なんとか形にはなったかな?ってレベルになりましたので楽しんで頂ければ幸いです。
Side 未來
雷帝の城を離れクラウス達の元へと帰る傍ら俺はバオウと状況整理をしていた。
『にしてもあれが始まりの魔法使いか』
「あぁ。俺も原作を読んだだけでしか知らないがやつはやばいぞ。ブロリーとは違ったヤバさだ」
『超サイヤ人を持ってしてもダメなのか?』
「ダメとは言わんが攻撃のバリエーションに違いがありすぎる。極端な例だが気が剛だとするなら魔法は柔だからな。超サイヤ人だと主に戦う手段が接近戦しかないしやつに近づけば戦えるだろうがそれを許してくれる相手でもないし」
『…瞬間移動でもか?』
「それも考えたがやつはナギの記憶を読み取っているから俺が悟空から瞬間移動を教えて貰った事も知ってる筈だ。だから下手に瞬間移動して移動先に攻撃をされたらさすがにタダじゃすまないしな」
『う〜ん…面倒な相手だな。さすがにあいつを殺すっていうのはできねぇし』
「あったりめぇだ。んな事したらネギまの世界が終わっちまうし俺の精神も奪われちまうよ」
『それは困るな。っとなると殺さずにやつを元の世界に返す必要があるのか』
「そういう事だな。1番確実なのは時のねじれがやつを元の世界に返してくれれば楽なんだが…」
『いつ起こるか分からない物に頼れはしないってことか…お?相棒見えてきたぜ』
バオウの言葉に視線を前に向けると見慣れたシュトゥラの城が見えてきた。そしてクラウスの部屋の窓が開いているのを見た俺はそこに向かって
「突撃!お宅の晩御飯!」
っと言いながら飛び込むと…
「…何を言ってるんだお前は」
っとクラウスがジト目で出迎えてくれました(まる)
☆
帰還してひとまずシャワーを浴びた俺は再びクラウスの部屋を訪ねた。
「お邪魔しま〜す」
「おう。意外と早かったな」
「シャワーだけならこんなもんだろ。つかそれよりも映像は見てくれたか?」
「あぁ。思った以上の被害が出ていて驚いた。これだけの被害が出ていれば再建に時間もかかるだろうしすぐに救援部隊を派遣するつもりだ」
「そうか…」
「ところで未來1ついいか?」
「ん?」
「お前が会ったフードの男…ナギと呼ばれたり始まりの魔法使いと呼ばれたりしていたがどういう関係なんだ?」
「どういう関係って…少なくとも外見は俺の師匠さ。魔法の方のな」
「外見は?」
「そうだ。細かい説明は省くが今のナギは始まりの魔法使いに精神も身体も乗っ取られている。しかもタチが悪い事に始まりの魔法使いはいわゆる霊体の様な物だから仮にナギを倒したところで今度はその倒したやつに取り憑つのさ」
「…そんな相手に勝てるのか?」
「別に真正面から戦って勝つ必要はないさ。封印するなりしちまえば終わりだしその後にやつの時代へ返せばいいだけだよ…まぁその返す方法が思いつかないんだけど」
「それじゃあ八坊塞がりじゃないか!」
「…まぁな。でも今は情報が少ないし闇の書の危険性を始まりの魔法使いに教えるしか方法がないんだ。現に奴は闇の書の情報は守護騎士達からしか教えられていなかったしそんな中で俺が守護騎士達すら知らない事を教えてその真偽を奴が確かめればこれ以上魔力を集めても意味が無いと悟り王家を襲撃するといった事にはならないはずだ」
「た..確かに襲撃が止めばひとまずは落ち着くかもしれないが根本的な解決には…」
「気休めでしかないのはわかってる。その間にこちらも準備を整えておくしか…」
「…わかった。ひとまず俺は指揮を取ってくるから未來は休め。いいな?」
「わかった。お言葉に甘えるよ」
「うむ..ではな」
そう言って部屋を出ていくクラウスだが俺はその雰囲気から俺がいない間に何かあったのを悟った。だがそれを言ってこないという事は相応の理由があるのだろうしひとまずはこれは置いておく。
