選択した結果(仮)   作:ちびっこ

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さくさく進む。


ハンター証がほしい


 夢の中で神の子と会ってから一ヶ月後、私とディーノはドーレ港の上空に居た。

 

「多いな……」

 

 ディーノの呟きに同意し頷く。これだけドーレ港に集まっているのに、試験会場に辿り着くのは一握しかいないのだから、それはそれで凄いと思う。

 

「行くか」

「ん」

 

 目指す場所は当然一本杉である。ここで主人公達と会えるかで方針が変わる。まぁ念のためにナビゲータのところに向かっているが、十中八九会えると思うけど。私の勘を抜きにしても天空闘技場でのヒソカの勝敗数からして、原作前なのは間違いないし。本当にヒソカ様様である。

 

 実は私達が一番最初に賭けたのはヒソカの試合で、ヒソカの敗北に賭けて稼がせてもらったのだ。ヒソカの強さなら勝つと賭けた人は多かったが、登録を抹消されないために受けただけの試合だった。気持ちしか残ってなかったお金が数日分の宿代になったのだから笑うしかない。ありがとう、ヒソカ。ついでにイレギュラーが起きてハンター試験に来ないでくれたら私は嬉しい。

 

 まぁ例え会ったとしても被害を受けるのはディーノだろうけど。纏ってるオーラを見ながら頷く。私の次の日に目覚めたことから、私が思っている以上に才能の塊だった。

 

「ん? どした?」

「変態に狙われるから可哀想だと思って」

「サクラが狙われねーなら、それぐらいどうってこともねーよ」

 

 強さからの自信の表れか。もしくは単純バカだからなのか。……前者にしてあげよう。毎日バカみたいにオーラを練っていたし。

 

 しばらくすると、一本杉が近づいてきた。途中の過程はもちろんすっ飛ばしている。スクーデリアが居るのに地上から向かう必要性は皆無だから。

 

「おーい」

 

 私達の姿が見えたのか、ブンブンと手を振って呼びかける少年がいた。スクーデリアから発する炎に警戒してもいいと思うのだが。

 

「3人組だし、あいつらか?」

「ん。無視する必要はないし、行くか」

 

 私がそう呟くとスクーデリアが進路をかえた。私達が近付くとレオリオは「こっちに来たぜ」と焦り、クラピカは警戒しながら観察していて、ゴンは無邪気に嬉しそうだった。

 

 ちなみにディーノには彼らの性格は教えていない。自身で判断すると思うし、あんまり原作とかの内容は教えてないから。

 

「よっ」

 

 彼らと対峙する直前にディーノはスクーデリアから降りて、私を守るように前にたった。

 

「お前らも受験生か?」

「そういうあなた達も?」

 

 警戒しているクラピカの問いにディーノは笑って頷いた。ディーノが持つ空気に緊張がとけたのか、自己紹介をし始めた。ついでに私のことも紹介してくれたので軽く頭を下げる。

 

「オレ、ペガサス見るのは初めてなんだ! 触ってもいい?」

「スクーデリアがいいなら」

 

 私がそう言うと、ゴンはスクーデリアと視線を合わせた。しばらくするとスクーデリアが頭を下げたので許可したみたいだ。……動物に好かれやすいとは本当なんだな。

 

「スクーデリアは凄くいい子だね」

 

 そうだろうと偉そうに頷きながら、上手く勘違いしていることに安堵する。狙い通り彼らはスクーデリアの主人は私だと思ったようだ。ディーノはリングを隠すように手袋をはめているしな。

 

「そっちはパンダだよな? まだ小せぇみてーだが」

「ペガサスならまだしも、子どものパンダをハンター試験に連れて行くのは危険ではないのか?」

「フミ子」

 

 ずっと興味なさそうにしていたフミ子だったが、私の呼びかけにスクーデリアから飛び降りた。そして軽々とジャンプして再びスクーデリアの上へ乗った。

 

 バカな……と驚いているクラピカとレオリオを尻目にゴンは凄い凄いとはしゃいでいた。ゴンはフミ子にも触りたさそうにしていたが、フミ子はガン無視である。

 

「フミ子はサクラしか興味がないんだ、すまん」

「ディーノが謝ることはないよ!」

 

 ディーノはゴンのフォローに苦笑いしていた。真実を知っている私は心の中で憐れむ。

 

 主にディーノが彼らと意気投合したので、一緒に一本杉への小屋に入ることに。さて、この後は開けたらビックリ、魔獣である。

 

 私以外の者はすぐに構えた。……そういや、ナビゲータがいると言ったがディーノに魔獣のことを説明し忘れていた。

 

「ディーノ!!」

 

 私の声でムチを振るおうとした手が止まる。そのタイミングでキリコが逃げ出した。追いかけていった二人を私から離れるわけにはいかないディーノは見送るしかない。

 

