楽でも全く嬉しくはない。

 

 それでも私が見る夢は未来を変えられるものが多い。ししょーのユニは変えれないものが多いことを考えると、恵まれていると思う。

 

 …………それにしても遅い。いつ始まるんだ。

 

 こっちは予知夢のことを考えて落ち着かせていたのに、一向に始まらない。油断すると大変なことになるので、意味もなくファイティングポーズをとる。

 

「あれ? なんで?」

 

 聞こえてきた声に反応し、振り返る。視界にうつった人物を見て、自身の目が見開いたのがわかった。この夢の世界で人とあったことがないし、以前一度だけ会った神の子だったからだ。

 

 パクパクと口を動かす。驚き過ぎて声が出なかったと一瞬思ったが、この場所では言葉を発することは出来ないようだ。……彼女は出来るのに。

 

「うーん、ちょっとゴメンね」

 

 そう言って彼女は簡単に私と額を合わせた。まったく動けなかったぞ。これがスペックの差である。気付いた時には彼女の顔が目の前にあった。そっちの気はないはずなのに、あまりにも彼女が綺麗過ぎて頬が赤くなる。

 

 ……なんだか彼女も頬が赤くなってきたな。まさか!

 

「違うからね! サクラちゃんの思ってることがわかってしまったの」

 

 なるほど、照れていたのか。

 

「出来れば、何があったか思い浮かべてほしい。何かきっかけがあったと思うんだ。一度繋がったぐらいじゃ、ここに来れるはずがないの。それにタイミングがタイミングだし……」

 

 一度繋がったというのは、私の身体を一度乗っ取ったことだろう。そういえば、謝ってもらってない。

 

「ご、ごめんなさい!」

 

 パッと額から離れ、頭を下げる姿を見て何だか申し訳ない気がしてきた。彼女が私の身体を乗っ取ってフミ子の改造案を出して貰わなければ、私はチョイスで死んでいただろうし。

 

 問題はもう怒っていないと示したいが、あいにく声は出せない。少し悩んで彼女の肩を叩き、顔をあげてもらう。不安そうな瞳をしていたので、前髪をかきあげて額をみせる。彼女も意図を察したようで、額を合わせた。

 

「……ありがとう」

 

 どうやらもう怒ってないぞと伝えることが出来たようだ。ついでに疑問をぶつける。彼女の目は私が持っているから、以前あった時は目には包帯をつけていた。

 

「お父さん……神様に新しいのを貰ったの。ううん、普通の目。えーとね、私は今から人として転生するんだ。神の力はほとんど残ってないけど、このタイミングで会ったのは多分何か意味があると思うの。だから教えてほしい」

 

 そう言われたので、この意味不明な状況を頭に思い浮かべる。HUNTER×HUNTERのマンガを彼女は知らないだろうが、私が思い浮かべればわかってくれるはず。

 

「……世界のバランスが崩れた? でも父は予兆を掴んでいなかった。ということは、崩れたのはHUNTER×HUNTERという世界?」

 

 情報を読み終えたのか、私と距離をとった彼女は呟きながら整理していた。

 

「ごめんなさい。父と連絡を取って聞きたいけど、私にはもうそこまでの力はないの。とりあえず、原因の予想を立てたから聞いてもらえる?」

 

 特に断る理由はないので頷く。解決した後ならどうでもいいが、巻き込まれている最中なので教えてほしい。

 

「あなたが今までに居た世界のバランスが崩れた。もしくは今いる世界のバランスが崩れた。まずこの2つのどちらかに絞っていいと思う。サクラちゃんの目には他の扉が見えなかったんだから、まず間違いないね」

 

 なるほど、私が思っている以上に真実の目のスペックは高いらしい。

 

「私は今いる世界のバランスが変だと思うの。理由はサクラちゃんが欲しかったのはこっちの世界。流されたのでしょ?」

 

 確かに私はHUNTER×HUNTER世界の方に流された。でもなんで私が選ばれたんだ。自身を指さして首を傾げてみる。

 

「一番ふさわしいと思われたんだろうね。サクラちゃんは世界を元に戻した実績があるから。その実績でサクラちゃんは未来をかえる力が誰よりも強くなってるから選ばれちゃったって感じかな?」

 

 両手をついて項垂れたのは仕方がないと思う。兄のためや胸を張ってツナ達と友達になれるように必死で過ごしていた結果がこれかよ!?

 

「えっと、ね。まだ希望はあると思うの。この世界の神関係とは出会ってないわよね?」

 

 項垂れながらも頷く。

 

「多分サクラちゃんは使命とか何もないの。ただ居るだけで世界のバランスが保たれていると思う。でもこの世界の神はそれを望んでいないわ。扉が消えないように維持しているみたいだし。こういう場合、扉はなくなるからね」

 

 えっ。扉がなくなるパターンの方が多いのか?

