Muv-Luv Alternative ~もう一人のイレギュラー~   作:レン・アッシュベル

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 失敗してもいいじゃない、人間だもの    みつを


A-01初登場

十月二十二日午後 国連軍横浜基地

 

 

 あの後、白銀を囮にして逃げた俺は途中で霞と別れて自分のネクストを取りに言った。

 博士に頼んで大型輸送車を借り、こっそりと横浜基地まで運ぶ。

 一般兵士に見つからずに90番格納庫に自分の愛機を置き、自室へと戻る。

 整備に関してはNeed to khowを弁えている凄乃皇二型が来たときのための開発チームのメンバーがやってくれる手はずだ。

 この世界の技術レベルではとても作れないネクストを見た時の興奮度を見る限りでは喜んでもらえたようなのでよしとする。

 メインフレームなどに関しては俺が一から開発しないと無理そうなので各関節の消耗パーツの方を光菱重工に注文しておいたので心配はなくなった。

 

「さて、これでやることも終わったし今日はもう寝るか」

 

 今日一日でいろいろあったのでなんか疲れた。

 よってまだ十一時だが寝ることにする。

 

「明日はA-01との顔合わせか・・・・」

 

 ベッドに入って五分ほどで眠りに落ちるのだった。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

十月二十三日午前 国連軍横浜基地

 

 

ユサユサッ

 

「ん?だれだ・・・・」

 

 此処に来てから一日が立ち与えられた自室で爆睡していると誰かが俺の体を揺すってくる。

 

「ああ、社か?」

 

 まだ相手の姿を確認してないのに言いあてた俺に起こしてくれた社がビクッとしたのが伝わってくる。

 そして、体を起して見てみればやっぱり社だった。

 ちなみに何故わかったかと言うと気配を覚えていたからである。

 

「おはよう社、ありがとな、起こしてくれて」

 

 起床の挨拶をしながら社の頭をなで、時計を見ると時間は起床ラッパの三十分前、多分この後に白銀を起こすから早めに来たんだろう。

 

「この後は白銀か?」

 

 俺が確認すると社はコクリと頷きながら、

 

「霞でいいです・・・・」

 

 と、言ってきた。

 何この生物、かわいすぎるんだけど・・・・・

 

「!!」

 

 俺が思ったことをリーディングしたのか顔を赤くする霞。

 

「はは、照れるな照れるな」

 

 そう言って俺がなでなでしてやると気持ちよさそうに目を細める霞、そして俺が手を離すと途端に残念そうになる。

 妹っていたらこんな感じなのだろうか?

 なんて考えてると霞が部屋から出ていき

 

「・・・・バイバイ」

 

と言ってきたので俺も。

 

「ああ、またな」

 

と、手を振る。

 霞はタッタッタッと歩いて出ていった。

 

「さて、霞のおかげで思いのほか良い目覚めだし身体でも動かすか」

 

 なんだか身体を動かしたくなったので動き易い恰好に着替えてグラウンドへと向かった。

 

 

 

 

 

「よし、まずは軽く走るか」

 

 身体を軽くほぐした後、ランニングを五周ほどする。(約十キロ)

 とは言っても強化人間のスペック的に言っても、優希個人の体力が化け物じみてるのもあり、終わった後も特に息切れすることもなく立ち止まる。

 

「身体はなまってないんだな」

 

 そう一人で呟きながらクールダウンをして戻ろうとしたところで此方に向かってくる人がいた。

 

「(あれは?)」

 

 誰か気になったので強化人間の視力で見てみると

 

「あ!」

 

 その顔を見て思い出した、此方へ向かってきた女性は今白銀たちの教官をしているあの人だった。

 

「あの、すいません」

 

「はい?」

 

 しかも声をかけられたので少し間抜けな返事をしてしまう。

 

「神夜少佐でよろしいでしょうか?」

 

「ああ、そうだが・・・・貴女は?」

 

 もちろん彼女のことは知っているが初対面なので知らないふりをする。

 

「はっ!失礼しました!私は第207訓練部隊の教官を務めております神宮寺まりも軍曹です」

 

 と、見事な敬礼を返された。

 一応俺も敬礼を返す。

 そして、

 

「それで、俺に何か用なのか?」

 

「ええ、香月副司令から自分の訓練兵たちが任官した際に戦術機の指導をして頂くと聞いたので挨拶に参りました」

 

 なんだその話?聞いてないんだが!?