「……片付けるか」

「頼んだ。オレはこの人を診る」

 

 文句を言われるかと思ったが、レオリオはゴン達が奥さんを連れ戻した後のことを考えて同意したようだ。が、怪我の手当をしながら、レオリオは大丈夫だと声をかけ続けているので、ついに彼がため息を吐きいった。

 

「サクラ、いい加減に説明しろよ。オレは慣れてるが、あいつらはわからねぇんだ」

「まぁもういいか」

 

 レオリオが私達のやり取りを聞いて、視線を向けた。

 

「これも試験の1つ。人柄と観察力、対応力を見るためだ」

「なにぃ!?」

「んなことだろうと思ったぜ。サクラが止めなきゃ、オレは手を抜かなかっただろうしなー」

 

 人を襲う魔獣にはディーノは容赦しないから、本当に危なかった。

 

「父が死ぬと思いました」

 

 ハハハと苦笑いする試験官の言葉に、レオリオは気が抜けたように「マジかよ……」と呟いた。ドンマイである。

 

 当然、私達はこの試験をクリアした。ゴン達は原作通りの理由で、私はネタを暴いたから、ディーノは人柄と圧倒的な強さを持っているという理由で。

 

「サクラはどうしてわかったんだ? 彼らの話からすると、一瞬でわかったようだが?」

「教える義理はない」

 

 私の言葉にクラピカはイラっとしたので、ディーノが慌ててフォローしていた。ちなみに私へのフォローはレオリオである。空気が悪くなった中、純粋にゴンが絶対?と聞いてきた。

 

「ディーノ、どう思う?」

 

 この場合、マンガではなく私の予知のことだ。今後の方針でマンガで知っていることは全部、私が予知能力で知ったということにすると決めたからだ。

 

「……オレは反対だ。ゴン達には悪いが、サクラの安全を優先する」

 

 クラピカのフォローに入ったディーノが言ったため、話さないのも相当な理由があるとわかったらしく、クラピカが非礼を詫びた。

 

「いや、私も口が悪いから」

「しかし話すのが当然だと思っていた私の方に非がある」

 

 確かにそうだと思った私は、謝罪を受け取り許した。

 

 ひと段落したので、試験会場に案内するという話になった。ただ人数が多いのでナビゲータのキリコ達が困っていたので、私とディーノはスクーデリアで移動すると伝えた。そもそも私の腕力ではキリコにぶら下がって移動することは不可能だし。

 

 

 

 

 街の近くに降り立った途端、スクーデリアが消えたことにゴン達が驚くという些細なことが起きたが、概ね順調に洋食屋にたどり着いた。

 

「お風呂入った後に肉か……」

 

 臭いがついて嫌だなと思いながらも、ガッツリ食べる。手袋をつけたままナイフとフォークを使うのにやっと慣れてきた。美味い。

 

 ディーノは手袋を気にすることもなくナイフとフォークを動かして食べながらも、ハンターについて語っている2人の話に感心していた。

 

「まさかゴンだけじゃなくディーノも知らねーとは思わなかったぜ」

「ゴンよりは知ってたぜ。ただオレがサクラを守るにはハンターになるのが手っ取り早いとわかってから、それ以外は興味なかったんだ」

「2人の関係を聞いてもいいか? 私が感じた限りではディーノはサクラの護衛に見えるのだが……」

「そう思ってくれていいぜ」

「オレ、2人は付き合ってると思ってたよ」

 

 むせた。呼吸を整えながら違うと目で訴える。まさかゴンにそんな勘違いされているとは思わなかったぞ。……レオリオもか!

 

「まだ落とせてねーんだ」

 

 ディーノの言葉は無視だ、無視。おいこら、3人ともディーノを応援するな。なぜ誰も私の味方にならないんだ。

 

 イライラしているとエレベーターが開く。この中で誰よりも早く殺気だった気配に気付いたディーノが私を守るように動いた。前が見えないんだが。

 

「何人?」

「……3人だ」

 

 駆け出しそうになった私の肩をディーノがおさえた。

 

「サクラが探しに行くより、安全で手っ取り早い方法があるだろ?」

 

 意味がわかったので、息を整える。それが終わった後は、思いっきり息を吸い込んで、力一杯叫んだ。

 

「お兄ちゃん!!!!」

 

 いやまぁ予想していたが、速すぎて見えなかった。

 

「……ああ、僕はもうダメかもしれない。サクラのぬくもりを感じるよ。可愛い、可愛いよ、サクラ」

 

 私をぎゅうぎゅうと抱き締めなら呟く兄はかなりヤバイ人だった。ディーノは苦笑いするだけだが、ゴン達はドン引きである。

 

「フミ子」

 

