転生先が世紀末。   作:ゲル夫

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ケンシロウに転生したらその時点でそいつはケンシロウです。
オリ主ではありません・・・・・・・間違ってますか?
前世の名前、普通は覚えていないものでしょうから考えてません。


異世界転生物を思いつきました。

今、俺は牢屋の中にいる。

気が付けば炎天下、廃墟の街を彷徨い、いきなり罠にはまり牢屋に放り込まれた。

 

のどが渇き気を失った俺に、水を運んでくれた少女が現れた。

先に牢屋にいた少年が少女から牢屋の鍵を奪おうとしていて、少年は俺に協力を求めていたが手伝うわけでもなく邪魔するわけでもなく、俺は自分が置かれた状況に理解できず呆けた状態でそれを見ているだけだった。

 

少女は特に牢屋を空ける必要があるわけでもないのに、何故こんな幼い娘に牢屋の鍵を持ち歩かせるという危険な行為をここの大人はさせているのか疑問はさておき、少女は自力で振り切り逃げてしまい、鍵が奪えなかった少年は何もしない俺に文句を言って不貞寝した。

 

 

水も飲めず、疲労した状態で牢屋から出されこの集落の村長なのか長老なのか、それっぽい老人の前で上半身をされるがまま脱がされた。

 

「その胸の傷は、北斗七星!!」

 

目の前の老人が一瞬、何を言っているのか理解できなかったが自分の胸を見てみると覚えの無い傷が七つ。

いや傷だけではなくそれまで疲労で意識がしっかりしてなかったため気付かなかったが、自分の肉体が異常すぎるほど逞しくなっていることにこのとき初めて気が付く。

 

周りをよく見れば目線もいつもより高いし、俺を囲む男たちの格好も部屋の様子も何もかも昔読んだマンガに似ていた。

 

自分が置かれていつ状況の異常さにようやく気付き、少しパニック状態だった俺は再び牢屋へ送られそうになったとき、その場から逃走、途中井戸から水を飲み全力でかなりの距離を走る。

 

疲労していたのもかかわらず走る速度はかなり速い、無我夢中で逃げてきたけど思い返せば自分を取り囲む男たちを、いともあっさりと殴り倒し振り切ってきた気がする。

 

しばらくして足を止めて、のどの渇きが無くなった為か自分の状況を考え整理してたどり着いた結論が、ここが北斗の世紀末後の世界で、自分がケンシロウになっていること。

 

 

引きこもりが異世界へ転生、ケンシロウになる前の人生で二次創作や商業誌等で読んだジャンル。

転生後ただの引きこもりに都合のいい能力とか知識とかが付与され、別セカイでの人生やり直しと言う都合のいい現象が、お約束のごとく引きこもりだった俺に起きたらしい。

 

転生した以上、俺もやはり一度死んでいて死んだ原因も覚えているが今の俺のおかれている状況に比べればどうでもいいことだ。

 

友人もいないし引きこもりで家族とも顔を合わすことも無く、親に反発し部屋に閉じこもっていた自分に前世の執着などあまり無かったようで、寂しいだの悲しいだのそんな感情はわいてこない。

 

ただこれから「どうしよう」という先の見えない不安ばかりが襲ってきた。

 

小説や二次創作だと過去の作品の内容を覚えていて、その知識を頼りにその人生を歩んでいく。

俺にもこの世界を描いた漫画の知識はあった・・・・・・あったがそれが役に立つとは思えなかった。

 

遠くから、俺が逃げてきた方角、村から悲鳴が聞こえた。

どうやら俺が転生する前のケンシロウに仲間を殺されたモヒカン集団が村を襲っている様子。

 

牢屋に放り込まれている時リンを鍵を奪おうとしているバットから助け、今の時点で村にいてモヒカンに人質になっている彼女をかっこよく助けているはずのケンシロウは、遠く離れた場所で呆然と焼かれていく村を見ている。

 

この世界は俺にとってマンガと言う娯楽ではなく悲惨な現実で、今村で起きていることは過去の作品ではなく現在起きていることで、たぶんすでにリンもバットも殺されているのかもしれない。

唯一危機を救えるはずの救世主が優れた肉体と暗殺技術を身につけたはずの超人が怖くて村へ行けなかった時点で、原作の展開の知識などなんの役に立つ。

 

原作終盤でケンシロウは記憶喪失となり、北斗神拳を忘れボルゲに抵抗できないほど弱くなるが、精神的には強く正義感があり、リンやバットを助けようとした。

 

けど俺はケンシロウほど肉体は別だが精神的には比べるまでも無く弱い。

いやケンシロウどころかリンやバット以下、モヒカンに毎度無抵抗で殺されるモブ並だろ。

 

この肉体だって北斗神拳の技術だって俺が修行して身につけたものではない。

本来10年以上厳しい修行に耐え、心身ともに鍛えられるべき精神は雑魚並で、そんな雑魚に過ぎた超人の体を与えられたからと言って原作のように活躍できるわけが無い、たとえ知識があったとしても。

 

これが、転生した世界がここまで悲惨な世界ではなく、平和で美少女に都合よく持てる世界だったら精神的にゆとりがあり、貰いものの力でヒーローでも目指せたのだろうか。

 

虫しか殺せないような奴に、たとえ力があっても、無法の世界で殺人鬼が相手だとしても人を素手で直接殴り殺せるのか?

 

それに北斗神拳をくらった相手は内部から爆死する、南都聖拳の場合は切り刻まれる、形は違えど戦い後自分の周囲には大量のバラバラ死体が散らかっている状態。

 

今目の前にモヒカン鬼畜に襲われたとおもわれる、比較的原形をとどめている人々の死体にも怯え地近づけない状況なのにそんな戦闘ができるものか。

 

 

しかもこの世界はケンシロウと肉体的強さでは同等かそれ以上の男たちが逞しく世紀末を生きていて、彼らを相手に対等にいられるわけが無い、引きこもりが・・・・。

 

 

 

いっそう死んだほうが楽と、自殺する勇気も無くなかなか死にそうに無い丈夫な体で想いながら、正義感も覇気もない偽ケンシロウの俺は、再度荒野を宛てもなく歩いた。

 

出来れば誰にも合わず、肉体労働には過ぎたこの肉体で働いて目立たず人生を送りたいものだが、恐らく伝承者としての宿命と言う奴がそれを許さないかもしれない。

 

トキやラオウには見放され伝承者の肩書きなどほしければジャギに譲りたい気分。

 

ユリアに関しては・・・・・・転生前の勇敢なケンシロウの記憶でしかないし、あまりに聖女過ぎて正直好みじゃない。

 

・・・・外道ではないかもしれないが偽者と言う意味では俺ってアミバみたいとか考えながら俺は途方にくれていた。

 

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