本来なら新年が開けてすぐに出したかったのですが時間が取れず間が空いてしまい…。
お楽しみ頂けたら幸いです
Side 未來
クラウス達の元から飛び出して十数分後に俺は雷帝家の領地に辿り着いた。
上空から見る限り火の手は上がっておらず悲鳴なども聞こえてこない為ひとまずは落ち着いたのであろう。その事に安堵した後地上へと降り街の入口であったであろう門へと足を運ぶ。一応雷帝の城へ直接行く事は可能だがこの状況でそれをしてもまた混乱を招くだけなので門番に話を通してもらった方がいいと判断した。
そして門の入口が間近に迫って来ると武器を持った騎士達が警戒した目で俺の前に立ち塞がった。
「止まれ!貴様何者だ!」
隊長らしき人物が警告を促してくるが俺はそれに反応せずその人の目の前まで歩く。そして立ち止まるとペンダントと紹介状を手渡した。
それを受け取って呆然としている隊長の前で片膝をついて自己紹介を始める。
「お初にお目にかかります。私の名は芹沢 未來。覇王インクヴァルドの使者としてやって参りました。要件はそちらの紹介状に記載されております。ご確認後雷帝様への取次をしていただけませんでしょうか?」
「覇、覇王殿の?ちょ..少し待ってくれ!」
そう言って慌てて紹介状を開き書かれている内容を読んでいく。そしてそれが終わりペンダントが本物であることを確認すると…
「し..失礼致しました!覇王殿の使者とはしらずいきなり怒鳴るなど!」
「大丈夫ですよ。むしろ今の状況ではそれが自然でしょう。謝る必要などありません」
「そう言って頂けると幸いです。それと雷帝様への取次ですがすぐに聞いて参りますのでもう少しお待ちいただけますか?」
「わかりました」
「ひとまずペンダントはお返しします。それではしばしお待ちを!」
そう言うと隊長はあっという間に姿が見えなくなった。どれくらい待つか分からなかったが案の定隊長はすぐに戻ってきた。
「はあ…はあ…お待たせしました。お会いになられるとの事ですのでこちらへ」
「ありがとうございます」
「では行きましょう。おい!お前達は引き続き警戒を頼む。何かあれば魔力弾で知らせろ!」
「「はっ!」」
隊長の案内で街を歩く。街と言ってもほとんどが瓦礫と化していたり、原型を留めていたとしてもその役割を果たせなかったりと激しい戦いがこの場で起こっていた事を嫌が応にも感じさせられた。
それを見て俺は帰ったらクラウスにこの事を報告し何かできないかを相談しようと決めながらついて行く。そしてそのまま城へと入り最上階の威厳ある部屋の入口へと辿り着いた。
「…ヴァルキュレア様。覇王殿の使者をお連れいたしました」
「…入ってくれ」
「失礼します」
部屋に入るとベッドで包帯だらけの上半身を起こしているヴィクターと瓜二つの女性。そしてその周りを侍女らしき人らが固めていた。
「ようこそ使者殿。私が雷帝のヴァルキュレア・ダールグリュンだ。この様な形での対面を許して欲しい。上半身を起こすだけで精一杯なのでな」
「いえ..むしろ急な訪問を受けてくださっただけでも感謝いたします。それと本来であればご容態等をお聞きしたい所ではあるのですが時間がありません。本題に入らせて頂いてもかまいませんか?」
「構わぬ。聞きたいのは襲撃者の事であろう?それに関しては最初に言っておくと名前はわからん。だが容姿は赤い髪を三つ編みにしている少女だ。私は彼女と一対一の勝負をして負けて魔力を奪われた。大まかに話すとこんな感じなのだが」
「…その事についてお話したい事はありますが…その…」
チラッと侍女らしき人らを見るとすぐに察してくれたのかヴァルキュレアは彼女達を視線だけで退席させた。
「…これでよいのか?」
「ありがとうございます。それではまず1つ目ですが雷帝様を襲撃した人物の名はヴィータ。既にお気づきとは思いますが闇の書の守護騎士の1人です」
「そうであろうな。私の魔力を奪う時闇の書がどうのこうのと言っておったし。というか使者殿。なぜ特徴だけであの者の名前がわかったのだ?私ですら闇の書に関しては噂くらいしか聞いた事がなかったのだが…」
「…それは簡単ですよ。実はですね…」
俺は雷帝に闇の書事件の話をした。同時に俺がこの時代の人間ではない事も。話し終えると雷帝はなるほどと頷くと予想もしていなかった一言を口にした。