 パフォという鳴き声と共に、フミ子は兄の頭を思いっきり殴った。バタッと仰向けに倒れた兄を放置し、フミ子に良くやったと褒める。

 

「今のは……」

「サクラの兄貴なのか……?」

「お兄さん、大丈夫?」

 

 ゴンが兄の心配をしているので、声をかける。

 

「自己紹介」

「僕の名前は桂! サクラのお兄ちゃんだよ! 道中、サクラが世話になったようだね。まっサクラの可愛さなら助けるのは男として当然のことだけどね!」

 

 ……久しぶりにこのノリに対応するのは疲れるな。

 

「おや? ディーノ?」

「今頃かよ」

「すまないね。サクラしか見えなかったのだよ。君が側に居てくれて本当に助かったよ」

「気にすんな」

「お兄ちゃん、コレ読んで」

 

 今までの経緯を書いた紙を渡したら、兄はサクラからの手紙と呟き、ウットリしていた。

 

「ディーノ、行くぞ。君達も兄にかまってるとハンター試験に乗り遅れるぞ」

 

 兄はシスコンだが、バカではない。手紙を人の目があるところで読むべきじゃないのはわかっている。私達が離れやすいように仕向けたのだ。それがわかっているディーノも、ゴン達の背を押すような言葉をかけていた。

 

「407か」

 

 ゴン達が一つズレていたので、兄の分でズレたのだろう。ちなみにディーノは408。

 

「お兄ちゃんは何番?」

「僕は45番だよ」

 

 当たり前のように私の問いに答えるために現れた兄を見て、ゴン達はギョッとしていた。兄のシスコン度をナメちゃいけないぞ。……威張る内容じゃないか。

 

「桂、手紙は?」

「処分したよ。残念だけどね」

 

 見られたらマズイ内容だしな。私とディーノの念能力についても書いているし。

 

 突如、アラーム音が鳴り響く。マラソン大会が始まるらしい。もちろん私は真面目に参加する気がないので、参加者が走り始めたころ、スクーデリアを出してもらう。周りが驚いたが無視だ。

 

「よっ」

 

 フミ子が手を出して踏み台を作ってくれるし、練習したので1人で乗れるようになった。手紙にもこのことを書いていたので、兄も特に驚かなかった。

 

「サクラ、ずりーぞ!」

「何を言ってる、私のひ弱さをナメちゃいけないぞ」

「威張る内容じゃねー!」

 

 レオリオのツッコミを聞き流し、前を向く。ヒソカが興味を示したのか、視線があった。だが、私の才能の無さがわかったのか、視線がスクーデリアにうつる。

 

 しかし、スクーデリアは念を纏っていない。具現化した生物なら念を纏わなけば念能力として弱すぎる。それなら本物の馬を操作した方が断然いい。でも操作系なら出し入れ出来ないので、具現化した馬にしか思えないのだ。一番おかしいのは私の才能ではこれほど精密な動物を具現化出来るとは思えないことだろう。

 

「うーん♣︎ 試しみようか♠︎」

 

 ヒソカのトランプが迫っていたが、ディーノがムチで叩き落とした。なんだなんだと慌てているレオリオ達に兄がヒソカについて説明する。……トンパの役割を奪ったな。

 

「詳しいな。ヒソカと知り合いなのか?」

「知り合いというほどでもないよ。エレベーターで一緒だっただけさ。僕が詳しいと思うなら、新人つぶしの異名を持つトンパにお礼を言えばいい。多分君達も絡まれるから」

 

 さりげなく本来なら彼らが知った内容を教えたな。流石、兄である。

 

「でもサクラを攻撃したのは見逃せないね。少し挨拶してくるよ」

 

 兄はそう言うと、壁渡りをしてヒソカの横へ移動した。凄い凄いとゴンが喜んでいると、キルアが「そうでもねーよ」と会話に加わった。どうやら兄の行動にキルアのプライドが刺激されたらしい。まぁ私は彼らの会話より大切なことがあるので後回しにする。

 

「ディーノ、ありがと」

「気にすんな。それより桂は大丈夫なのか?」

「兄のことだから、のらりくらり躱すだろ」

「……それもそうか」

 

 兄が本気を出す時は私に何かあった時だ。私にはディーノがついているので、その心配はない。それに兄は白蘭とどーでもいい内容の会話を続けれるんだぞ。絡まれ続け、ヒソカの気が削がれる未来しか見えない。骸曰く、兄はネチっこいらしいし。

 

「ねぇ、サクラは何歳なの?」

「16」

 

 ええ!?と声をあげたのはレオリオだった。そこまで違和感はないだろうと思い、視線を向ける。

 

「……いや、だってよ。犯罪だろ」

「言うな。オレが一番思ってる」

 