そして俺は窓から夜空を見上げた。
Side end
Sideプレシア
「…ダメです。認められません」
リンディの執務室にお邪魔した私は彼女から放たれたその言葉に絶句した。ちゃんと説明を行ったにも関わらずそのあまりの対応に思わず詰め寄る。
「どうしてよリンディ!ちゃんと説明したじゃない!これなら次元振を起こさずに未來をベルカから連れてこれるって!法律にも引っかかってないのは確認済みなのにどうしてダメなのよ!」
「確かに法律にも引っかかっていませんしデータを見ても次元振は起こらないでしょう。ですが問題があります」
「問題?」
「そうです。所でプレシアさんはタイムパラドックスってご存知ですか?」
「当たり前じゃない。それを考慮しない程落ちぶれちゃいないわよ」
「…そういってる時点でお気づきでは無いようですね。では答えを言いますがこの時代の人間がベルカ…いえ、過去に干渉を行った場合歴史はどうなると思いますか?」
「どうなるも何もあの子はベルカの人間ではないのだから戻ってきたとしても何の影響もないはずよ」
「…ではなぜ無限書庫の古代ベルカの本に未來さんが載っていたか説明できますか?」
「そ..それは…」
「説明できないでしょう。では私の仮説を立てますがベルカが滅んだのは我々が未來さんを呼び戻してしまったからではないかということです。戦争の記録はあまり残されてはいませんがそれでも残った文献を見てみると名前は出ていませんが未來さんらしき人物の事が書かれた物が多かったのです。そしてその内容のほとんどが形勢はシュトゥラ側…つまり未來さんの方に戦況は傾いていた様です。…ここまで言えばわかりますか?」
「つまり…あと少しで勝てる段階で未來を呼び戻したからベルカは滅んだと?」
「そういう事です。ですからその装置の使用を認める訳にはいきません。心苦しいですが未來さんがご自分の力で帰ってきてくれるのを祈るしか…」
プレシアの願いを一刀両断しておきながら申し訳なさそうな顔で自分の力で帰って来るのを待てとばかりに言うリンディにプレシアはキレた。
「ふざけないでちょうだい!」
「プ..プレシアさん?」
思わず怒鳴り声を上げたプレシアにリンディが困惑しているとプレシアはリンディの胸倉を掴み立ち上がらせる。
「リンディ!貴方なら1番よく分かってる筈よ!クライドさんがいない11年間の辛さを!それなのになんで貴方はそういう事が言えるのよ!自分の旦那さんが帰ってきたから他の人達の事はどうでもいいって訳?もしそうなら私は一生貴方を恨むわ!未來のお陰で旦那さんは帰ってきたのにその恩返しすらできない人が歴史がどうのこうの言ってんじゃないわよ!」
プレシアの発言にリンディは胸倉を掴まれながらも叫んだ。
「どうでもいい?そんな訳ないじゃないですか!私だって家族を取り戻してくれた恩がそんな簡単に返せるなんて思っていませんよ!でも私の一存で歴史を変えかねないと分かっている出来事を認める訳にはいかないんです!」
ふ〜ふ〜と息を荒らげながら睨み合う2人だが視線を感じそちらを方を向くと…
「母さん…その装置私達に使わせてもらえないかな?」
「「フェイト(さん)!?」」
「私達がベルカに行って戦争を終わらせればお姉ちゃんは帰って来れるよね?」
「アリシアも!」
「母さん。俺からもお願いします。それを使わせてあげてください」
「クロノ!?」
「ま..まさかあなた達…今の話聞いていたの?」
「聞いてたというかあんな大きな声で話していれば嫌が応にも聞こえるというか…」
「「あ…」」
先程までの醜態を思い出し顔を赤くする2人だがそんなのどうでもいいとばかりにフェイトとアリシアは口を開いた。
「母さん。改めて聞くけどその装置使わせて貰えないかな?」
「今は1分1秒も惜しいんだよ。早く貸してお母さん」