「その様な事が未来で起こるとはな。それと使者殿に1つ大事な事を伝えたい」
「大事な事ですか?」
「うむ。先程私はヴィータと言う者に一対一で勝負をして負けたと言ったが実はその時もう1人いたのだ。手は出しては来なかったが」
「…それは他の守護騎士じゃないんですか?彼女達は一対一に拘りを持っています。ヴィータが戦うなら他の守護騎士は手を出さずに見ていると思いますが?」
「いや..他の守護騎士ではない。何せそやつは騎士甲冑ではなくローブを身に纏っていたのだからな。フードを被っていたから顔をはっきりと見ることはできなかったが少しだけ赤い髪…いや..あれは赤毛と言うのか?とにかくそれが見えたからな」
それを聞いた瞬間俺は頭を思いっきり殴られる様な感覚を味わった。
「(まさか…まさか…)」
未來の雰囲気が変わったのに気づいたのかヴァルキュレアは話すのをやめて声をかけようとした瞬間振動が襲った。
「な..何事だ!?」
ヴァルキュレアが部屋の外に向かって声を荒らげると隊長が飛んできた。
「へ..陛下!ご報告致します。奴らがまた現れました!」
「なんだと!?ぐっ!す..すぐに騎士甲冑を準備しろ!私が出る!」
心臓の部分を抑えベッドから抜け出しながらヴァルキュレアは指示を出すが隊長は首を横に振る。
「それはなりません陛下!怪我だけならまだしも未だに魔力は戻っておりません!その様な状態で戦える訳が…」
「では貴様は民が襲われるのを黙って見ていろと言うのか!?ただでさえ前回の襲撃からそんな時間も経っていないのにまた同じような事をされれば!」
ベッドの縁に手を置きながら体を支えるヴァルキュレアは誰が見ても戦える状態ではない。だが民を想うヴァルキュレアはそんな事知ったことかとばかりに叫ぶ。
そしてそれを見た俺は彼女を無理矢理座らせる。
「使..使者殿なぜ止める!?今は一大事なのだ!話なら帰ってきたら続きをするから今は…「俺が行きます」…え?」
聞こえてきた言葉に戸惑いの表情を見せるヴァルキュレアから手を離し俺はそのまま窓から飛び立とうとするが復活したヴァルキュレアが止めようと口を開いた。
「待..待ってくれ使者殿!これはこの国の問題だ!其方の手を煩わせる訳には…!?」
王として譲れない物があるとばかりに叫ぶヴァルキュレアだが俺の目を見た瞬間声を詰まらせた。
「…ヴァルキュレアさん。申し訳ありませんが俺も彼女達には用があるのです。特に貴方が見たという赤毛の人物には特にね」
そう言ってヴァルキュレアの目を見返す。その目には貴方がなんと言おうと俺は行くという決意が滲み出ていた。それを感じ取ったヴァルキュレアは身体中に入った力を抜きいきなり頭を下げて願った。
「わかった。使者殿がそこまで言われるのなら私はもう言いません。ですが一つだけお願いがあります。どうか…どうかこの国をお救いください…」
そう言って膝に涙がポツポツとこぼれ落ちる。そんなのを見れば1人の男としてやらねばならない。
「…任せてください。この国の人達にはもう指一本触れさせやしません。安心して見ていてください」
俺がそう言うとヴァルキュレアは涙を流しながら頷きそれを見届けた未來はバオウに呼びかけた。
「バオウあれ出してくれ。以前作ってたやつだ」
『あいよ!これだな。へい、お待ち!』
どっかのラーメン屋の大将の様な事を言いながらバオウは中央で白と黒に分かれている仮面を渡す。そして未來はそれを付けると…
「フッ…フハハハハハハ!我は覇王インクヴァルドの末裔を伴侶とせし者!今宵は満月となれば我が見通す力も高ぶるであろう!」
仮面を付けた瞬間高笑いを始めた俺をヴァルキュレアと隊長はポカーンとした表情で見る。
『…相棒。その仮面にそんな力ある訳ねえだろ。それに今は夕方だし早く行こうぜ』
「…バオウはノリが悪いな〜。まぁやりたかった事やれたから別にいいけど…っとそろそろ奴らも近くなってきたか。それじゃあ行ってきます」
そう言って俺は窓から舞空術で飛び出し部屋には未だに呆然としている2人が残されるのだった。
☆
城を飛び出し正門付近へと向かうと丁度守護騎士達が到着する所であった。当たり前だが彼女達は俺が知っている容姿のままであるがこちらを見る顔はまるで別物だ。
そんな事は置いておいて着地すると共に自己紹介をする事にした。
