俺が初代魔王なんて間違っている。   作:すのどろ Snowdrop

10 / 11
すみません、サボってました。


9話:何事にも、対価というものは必要である

9話:何事にも、対価というものは必要である。

 

あれから半年。魔王城ではなにもなく、何事もない日が続いていた。反乱を起こす魔物達はもちろん、魔獣、魔人も事件を起こすことなく、魔王会議で作られた法律の元、平和に暮らしていた。

 

だが、そんな魔界の魔王城下、アスタに異物が入り込んできた。『人間』だ。彼女は武器を持つことなく、突如としてこのアスタに迷い込んだ。それを目敏く見つけたアスタの問番、蛇を使役することで有名なリーア種のスネイは、即時拘束、魔王城へと運び込まれた。

 

それだけなら、良かったのだ。良かったのだが、ここでは終わらなかった。彼女は俺が知っていた少女。鶴見留美だった。中学生となった彼女は、クリスマスイベントに会った時よりも少し背が伸びていた。だが、纏う雰囲気は全く変わらず、クールであった。

 

そうではない。問題はそこではない。何故彼女がこの世界にいるのか、が問題である。恐らくではあるが、数ヶ月掛けて復活魔法を使って生き返ったメモリアの女王が、再び召喚魔導を使ったのだろう。でなければ彼女がこんなところにいるわけがない。

やはり、メモリアの女王……アルテミシアは肉片も残さず消し飛ばした方が良かったのではないだろうか……。まぁ、今更後悔してももう遅い。これ以上の被害者を出さないためにも、今すぐにでも消し炭にしてきた方がいいだろう。

 

「陽乃さん、留美を頼みます」

 

一言、そう残して俺はメモリア王城正門前に転移した。

 

***

 

雪乃ちゃんを始め、姫菜までいなくなった。部屋の中ごと無くなっていたからか、優美子は王国側の何かかと、王様に突っかかっていった。俺達はそんな優美子に青ざめてしまったが、王様は逆に驚き、すぐ様女王と共に姫菜のいた部屋へと入った。

その一言目に、俺は殺気を覚えた。

 

「これは私を殺した者と同じ魔力……」

 

それはつまり、姫菜を連れ去ったのは比企谷ということになる。恐らく、雪乃ちゃんも猫で比企谷が釣ったのだろう。

許せない。俺のモノは絶対に取り返す……。

 

***

 

さて、ここに来たはいいが、門番弱すぎだろ……。

なんだよ、Lv50って。そこらへんの魔物でも倒せるんじゃねぇの?

 

そんなことはさておき、その門番のおかげで楽に城内に侵入できた。もちろん、そんなことをせずとも破壊すれば良いだけなのだが、そんなことをすれば全人類が束になって宣戦布告されそうな気がする。正直、あの門番レベルが攻め込んでくるなら問題ないが、統率もままならない今の魔界に賢者が攻め込まれると負けはせずともかなりの魔族、魔人が殺されてしまうかもしれない。

統一されてない魔界に守るべき者。俺と陽乃さん、小町や五龍帝だけでは城と城下町を守るのが精一杯なのだ。

ならば全人類を消し去ればいい、という訳でもない。罪もない人を殺すのは酷なものだ。

ならば、いかに王国城内部の人間のしわざに見せかけられるか、である。しかし、それも現実的ではない。よほどのことがない限りはレベル差の問題で殺すことができない。俺の見てきた中では王と賢者のみ。葉山たちはまだレベルが低く、洗脳しても返り討ちにされるだけ。

が、賢者の居場所が分からない。どんな人かすらも分からない。これでは殺したところで蘇生させられて終わってしまい、なんの意味もない。

あ、結界で閉じ込めるか。

 

「……めんどくせぇ」

 

このクソでかい城を覆う結界を作るために風魔導で空に舞い、地道に魔力を練る。

 

その時であった。

突如、地上から膨大な魔力の塊が飛んできた。属性は、無い。無属性だ。そして、この城の王でも女王でもない魔力。なら……

 

「お前が賢者か……」

 

「そうね……たしかに私が賢者と呼ばれているわ。プラトルよ」

 

黒く長い、艶やかな髪質、パッチリと開いた目には蒼い瞳。桜色の唇。ほどよい胸に全体的にバランスのとれた体型。いわゆる美女であった。まぁ、陽乃さんほどではないと断言できるが。……たぶん。ちょっと蒼い瞳に惹かれてたり惹かれてなかったり。

 

ステータス展開……

 

名前:プラトル

種族:大賢者

Lv.452

HP:90020

MP:164300

称号:初代賢者、永遠を行きし者、永遠の独身、ドM、???

取得スキル:独自魔導、完全蘇生魔導、召喚魔導、帰還魔導、支援魔導、時魔導(自身にのみ有効、非戦闘時)、未来予知(5秒先まで)、索敵、暗殺耐性(常時)、魔導威力倍化(戦闘時)、魔導効果倍化(戦闘時)、魔導範囲強化(戦闘時)、魔導攻撃耐性(常時、特大)、全属性耐性(常時、特大)、物理攻撃弱化(常時、特大)、物理耐性弱化(常時、特大)、HP倍化(非戦闘時)、MP自動回復(常時、特大)、HP自動回復(常時、特大)、サクリファイス(戦闘時常に有効、HP→MP、性欲/嗅覚、味覚→聴覚、視覚、性欲/色覚→MP、HP、性欲)、薬耐性弱化(常時、特大)、高速思考、無詠唱、詠唱破棄、魔力操作、威圧、取得exp3倍、性欲30倍(常時)、媚薬効果40倍(常時)、妊娠不可

 

コイツ良い意味でも悪い意味でも頭逝かれてんだろ。や、物理耐性弱化あるだけいいけどさ。性欲30倍ってなんだよ、なんでサクリファイスで性欲にも効果あるんだよ……。てか何歳だよ。あと独身て……平塚先生かよ……。そういえば先生どこいったんだろ……。

 

「魔帝ハチマン」

 

「へぇ……貴方が……ねぇ、私と契約してくれない?」

 

「は?」

 

「私が悪魔に転生して貴方の味方になるかわりに私の性欲を解消して?」

 

「……は?」

 

ちょっと迷ってしまったことは俺だけの秘密として、前半部分はかなり魅力的だ。俺よりもさらにレベルが高く、それも賢者が味方についてくれるのはありがたい。が……

 

「信用できないな」

 

「じゃあどうしてくれれば信用してくれる?もう性欲を溜め込むのも辛いのよ」

 

「どんだけ性欲溜まってんだよ……そのへんの人襲えよ……」

 

「男は私を見ると逃げ去るのよ!それに、私の色眼鏡に叶う人はほとんどが私の性欲に耐えられずに干からびちゃうし」

 

「それもはやサキュバス……。ていうか、犯罪者でも襲っとけよ。牢にかなりいるはずだろ」

 

「いやよ、あんな人間のゴミなんて。牢の前を通るのもいやなのに」

 

ま、そりゃそうだ。俺だって嫌だし。

 

「契約を使えば信用できるかしら?私からは性欲の解消、貴方からは貴方の得になること、でどうかしら?」

 

「俺に多大なメリットがあったとしても、それは俺だけの判断じゃ、決められないな」

 

 

 

 

 




モチベがね、ないんですよ……

賢者を冥界側の味方につけるか否か

  • 味方にする
  • しない
  • 味方にして、R18指定のストーリーを出す

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。