ズイっと迫り来る愛娘達に思わずプレシアも後ずさる。だが装置の使用に関しては譲れない派のリンディが2人を止める。
「ですから2人とも。この装置の使用は認められない「…条件」…え?」
聞き返しながら2人の目を見ると冷めた目をしていた。
「私達が機動六課への配属を承認する際に掲示した条件…忘れた訳じゃないですよね?」
「た…確か未來さんの捜索を優先しそれを妨害した場合即機動六課を抜ける…でしたか?」
「その通りです。もしこのままリンディさんがこの装置の使用を許可しないのであれば今この場で機動六課を抜けさせて貰います。私達の最優先事項はお姉ちゃんの帰還です。それが終わるまではガジェットだろうがスカリエッティだろうがどうでもいいんですよ」
「なっ!」
現職の管理局員…ましてや執務官ともあろう者が放った発言に思わずリンディは驚きの声を上げる。そして少しの静寂が訪れた後第三者の声が響き渡る。
「(その辺にしておきなさいリンディ。その子達の覚悟は本物よ)」
「え?…グ..グローベル統幕議長!ど.どうして?」
突然の大物の登場に慌ててリンディは敬礼を取る。
「(どうしても何もクロノ君から連絡をもらっていたのよ。貴方とプレシアさんが言い争っているって内容でね。だから先程の会話も全部聞いてるわ)」
「………… 」パクパク
突然の事態に頭が追いつかないのか金魚の様に口を動かすリンディ。だがグローベルはそんなリンディに構わず真面目な顔になり口を開いた。
「(リンディ提督。この件は私が預かります。これは命令ですのでいかに貴方と言えども従っていただきますよ)」
「…………はい。わかりました」
もう諦めたのか肩を落としながらリンディは了承の返事を返す。
「(よろしい。それではフェイトさん.アリシアさん.そしてプレシアさん。装置に関して詳細をお聞きしたいので私の部屋に来てください)」
「「はっ!ありがとうございます!」」
「え.ええ。わかったわ」
理解力がある上司に綺麗な敬礼をした2人と困惑しながら返事を返したプレシアはリンディには目もくれずグローベルの部屋へと向かっていった。
そして残されたリンディは唯一残った息子に思わず問いかける。
「ねぇクロノ。私は何か間違っているのかしら?」
「そうですね。局員としては間違ってはいませんが人としては間違っていると思います。少なくとも父さんが帰って来る前までの母さんなら別の答えを言っていたのではないかと思うほどです」
そう言ってクロノも部屋を退出し残されたリンディは顔に影を挿しながら俯くのであった。
☆
コンコン…
「どうぞ」
「「「失礼します」」」
伝説の3提督の1人に会うとあってフェイトもアリシアもキッチリとした顔で敬礼する。プレシアは局員ではないので普通に一礼するだけだったが。
そんな3人をジェスチャーで楽にする様伝えたミゼットはそのまま席に座る様に促した。
「前置きとかはこの際飛ばしますね。早速ですがプレシアさんが作った装置の詳細を教えて貰えませんか?」
「は.はい。ではお伝えします」
・使えるのはたった1往復のみ
・転送できる人数は4名まで
・転送された先で行動できるタイムリミットは2時間。それを過ぎれば強制的に元の時代へ返される
「簡単に纏めるとこんな感じです」
プレシアの説明が終わるとミゼットはフムと考え込んだ後口を開いた。
「わかりました。その内容であれば確かに歴史に影響を与える可能性は低いでしょう」
その発言にフェイト達は再び安堵の表情を浮かべる。
「ありがとうございます」
「いえいえ。それでデメリットはなんですか?」
「「…え?」」
ミゼットの思わぬ発言に姉妹は素で声をあげる中その横ではプレシアが顔に冷や汗を浮かべている。だがミゼットはそんなプレシアに真剣な目で問いただす。