「…フハハハハハハ!!まずは初めましてであるな闇の書の守護騎士達よ!我が名はフュレネス!此度は1度襲撃した地を再び襲うとはいかがなされたかな?」
俺がそう言うとなんだこいつは?という顔から警戒する顔へと変える。恐らく念話で何かしら会話したのだろう。その証拠にレヴァンティンに手を添えながらシグナムが前に出る。
「お初にお目にかかる騎士フュレネス。知っているだろうが自己紹介をさせて貰おう…闇の書の守護騎士 烈火の将 シグナム。そして左からヴィータとザフィーラだ。残りの1人はこの場には居ないので省略させてもらう」
シグナムが名前を呼ぶとヴィータはフン!といった感じでそっぽを向きザフィーラはただ腕を組んで未來を見据える。
「…そして再びこの地にやってきた理由だが…我が主のご命令だ。大きな力が現れたので調査してこいとな。まぁ…しらみ潰しに探す必要は無くなったようだが」
「無くなったとは?」
「…白々しい。わかってて言っているのであろう騎士フュレネス。それとその喋り方はやめて貰えないだろうか?それは其方の本来の喋り方ではあるまい」
出会って数十秒で見破られた俺は口調を変える。
「…チッ。もうちょっと楽しんでいたかったんだけどな。まぁ見破られちゃしゃ〜ないか。それでその大きな力を前にしてお前達はどうするつもりだ?」
少し威圧しながらそう言うとシグナム達は武器を構える。
「決まっている。もし見つかった場合は無力化して主の元へと連れてこいとのご命令だ。万一連れてくるのが無理なら殺せともな」
「それができればいいけどな」
挑発気味に言うと今まで黙っていたヴィータがアイゼンを構えて飛び出してきた。
「できるに決まってんだろ!潰れろ!ギガント・シュラーク!」
大きな音と共に砂埃が舞う。確かな手応えを感じたヴィータは勝利を確信したのか余裕の表情で仲間を見渡すがその仲間達の顔には驚愕の表情が浮かんでいた。
それに疑問を抱いたヴィータはその視線の先に目を向け言葉を失った。
「なっ…なっ…」
「…この程度か」
そこには片手でアイゼンを受け止め立っている未來がいた。ヴィータは出せば倒せないまでも相当なダメージを与える事ができる技を片手で止められたのは初めてらしくひどくショックを受けている。
そしてそんな隙だらけな状態を未來が見逃すはずも無い。
「…覇王…断空拳!」
空いている手で断空拳を打ち出しアイゼンを破壊する。
「アイゼン!!」
持ち手だけの部分が残った相棒に向けヴィータが叫ぶ。そしてそのままヴィータの意識を刈り取ろうと手刀を繰り出すがザフィーラに止められた。
「ぐぅ!」
「ザフィーラ!」
「俺の事はいいから引け!デバイスも無しに覇王流と戦えると思うな!」
「くっ!済まねぇ!」
急いでシグナムの元に向かおうとするヴィータの目の前に先回りしBJを掴んで逃げられないようにしてまた断空拳を食らわせる。
「ガッ…ゴホッ…アアアアアア!!」
「「ヴィータ!!」」
「人の心配してる場合か?」
「「何!?」」
ヴィータに気を取られていたシグナムとザフィーラにも断空拳を浴びせる。
「ガハッ!」
「ぐぅ!」
シグナムは断空拳を受けて肺の空気を吐き出しザフィーラはなんとか耐えたものの片膝をつく。
盾の守護獣の異名を持つザフィーラですら未來の断空拳1発でグロッキー状態。
防御が高い彼でそうなら他の2人はもはや戦う力もないだろう。ましてや1人はデバイスを破壊しているのだから尚更だ。
倒れている守護騎士達を見渡した未來は落胆した様子で呟いた。
「…弱ぇな。守護騎士ってのはこの程度なのか?俺はまだまだ本気を出しちゃいねぇぞ」
明らかな挑発。だがシグナム達は自分らが束になった所で勝てないのは対峙した時点でわかり切っていた。なら例え騎士としての誇りを失おうと主の命令を遂行する。
「(シャマル!今だやれ!)」
その直後シグナムの念話へ返事を返すかのように未來の胸から手が飛び出すのであった。
☆
ズン!という感覚と共に俺の胸から女性の手が飛び出してきた。実際に食らうのは初めてだしやっぱり生で見るとグロさは半端ない。
お化け屋敷でもこれ程のホラーは味わえないだろう。
そんな事を思っているとヴィータが変わり果てたアイゼンを支えに立ち上がり手のひらを翳すと闇の書が現れた。
「…手こずらせやがって!だがこれでお前は終わりだ!」