 どうやらディーノの年齢をレオリオは確認していたらしい。とりあえず、私はノーコメントを貫く。

 

 最初の方は和気あいあいと進んでいたが、距離が距離なので大変そうだ。ディーノはスクーデリアとフミ子を出しているので心配だが、汗はかいていてもまだ疲れているように見えない。念能力を覚えたことでこれほど効果が出るとは……。

 

 しょぼいオーラしかない私だと、眠らない程度に何度も足とお尻をフミ子に治してもらってるのに。

 

 しばらくするとレオリオが失速し始める。ちなみに私は邪魔になると思ったので、ディーノと一緒に最後尾である。

 

「頑張れ」

 

 応援すれば、睨まれた。しかし、スクーデリアのことだからゴンでも乗せないと思う。結構プライド高いし。仕方ないので先に行くと、物凄い勢いで追い抜かれた。ディーノと目を合わせて笑う。

 

「ゴン、カバン持つぞ。それぐらいならスクーデリアも嫌がらないから」

「ありがとう!」

 

 レオリオのカバンを受け取りすすむ。再び時間がたつと初のリタイアが出た。トンパが楽しもうとしていたので、スクーデリアが威嚇したら逃げていった。後で思いっきり撫でてあげよう。とりあえず今は届く範囲で体をよしよしと撫でる。

 

 私がスクーデリアを褒めていると、ついに階段が現れた。……少し心を折るか。

 

「ディーノ、ごめん。かなりペースあげるぞ」

「ああ、いいぜ」

 

 許可を貰えたのでスクーデリアに声をかける。意図を察したようで翼を出して、飛び立った。抜かしていけば、ズルイという声があちらこちらから聞こえてきたので口を開く。

 

「いやだって、しんどいし」

 

 ブーイングの嵐である。心を折るつもりが、逆効果だったらもしれない。まぁブーイングに兄が怒っていたので、多分酷いのは脱落するだろうな。可哀想に。

 

「人の心は難しい」

 

 そんなことを呟いている間に先頭まで来てしまった。ディーノも壁渡りをしてちゃんと来ているようだ。原作通りゴンとキルアも居たようで、視線が合うと声をかけられた。

 

「ねぇ、さっきまで翼はえてなかったよな。なんで?」

「元々この子は天馬。原理は詳しく知らない」

「突然現れたのは?」

「生体兵器だから収納出来るんだ」

「スクーデリアは兵器なの……?」

「私はそう思ってないぞ。この子達にも感情がある。スクーデリアの目を見た君なら、この子が幸せかどうかわかってるだろ?」

「うん!」

 

 ゴンが嬉しそうに返事したので、偉そうに頷きながらディーノを盗み見る。バレないように隠しているが、私には喜んでいるのがわかった。

 

「あんたが作ったの?」

「作った人はこの世に居ない。私はメンテナンスが出来るぐらいだ」

「ふーん」

 

 キルアの反応からして、ちょっと欲しかったらしい。もしくは暗殺一家としての興味だったかもしれない。

 

「私は戦闘タイプじゃないから、この子達が居なければ落ちていただろうな。まぁハンター証は兄かディーノが取れば別にいいんだが」

「じゃぁサクラはなんでハンター試験に受けたの?」

「実は……私達兄妹が側に居ないとディーノはポンコツになるという残念体質の持ち主で……」

「ちょっと待て!? ゴン達にウソを吹き込むなよ!?」

 

 黙って様子を見てたら、これかよ……とディーノは疲れたように呟いた。本当のことしか言ってないから、私は謝らないぞ。

 

「まぁ金の卵とコネが出来ると思えば、ハンター試験を受ける意味はある」

「面白そうじゃん。あんたから見て、金の卵って誰?」

「強さなら君達2人と忍者は上位。その次がクラピカ。ちなみにヒソカと顔に画鋲みたいなのが刺さってる奴は別枠。あれは卵じゃなくて金だ」

「レオリオは入らないんだね……」

「強さだからな。私個人の感覚では、一番この中で会えて良かったと思える人物はレオリオだ」

 

 実際女好きなところを抜けば、性格の良さは一番だと思う。ゴンは嬉しそうに私を見たが、キルアはちょっと面白くなかったらしい。一番強いと言わなかったからスネているようだ。

 

「大丈夫だ。お前は強いぜ」

「……知ってるつーの」

 

 ディーノってちょっと捻くれた人物の相手をするのが好きだよな。今も抵抗しているキルアの頭を撫でてるし。

 

「っと、今のはあいつか?」

「はぁ? 何言ってんだ?」

「なんでもねーよ」

 

 多分今のはイルミから殺気を向けられたな。兄の性格上、キルアを気にするだろうし、大変なことになりそうだ。これから起こりそうな未来を思って溜息が出た。

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