「プレシアさん。科学には疎い私でもその装置の危険度はわかります。過去に関わる程の力を持つ装置が何のデメリットも無しに使えるわけがありませんからね。貴方はどうにかそれを言わないようにしているみたいですがそれを聞かなければ使用の判断はできないんですよ」
ふふふと威圧感を放つミゼットにプレシアはごくりと唾を飲み込む。やはり伝説の3提督の名は伊達ではないとプレシアは感じポツポツと話し始める。
「…デメリットと言っても普通に1往復するだけなら何の問題もありません。ですが万が一短期間でもう一度使おうとすれば…ミッドチルダはおろか周辺の管理世界も次元振によって確実に滅びます」
「「!?」」
「………」
母の発言に思わず姉妹は息を飲みミゼットはやはりそうでしたかといった顔になる。その様子にフェイト達は最悪の場合は想定するがミゼットの答えはプレシアの言葉を聞いた時点で決まっていた。
「…フェイトさん。アリシアさん。いつ出発されますか?」
「え?」
「許…許可してくださるんですか?」
デメリットを聞いてなおそう言ってくるミゼットに姉妹は驚きの目を向ける。
「もちろんです。機動六課に配属する際の条件の件もありますが…最大の理由はデメリットをプレシアさんがちゃんと言った事です。もしあそこでプレシアさんがとぼけていれば許可は出さなかったでしょう」
試されていたと感じたプレシアは己の判断が間違っていなかった事にホッと胸を撫で下ろしミゼットに向けて頭を下げた。
「ありがとうございます!」
母に続いて姉妹も頭を下げた。
「…3人とも頭を上げてください。とにかく日程とメンバーが決まり次第私に報告をお願いします。その際に抜ける穴の埋め合わせもしなければなりませんからね」
「「…っつ!ありがとうございます!」」
なんだかんだ言いながらも理解ある上司の言葉にフェイト達は綺麗な敬礼で返すのであった。
Side end
Side 未來
ヴォルケンリッターが雷帝家へ襲撃してから1週間が経った。その間に起こった事を述べよう…と言いたい所だが恐ろしい事に至って平和の時間が流れている。
あれだけあった王家への襲撃も無くなったのはいい事なのだが一向に始まりの魔法使いからのコンタクトがない。
奴が仮に俺の言葉を信じたのならなぜこちらにコンタクトを取らないのか不思議でならないとクラウスと話し合っていると突然ウィルガが扉を蹴破るかの様に部屋に飛び込んできた。
「へ、陛下!大変です!」
「…せめてノックぐらいはしたまえ。それでどうしたんだ?」
呆れながらも先を促すクラウスにウィルガはなんとか息を整えて報告した。
「はぁ…はぁ…
「「なんだと!?」」
ガタン!と椅子を倒しながらまさかの予想外の出来事に俺とクラウスは驚きの声を上げた。だがウィルガはまだ報告があると続ける。
「それと先程入ってきた情報によると炎皇家の領地に住んでいた者達を傭兵として迎え入れたとの事です!女子供関係なく動ける者には銃を与え、拒否した者からは死ぬまで魔力を奪い続けていると」
「!?」ギリッ
それを聞いた瞬間思わず俺は始まりの魔法使いの所へすぐに行こうとした。だがそれはすぐ傍にいたクラウスに腕を掴まれて防がれる。
「待て未來!」
「離せクラウス!俺の考えが甘かったせいで罪もない人々が利用され殺されているというのに黙っていられるか!」
勢いよく振り払おうとするもここ数年でステータスが上がったクラウス相手だとそうもいかず思うように振り解けないでいると殴られた。
「とにかく落ち着け未來。奴の所に行こうにもお前は居場所がわかるのか?」
「気を探れば一発だ!奴は気を抑える方法を知らないからな!」
「…なら探って見ればいい。少なくとも私にはそれらしき気を見つけられんがな」
「なに!?…そ..そんなバカな!気どころか魔力すら感じない!?」
有り得ない事態に狼狽えているとクラウスは相変わらず落ち着きながら話を進める。