彼女達の必勝パターンが決まった事でもう俺には対抗手段がないと思っているのかヴィータは邪悪な笑みを浮かべる。
そして俺はそんなヴィータを気に停める事もなく突き出されている手…すなわちシャマルの手首を掴み捻じる事でリンカーコアを解放させるとすぐさま空いている左手を腕が飛び出している空間へと突っ込み砲撃をかました。
「「「なっ!?」」」
「キャアアアアアアア!!」
悲鳴と共にヴォルケンリッター達の遥か後方で爆音と悲鳴が響き渡る。
「シャマル!…くっ!」
「ありえねぇ!リンカーコアを掴まれたら普通は動く事すらできない筈なのにそれを強引に解いたどころか術者に向けて砲撃をかますなんて…」
「……………」
三者三様の反応を示す中俺はリンカーコアが無事に戻ったのを確認して向き直る。
未だに動揺を見せるシグナムとヴィータを他所にザフィーラは2人を守る為にとばかりに前に出る。
「…ほぅ。あれを食らってまだ動けるか」
「舐めてもらっては困る。あれしきで倒れては盾の守護獣として面子がたたん!」
「そうかなら…本気で行こう」
そう言って俺は威圧を含ませた視線で睨むとシグナム達は少し後ずさる。
「こ..この魔力量は!?」
「や..やべぇ。あんな魔力量の攻撃受けたら…」
「くっ!」
三者がそれぞれの反応を示すが俺としてもああまで言われては手を抜くつもりは一切ない。
「…覚悟はいいな?お前らを倒して主の居場所を吐いてもらうぞ」
「…その必要はない」
今まさに攻撃を仕掛けようとした瞬間俺とシグナム達を隔てるかのように突然空間が現れその中からローブを着た人物が姿を現した。
「「「あ..主!」」」
「お前達はもう下がれ。後は私が引き受ける」
「し..しかし!主を残して我々が下がる訳には…!」
「…2度は言わない。これは命令だ」
「っつ!り..了解しました」
こちらからは顔が見えないがシグナムが主の顔を見た瞬間顔を青ざめて撤退していった。そして守護騎士達がいなくなった瞬間主は再び口を開いた。
「…久しぶりだな。未來」
「…やっぱりお前か。
こちらが名前を呼ぶとフードを外し俺と向き合う。その顔は既にナギが始まりの魔法使いに精神を乗っ取られている状態になっていた。
「おやおや…まさかすぐにバレてしまうとは思わなかったよ」
「…もしナギなら俺を見た瞬間すぐに飛びかかってくるさ。それにそもそも成り切るつもりもなかった癖によく言うぜ」
「確かにあの男ならそうするだろうな。さすがにそういった事まで真似するのは私の主義に反するのでな」
「…一応聞いておくがナギの身体を返せと言ったら?」
「構わんがその代わり貴様が新たな宿主となるぞ」
「やなこった。亡霊如きにやる身体なんて持ち合わせていないからな」
「…ふっ。なら交渉は決裂だ。まぁ今回は挨拶の様な物であるしこの辺で帰らせてもらうとしようか」
「…それを俺が許すとでも思ってんのか?」
「ふっ。私の事を知っているならわかりきっている事だろう?」
「…なら質問にだけ答えてもらう」
「かまわんぞ。答えられる範囲ならばな」
「お前程の力を持つ者がなぜ闇の書の主になった?それにそもそもなぜお前がこの世界に来ているんだ?」
「なんだそんな事か。私が闇の書の主になった理由については分からないがこの世界に来たのはおそらくお前と同じだ」
「…なんだと?」
「信じられないって顔をしているな。まぁ信じるかどうかなんぞ私にはどうでもいいがはっきり言える事は私自身が望んで来た訳ではないと言う事だ」
「ではここに来る前は何をしていた?」
「答える義理はない。…と言いたい所だが教えてやろう。英雄の息子と戦っていたのだよ」
「ネギと?」
「付け加えるならば黄昏の姫巫女とその仲間も一緒だったがな。私の攻撃が弾かれ奴らの攻撃が当たるという所で私は突然黒い円に包まれ気がついたらこの時代にいたのだ。いやはや..あの時はさすがの私でも状況が飲み込めなかったよ」
「その時に闇の書と出会ったという事か…」
「そういう事だ。あの時は突然本が現れ守護騎士達が出てきた時はどうしたものかと思ったが話を聞いてみれば使えそうであったからな。とりあえず魔力を蒐集させる事にしたのだ。闇の書を完成させれば主の願いが叶うと言っていたしな」
「…つまりお前は闇の書を完成させて元の時代に帰ると?」