 

 額を合わせなくても私の顔を見ればわかったのか、彼女はなんてことないように頷いて言った。

 

「私の母はサクラちゃんみたい感じで巻き込まれて、父は利用しようとして口説いたらしいから。殴られたらしいけど」

 

 向こうの世界に戻ったら神に祈るのは止めよう。

 

 とりあえず彼女の話によると、ここの神様は私を利用しようと考えていないらしい。ちょっと気分が上昇したので座り直す。

 

「話を戻そっか。ここの神様は戻してあげたいし、連れてくるつもりもなかったと思うの。向こうの天候の悪化はそれが原因かな。サクラちゃんの誕生日からだし」

 

 誕生日?と首を傾げる。

 

「ずいぶん昔に向こうの世界でも4月4日にバランスが崩れたからね。お兄さんを治すには身近な人が良かったのもあるけど、産まれる日が4月4日だったのもあると思う。わかりやすくいうと何かが起こりやすい日ってことね。でも私の予想じゃこれっきりだと思う。連れてこようにもサクラちゃんの身体がもたないから、意味がないもの」

 

 聞き捨てならない言葉に慌てて額を差し出す。私の疑問に答えてくれ。

 

「戻る分には扉が残っているし身体はもつと思う。元々サクラちゃんの産まれはあっちの世界だからね。きっかけさえあれば、元に戻ろうとする力が働いて負担は少ないよ。……そっちも大丈夫。お兄さんとディーノさんの心配はしなくてもいいわ。全部サクラちゃんの実績になるから、今回みたいに彼らが他の世界に飛ばされることはないよ」

 

 安心したので、彼女から離れる。

 

「問題はきっかけをサクラちゃん達が作らないといけないの。神が力をつかって戻れるなら、もう戻ってるはずだからね」

 

 前に彼女と会った時に、神も大っぴらに力をつかうとバランスが崩れるとか聞いた気がする。いろいろ事情があるのだろう。

 

 それにしてもきっかけ、か。おそらく念能力が鍵となるだろうが、どうすればいいかもサッパリである。

 

「呪文カードの『同行』かなぁ」

 

 あれは主人公達が使ったからはっきり覚えているぞ。行ったことがある街かゲーム内で出会った人のところへ行くカードだ。だが、行ったことがある街というのはゲーム内の街かこの世界のことだろ。向こうの世界には行けないぞ?

 

「うーん、大丈夫かなぁ。まぁサクラちゃんの魂なら耐えられるはずだよね?」

 

 おい、なんか不吉な言葉が聞こえたぞ。

 

「ごめんね。強制的に決めちゃうね」

 

 ……嫌な予感しかしない。逃げようとするが、神の子と呼ばれる存在に敵うはずもなく、あっさり回り込まれる。

 

「大丈夫。元々持ってた能力があがるぐらいだよ。残念だけど、サクラちゃんはメモリ量が少ないみたいだからねー。元々持ってる力をちょっとずつ伸ばすぐらいしか出来ないと思うんだ。んー、残ったので1つ作っちゃおうか」

 

 おい、ノリで作るな。それにちょっとずつとか複数形に聞こえるぞ。1つは予知夢だと思うが……他はどれだ!?

 

 ふふっと笑いながら私に触れた彼女は、雲雀恭弥と似たような空気を出していた。……親切そうに見えたが、実は空気を一切読まないタイプだったようだ。

 

 額を再びあわせ、貰った力に頬がひきつる。彼女は神の子だったことを忘れてた。作った1つはまぁいい。ショボすぎるが兄には有効な能力だったから。問題は私と彼女がイメージするちょっとずつのズレが大きいことだ。私がもつ能力のレベルがあがりすぎだろ!?

 

 ……この後、私は驚きのあまり夢の中なのに意識を飛ばすという奇妙な体験をした。




言い訳はしないよ!ごめんね!
サクラがどうやっても自力で念能力を身につけれるとは思えなかったんだ……。

ここからはサクラの予知夢について。
サクラが考察してましたが、簡単に説明しますね。
こっちの方がわかりやすいと思いますw

発動条件
サクラが気になっていたり、身近なこと。サクラ自身に危機が迫っている時。

内容
Level1…静止画1枚。印象に残らず、見えていたのに起きた拍子に忘れるのがデフォ。(デジャブ?)

Level2…静止画が複数枚。わかる未来は限定的だが、これでも十分ヒントになる。(予知能力者)

Level3…フィルム映画一本。白昼夢もこれに当たる。(予知能力者の上位)

LevelMAX…フィルム映画数本。(?????)


自分本位の考えからか、どのLevelでもサクラ視点が多い。
サクラはLevel3までなら、気持ち悪くなることはなかった。ただサクラはいつもLevel2で見ようとしている節がある。そのせいか危機が迫る時ぐらいしかLevel3で見れなかった。

ちなみに一番サクラにあってるのはLevel3。
Level3とMAXを一括りにしていたことと、未来編の時に毎日Level3で自分が殺される予知夢(兄に刺された予知も含む)を見た結果、苦手意識が増え、深層心理にも影響しコントロールをさらに乱していた。
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