「それで?改めて聞くが未來は奴の居場所がわかるのか?」
まるで親が子供を諭すかの様に語るクラウスに俺は苦虫を噛み潰したように答えた。
「…わからん。どちらかだけでも見つけられれば別だが」
「…なら今は下手に動くな。ましてやウィルガの報告もまだ終わっていないのだぞ」
「…わかった。すみませんウィルガさん」
「…いえ。私も未來さんと同じ気持ちですから。とにかく報告を続けますと始まりの魔法使いはその人達を使って次々と勢力を増やしているそうです。目撃者の話によりますと悪魔と思わしき者やゴーレムらしき者までいるとの事で」
「…他次元世界からの傭兵とかは?」
「それは今のところ確認できていませんが時間の問題かと」
「っつ!」ギリッ
手をワナワナと震わせる俺を見ながらクラウスはウィルガへと向き直る。
「それでウィルガよ。その事は聖王諸国に伝えたのか?」
「もちろんです。諸国以外の国にもこの情報は渡しております。ですが諸国以外の国には『我々には関係ない』と言われてしまいまして」
その言葉に今度はクラウスが頭を抱えた。こういう時こそ国同士が協力して立ち向かうべき問題だろうといった心境が見て取れる。
数秒間頭を抱えたクラウスはなんとか顔をあげ指示を出した。
「とにかく今は諸国で対応するしかない。君は持ち場に戻っていざと言う時の為の準備を続けてくれ」
「はっ!では失礼します」
敬礼し部屋を出ていくウィルガを見送ったクラウスは自身の机の椅子に座ると盛大に溜息を吐いた。
「はぁ〜…」
その様子に俺は謝罪の言葉を述べる。
「クラウス…その…すまん」
「別にそこまで思い詰める必要はない。未來の気持ちもわからん訳ではないからな。ただなりふり構わず向かおうとするのはお前らしくもないとは思ったが」
「…それに関しては否定できん。でもさっきも言ったが俺が甘く考えてたせいでこうなってしまった部分はあるし…「そこまでにしておけよ未來」…え?」
顔を上げてクラウスを見ると怒りを滲ませた目をしていた。
「お前はさっきから俺の考えが甘かったからって言ってるがあの時は俺とお前の2人で話をして決めた事だろうが。ましてやこうなるなんて誰にも予想はつかん。だからこれ以上自分の責任だ!なんて発言はするな」
反論は認めん!みたいな雰囲気を出すクラウスに俺は黙って頷く事しか出来なかった。
☆
始まりの魔法使いが宣戦布告をしてから1ヶ月が経った。その間に奴は水皇.剣皇を落とし勢力を拡大していった。
勿論俺もクラウスも手をこまねいている訳ではなく守護騎士の気を見つける度に瞬間移動をして向かっているのだが俺が現れるとすぐ様守護騎士達は転移魔法で姿を消し完全に気配を隠してしまうのだ。
さすがにそうされてしまっては俺ですら捜索は困難である為やるせない気持ちを抱いたままシュトゥラに帰還するという日々が続いている。
そんな訳でいわゆるイタチごっこにイライラしながらも救助活動をしていると突然通信が来た。
「(未來!今大丈夫か!?)」
「どうしたクラウス?何があった?」
「(実は先程オリヴィエから連絡があったのだが…リッドとグロゼルグが攫われたと)」
「何!?」
「(2人は聖王家から出られないオリヴィエを心配して訪れていたらしいんだ。そして3人が会話している時に守護騎士達が現れシグナムという騎士がオリヴィエの相手をしている内に他の奴らが2人を…)」
「っつ!」ギリッ
まさかまさかの事態に俺は歯を食いしばる。そんな俺を見ながらもクラウスは話を続けた。
「(そして2人が連れ去られた後シグナムはオリヴィエにこう言ったそうだ。『我が主からの伝言がある。炎皇家の城で待つ。1人で来い。さもなくば…』との事だ。これを騎士フュレネスへ伝えろっと。それを言った後シグナムは転移魔法で消えたそうだ)」
「…………」ズァ!