「無論だ。この時代には何の用もない。お前が邪魔をしなければ書を完成させて私はすぐにこの時代を去る。なんならその時にお前も元の時代に返す様書に命令してみるがどうだ?」
お互いにとってメリットになろう?という顔でこちらを見てくる
「残念ながら闇の書にそんな機能はない。書を完成させればお前は死ぬぞ」
「なんだと?だがこれは守護騎士達からの情報だ。間違っている訳があるまい」
「信じられないなら守護騎士達に聞いてみるがいい。お前達は歴代の主達の最後を覚えているのかとな。もし覚えていたなら俺の発言は戯言と捉えて構わん。だが覚えていなければ俺が言った通りの事が起こるぞ」
「……………ひとまずこれで失礼する。また会おう未來」
そう言ってブォン!という音と共に
Side end
Side ティアナ
【時空管理局 機動六課 訓練所】
「はぁ…はぁ…はぁ…くっ!」
疲労で体が思うように動かない中私はなんとか最後のターゲットを撃ち落とす。それと同時になのはさんの声が響き渡る。
「そこまで!…さすがだねティアナ。見事にパーフェクトだよ」
「はぁ…はぁ…ありがとうございます。ですが最後の方は体力がほとんど無くなってて危なかったです」
「…そうは言うけどティアナがやってたのは現状で1番難易度が高くて魔力をとてつもなく使うやつだからね?私ですらクリアはできてもパーフェクトはできるかどうかってレベルなのにそこを魔力が無くなるじゃなくて体力って言ってる時点でやばいからね」
「これでもかなり体力作りはしたつもりだったんですけどね。魔力にはまだまだ余裕がありますし今後の訓練は体力作りメインでお願いできますか?」
「う..うん。それは構わないけど…ちなみに魔力って後どれくらい残ってるの?」
「え〜と..わかりやすく言うとなのはさんのスターライト・ブレイカー1発分くらいはありますね」
「…もうティアナは新人って枠じゃなくない?私はティアナと同じ訓練をした後では収束無しではスターライト・ブレイカーを撃つ余裕はないんだけど…」
「一応形式上は新人ですよ。まぁ私がここまで強くなれたのはお姉ちゃんが渡してくれた特別製のリストバンドのお陰です。兄さんもこれのお陰で大分実力上がったって言ってましたし」
「確かに目に見えない時点で特別製だね。それにティーダさんも今や夢だった執務官となって活躍してるし…てかティアナが言ってるお姉ちゃんってもしかして?」
「もしかしなくても未來お姉ちゃんの事ですよ。お姉ちゃんのお陰で兄さんも無事だし私もこれだけの力を得る事が出来たんですから本当に感謝してもしきれませんよ。…まぁあの時の約束は守ってくれませんでしたけど…」
「約束?」
「えぇ。近いうちに遊びに来るよって約束です。指切りげんまんまでしてした約束だったので当時の私はその日をとても楽しみにしていたのですが今日のこの時まで連絡は1つもありませんでしたから」
「っつ!そ..それはねティアナ…「わかってます!」!?」
「わかってますよなのはさん。お姉ちゃんは行方不明だっていうのはフェイトさんとアリシアさんから聞いてますから。当時は納得できなかったしどうしてって気持ちも強かったですが今は違います。今は鍛えたこの力でお姉ちゃんを探し出すって気持ちが強いですから厳しい訓練だってやってやりますよ!」
「ティアナ…うんわかった!その心意気に免じて夕方の訓練は希望通りのメニューにするね」
「はい!ありがとうございます!」
要望を受け入れてくれたなのはさんに私はお礼を言った後空を向いて改めて訓練に力を注ぐのを誓うのだった。
Side end
Side プレシア
フェイトやアリシアがミッドチルダで未來の捜索を行っている中私は家を守る為に地球に残りひたすら研究を続けていた。そして先日フェイト達から未來がベルカにいるという情報を聞きなんとか未來をこちらに呼ぶ装置を作れないかと色々試していたのだが…
「…出来てしまった」
手元にある物を見た私はふと呟いた。傍から見たらただのボタンだがその性能はロストロギア並の力を秘めている。
当初の予定とは全然違う性能になってしまったがまぁ問題はないだろう。後はこれの使用をリンディに掛け合って許可を得るだけだ。
そして私は通信を開き…
「…待ってなさい未來。必ず貴方を助けるわ」
そう言ってリンディへと連絡を開始した。