 しかし此処で間抜けな姿をさらすのもあれなので平静を保って返事をする。

 

「ああ、その話か。まぁ、副司令に頼まれたんだからきちんと鍛えるから安心していいぞ」

 

「有難うございます」

 

「それに・・・・」

 

「?」

 

「俺のほうが年下なんだ、公の場以外では敬語じゃなくてもいいぞ」

 

 これは前から思っていたことだが俺は元傭兵と言うのもあって基本的に誰だろうと普通に話す。

 よって敬語と言うのも嫌いだから此処で言わせてもらった。

 

「はぁ?」

 

「それに階級でも普段は呼ばなくていいぞ?」

 

「いえっ、しかし」

 

「じゃあ命令だ軍曹、今後訓練中など以外では敬語は抜きにしろ。これでいいか?」

 

 此処で命令しておけば軍曹も逆らわないだろうからこうするしかない。

 

「はっ!それなら分かりました」

 

「よろしい。じゃあ俺は部屋に戻るからまたな」

 

「はい、えーと・・・・」

 

「ああ、呼び方は神夜でも優希でもどっちでもいいけど」

 

「じゃあ、神夜君で・・・・」

 

 流石に呼び捨ては抵抗があったのかそう言ってくる。

 

「まぁ、妥当なところだな、じゃあまたな軍曹」

 

 そう言って俺が背を向けると彼女は黙って敬礼してきた、真面目なものだ・・・・

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 軍曹と話別れてから部屋へと戻った俺は汗をシャワーで落としてPXへと行き朝食をとる。

 途中、すれ違う兵にいちいち敬礼をされたが面倒だったので適当に返した。

 博士が敬礼が嫌いな理由が分かった。

 

 そして朝食の合成A定食と言う、原作では見たことのないものを食べ部屋に戻る。

 部屋に戻ってもやることが無いのに気付いた俺は、軽い訓練目的でシミュレータールームに向かう。

 その途中でピアティフ中尉を捕まえオペレーターを確保。

 

「よし、やるか」

 

 相変わらず強化装備を着るのが面倒だったので訓練服のジャケットだけを脱ぎ、ヘッドセットをつけてシミュレーターに三時間ほどこもって遊んだ。

 訓練が終わった後はピアティフ中尉から副司令が呼んでいるとの伝言を受けたのでそのまま博士の執務室に向かった。

 シミュレータから出た俺を見た衛士の諸君はそろって驚いていた。

 たとえば、「マジかよ・・・・」、「強化装備も着けてないのに」、とか「何で気絶しないの!?」、などの声が聞こえた。

 

 ・・・・・やっぱり強化装備を付けずにシミュレータであんな機動をしてたのが信じられないのだろう。

 だから、あまり目立つのは嫌だったので今度からは着ることにしようと誓うのだった。

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

~執務室~

 

 十分ほどかけて執務室についた俺を迎えたのは気だるげに資料と睨めっこする博士と、パソコンに何かのデータを打ち込む霞の姿だった。

 どちらも集中してるようで俺に気づかないから声をかける。

 

「博士、来ましたよ」

 

「ん?遅いわよ、アンタ」

 

「遅いって・・・・・まぁ、いいか」

 

 呼ばれてから十分しか経って無いはずだが言い返さない。

 女性に口答えをすると碌な事が無いのは前の世界で彼女から学んだことだ。

 

 

「で、用件は?」

 

「ええ、今からアンタとA-01の顔合わせをしようと思ってね」

 

「早いな、顔合わせは夜じゃなかったか?」

 

「最初はそのつもりだったんだけどね、伊隅にあんたのこと話したら興味津々だったから予定を早めたのよ。それに―――――――」

 