この世界にきて久しぶりに俺は超サイヤ人へと変身した。今の俺の顔は鏡を見ずとも酷いことがわかる。きっと悪魔も泣き叫んで逃げ出すだろうと思うほどに…。そしてそれを通信越しとはいえ目の当たりにしたクラウスも顔中を冷や汗が流れる。
「…クラウス」
「(な…なんだ?)」
「2人の事は俺に任せてくれ。その代わりお前は…何がなんでもオリヴィエを止めろ」
「(オリヴィエを?彼女は聖王家にいて身動き取れないんだぞ?)」
「…ならクラウス。お前は友人を目の前で攫われたオリヴィエが何もせずじっとしていると思うか?」
「(………思わんな。俺ですら間違いなく動く)」
「だろう?こうしている今も2人を取り戻すべく動き回ってるだろうからな。そして絶対オリヴィエにゆりかごを起動させるな!」
「(…わかった。2人を頼むぞ未來)」
「あぁ!」
そう言って通信を切ると同時に炎皇家に向け飛び立った。
Side end
Side クラウス
通信が切れた後俺は息を吐き出しながら椅子の背もたれへと体を預けた。後から思えばすぐにでもオリヴィエの元に向かわなければならない筈なのにそうしてしまったのは最後に見た未來の顔があまりにもやばすぎたからだろう。
それはさておきすぐに脳内で己がやるべき事を決め信頼する騎士を呼び寄せる。
「ウィルガ。そこにいるのだろう?」
「…はい。陛下」
呼ぶとどこか気まずそうな顔をしながらウィルガが入室してきた。
「…申し訳ありません陛下。盗み聞きするつもりはなかったのですが」
「構わん。大方先程の未來の声の雰囲気に気圧されたのだろう?」
「はい。お恥ずかしながらその通りです。あれ程の怒りを見せている未來殿の声は初めて聞きました」
「まぁそれも無理はなかろう。とにかく今はそれよりもなぜ呼んだかわかるな?」
「もちろんです。留守はおまかせください!」
ドンと胸を張るウィルガにクラウスは満足気に頷く。が同時に顔に影をさしながら俯く。
「…スマンな。本来ならこの状況で国を空ける等あってはならんことなのに」
一国の王としては失格だと自分を卑下するクラウスにウィルガはならばと口を開いた。
「…陛下。今は一国の王ではなく1人の男としてオリヴィエ殿を止めてください」
「1人の男として?」
「そうです。細かい説明は省きますが未來殿の歴史ではオリヴィエ殿はゆりかごを起動させ命と引き換えに戦争を終結させたそうです。そのせいでオリヴィエ殿には子供はいなかったとも」
「…そうか。だから未來は絶対にオリヴィエにゆりかごを起動させるなと言ったのか。にしてもなぜ子供が居ない事がさっきの言葉に繋がるのだ?」
それを聞いたウィルガはマジで?って顔をしながらため息を吐く。
「陛下。ここまで言えば普通はわかりますよ」
「そうは言ってもだな。つまり…」
「つまりもクソもありません。いいですか?…スゥ〜惚れた女の1人くらい止めてみせろや!って事ですよ」
そう言ってニカッと笑うウィルガにクラウスは目を丸くする。そして彼の言葉の意味を理解するとゆっくりと立ち上がった。
「…ウィルガ。改めて言うが留守を頼む」
「お任せ下さい。そして戻って来る時は2人でお願いしますよ」
「…ふっ。あぁわかった」
部下の激励に身を震わせたクラウスは自室の窓から飛び出した。今も高速で動いているのが感じられる最愛の人を止める為…いや守る為に