「それに?」

 

「アンタどうせ暇でしょ?」

 

 確かにそうだが・・・・・・身も蓋もないな。

 

「ハァ・・・・事情は分かった。それで、俺はどこに向かえばいい?」

 

 溜息をついた後、行き先を尋ねる。

 

「衛士用ブリーフィングルームに向かいなさい、場所は地図見りゃ分かるでしょ?」

 

「ああ、了解」

 

 そして、ブリーフィングルームに向かうことにした。

 

 

 

――――――――――――――――

 

~数分後~

 

 普通に地図を見て基地を歩き回ったが案外早くたどり着いた。

 現在、俺はA-01のメンバーが居るであろう部屋の前に立っている。

 少し緊張したがノックをすると中から女性の返事が聞こえたので。

 

「副司令に言われてきたんだが」

 

 とだけ言うと部屋に入れてもらえた。

 入った部屋ではA-01のメンバー約十人が此方を何者かと見つめている。

 そんな中隊長の伊隅が口を開く。

 

「この方は、昨日此処に着任なさった神夜優希少佐だ。因みに私たちA-01連隊の訓練にも参加するそうだ」

 

「神夜優希少佐だ。これからよろしく頼む」

 

「少佐は私たちと同じで副司令直属の衛士で、先日まで特殊任務に従事していたそうだ」

 

 なんだその設定は、初めて聞いたぞ?

 

 そう思うが態度には出さない。

 それに、副司令直属で特殊任務云々という説明の辺りから彼女たちの此方を見る目が変わった」

 

「じゃあ、自己紹介を頼めるか?」

 

 俺がそう言うと全員が自己紹介を始める。

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 それからしばらく自己紹介があり、今は最後の麻倉が話し終えたところだ。

 

「うん、これで全員のことは覚えた」

 

 まず右から速瀬、涼宮(姉)、宗像、風間、涼宮(妹)、柏木、築地、高原、麻倉、最後に隊長の伊隅の順番だ。

 ちなみにA-01は元々連隊規模だったのだが今は伊隅率いるこの第九中隊しか残ってないそうだ。

 そこらへんの設定は覚えてなかったのできちんと覚えておく。

 

「さて、今度は俺の番だな、俺は――――――――――」

 

 今度は俺が自己紹介する。

 しかし、教えられる情報など少ないので今の年齢と、元傭兵だったということ、ついでに敬語は面倒だから普段は使わなくていいということだけ話した。

 今の年齢が20だと教えると皆驚いてた。

 そしたら伊隅が

 

「私から付け加えるなら少佐は衛士としても優秀らしい、香月副司令からのお墨付きも頂いた」

 

 と言ってくれたが、副司令からのお墨付きの辺りで速瀬と涼宮(妹)の目が光ったのを俺は見逃さなかった。

 そしたら案の定、

 

「さて、午後からの訓練だが――――――」

 

「ちょっと待って下さい大尉!!」

 

「何だ速瀬」

 

 伊隅が話そうとするとそれを遮る速瀬、するとこっちを向いて

 

「午後は親睦も兼ねて私たちで少佐と戦いたいです!!」

 

 とか言ってきた。

 

「何を勝手な事を言って――――」

 

「いや、構わない」

 

「少佐?」

 

「こっちも最近暇だったんでな、対戦ぐらいなら構わんぞ?」

 

「やりぃ!そう来なくっちゃ!!」

 

「しかし少佐、よろしいのですか?」

 

「ああ、別にいいさ、何なら一度全員でかかってくるか?そのほうが俺が階級だけじゃないってことも分かりやすいしな」

 

 それを聞いて皆の表情が硬くなる。

 まぁ、今の俺の年齢と階級が釣り合ってないのは事実なので早めに腕前を見せてやろうと考えたんだが。

 

「それなら構いませんね・・・・お前たち、午後はシミュレータールームで少佐と対戦だ!」

 

「「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」」

 

 こうして、午後の予定は決まった。

 

 




次回は優希VSヴァルキリーズです!
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